ナイルパーチの女子会 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 42
  • Amazon.co.jp ・本 (403ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167910129

感想・レビュー・書評

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  • 痛い、痛い、痛いーっ!

    今まで読んだ柚木麻子イチ、ヤバイっす。

    女友達との距離感が分からない、お嬢様キャリアOL栄利子。(まあ、読んでいく内に、男友達との距離感も分かっていない感があるけど)
    家が恵まれていて、お金もあって、仕事も出来て、見た目もキレイだけれど、女友達が出来ない。
    そんな栄利子が、お気に入り主婦ブロガーの翔子と出会ってからの、怒涛のストーカーぶりにまずはドン引きしましょう。

    連絡が取れなければメールラッシュ。
    どころか、突然の自宅押し掛け。
    話を合わせてくれないと不機嫌に。
    でもって後からゴメンねラッシュ。

    そうです。
    まさに「メンドクサイ女」のテンプレートと化していく。
    これ、男女の関係でもあるよね。
    そんなヤツだと思ってなかったと言われるまでの、変型を成し遂げてしまう人。

    しかし。これが女同士になると、不思議なことに関係を薄くすることは出来ても、バチっと断ち切ることが難しくなるのかな、と思った。
    同性だから、ずっと、分かり合えるのではないか。
    同じ視点で話が出来るんじゃないか。
    愛情ではなく絆なら、一生続くのではないか。

    ……何より、群れることの出来ない女は、欠陥品なのではないか。

    そんな幻想と恐怖の中で、栄利子は翔子を脅してまでも、親友としての契約を結ぶ。
    また、友達作れる側女子として登場する真織でさえ、自身の結婚式を親友たちへの生贄として捧げるために奮闘?する。

    女性タレントでも、同性に慕われる人とまったく受け入れられない人に分かれたりするけど(そして、同性に支持されることは一種のステータスにさえなるけど)あれって一体何なんだろう。
    女同士のもつれ合いヒエラルキーに、極力関わりたくないんだよな……と思ってしまう私は、ちょっと栄利子側に踏み込んでるんだろうな(笑)

    群れなくても自分一人でやっていける、と言い切れない弱さが、女性という立場にはあるのかもしれない。

    解説の重松清は『BUTTER』と重ね合わせて読んでいたけれど、私は『コンビニ人間』を思い出しました。
    普通であろうともがく、歪さ。
    自分の世界の押しつけか、相手の世界の押しつけという、ワンサイドゲームしか知らない関係。
    ただ、醜い衝突を繰り返すことで、おぼろげながら関わりの「形」を見つけ出しているようにも思う。
    そこを救いとして読めるといいな。

  • 仲良くなると、その人のことをもっと知りたくなるし
    もっと一緒にいたくなるし
    もっと独占したくなる…

    それが友だちだったらどうだろう
    私は違うと言い切れるだろうか
    私はこんなことしない
    でも心の中で同じ気持ちを全く持たなかったとは言えない
    私を、私だけを特別扱いしてほしいという
    欲求を持たなかったことはないのだから

    うっとおしい、重い、気持ち悪い存在になっていたこともあったのだろうか
    この常軌を逸したこじらせ女子のように

    多かれ少なかれ
    女子はこんな経験をしてるんじゃないだろうか

  • 「認められたい」「共感してほしい」という思いは誰もが内に秘めているのかもしれない。その思いが強くて歯止めがきかなくなってしまったのが、栄利子なのだろう。
    『伊藤くんAtoE』でも痛々しいキャラクターを通じて人間の本心のようなものを描いている。うわーなんだコイツと思わせるのが上手い。

  • 生態系の異なる湖に放流してしまったために、他の魚を食べつくし、環境を破壊してしまったナイルパーチ。
    本来は狂暴ではないにもかかわらず、人間の都合で偏見を持たれてしまい、挙句自らの居場所も失いつつあるこの魚をモチーフに、女性同士の友情とは何なのかについてを鋭く突いたのが本作です。

    ともに主人公である、栄利子と翔子の関係はナイルパーチと既存種の魚の関係にあたります。
    でも見方を変えると、派遣社員の真織と栄利子の関係にも、父親と翔子の関係にも同じことが言えます。
    恐らく、人間誰しもナイルパーチになり得るし、箱根旅行で栄利子が発した言葉にあるように、ナイルパーチを生み出してしまう社会のシステムとか世間の風潮とかに対する違和感が隠れた主題になるのでしょう。
    そこはなかなか面白いと思いました。

    かつて『本屋さんのダイアナ』の感想で、「物語が破綻してもいいから、柚木さんはもっともっとはじけちゃっていいと思います」と書いたのですが、本作でいよいよ本領を発揮し始めたようです。
    過去作と比べて柚木さん自身の思うまま、自由に描いているようで、物語のスケール感が一回り大きくなったように感じました。
    もちろん弊害もあって、栄利子の崩壊っぷりがやり手のキャリアウーマンという設定と合ってないとか、派遣社員の真織から栄利子への要求およびラストの攻撃は常軌を逸しているとか、細部でリアリティを感じにくくなったのも事実です。
    そのあたりは今後の課題かもしれませんが、進む方向は間違っていないと思います。

    思えば女子高でのいじめが描かれたデビュー作『終点のあの子』からほぼ一貫して他者との関係性について描き続けてきた著者にとって、本作は集大成的作品であると同時に、現時点の最高作であろう『BUTTER』にも繋がる重要な一冊になるものと考えます。
    発表する作品から目が離せない作家になってきました。

  • キャリアウーマンの栄利子と、主婦ブロガーの翔子。出会ってしまった同い年の女二人…。
    あぁ、凄い作品でした。同世代の女性が書く女性にしっくり来ないわけがない。主人公も
    柚木さんご自身も(ついでに私も)年齢が近いので、もうリアル過ぎるほどにリアルです。
    胸が痛くて痛くて、山場ですらない場面でも度々胸が抉られる。読まなければ良かったと、
    早く終わればいいと、妙なテンションで読みました。「だから女は」で片付けないで欲しい
    ほんとに、各々が一生懸命なだけなのです。ほわほわした女子が元ヤンの如き本性を現した
    あの瞬間の衝撃ったら…Σ(゜Д゜)楽しいとはとても言えないけど、お見事の一言でした!

  • 空を思わす、いや、水なのかな、きれいな水色の背景に白いドレスの女性が描かれた、さわやかな表紙。
    物語は、アラサーのまるで違う境遇の女性ふたりがファミレスで楽しいひと時を過ごしたり、で始まる。

    なのに、そこからとんでも急展開。

    いくらなんでもそれは・・・というようなえぐい話が、畳み掛けるように続く。

    あまりにデフォルメされすぎ、と思いながらも、目が話せないのは、本質をずばりついているから。
    主人公ふたりの両親との関係や、知らず知らずのうちにそこから受けた影響や、周りと楽しくやらないと、という圧やら。

    女子会のふわふわと楽しげなデザートのクリームのようなものの底流にあるダークな物質・・・。

    最終盤で、主人公二人、それぞれの親との和解が描かれる。和解というか、縁を切るわけでなく、びったりになるでなく、距離を見つけるという感じ。

    二人とも、他人から見ると到底幸せといえる状態ではないのだろうけど、これからの人生の中で幸せを見つけられる予感。幸せは境遇ではなく、その人の心が感じるものだから。それがわかるまでの旅を描いた小説なのかも知れないですね。

    それにしても、高校生直木賞受賞作とは・・・最近の高校生には脱帽です。

  • キャリアウーマンで実家くらしの栄利子と、主婦でずぼら主婦で人気のブロガー翔子が、読者とブロガーという立ち位置から、友達になり、そして徐々に破綻していく。
    『女友達』に焦点をあてている作品ですが、とにかく読み進める手が後半はとまらなかったです。

    柚木麻子さんの作品は何冊か読んでいたのですが、いまのところ一番ドロドロしている作品かも、、
    最後に、重松清さんが未読の人、既読の人にむけた素敵な解説が載っています野で、気になった人はまずはそこから読んでほしいです。

    この作品につながっていくかもしれない『BUTTER』を次よんでみようとおもいます。

  • 似たような言い回し、表現が多く、主に女性2人の話だがその双方で同じ単語や文章を使っているので少々混乱を招くと思う。
    栄里子のヒリヒリした痛々しい自己愛や、翔子の情けないほどの自堕落な生活は、共感するところが多分にあった。主人公2人に自分を投影して読んだ。どちらも完全に共感することはないが、もし私だったら…と置き換えるともしかしたらそう遠くはないのかもしれない。

  • とにかく
    くどいにゃ

  • 友達とは何か。周囲の評価が気になってしまう人の心と感情の描写が素晴らしい。きっと自分にも同じ感情がある。

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プロフィール

柚木 麻子は日本の小説家で、1981年 東京都世田谷区生まれ。

立教大学文学部フランス文学科卒業。
大学在学中から脚本家を目指してシナリオセンターに通い、ドラマのプロットライターを勤めたこともあった。
卒業後は製菓メーカーへの就職を経て塾講師や契約社員などの職のかたわら小説の賞に応募し、2008年に第88回オール讀物新人賞を受賞した。受賞作「フォーゲットミー、ノットブルー」を含む初の単行本『終点のあの子』が2010年に刊行された。

2014年に『本屋さんのダイアナ』で第3回静岡書店大賞 小説部門受賞。
『伊藤くんA to E』『本屋さんのダイアナ』『ナイルパーチの女子会』『BUTTER』が直木賞の候補作となる。

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