- 文藝春秋 (2018年7月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167910938
作品紹介・あらすじ
これが世界標準の教養だ!
キリスト教の難問に挑み、強靭な思考力を身につけよ!
なぜ現代日本で得をしない、キリスト教神学を学ぶのか?
世の中を複眼的に見る「思考力」の最強のトレーニングになるからだ。
国際情勢分析はもちろん、勉強法、恋愛、パワハラやストーカー問題まで、
キリスト教2000年の議論を生き方にどう応用するかを伝授する。
学問は必ずあなたの役に立つのだ!
(文庫オリジナル作品)
【目次より抜粋】
第1講 神学とは何か――得をしない学問が強い
神学で生き方が変わる理由/「急がば回れ」書き取り式講義の効果/
受験も選挙もくじ引きで/「復讐するは我にあり」の真の意味/
「殺してはいけない」という理由
第2講 聖書を持って社会へ――プロテスタンティズム
獄中で沁みたコヘレトの言葉/パワハラ対抗にはエステル記を読む
ストーカーと自己愛のコントロール/
第3講 不合理ゆえに我信ず――三位一体論
核抑止を神学から考える/ロケットと死者復活とオウム真理教/
いい加減だから強いキリスト教/「触発」と恋愛
第4講 絶対に解けないから挑む――キリスト論
アメリカ大統領選挙と神学/イエス・キリストの革命論/
よりく苦しい道を選ぶ理由/後藤健二さんの死の意味
第5講 無駄死にしないために――終末論1
学生を戦地に送った田辺元/念仏のテロリズム――血盟団事件/
国体精神はボランティア?/北朝鮮の「悠久の大義」
第6講 過去を振り切って前を見る――終末論2
いかがわしさを見分ける/この世を歩け!この世で働け!/
神はストーカー/急ぎつつ待つ
感想・レビュー・書評
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講義形式で綴られこの本を読むと、自分もまた、新たな学問を学び直せるのだろうか、という気分になる。永遠の時を得ても、自らの枠を越えるべく動かねば、今と変わらない。ある学問分野など、自分には到底理解できないと放棄したものをそのままやり過ごすのであれば、そこには死生観が介入した所で、自らの能力を決めつけた無限ループで、何も変わらないのだろう。信仰とは希望。しかし、希望は、そのループからの解脱にあるのだろうか。大学の講義とキリスト教。妙な読み方をしてしまった。
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2018年に、著者が同志社大学の神学部でおこなった特別講義の内容にもとづいている本で、キリスト教の考えかたについて議論しつつ、キリスト教をバックボーンにすることで現代社会のさまざまな問題がどのように見えてくるのかということを考察しています。
著者には『悪魔の勉強術―年収一千万稼ぐ大人になるために』(2017年、文春文庫)という本があり、本書同様に同志社大学での講義にもとづいていますが、本書のほうがよりキリスト教神学の内容に立ち入った説明が多くなっています。
キリスト教神学の優れた入門書であるアリスター・E・マクグラスの『キリスト教神学入門』や、著者が大学院時代に研究していたチェコの神学者であるフロマートカの著作などをじっさいに学生とともに読みながら、講義が進められていきます。また、池上彰の核兵器にかんする解説本や、哲学者の田辺元が戦争協力をおこなったことで知られる『歴史的現実』などのテクストもとりあげつつ、キリスト教神学の観点から現代の日本が直面している問題をどのように考えることができるのかという問題提起がなされており、キリスト教というバックボーンを共有しない読者にとってもいろいろなことを考えさせられる本だといえるように思います。 -
佐藤優さんが母校同志社大学神学部でおこなった講義。
実は彼が神学について語る本は難しくて、読まずに返したことがあります。
この本は学生相手なので、少しはわかりやすいだろうと思い、頑張りました。
学生に資料を読ませますが、私にはほとんど理解できません。
それについて佐藤氏が質問したり解説したりすることで、少しわかるかな?
たとえばこんなことがあります。
〈佐藤「キリスト教の要となるドクトリン(教理)は二つあります。
キリスト論と三一論(三位一体論)です。
それぞれの定説はわかりますか?」
学生「キリスト論においては、イエス・キリストが真の人であり、真の神である。」
佐藤「真の人で真の神とはどういう意味?」
学生「人と神を仲保するものです。」
佐藤「神学では、仲保という言葉で人と神を仲介していると説明しますね。
では具体的には、人と神が半分ずつ入っているの?」
学生「うーん。」
佐藤「あるいは上半身が神で下半身が人間なの?
逆に、上半身が人間で下半身が神なの?」
学生「そのへんは何というか、曖昧な…。」
佐藤「よくわからないでしょう。
では、三一論の定説は?
父なる神と子なる神と精霊なる神。
この三つについての定説は?」
学生「三つの性質を持ちながら一つの…。」
佐藤「性質?」
学生「性質じゃなくて、なんだろう?
三つの…よくわかりません。」
佐藤「そう、結論から言うと、よくわからないんです。
1700年ぐらい議論しているのだけど未だにわからないし、今後もわからないでしょう。
基本ドクトリンである三一論とキリスト教が「いい加減」であり、なんとでも議論できるという、ここにキリスト教の強さがあるのです。
それは神学論争の特徴とも関係する。
実は神学論争ではだいたい論理整合性の高いほうが敗れます。
(中略)
勝ち組が正しいのではなく、負け組が正しいから、世の中のバランスが取れるわけ。
そういう構造があるからキリスト教はこんなに長持ちしているので、もしキリスト教が論理的にすっきりしていたら、とっくに消滅しているでしょうね。(後略)」
佐藤優さんのこういった本を今後も読み続けて、
私の脳が鍛えられるか、見ものです。 -
同志社大学神学部での神学講義をまとめた本。
神学の講義録なので宗教、キリスト教の知識がないと内容を理解するのに時間がかかります。学びを続けて思考力を鍛えれば複眼的に社会を見るクセがつくことを本書は教えてくれます。 -
柚木麻子「ナイルパーチの女子会」
山本七平「聖書の常識」、ゼロから一を発想できる人
カントがいうところの、事実問題と権利問題を分けて考える
すべての歴史は現在が起点
危機の時代においてわれわれは過去を見る
2023年1月31日二度目読む
・肯定命令と禁止命令では圧倒的に禁止命令のほうが強い。
・キリスト教は、人間は悪いものだと徹底的に教え込んで、なおかつ絶対に順守できないような倫理規範を要求して、それによって原罪を認識させるという構成を取っている。
・ラインホールド・二ーバー「光の子と闇の子」
著者プロフィール
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