モダン (文春文庫 は 40-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1166
レビュー : 101
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167910464

感想・レビュー・書評

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  • 原田マハ『モダン』文春文庫。

    原田マハの短編集は初めて読んだ。これまで原田マハの作品は長編しか読んだことがなかったのだが、短編の中にどんな世界を見せてくれるのだろうか……いずれの短編もアートを巡る人びとの心の交流が描かれている。やはり、短編であろうと原田マハは凄い。物凄く心が洗われた。

    ニューヨーク近代美術館、MoMAを舞台にした短編『中断された展覧会の記憶』『ロックフェラー・ギャラリーの幽霊』『私の好きなマシン』『新しい出口』『あえてよかった』の5編を収録。

    『中断された展覧会の記憶』。東日本大震災を題材にしたアートを巡る物語。福島県に暮らす者にとっては、嬉しくて、目頭が熱くなる短編だった。

    『ロックフェラー・ギャラリーの幽霊』。奇妙な物語だが、夢があり、アートに対する考え方が変わってくる。

    『私の好きなマシン』。モダン・アートの世界に導いてくれた人との出会いと別れ……アートと共に!

    『新しい出口』。9.11アメリカ同時多発テロ事件で友を失い、心に深い傷を負ったローラの決意……アートの力!

    『あえてよかった』。兎に角ラストの余韻が良い。それ以上、語るべきことの無い秀作。

  • モダンアートの王国MOMA(ニューヨーク近代美術館)周辺の五篇の短編集。
    『中断された展覧会の記憶』
    『ロックフェラー・ギャラリーの幽霊』
    『私の好きなマシン』
    『新しい出口』
    『あえてよかった』
    どれも、落ち着いた感じの、よい短編集だと思いました。

    一番、胸を揺さぶられたのは、『私の好きなマシン』。
    「ここにあるものはね、僕たちが、僕たちの知らないところで生活の役に立っているものなんだ。それでいて美しい。それってすごいことだと思わないかい?僕はそういうものを『アート』と呼んでいるよ」と初代館長のアルフレッド・バーがまだ8歳のジュリアに言葉をかけたところを読んだだけで、なんだか感動してしまいました。
    アートって夢のあるものだと思いました。
    アート系の本をもう少し読んでみたいと思わされました。
    ストーリーも最後に、すごい展開があってびっくりしました。よかったです。

  • 初めて読む原田マハさんの作品でした。
    美術館の職員に関する描写がとても具体的で、物語というよりも職業図鑑の一項という感覚で読んでいた気がします。短編集ということも手伝って、終始力が抜けた状態で何とも楽に読めて、良いトリップが出来ました。
    トリップ。何も考えたくない気分で、MoMAというあまりに有名だけど行ったことの無いまだ見ぬ美術館、まだ見ぬニューヨークの町に飛び込むのもいいかもしれない、と読むことにして。案の定、なんとなく粋な感じの人々が、粋な感じの美術館の中で町の中で、生きていて、カッコいいです。ただ、あまりに自分の中の曖昧な妄想上のお洒落なニューヨークそのままが描写されていたからでしょうか、何だか読んでも読んでも縁遠い冷やかさみたいなものがあって、それが不思議でした。きっとリアルなニューヨーカーが描かれているはずなのに、現にファンタジーが含まれているせいもあって、寓話性が物凄く強くて。だけど、実在する名画が随所に登場していて。「夢うつつ」という感じで、ゆーらゆーら、あまりむつかしく考えまい、どうせ知らない町の話しなのだ、と開き直るのがちょうど良いです。
    トリップ感覚と呼ぶのがしっくりくる違和感のもう一つの要因は、日本人が日本語でアメリカ人が英語で話したり考えたりしている様を描いていることかもしれません。それくらいよくあることですが、翻訳小説ではないのに翻訳小説でよく見かける文体の特徴が見受けられるような気がして。意識の外で脳が混乱しているような感じがします。
    閑話休題。とかく、芸術と、それを愛でて、向き合って、仕事にする人の日常生活を切り取るとこのような美しい物語になるのか、と単純な感動がどこまでも続く作品です。自分も、芸術に仕事で接することは出来ずとも、少しでも芸術に多く接して豊かな生活をしたい、と切に思わされます。

  • 「楽園のカンバス」の舞台でもあるMoMAで働く人たちの気持ちを表現した五つのお話。
    「3.11」「ナチス・ドイツ」「スティーブ・ジョブズ」「9.11」「×印の箸」をスパイスとした優しい物語でした。

  • 原田マハのMoMAシリーズ。

    9.11の時、実家の居間では母がドラマを見ていたはずだった。いきなり飛行機がビルに突っ込んだ映像にかわったので、なんで映画にいきなりチャンネルを変えたんだろ、と現実に起きたことだと認識するまで、時間がかかった。

    3.11の時、あの大津波や原発の事故で、この世の終わりかと思った。実際は終わったのかもしれないけれど、今は日常を取り戻している。

    この世界的な出来事は多くの人の人生を劇的に変化させ、世界の思想をも大きく変えた。

    全くもって世の中にはしらないことが多すぎる!!

  • 原田マハさんの小説は大好きで読むのは17作目、短編集はたまたま連続で3冊目。短編集はあまり思入れが出来ないのですが、この「モダン」は凄い。
    5編ともニューヨーク近代美術館「MoMA」に関わる人々にスポットライトがあたる。「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」で登場する人物が「モダン」でも登場し、歴史的事実やエピソードも共有しているので、いっそう高揚感が高まる。
    登場する絵画をSNSで検索しながら読んでいくと是非美術館で本物を観たいという欲求に駆られるのはいつも通り。
    最後の「あえてよかった」 の登場人物のMoMAの研修員森川麻実のモデルは、経歴から原田マハさんではないかと想像しながら読んで楽しみました。

  • 美術館のキュレーターがいかに情熱と信念を持って様々なアート(ファインアート、モダンアート、ポップアートなどなど)を社会に魅せているのか感じれる本だった。

    MoMAに行きたくなる、もっとアートに触れたくなると思わせるような本だった。

    原田ハマさんだからこそ書ける小説だし、表現だと思った。

  • 『モダン』原田マハさん

    短編5つによって成り立っており、『楽園のカンヴァス』『暗幕のゲルニカ』の登場人物が出てきている。
    近年の災害やテロがに関わる話もあった。
    読みやすく、あっという間に読み終わる。
    今回も美術の勉強になったし、安定的に面白かった。
    私が一番よかったのは、『中断された展覧会の記憶』。
    福島で開かれていた美術展が、東日本大震災と原発事故によって貸し出されていた作品が貸出元の美術館へ帰る話。作品のエピソードとそれに携わる方々のストーリー。とても良かった。私もクリスティーナのように前向きに生きたい。

  • 原田マハさん2冊目。
    小説を読み始めて間もないので比較対象が無くよく分からないですが、真面目に文章を書く人だなあという印象。
    滲み出る誠実さ。芯の強さ。
    そして途中途中何故が出てくる涙。

  • 原田マハは短編もいけるのか!
    MOMAを舞台に、時代や人種を飛び越えて交錯する物語。
    美術作品よりも、登場人物に焦点が当てられた本作。しかし、読み進めながら登場する美術品を、思わずGoogle検索せずにはいられない。
    もちろん人物一人一人もとても魅力的で、生き生きしていて、まるで本当にその人がMOMAに携わっていたのではないかと感じる。
    本作のある短編に登場する人物が、他の短編にも登場していたり。「楽園のカンヴァス」の登場人物が再登場したり。まるで昔の知人の名前を見つけたような気分になる。
    「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」と一緒に楽しめて、するすると読めてしまう一冊。

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著者プロフィール

原田マハ(はらだ まは)
1962年東京都生まれ。小6から高校卒業まで岡山で育つ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部美術史学専修卒業。馬里邑美術館、伊藤忠商事株式会社、森美術館設立準備室、ニューヨーク近代美術館での勤務を経て、2002年よりフリーのキュレーターとなる。2005年小説化デビュー作の『カフーを待ちわびて』で第1回日本ラブストーリー大賞を受賞。2012年『楽園のカンヴァス』で第25回山本周五郎賞、『キネマの神様』で第8回酒飲み書店員大賞をそれぞれ受賞。2013年には『ジヴェルニーの食卓』で第149回直木賞候補、2016年『暗幕のゲルニカ』で第155回直木賞候補となる。2017年『リーチ先生』で第36回新田次郎文学賞受賞。2019年『美しき愚かものたちのタブロー』で第161回直木賞候補に。

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