劉邦 (一) (文春文庫 み 19-40)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (281ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167910976

作品紹介・あらすじ

劉邦の挙兵までを描く第一巻!劉邦には超人的な武威も徳もなかったにもかかわらず、項羽を倒して、天下を取った。このふしぎさを合理のなかにすえなおせば、個の力ではなく、集団の力がそうさせたというしかない。 宮城谷昌光農民の子に生まれ、五十歳手前まで平凡な一地方官吏に過ぎず、戦闘においても項羽におよばなかった劉邦が、なぜ漢王朝の初代皇帝になれたのか。「集団の力」に着目して、挙兵から皇帝即位までを描いた大河小説全四巻。リーダーシップについて、人心掌握について、現代のビジネスパーソンにとっても、深い示唆に満ちた作品。

感想・レビュー・書評

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  • 宮城谷昌光の中国偉人ものの主役はまるでスーパーマン。成してきた業績まで失敗せず突き進む。ある意味、人間味に欠けた話ばかりだ。しかしそんなスーパーマンの事績にどっぷり浸かるのも心地よい。
    今回は劉邦。まだ触り部分だが、蕭何や樊噲など漢設立の立役者も絡んで楽しい1巻だった。

  • 「将に将たる」者の理想としての劉邦


    ・劉邦はおのれが変幻自在の兵法家になろうとは思わない。良才を擢用し、良籌を採用すればよい、とおもっている。(上巻、326)


    兵の死体に語りかける劉邦について、曹参いう
    「元帥は抽象世界にいないと心身がもたない。ひとりの兵は、一という数字に置き換え、大小の山川も、地図の上で平らに画く。非情に徹しなければ、多くの兵を活かせない。あれは十人長や百人長のやることだ。沛公が凡将であることを知らしめることになる。
    327

  • 『香乱記』第4巻(新潮文庫)で、劉邦陣営を度々激しく非難した作者、よってその劉邦が主人公の本編ではどのように描写するのかと大変興味があった。もしや「ピカレスク小説」ではと読み始めたが、実際の内容はいつもの宮城谷昌光タッチの穏やかな筆致だ。では、『香乱記』第4巻の執拗なまでの劉邦非難はいったい何だったのか? 同じ作者とは思えない作風だ。歴史小説において作品により、登場人物の評価をガラリと変えてしまうのは、御都合主義に思えて私は抵抗感がある。
    単品として本作自体は面白かった。特に陳勝・呉広の乱勃発の件は相変らず血湧き肉躍ると言ってよいだろう。

  • 司馬遼太郎の劉邦像からすると、だいぶイケメンで慕われる劉邦。

  • 司馬遼太郎さんの項羽と劉邦の方が好き。

  • 次へ

  • 項羽を倒すまでの話。
    少し淡白すぎるかな。
    劉邦が時には親分みたいな口調になり、また時には君子のような口調になり、読む方もどう感情移入すればいいか、悩むとこ。韓信の活躍ももうすこしあってもいいかな。どちらにしろ、劉邦を書くなら、もう少し時間をかけてもらいたかった。というか、宮城谷氏がわざわざメジャーな劉邦を書く必要があったのか、書くなら気合いを入れて、と思うようなないようだった。宮城谷氏は大好きだが

    全4巻

  • 横山光輝の『項羽と劉邦』を20年以上前に読み韓信、張良、蕭何などが魅力以外に才覚の無い劉邦を支え漢王朝を立ち上げると同時に呂布以上の武力を持つが部下の一人一人に去られて敗北を喫する項羽の物語と受け止めていた。

    取り敢えず第一巻は劉邦の五彩ではじまり王后諸侯いずくんぞ〜のスローガンを掲げる陳勝呉広の乱で終わりとなる。

    劉邦の魅力に惹かれる登場人物達の今後の挙動と今後登場するであろう覇王項羽の後輪が楽しみです!

    個人的には戦国の七雄から漢の始祖劉邦即位まで歴史で詳しく教えるべきかと思う。

  • まとめた感想は4冊読了後に書きます。

  • 項羽と劉邦の劉邦に視点をあてた小説。
    人は憎む相手を失うと弱くなる。
    前後の民が老若男女残らず武器をとって起ったら、どうなるか。農産と水産を行うものが一人もいなくなったら、皇帝以下すべてのものが十日以内に餓死する、それが世の中の仕組み。

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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