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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784167910662
みんなの感想まとめ
人間の内面と家族の絆を深く掘り下げる物語が展開されます。介護を通して描かれる老いと生の葛藤は、少子高齢化が進む現代社会における切実なテーマを反映しています。登場人物たちの複雑な感情や、優しさと絶望が交...
感想・レビュー・書評
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不思議な読書感でした。
イヤらしい聞こえ方になるかも知れないですが、自慰ですね。この作品自体が。でも、これくらいで無いと読者は付いてこないか。やっぱり芥川賞は難しい。
外向きの自分と内向きの自分。自身の欲求に反することなくただ実直に生きる。それもきっと有りなのだろう。
老介護の話だけでは無い。タイトルは自身を構成し組み立てている血と精神を作っているといった話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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2022/06/19
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2022/06/19
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そんなことないです!お話できてうれしかったです(,,> <,,)
今日から『かたみ歌』読み始めます~♪そんなことないです!お話できてうれしかったです(,,> <,,)
今日から『かたみ歌』読み始めます~♪2022/06/19
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十数年前に、祖母と同居していた頃を思い出しました。今では、傷つくような言葉や態度をとってしまったと、故人を思い哀しくなります。それは、今だからそう思えるのだと思います。自分にも生活があるわけで。
医療が進歩した今、以前であれば助からなかったようなものですら一命を取り止め、場合によっては寝たきりで生き続ける。それが良いか悪いかは、わからない。
登場する若者は優しいと思いました。性に励む若者、生に執着する老人の描かれ方がユニークでした。
2022,1/30 -
介護される老人とその孫の関わりについての話。
少子高齢化が進む現代、病気でない老人が在宅で尊厳死を迎えるのは難しい。
思うように動かない身体、楽しみもなくただ生きるだけの毎日に対する精神的苦痛から、生への絶望を感じるのは理解できる。
だが、祖父の隠された本心は「死にたい」ではなく「生きたい」であった。
健斗は足し算の介護によって祖父のできることを狭めるはずだったが、祖父の本心を感じ衝撃を受ける…
健斗は家族には誰も相談せず尊厳死に向けて動くが、何だかんだで一番祖父を大事にしているようにも見え、信頼関係も感じられる。
誰でも24時間の介護を続けていれば苛立つことはあるし、その中で健斗は懸命にやっているように思えた。 -
テレ東の「バス旅」で著者の羽田氏を良く見るのに、著作には触れたコトなかったなぁと「ふと、思い至って」読了しました。
芥川賞受賞作、人生を「スクラップ・アンド・ビルド」している青年を祖父との関わりの中で描いた作品です。1ページあたりの文字が少なめなのに150ページと、ボリューム的には非常に軽め。
微妙に毒を感じる展開ながら、読後感はそう悪くないです。
ただ、明快に「ここをこうしてこうなった」という筋書きではないので、本著から何を感じれば良いんだろうなぁとちょっとモヤモヤしました。
主人公は、ふと思い至って「早う死んだらよか」と常々ぼやく祖父の「魂の叫び」を真摯に受け止めて「自発的尊厳死の手助け」を始める。祖父を観察する中で自分の若さを意識し始め、筋トレを始め、中途採用面接を受け…と変わっていく。
どうにもこの大前提となる信念がおかしいよなぁと思いながらも、とは言え結末では主人公はそれなりの新生活に辿り着いていて…、これは、何かを信じてそれに向かって動くことで、何かが良くなるかもしれない、というメッセージなのでしょうか。ダイスを転がすコトの重要性と言うか。
不安とともに生きていくのが世の常ですが、少しだけ勇気をもらえる1冊でした。 -
「死にたい」と嘆く祖父の介護を通しての主人公の「生」に対する心理描写が丁寧に描かれている。
現代の社会問題である老人介護のリアルな日常があり、考えさせられた。
ぜひぜひ読んでみてください -
終始陰鬱とした表現が続き介護を取り巻く日常と主人公の心情が描かれる。日々衰えていき、常に身体の不調を訴えつつ白い天井を見つめるだけの老人と、若く体力がありあまっている介護者との対比。その溝から生まれてくる黒い感情から本当の優しさとはなにかと苦悩する。老いを巡って漠然と触れては行けない領域に切り込んでいる。
介護者に直面している人や介護を必要としている人からしたら不快感はあるのだろうが、言ってはいけないが確実に沸いてくる感情や疑問をあえて文字化することは、私は嫌いではない。
本人が苦しみ死にたがっていても、管に繋がれようとも長く生きるように尽くすのが本当の優しさとか、生きることに理由は要らないとか綺麗事ではすまない心情は必ず存在する。自分が老いていくとき、それでも生きたいと思うのか。今や仕事や子育て以外にも、生きていく意義を今から見いだしていかないと、厳しい現実が待っている。 -
不思議な感覚を味わえましたが、結構好きかも。
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第153回(2015年)芥川賞受賞作品。
あらすじ
主人公の田中健斗28歳は、母親とその父に当たる祖父と3人で東京の南西部の集合住宅に住み、失業中ではあるが資格試験の勉強をしながら、就職活動もしている。
祖父には5人の子供がいて、その内の1人である主人公の母の所に今は住んでいる。祖父は88歳になり、もう死にたいなどと言いながら家族の世話になり、介護施設を利用して生きている。
娘に当たる健斗の母は祖父に冷たく接する。健斗はその介護についてある考えに到達する。老人を手厚く介護すれば弱り、死にたいという老人の思い通りになるのではないかという考えである。
広辞苑によると、スクラップ・アンド・ビルドの意味は、古くなった設備を廃棄し、新しい設備を設けること、とある。
この作品に即して考えると、祖父と主人公との関係になっていて、日頃祖父が弱音を吐きながら死にたいと言い衰えて行くのに対して、自分は筋力トレーニングニングなどで鍛えて強い自分を作り上げている。
この小説で重要な要素となっているのは、行動理念である。
老人を始め人に優しく接するという一般的な行動理念と、それに対して祖父のように死にたいという老人の望み通りにするために、優しく対応することで、つまり身体の負担を取り除き弱らせ死に近づけるという行動理念である。
どちらも共通しているのは優しくすることであるが、人に優しくすることは一般に早く希望通りに死に向かわせることではない。
もう一つ、使わない能力は衰える。医学用語に廃用性萎縮というのがあるが、使わない身体部位は弱くなり衰える。
以下、引用したくなった表現である。
「健斗は自分の今までの祖父への接し方が、相手の意思を無視した自己中心的な振る舞いに思えてくるのだった。家に生活費を入れないかわりに家庭内や親戚間で孝行孫たるポジションを獲得し、さらには弱者へ手をさしのべてやっている満足に甘んじるばかりで、当の弱者の声など全然聞いていなかった。」
「そんな究極の自発的尊厳死を追い求める老人の手助けが、素人の自分にできるだろうか。」
「後期高齢者の介護生活に焦点を絞った場合、おそらく嫁姑間より、実の親子のほうがよほど険悪な仲になるのではないか。」
「全世界老人はごまんといてこれだけの情報社会になっているというのに、老人に穏やかな尊厳死をもたらしてやるための現実的手段についての情報がない。」
「『人間、骨折して身体を動かさなくなると、身体も頭もあっという間にダメになる。筋肉も内臓も脳も神経も、すべて連動してるんだよ。」
「過剰な足し算介護で動きを奪って、ぜんぶいっぺんに弱らせることだ。使わない機能は衰えるから。要介護三を五にする介護だよ。バリアフリーからバリア有りにする最近の流行とは逆行するけど」
「柔らかくて甘いおやつという目先の欲望に執着する人だからこそ、目先の苦痛から逃れるため死にたいと願うのだ。」
「祖父が社会復帰するための訓練機会を、しらみ潰しに奪ってゆかなければならない。」
「使わない能力は衰える。」
「生きたい者にはバリアを与え厳しくし、死にたい者にはバリアをとり除き甘やかすというふうに、個別のやり方を考えるべきだろう。」
「なにより、健斗は筋力トレーニングを行ってから数時間は続く、肉体と精神に活力が漲る感覚にはまっていた。」
「使わない機能は衰える。今までがそうであったなら、その逆をゆくしかないのだ。」
「ぽっちゃりな身体を作ってしまう豚のようなメンタリティーは心底嫌い。」
「つまりここでも人真似などせず、個別の相手にあわせた自分なりのやり方を見つけなければならないのだ。」
「苦痛なき死という欲求にそうべく手をさしのべる健斗の過剰な介護は、姉たちによるなにも考えていない優しさと形としては変わらないが、行動理念が全然違う。」
「誰にも命令されないのに死ぬほど辛い鍛錬をやる自己規律、精神性の高さでは明らかに自分のほうが勝っている。」
「祖父は苦痛や恐怖のない死を求めている。孫としてはそれを助けなければならない。」 -
介護についての考え方について、違う視点を持てたように思う。老人に席を譲るかどうかという問題について、席を譲る行為が本人の足腰を弱らせるという観点はありませんでした。新しい視点を与えてもらったという意味では面白かった。ひねくれてるけど。必要以上に性行為について書かれているのが気になりましたが、概ね楽しく読めました。
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自分に近い状況だから、尚更深く読む事が出来た。祖父に対し尊敬や同情等の気持ちもあるが、同じように怒りや憎しみもある。しかし、深層心理にある一種の恐怖や人間としの善を上手く書かれていて、不思議な虚無感でした。
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現実的なだけど、非現実的。よくある「心が通い合う老人と若者」の綺麗事が排除されてる感じが、ユニークだと感じました。悲しいというには、悲しみきれないけど、不穏な感じもありつつ、これが現実。笑って良いのか悪いのかわからない他人事じゃない感じ。
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何か変な感じのストーリーで、ここで終わるのかと感じた。これが芥川賞かぁ
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足し算の介護という恐ろしい言葉
早く死なせるために介護するという
社会保障費の在り方を考えさせられた。
経済と倫理のせめぎあい。
人間が合理的であれば社会保障費なんて全然要らないんだろうな -
僕の祖母は要介護3で、ショートステイに行っているのですが、なんだろうな一緒に住んでいる家族は介護してると思っているのですが、介護されている当人は、介護はいらないと思っているのです。こんな言い方したらダメだと思うのですが、「強がり」を表現していると思うのです。この作品を通して介護に悩む人、介護されている人の思い、苦痛さを実感しました。
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Audibleにて。
何だか気持ち悪いと思ってしまう表現がたまにあったけど、年老いて死ぬということについて考えさせられた。
これから先どんどん医療が発達していって、どんどん長生きする世界になったら、それはそれで困ってしまうな。 -
めちゃくちゃ、面白い。
例えが秀逸!!! 薄いのにめちゃくちゃ濃い!!
まるで、エシレバターサブレを食べた時に、口の中に広がるバターの芳醇な香りの余韻の如く!
読み終わった後に物語全体を頭の中で反芻して、本作の主張するテーマが幾つかあったことに気付いて、その余韻が至福です。
概要簡単に言うと、
じいちゃんは死んだほうがよか と言い続ける痴呆の祖父と祖父の為に、殺してあげようとする無職の孫の話。
物語は常に孫視点で進んでいき、孫の心の中で思った事が、ありのままに書かれています。
孫は、祖父さんが如何に鬱陶しくて弱い存在かを語りつつどうすれば殺してあげれるのかを淡々と、考えていくのが、めちゃくちゃシュールで作家の筆致センスが光っています。
例えがとにかく秀逸。
少しだけ誇張して、わかりやすい例えが多くて思わず笑ってしまう事も多々ある。
電車とかで、急ぎ足で空いた席に座る人 居ますよね。
優先席で寝たふり?をして、老人に席を譲らない人 居ますよね。
筆者が巧く例えを書いてますので、ぜひ見てみてください。
想像できるなーーーわかるわーーーと思ってるはず。
本作の表向きのテーマは、少子高齢化の日本において、老人と若者の比較が常に描かれています。
よくある、年金、社会保険料 若者負担する問題はいいとして、身体の弱い老人と、無職のやる気のない若者 どちらが暇で、どちらが精神的に参るでしょうか。
面白い比較ですね。
後は、老人への優しさ とは何かを主人公が事あるごとに考えます。
老人に席を譲ること、歩ける老人を車椅子で楽に移動されせること これは優しさ?
・求められていない善意
・プロの過剰な足し算介護
これは考えた事無かったので、面白い視点の問題提起でした。
介護者への優しさに見えるその介護も、おぼつかない足取りでうろつく年寄りに仕事の邪魔をされないため
転倒されて責任追求されるリスクを減らすため
介護等級をあげて、国からの支給額を増やすため なのかも?面白いです。
以下ほんの少しのネタバレです。
表向きのテーマを見つつ、終盤を迎えると、本作のテーマが別にある事がわかります。
今までは社会的弱者の祖父さんと無職の自分の比較しかしていなくて、自分という存在意義があることを正当化していたが、祖父さんから離れる事で、世間と自分の比較をする。
井の中の蛙 だった。
できる側 の人間と思っていたが、比較対象が祖父さんだけだったからで、世間と比較すると、何も大した事なくて、普通の人じゃん と気付かされて終わり。
スクラップ・アンド・ビルド とは主人公の感情、考え、心の中を表しているのかなと思いました。
読む人によって感想が色々と分かれそうな作品なので、他の方の感想もみてみたいと思います。
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ツイッターで読書家の方にオススメされて読んでみた。
第153回芥川賞を受賞した作品とのことで。いざ読んでみると、芥川賞にしては癖が少なくてサラリと読める。
構造はシンプル。休職中の28歳の男性<健斗>が主人公となる。彼には同居している母親と祖父がいる。この祖父と主人公の関わりが物語の主軸となる。
介護を必要としている祖父は、善人でも悪人でも無い。とてもリアルな老人として描かれているように思う。
祖父は何度も「自分なんて早く死んだらいい」と言う。本心でそう思っているというより、口癖のように繰り返す。
そんな祖父を見て、健斗は「尊厳死アシスト」を思いつく。徹底的に介護をしてやり、能力を奪い、死を早く実現させようという計画である。
そのプロットだけを見ると末恐ろしいのだけど、物語のテイストはどこか可笑しい。読み味はライトで、読後感も悪くない。青年としての健斗の心理の揺れ動きが、瑞々しさを感じさせたためかもしれない。
それから、祖父が過去を改変して覚えている点は沁みた。何度もそう思い込む内に、それが真実であるかのように記憶されることはあるらしい。「天の光はすべて星」を思い出す。
とは言え、傑作すぎることもなく、駄作というわけでも決してない。ちょうど星3つくらいの印象。
(書評ブログの方も宜しくお願いします)
https://www.everyday-book-reviews.com/entry/%E4%BA%BA%E7%94%9F%E5%86%8D%E5%87%BA%E7%99%BA%E3%81%AE%E7%8B%AD%E9%96%93%E3%81%A7_%E3%82%B9%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%83%E3%83%97%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%93%E3%83%AB%E3%83%89_%E7%BE%BD%E7%94%B0
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