トリダシ (文春文庫 ほ 18-4)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167910488

作品紹介・あらすじ

ベテランのエースから引退の独占スクープを託され、女性記者が満を持して書いた原稿が紙面に掲載されなかった理由とは――。日本のプロか、メジャーリーグ入りかで迷う有力高校生の留守宅を訪ね、彼の決意の行方を確信する元プロ野球選手だった記者の眼――。ストーブリーグの季節、人気球団の監督が決まるまでの各スポーツ紙による熾烈な取材合戦――。スポーツ新聞・東西スポーツ編集部の名物デスク、鳥飼義伸は口ぐせが「とりあえずニュース出せ」のため、あだ名はトリダシ。影のGMとも噂される優秀な記者だが、露骨で下品な言動と、なりふり構わぬ取材ゆえ、社の内外に敵は多い。彼の下で記者たちは翻弄されながらも、ライバル紙とのスクープ合戦に勝利すべく一丸となっていく。自らの記者体験をもとに臨場感あふれるスポーツ紙の現場を描き、著者のターニングポイントになった作品。横山秀夫さんも絶賛!『ミッドナイト・ジャーナル』ドラマ化などで話題の著者、新境地となった快作です。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公の記者に時代の逆行を感じます。
    居るですかね、こんな記者。
    自分は魅力的に感じます。

  • 一章一章には深く連続性がない短編のような話です。スポーツ記者の記事に対する気持ちと地位を巡る戦いについて分かりました。

  • トクダネを競うスポーツ新聞の野球担当記者たちを描く短編連作。「報復死球」と「三勝三敗」が良かった。

  • 「とりあえずニュース出せ」、略して「トリダシ」が口癖のスポーツ新聞のデスク、鳥飼。ニュースネタに対する執着心は誰もが一目置くが、口の悪さとワンマンプレーで敵も多い。

    そんな鳥飼を中心として、特ダネをめぐるスポーツ紙記者たちの取材合戦が描かれる連作短編集。記者たちの激しい騙し合い、主導権争いの中、鳥飼は常に俯瞰的視点を崩さない。そんな余裕のある態度が周囲をさらに混乱させる。

    新聞記者にとって特ダネは麻薬だ。麻薬のためなら何でもやる。かつての鳥飼もそうだった。が、記者をまとめる管理職となれば、記者よりも会社の都合を優先させる時もあるし、自分から火の中へ突っ込んでいくこともある。そして、そんな努力や苦労を見せないことも重要だ。

    抜きつ抜かれつの特ダネ争い。記者ってのは大変な職業だ。

  • 「とりあえずニュースを出せ」が口癖の、優秀だが敵も多いスポーツ新聞デスク鳥飼。彼に翻弄されながらも魅了される同僚たちの臨場感溢れるスポーツ紙の現場を描く人間ドラマ。
    近年に現実に起こった出来事をモチーフにしているので、物語が物凄くリアルである。「宅配契約で自動的に配られる一般紙ではなく、駅のスタンド売りで面白い見出しでなければ見向きもされないスポーツ紙は、読ませるのではなく買わせる心意気で作られる」って言葉がとても深い。

  • スポーツ新聞を舞台に、記者の取材合戦、社内での反目、他紙との競争、一般紙との軋轢、そんな状況の中での「トリダシ」の存在感。
    個人プレイとチームプレイ。
    スポーツ新聞記者の矜持と悲哀が感じられる。

  • スポーツ新聞を舞台にしたスクープ合戦。
    新聞の世界はよく知らないが、山っ気のあたりはテレビと似ている。

  • 2018/05/22 042

  • 【臨場感あふれるスポーツ紙の現場を描く】「とりあえずニュース出せ」が口ぐせの、優秀だが敵も多い名物デスク鳥飼に部下たちは翻弄される日々。著者の新境地となった快作!

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著者プロフィール

1965年、神奈川県生まれ。明治学院大学卒業。産経新聞社入社後、スポーツ紙記者として活躍。2009年『ノーバディノウズ』が松本清張賞候補となりデビュー。2017年『ミッドナイト・ジャーナル』で吉川英治文学新人賞を受賞。2018年『傍流の記者』で直木三十五賞候補。著書に『四十過ぎたら出世が仕事』(祥伝社刊)『友を待つ』(祥伝社文庫)など多数。

「2023年 『あかり野牧場』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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