闇の歯車 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2018年5月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167910693

作品紹介・あらすじ

江戸市井の人たちの数奇な人生を描いたサスペンス時代長篇。藤沢周平のストーリーテラーとしての力量が発揮された傑作。



深川にある赤ちょうちんの飲み屋「おかめ」の常連である佐之助(博打にはまり賭場で人を刺し、いまは恐喝働きの生活をおくる)、清十郎(不倫関係から駆け落ちした病身の妻と、人目を忍んで暮らす浪人)、弥十(若い頃人を刺したが、いまは楽隠居暮らし)、仙太郎(賭場に借りがあるうえに年上の女おきぬと別れたい、若者)。この四人の一人に、愛想のいい商家の旦那ふうの伊兵衛が、大金強盗の押し込みを働く企てをもちかける。



たがいの身の上を知らない同士の四人が、百両の金にひかれて、闇の方向へ、その歯車をみずから回す決断をくだすーー。



(解説・湯川豊)



時代劇専門チャンネルにて、映像化決定!

感想・レビュー・書評

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  • 初、藤沢先生です。
    他に手に取るべき作品が有ったのかも知れませんが、どっぷりと浸かってしまいました。
    喩えるなら、しっとりと降り続く雨の中に居る様な感覚でした。
    読了後も、もう少し浸っていたい様な不思議な感覚。
    他の有名な作品は作風も違うとの事。
    ブクログの皆さんがご指摘の、この作品の異色ぶりは今後他の作品を読んだときに解るのですかね。
    楽しみになりました。

  • 登場人物を温かな眼で見つめ、清々しい読後感がある著者の作品群の中では、異色な作品だろう。
    彫師伊之助シリーズのようなハードボイルド風ともいえるが、「彫師・・・}が事件の探索者が主人公となるのに対し、この作品は犯罪者側から描いたいわば犯罪小説。
    名うての盗人から押しこみに誘われた4人の素人の男たち。
    4人それぞれの人生の陰翳が語られ、読者に共感を覚えさせる。
    やがて、押し込みに携わり成功するが、その末路は・・・。
    一人だけ再出発の道が見えたことに、安堵の思いの読後感。

  • 講談社の旧版で手に取る。1981年刊行。
    宮部みゆきのあげた、藤沢ミステリーおすすめ3選の一。
    先に同じく『秘太刀 馬の骨』も読んでいたが、この、闇の歯車のほうが自分の好みに合っていた。

    陰鬱ではあるが、非常に巧みな小説だと思った。

    疲れ切った日にこの本を手に取り、藤沢の日本語が水のように体に沁み入り、あまりに読みやすいので一日で読み終え、今も、その幻のようなラストの余韻に浸ったまま。気分をかえることもできたので、この本との出会いに感謝している。

    男たちにとって、他者である女の呪縛と憧れと破滅が詰まった、恐ろしい作品。

    主役4人のなかでは、伊黒の物語が一番綺麗だった。
    藤沢作品では主役に現れるような境遇だ。
    メインとなる押し込み強盗のところが一瞬で終わってしまう。
    このあっけなさが、なんとなくリアルな気がした。
    (やったことないから知らんけど…)

    伊黒とは別ベクトルで印象に残ったのが、弥十のラスト。
    弥十が孫のために、命をかけて闘ったところ、ちょっともう、涙で本が読めないんですけどなんなんですかこれ。
    漂白の旅に、しがらみのない過去の自分に、思いを馳せて、自由になることに身を捩らせていた弥十が「やろ!」と短い怒声で人攫いに立ち向かっていったなんて。
    弥十だけは、自分の悪事とは直接は関係のない事態により破滅に至ったのも、同情して見てしまう。
    過去には悪さもしたけど、今の弥十にとって、心身を弱らせながらも、娘家族とともに生きるのは、贖罪の身として悪くない老後なのでは。
    (娘にとっては、酒の厄介は消えたが、今度は介護が大変なのかも?)

    おかめ亭の主人の謎が明かされずちょっと気になる。
    佐之助も、おくみとのその後も明るいのか、なんとも言えない…。

    短いながら、際立った印象を残す本書。
    改めて藤沢作品の切れ味に感服した。

  • すごい!うまい!出だしはどうなるかと思いつつ、読み進めると、市井の人たちの飲み屋での出会いとその結末。伊兵衛の仕掛けがどういうふうになっていくのか。なかなかないハードボイルドである。

  • 藤沢周平作品に多い下級武士は、結局武士なので現代の人間にとってはいささか遠い感覚があるが、本作はほぼ町民(武士もいるが)なのでなんとなく身近に感じる。メインキャラはほぼチンピラだが。
    本筋にほぼ関わってこないジジイが飲み屋で奢ったおっさんが、仕事がなくて仕事しているような格好でぶらついて団子食っているのとか、リストラされたサラリーマンみたいだなと思った。

    あと藤沢周平、貧乏武士がメインのことが多いせいか、美味い飯を食う描写があまりないような気がするけど、飲み屋おかめではなんとなくプラス方向に食事を感じているのが良かった。

  • 藤沢周平らしい時代もの。とはいえ、今回の主役は正義のヒーローではなく、小悪党で糊口を凌ぐ町民であるところが珍しい。黒幕はいるのだが、そこに注目するというより、この黒幕の口車に乗って強盗を働く5人の普通の市民、素人。その後、悲惨な結果が待っている。闇バイトに巻き込まれた挙句、人生を棒に振る現代の若者によく似ていて、知ってて書いたかのようなストーリー。結局悪は滅びるのだが、なんとも考えさせられる。

  •  えっ、何で。一体どうなっているんだ。これから、どうなるんだ。次から次へと思いが巡り、そうやっているうちに、どんどんページが進んでいる。綿密な組み立てのストーリー。

  • 「藤沢周平」の長篇時代小説『闇の歯車』を読みました。
    『初つばめ 「松平定知の藤沢周平をよむ」選』に続き、「藤沢周平」の作品です。

    -----story-------------
    江戸市井の人たちの数奇な人生を描いたサスペンス時代長篇。
    「藤沢周平」のストーリーテラーとしての力量が発揮された傑作。

    深川にある赤ちょうちんの飲み屋「おかめ」の常連である「佐之助」(博打にはまり賭場で人を刺し、いまは恐喝働きの生活をおくる)、「清十郎」(不倫関係から駆け落ちした病身の妻と、人目を忍んで暮らす浪人)、「弥十」(若い頃人を刺したが、いまは楽隠居暮らし)、「仙太郎」(賭場に借りがあるうえに年上の女おきぬと別れたい、若者)。
    この四人の一人に、愛想のいい商家の旦那ふうの「伊兵衛」が、大金強盗の押し込みを働く企てをもちかける。
    たがいの身の上を知らない同士の四人が、百両の金にひかれて、闇の方向へ、その歯車をみずから回す決断をくだすーー。
    (解説・「湯川豊」)

    時代劇専門チャンネルにて、映像化決定!
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    1976年(昭和51年)に講談社発行の小説誌『別冊小説現代』の新秋号に『狐はたそがれに踊る』というタイトルで掲載された作品… 単行本化された際に『闇の歯車』と改題されたようですね。

     ■誘う男
     ■酒亭おかめ
     ■押し込み
     ■ちぎれた鎖
     ■解説 藤沢ハードボイルドの世界 湯川豊


    暑い夜だった… 川端にひっそりとある赤提灯「おかめ」で、互いに話すこともなく黙々と盃を重ねる4人の常連… 30過ぎで労咳に臥せる妻を持つ脱藩侍「清十郎」と、博打で身を誤って人を刺し、暗黒街の汚れ仕事を強いられる危険なにおいの遊び人「佐之助」、前科者で白髪の隠居「弥十」と愛人との関係を清算したくて悩んでいる商家の若旦那「仙太郎」、、、

    この4人のもとを福々しい笑顔を浮かべ押し込み強盗にしたたかに誘う謎の男「伊兵衛」が現れる… 決行は人足が途絶える逢魔が刻、、、

    そして、それぞれに関わる女達… 誰が操るのか、皮肉なさだめに人を引き込む闇の歯車が回る――押し込み強盗をはかった男達と、それぞれに関わる女達の数奇な人生を描いたサスペンス時代長編。


    江戸を舞台にしたクライム・サスペンスでしたね… 面白かった! 後ろ暗いところから更に落ちていく人、普通の生活から落ちていく人、それにまつわる女たちの数奇な人生、、、

    ちょっとした歯車の行き違いで運命を異にする登場人物… その一人ひとりの生き方や境遇、そして「おかめ」通う理由等が丁寧に描かれており、それぞれの人物に気持ちを重ね合わせながら読むことができました。

    押し込み強盗は成功したものの、その後のちょっとした歯車の狂いから、犯罪を犯した5人のうち4人には哀しい結末が待っていましたが… 「佐之助」と「おくみ」については、2人で真っすぐに生きていこうとする、希望が見えるエンディングだったので救われましたね、、、

    でも、「おかめ」のおやじがイチバン存在感があったかも… 夢と破滅が、酷薄な運命観に支配された息づまるサスペンスでした。

  • いつもの藤沢作品とは違う印象。
    まさに、和風ハードボイルド。

    登場人物が多いけどそれぞれの
    キャラクターがちゃんと立っているのが
    お見事!

  • 20201229-20210101 映画を観てから読んだ。面白く読めた。

  • 130

  • 【闇の方向へ、その歯車をみずから回す男たち】馴染みの飲み屋で各々盃を傾ける四人の男。そこに“押し込み強盗”に誘う謎の人物が――。サスペンスタッチの傑作長篇時代小説。

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著者プロフィール

1927-1997。山形県生まれ。山形師範学校卒業後、教員となる。結核を発病、闘病生活の後、業界紙記者を経て、71年『溟い海』で「オール讀物新人賞」を受賞し、73年『暗殺の年輪』で「直木賞」を受賞する。時代小説作家として幅広く活躍し、今なお多くの読者を集める。主な著書に、『用心棒日月抄』シリーズ、『密謀』『白き瓶』『市塵』等がある。

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