玉依姫 八咫烏シリーズ5 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 1494
感想 : 118
  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167910617

感想・レビュー・書評

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  • 八咫烏シリーズ第5巻。今巻の八咫烏は脇役である。前巻までで、山内は人間界となんらかのつながりがあることがわかったが、この玉依姫では、八咫烏らが『外界』と呼ぶ人間界から始まる。

    高校生の志帆は、両親を交通事故で亡くし、祖母に育てられた。ある日、「伯父」が現れ、かつて祖母が母を連れて村を飛び出したのだと教えられる。志帆は伯父に誘われ、祖母に黙って山内村を訪れるが、そこで待ち受けたのは脈々と受け継がれてきた村の恐ろしい儀式だった…。

    すごいな、、、3巻からが本編だと思っていたら、4巻の最後、禁門が開いてからが本当の始まりだったのかしら。
    山内の成り立ち、消えたままの金烏と閉ざされた禁門、外界との綻び、大猿と八咫烏の関係、形骸化した神事、大地震…、まだ謎だった世界観の全容が見えてくる(全容ではないのかもしれないが)。それにしても、時間軸が現代だとは思わなかった。
    八咫烏の存在意義、そして山内という異世界の成り立ちから考えると、今後、八咫烏がどのような道を辿って行くのかと心配でもある。

    今巻の最後、椿と志帆の会話がよくわからずに戸惑った。どこからどこまでが志帆だったのか…?結局あなたは何者なのか?
    しかし、次の『弥栄の烏』は、この玉依姫と対になる話だというから、詳しい感想はそのあとにしよう。『烏に単は似合わない』の時と同じ轍は踏まないために(笑)

    巻末には荻原規子さんとの対談もあり、阿部さんは空色勾玉などから影響を受けていたことがわかる。
    荻原さんが、「古代的な世界でボーイ・ミーツ・ガールものを書くことにして、いったん『古事記』からは離れようとしたけれど、『古事記』のほうが寄ってきたんですよね。やはり私はこの日本の土地で生きているから、私の足の下に水脈が通っていて、出てきちゃうんだろうかと思いました」というのが印象に残った。
    勾玉三部作を読んだのは中学生の頃だったか、高校生の頃だったか…。それからもうずっと読んでいないけれど、未だに忘れ難い作品である。こちらもまた読み直したい。

  • 文庫で再読。

    シリーズ次巻の『弥栄の烏』と対になっているので、第一部を読み終えてから再読すると、より一層物語の奥行が増したことを感じることができました。
    はじめて読んだときには、急に舞台が現代になったことに驚き、若干の戸惑いを感じながらストーリーについていくのに必死だったので、改めて読んで、自分の中でも物語の展開を整理することができました。

    高校生のときに『玉依姫』の原型を書き上げた著者の才能に改めて驚きました。
    その物語では脇役だった八咫烏を主役にして書いた小説がデビュー作…すごい!

    巻末の著者と荻原規子さんの対談も豪華…!
    お互いにおすすめ本を紹介しているのですが、荻原さんが紹介している本が気になったので、読みたい本リストにメモ。

  • 八咫烏シリーズ5作目にして、舞台は人間界に。実は読み出した時は、それまでの八咫烏シリーズの雄大な世界観が一気に縮小してしまったような感覚が少しあったが、物語はさすがのおもしろさだった。

    作者の阿部さんは20歳での松本清張賞受賞が話題になったが、この作品はそれをさらにさかのぼる高校生の時に書かれたものがベースだとか。恐るべし。本編の主人公・女子高生の志帆があまりに不安定で、キャラクタとしての統一性が崩れているように感じた。しかし作者自身も当時は女子高生だったことを知ると、また見方も違ってくる。

    天狗が自らを語る口調やクライマックスでの英雄と志帆のやり取りは、まるで本格ミステリの探偵が謎解きをしているかのよう。どんでん返しに次ぐどんでん返しといい、阿部さんはミステリもいけるのでは。

    本シリーズの特徴は、立場が変わると同じ出来事でもぐるりと違って見えるということ。それが意外な真実につながるのだ。次作でまずは第一部が完結。どう落としていくのか楽しみだ。

  • 山内の謎、というか起こりの話とその後の話、というのかな。面白かったけれど、あれ?ともなった。それに若宮の脇役感というか小物感というか。これまでがむちゃくちゃ面白かっただけに、少し残念。

  • 前作までとは趣が違う。正直言うと,こちら側との関係を持ち出してほしくなかった。せっかく作り上げた世界観が薄れてしまう。
    あらすじ(背表紙より)
    高校生の志帆は、かつて祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪れる。そこで志帆を待ち受けていたのは、恐ろしい儀式だった。人が立ち入ることを禁じられた山の領域で絶体絶命の少女の前に現れた青年は、味方か敵か、人か烏か?ついに八咫烏の支配する異世界「山内」の謎が明らかになる。荻原規子氏との対談収録。

  • 八咫烏シリーズの5冊目。
    外伝みたいなお話かと思ったが、作者が語るところによれば、この話が一番最初に書かれ、ここから八咫烏シリーズに展開したみたい。
    元よりマンガみたいなシリーズであるが、今回はまた輪をかけたお話で、村人に生贄を要求する山神とそれに仕える烏と猿、そして生贄として差し出された女子高生という図だが、この差し出された志帆という子が何ともけったい。
    天狗が出てきたり、途中からは日本古代の神々の話になり、これは「RDG」に似てきたなと思っていたら、巻末には阿部智里×萩原規子の対談が載っており、さもありなん。
    荒魂やら和魂、生贄譚と巫女、八百万の神々への信仰など、色々語られる割に分かったようで分からない話で話を締められ、何だか消化不良だわな。

  • 八咫烏シリーズの外伝と思って、弥栄の烏を先に読んでから、こちらを読んでしまいました。
    結論から言うと、読んだ順はそこまで影響なかったかと。
    日本の伝記の解釈や真の名前を探すなど、どこかであるようなネタで、新鮮味はない。
    また、この作者の持ち味である大どんでん返しも弱く、ストーリーの骨組みや背景考察に力を注いで、キャラクターが弱くなってしまった感が否めない。
    主要人物である志帆にも感情移入できず、その行動に違和感とも言える消化不良を抱えたまま進み、最後まで協調できなかった。

  • 薄々予感はしていたがそう来たかぁって感じ。もちろん全然悪くはないんだけど、今まで物語を紡いできた烏達が脇役感があって少し寂しかった。ここがすべての物語なのであまり文句は言えないっていうか、ここから四巻までの物語を作り出したことには素直に脱帽だけど、いままでの緻密な設定の回収がちょっと駆け足に感じられた。完結編に期待。

  • 1ページ目から「ん!?」って感じだったけど、八咫烏シリーズの本当の処女作がこの『玉依姫』だったことを考えると、「まぁ、そうか...そうなるか」という納得。志帆が山内村に来た時に不思議な少年が現れたところから、「おや?これは千と千尋パターン?」と思っていたけど、ラストまで千と千尋でした(笑)『烏に単衣』を初めて読んだ時の拍子抜け感に戻った感じ。
    面白いなと思ったのは、山内が舞台の前4作では威厳を発しまくっていたカリスマ金烏の奈月彦が、山神と人間の前では罵倒されまくりのこき使われまくり、挙句は調理器具を調達させられるという形無し状態。山内の長束が知ったら斬られそう。山神と志帆、斬られそう。でもそこがまたクスッとしてしまう。個人的には、大天狗のキャラ好きです。あと、なんだかんだ最後まで憎めなかったのは大猿。山内では残虐の限りを尽くした猿たちの長が、下界では妬みや誹りを露わにしたり、小さな憐れみや慈しみを垣間見せたり、少しの後悔を溢したりと、感情を吐露する場面はどこか人間くさくて。最後はあっけなく山神と共に倒されたような終わり方だったけれど、多分、猿たちには猿たちの物語があるのでしょう。もちろん、金烏の失われた記憶を取り戻し、仕える山神がいなくなった八咫烏たちにも。
    なぜ猿たちが人を喰らい、その食指を八咫烏達にまで向けるようになったのか。なぜ、八咫烏達を憎み嫌い、追い落とそうとしているのか。まだまだ不明な世界観がこれからまた少しずつ明かされていくのかしら。楽しみです。『玉依姫』は、少しでも世界観にリアリティを持たせるための休閑話、という感じの意図だったらいいな。
    さて、次作は『弥栄の烏』ということで、また山内が舞台に戻るのでしょう。猿に2度目の侵入を許して間もなくの未曾有の大地震から、再び禁門を開き山神に仕えるようになるまでの時間を描いているのではないでしょうか。既に単行本が出ているけど、『玉依姫』と同じく文庫が出るまでは我慢...!期待しています。

  •  山内とこの世界の関係が明らかになった。こっちの世界と繫がってる設定だったらあんまり好きな設定じゃないなぁ、と思っていた。雪哉も出てこないしなー。
     でも、結局ノンストップですごい勢いで読み終わってしまった。民俗学的な要素とか、日本神話の話とか出てきて大好物だった。そして最後。てっきり二人は別々の道へ向かうのかと思ったら。終わり方もモヤモヤした不完全燃焼ではなく、とても良かった。
     山内の政治的な話は今回まったく出ておらず、本編というより番外的な感じ。次巻は雪哉の出番があるといい。
     

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2022年 『烏は主を選ばない(3)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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