- 文藝春秋 (2018年4月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784167910518
みんなの感想まとめ
剣豪塚原卜伝を主人公にした短編集は、彼の意外な一面や人生の知恵をユーモラスに描き出しています。名声や富を求めず、日常の中に剣のヒントを見出す卜伝の姿勢は、読者に深い洞察を与えます。彼が抱える悩みや、戦...
感想・レビュー・書評
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R1.6.16 読了。
塚原卜伝氏を豪傑のように思っていたが、違っていた。名声も富も求めず。おなごに持てないことを嘆いていた話は、思わず笑ってしまった。
日常の中にも剣へ活かせるヒントは潜んでおり、そのヒントに気付けるかどうかが大切であることを学んだ。
・「あの者たちはまもなく起きる危険をも予想できず、すぐそばにいた。馬が暴れだすかもしれない気配を察知し、さりげなく遠くへ離れていてこそ、わが流派のよき学び手と言えるのだ。」
・「人というのは、なんと罪深い生きものなのかと思う。なぜ、この世はもっと過ごしやすくできていないのか。なぜ、ふんだんな食いものに恵まれていないのか。それでも上手にやるしかないのである。1つずつ、事態を見極め、避けられる戦いなら避け、適当なところで戦いをおさめ、加減しながら飄々とこの世を渡っていくしかないではないか。」
・「卜伝の無手勝流というのも、たしかに1つの極意ではあるだろう。戦うときには、すでに勝敗は決している。だから、戦わなくて済んだりもする。」詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
【晩年の塚原卜伝の心境を描く新感覚剣豪小説】剣豪は、やがて剣を使わぬ境地へとたどり着いた…。無敗の男・卜伝の伝説はいかに作られたのか。「耳袋秘帖」の著者が描く剣豪小説。
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剣豪とうたわれる塚原卜伝を主人公とした短編集。壮年以降の卜伝を描く。まあ軽い読み物という感じで、読みやすいが深くはない。
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私の大好きな作家、風野真知雄。
この時代小説は、面白いだけじゃない。
室町幕府末期、唯一剣を極めることにだけ、人生を捧げた人物である。
物語はすでに60代半ばを過ぎ70歳に手が届きそうな剣豪の日常を淡々と物語る。
一度は領地を持つ殿様として過ごすも、全てを手放し剣の修行の旅を続ける。日本各地には彼を師匠と仰ぐ人物が何人も存在し、旅をしては弟子の住まいを尋ね、稽古をする。
まだ日本の国は統一なされず、軍割拠の状態。
まだまだ剣の腕は売り物にもなった時代だ。
この物語は、実は大きな主題は他にあり、
強いということは?生きること、死ぬこと。
常に自分の今を把握し、剣も戦い方も変えていた卜伝。
それは自分の今を知るという、実は難しいことを目を背けずに考え続けた人物だからこそ。
足捌きは、動きは胆力は?と自分を見つめ工夫を常の重ねる。何が必要で何が不必要か?
戦いは本当に必要なのか?
できれば、戦わない、できれば殺さない。
逃げることも厭わない。
決して見えとか体裁とか功名とかに惑わされない。
老いて死す。人も生き物も全て同じ。
自然でさえ、彼は学ぶ。
中高年齢に差し掛かった人にこそ、読んで欲しい。
なんとも平和で心穏やかにさせてくれる良書。 -
剣聖と言われた塚原卜伝の老年をユーモアを混じえて語ったもの。強そうに見えなくて強いのが一番だね。
著者プロフィール
風野真知雄の作品
