昭和史の10大事件 (文春文庫)

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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (233ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167910396

感想・レビュー・書評

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  • 都立墨田川高校の先輩後輩という間柄の、半藤一利と宮部みゆきの二人が、実に楽しげに対談している。
    しかし語るのは、昭和に起きた、日本の運命を変えたともいうべき大事件ばかり。
    歴史探偵を自負する半藤氏は、「歴史はひとつの大きな流れに見えて、じつは多くの要素がパズルのように組み合わさっているから、一つの要素が変化したら、一見とんでもなく遠い関係のない場所のパズルも変容してしまう。それが歴史の意志というものの姿なのでしょう」と、喝破する。
    一方宮部氏は、小説家の目で、昭和15年が日本のポイント・オブ・ノーリターンの年だと指摘し、半藤氏と同様なことを語る。
    すなわち、三国同盟締結と大政翼賛運動が起きた年。
    「外交と、国の中のこと、形は違っても、同じような時期に、根っこがひとつのことが起きているのだということ。外交のことだから、私たちの生活には関係ないわと思っていると、そんなことないんですね」
    二人の言葉は、傾聴に値する至言だろう。

  • 宮部みゆきと半藤一利の昭和史に関する対談集。
    「昭和史」なんて言われると少し身構えてしまいますが、お二人が高校の先輩後輩と言うこともあってなのか、「対談を終えて」で半藤さんが「ずいぶん乱暴な、下町言葉丸出しのひどい言葉を使っている。これが余所行きでない地なんだと言えばまさにその通り」と語っているように二人とも気安い感じで語っていることもあって、肩の凝らない読み物に仕上がっています。

    読了して思ったのは、昭和という時代の長さです。太平洋戦争の前からバブルの前までの64年間は、「バブルと失われた20年」と総括(乱暴ですが)してしまえる平成と比べるとあまりに波乱に富んでいます。

    そして、「事件」の選び方がいい。
    全て「体験」として語れる昭和5年生まれの新藤さんが選んだ事件と、一部を「調べたこと」として、残りをやはり体験として昭和35年生まれの宮部さんが選んだ事件がほどよくミックスされています。

    自分は「知識としては知っている」事件については宮部さんと同じく、半藤さんの語る蘊蓄を聞いて感心しつつ、その「事件」に帯する自分の頭の中の【インデックス】を更新することができました。
    例えば二・二六事件については【クーデター未遂】程度だったのが、【クーデターを目指したものの天皇の支持を得られず失敗したテロ事件、ただしその後「統制派」に利用され船倉への足がかりとなる】に、東京裁判については【勝者が敗者を裁いた理不尽な裁判】から【戦勝国が戦争の指導者を裁こうと勢い込んで臨んだものの戦争の責任者(「平和に対する罪」)を明確に指摘することができなかった裁判。一方で「人道に対する罪」という「文学的な」理由でB・C級を含め有罪になったものがいる一方で「準A級」として名前が挙がったことが「大物の証明」になった者もいる】に、それぞれ更新されました。もちろん違う見解に触れてこれらがさらに更新されることはあるでしょうけれど、でもインデックスが充実するのは心地よいものです。
    また「金閣寺消失」については、初めてインデックスが作成されたように思います。三島由紀夫の「金閣寺」すら読んだことがないのを少し後悔しました。

    一方で、新幹線開業や東京オリンピック以降についてはやや食い足りない思いがあります。だいたい、9つめの事件――「高度経済成長と事件」(昭和28年頃~)から10個目、最後の事件「東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(宮崎勤事件)」(平成元(昭和64)年まで64年間ある昭和のうち30年も飛んでいるのはちょっとバランスが悪いと思います。
    さらに、太平洋戦争自体がごっそり抜け落ちているのも解せません。「太平洋戦争」を一つの事件として扱うのが大きすぎるのであれば、例えば「東京空襲」だとか、「疎開」だとかの個人の体験としてのトピックスを取り上げるか、「太平洋戦争」を取り上げない理由を語るかしないといけないと思います。この本は、「太平洋戦争という大事件があった」ことを知らない人も手に取るのですから。

    平成が終わろうとしている今、平成について語る人が多い今、その一つ前の時代について語られている本を読む意味は大きいと思います。


    以下に半藤一利版、宮部みゆき版それぞれの「事件」と、最終的に選定された事件を引用しておきます。

    半藤版(1930年(昭和5年)5月21日 )
    二・二六事件 昭和11年2月26日
    日独伊三国同盟締結(調印)昭和15年9月27日
    日本の敗戦 昭和20年8月15日
    歴史・地理・修身の授業禁止 昭和21年1月1日
    極東国際軍事裁判(東京裁判)始まる 昭和21年5月3日
    新憲法公布 昭和21年11月3日
    ストリップショー始まる 昭和22年1月15日
    下山事件・三鷹事件・松川事件 昭和24年7月/8月
    ヘルシンキ・オリンピック選考会とサンフランシスコ講和条約 昭和26年9月9日/9月8日
    第五福竜丸事件と「ゴジラ」公開 昭和29年3月1日/11月3日
    児島明子ミスユニバース受賞と美智子妃 昭和34年7月24日/4月10日
    60年安保騒動 昭和35年夏
    昭和天皇在位60年 昭和61年4月29日

    宮部版(みやべ みゆき(昭和35年)1960年12月23日)
    金融恐慌勃発 昭和2年3月15日
    5・15事件 昭和7年5月15日
    大政翼賛会発足 昭和15年10月12日
    極東国際軍事裁判(東京裁判)始まる 昭和21年5月3日
    金閣寺焼失 昭和25年7月2日
    「ゴジラ」公開 昭和29年11月3日
    水俣病(28年頃)・イタイイタイ病(明治時代中期~)・四日市ぜんそく(34年頃~)三大公害問題 昭和30年ころから社会問題化
    東海道新幹線 東京―新大阪間開業、東京オリンピック/名神高速道路開通 昭和39年9月~10月
    あさま山荘事件 昭和47年2月19日
    グリコ・森永事件 昭和59年~60年
    連続幼女誘拐殺人事件 平成元(昭和64)年7月23日(逮捕)

    結果
    昭和金融恐慌 昭和2年3月15日
    二・二六事件 昭和11年2月26日
    大政翼賛会と三国同盟 昭和15年10月12日/9月27日
    東京裁判と戦後改革 昭和21年5月3日
    憲法第九条 昭和21年11月3日
    日本初のヌードショー 昭和22年1月15日
    金閣寺焼失とヘルシンキ・オリンピック 昭和25年7月2日/昭和26年9月9日
    第五福竜丸事件と『ゴジラ』 昭和29年3月1日/11月3日
    高度経済成長と事件――公害問題・安保騒動・新幹線開業 昭和28年頃〜
    東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件(宮崎勤事件)平成元(昭和64)年7月23日

  • 昭和史の10大事件を対談形式で振り返る。
    いつも通り、大して内容も確認せず、読み出す。
    そして、気づく。
    自分の思っていた「昭和史の10大事件じゃない…」
    自分の中で昭和の10大事件と言うと、3億円強盗事件、よど号ハイジャック、グリコ・森永事件、浅間山荘事件など、映像化され、何となくドラマチックなものを勝手に思い描いていた。
    しかし、予想していたこれらの事件は1つも入っていない。
    全体的に戦前戦後で大きく様変わりした日本の様子が取り上げられている。
    太平洋戦争の前にあった日本の変化、太平洋戦争後に行われた東京裁判。確かに学校では詳しく習っていないことに気付く。自分の知っていた戦後がアメリカによって、作られた歴史であることに愕然とした。
    漠然とA級戦犯とか知っているつもりだったけど、本来憎むべき人間が本当は裁かれていないこと。しかし、それを裁いてしまっては現在の日本が成り立たないこと。すごく矛盾していて、もどかしいけど、改めて太平洋戦争と言うものを考えさせられた一冊。

  • 著者2人が独自の視点で選んだ「昭和の10大事件」を語り合う。
    一般的には選ばれなさそうなものもあるけど、それぞれの思い出や体験も交えながら語られていておもしろい。

  • 2018/6/20あまり面白くない。★3

  • 昭和史はやはり面白い

  • 60年生まれの作家、金融恐慌、515、大政翼賛会、東京裁判など動機があってどう計画したかという事件らしさで選ぶ。30年生まれの編集長・作家、福竜丸取材、ヘルシンキオリンピックなど、生き証人として自分が関わってきた出来事で選ぶ。

    作家ってすごい人種なんだなあと再認識しました。

  • 二人が楽しそうに語っているのがまず良い。
    思いがけず我が家にもつながるエピソードを知ることができてちょっと得した気分。

  • 軽妙な対話で読みやすい。文量も手軽でいいかな

  • 2015年9月東京書籍刊。加筆修正して2018年3月文春文庫化。宮部みゆきさんと半藤一利さんが、各々10大事件をリストアップした上で、対談を実施。ほいほいとお二人が、語られる、その様子が、楽しく、面白い。

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著者プロフィール

宮部 みゆき(みやべ みゆき)
1960年、東京都生まれ。1987年に「我らが隣人の犯罪」でオール讀物推理小説新人賞を受賞し、デビュー。1992年『龍は眠る』で日本推理作家協会賞、1999年には『理由』で直木賞、2002年『模倣犯』で司馬遼太郎賞、2007年『名もなき毒』で吉川英治文学賞など、数々の文学賞を受賞。大沢オフィス所属。日本推理作家協会会員。日本SF作家クラブ会員。直木賞、日本SF大賞、小説すばる新人賞、河合隼雄物語賞など多くの文学賞で選考委員を務める。『模倣犯』や『ブレイブ・ストーリー』など、多くの作品がドラマ化や映画化などメディア・ミックスされており、日本を代表するエンターテインメント作家として人気を博している。2019年7月10日『さよならの儀式』を刊行。

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