錆びた滑車 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
3.78
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本棚登録 : 476
レビュー : 85
  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167911201

作品紹介・あらすじ

【仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ最新長編!】葉村晶は、吉祥寺のミステリ専門書店のアルバイト店員をしながら、本屋の二階を事務所にしている〈白熊探偵社〉の調査員として働いている。付き合いのある〈東都総合リサーチ〉の桜井からの下請け仕事で、石和梅子という老女を尾行したところ、梅子と木造の古いアパート〈ブルーレイク・フラット〉の住人・青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれ、怪我を負ってしまう。住み慣れた調布市のシェアハウスを建て替えのため引っ越さなくてはならなくなった葉村は、青沼ミツエの申し出で〈ブルーレイク・フラット〉に移り住むことになるが、そこでは思いもかけぬサバイバル生活が待っていた。ミツエの孫・ヒロトと父の光貴は八ヶ月前に交通事故に会い、光貴は死に、生き残ったヒロトも重傷を負った。事故の前後の記憶をなくしたヒロトは、なぜ自分がその場所に父といたのか調べてほしいと晶に頼む。その数日後、〈ブルーレイク・フラット〉は火事になり、ミツエとヒロトは死んでしまう……。解説・戸川安宣前作「静かな炎天」は文庫書き下ろしながら、「このミス」2位とミステリランキングでも好調、「読書芸人」のカズレーザーや、のん(能年玲奈)も絶賛など、話題になりました。

感想・レビュー・書評

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  • 若竹七海『錆びた滑車』文春文庫。

    仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ。『葉村晶史上、最悪最低な事件』とは……

    吉祥寺のミステリ専門書店のアルバイト店員にして、白熊探偵社の調査員の肩書を持つ葉村晶が今回請け負うのは石和梅子という老女の調査。調査の過程で葉村晶はとんでもないことに巻き込まれ……

    『静かな炎天』が非常に面白かっただけに本作はイマイチ感が……魅力はあるのだが。

    • hiroki-musashinoさん
      吉祥寺が地元なので気になります!
      吉祥寺が地元なので気になります!
      2019/07/21
  • 葉村晶シリーズ最新作。
    老女の尾行を依頼された晶は、老女同士の喧嘩に巻き込まれいきなり大怪我をするという不運から始まる。
    喧嘩相手の懐に入り込むことになってしまった晶は更にその家族の謎に魅せられのめり込むことになる。

    相変わらず晶の周りには良く言えばマイペース、悪く言えば自分本位な人間ばかりがいる。
    富山店長や桜井(こちらはたまには気を遣ってくれるが)は言うまでもなく、警察の当麻、大家の姪、成り行きで住むことになったアパートの持ち主ミツエ、その孫ヒロト、その周囲の人々…。
    彼らの主張は端から見れば全くの身勝手で受け入れる必要はないのに、それを拒否すればどんな悪意が跳ね返ってくるかわからないだけに恐ろしい。
    こんな人々に囲まれていたら精神がどうにかなりそうなものの、それでも自分を保ち自分がやるべきことを見失わない晶のタフさには感心しかない。
    だが次々降りかかる不幸とお願いと悪意とでさすがの晶も推察力が翳っていたような。真犯人については俯瞰で見ていた読者の方が早く気付くだろう。

    これほど頻繁に骨折していたら骨の形がおかしくなるのでは…などと素人ながら心配してしまう。
    なんとか次の住居も確保出来たらしいのでその点は安心したが、経済的な安定からはまだまだほど遠いようだ。

  • 女探偵、葉村晶シリーズ。

    葉村は尾行していた女性石和梅子と、青沼ミツエの痴話喧嘩に巻き込まれ、怪我をする。
    ミツエが所有する木造アパートに移り住むことになった葉村に、ミツエの孫であるヒロトからある調査を依頼される。
    ヒロトは交通事故で重症を負い、記憶を失っていた。
    大学3年の夏休み、スカイランド駅前ロータリーのバス停に、アクセルとブレーキを踏み間違えたワゴン車が突っ込んできた。何故父親と2人でその場所に行ったのか調べて欲しいと、、、

    その後ヒロトと葉村は火災に巻き込まれてしまう。



    相変わらず伏線が多すぎ!次から次へと覚えなくては行けないことが多すぎて(^◇^;)
    頭が良くないとやっぱり葉村晶のシリーズは難しい(-。-;

    畳み掛けるように物語が進んでいくところは、流石
    若竹先生。
    あっちもこっちも最後は綺麗に纏まりスッキリ。

  • ある依頼を受け老女を尾行していた葉村。その老女と知り合いとみられるミツエと老女の喧嘩に巻き添いを食らい早速、怪我をする。その後、ミツエのアパートの空室に住むことになるが、ミツエの孫・ヒロトから依頼を受ける。ヒロトは交通事故に遭い、父を亡くし(母は失踪中)、自分は事故の記憶をなくしている。その時のことを調べて欲しいとのことだ。しかし、ヒロトはアパートの火事により死んでしまう。ヒロトの死の背後にあるものは…。
    歳とっても頑張っているのね、葉村。今回も葉村はバリバリ探偵の道を進んでいました、タフでユーモアもあり好きです。”熊”は良くないみたいだけれど、引越後の葉村、今後の活躍に期待です。このシリーズは続いて欲しいです。
    伏線はきっちり回収だし、ミステリーだけでなく本の紹介もあり、それも魅力。そして、ミツエのキャラが良かったです。

  • 「タフで不運な探偵」葉村晶は、例によってヒドイ目に遭う。こんなたびたび怪我する人も珍しかろう。少しは良いことがあってもいいものだが、作者はあくまで彼女に厳しいのだった。

    愛想笑いなどしない葉村のクールさが格好いい。人の悪意がしっかり描き込まれているのに、読んでいてイヤな気持ちにならないのは、彼女が中途半端な正義面をしないからかもしれない。脇役たちも類型的な善人ではないところが味わい深いと思う。でもお風呂ぐらいつけてあげて、富山店長。

  • 葉村晶シリーズの長編。
    冒頭から尾行対象のケンカに巻き込まれて、またもや怪我をおってしまう葉村。その縁で知り合った老婦人の持つアパートで暮らすことになり、交通事故で記憶が抜け落ちている彼女の孫から「事故のときなぜ自分がそこにいたのか」を調べてほしいと依頼される…
    ストーリーがけっこう複雑で登場人物も錯綜しているが、読みごたえがあって面白かった。ただ、後味は苦い。
    いつものようにボロボロになりながらも、淡々と一途に真相に迫る葉村がハードボイルドでかっこいい。

  • 女探偵・葉村晶は尾行していた老女・石和梅子と青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれる。ミツエの持つ古い木造アパートに移り住むことになった晶に、交通事故で重症を負い、記憶を失ったミツエの孫ヒロトは、なぜ自分がその場所にいたのか調べてほしいと依頼する……(あらすじより)

    若竹さんの本読んでると、世の中の人は大抵期待するほど他人のことを思いやる余裕はないし、自分に利害がある可能性があればいくらでも悪意も図々しさも発揮できるんだなと実感する。でも同時に良くも悪くも各々が自分の人生に必死なだけなんだな、とも。葉村さんは一見ドライなのに、根っこはお人好しで一生懸命。それが遺憾なく発揮された一冊だった。相変わらず伏線が多くて、羅列の単語一つ見過ごせなくて楽しい。ゴールは予想できても、過程にどんな繋がりがあるのかは読まないと分からない。無駄な登場人物が一人もいない。不幸の女神に愛されてすぎている葉村さん、体の不調が見過ごせない程になってきたけどもう何冊か分くらい頑張って欲しい。

  • 葉村晶シリーズの長編新作。安定しておもしろかった。
    不運な探偵の異名の通り今作も酷い目にのお約束もしっかりあり気の毒です。
    加齢によるぼやきが近い将来自分の身にも起こることなのね……としんみりも。

  • 1ページ目を読んで、今回は葉村晶の恋愛話があるのかとぶっとんだ。いや、あってもいいんですけど。
    相変わらず精神的、肉体的にきつい状態に追い込まれても絶対に手を抜かない、あきらめの悪い女探偵。かっこよくて大好きです。

    ところで、思いがけず新作が読めたのはうれしいけど、そろそろかつての親友をまた登場させてくれないだろうか。

  • ミステリ専門古本屋の1室に探偵事務所を構えるという、一見コージー風を装うようになったが、相変わらず、人間の悪意がおぞましい葉村晶もの。
    幸い残ったわずかな家財、お気に入りのアンティークの本棚や、唯一財産と呼べる高級羽毛布団も、きっと安泰ではないのだろうな、と思って読み進めると、案の定…
    しかし、探偵以上に不幸なのが青沼家の人々なのだった… 悲惨すぎ。
    よくわからなかったのは、息子(竜児)も人殺したの?(火事は母親ではないの?) また、灯油ストーブ持込目撃証言は、片桐さんではなく、「エピソード泥棒」の大場さんがしたのではないの?

    ミステリ蘊蓄と実在のスイーツ等紹介は、いつもうれしい。

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著者プロフィール

東京都生まれ。立教大学文学部史学科卒。1991年、『ぼくのミステリな日常』でデビュー。2013年、「暗い越流」で第66回日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞。その他の著書に『心のなかの冷たい何か』『ヴィラ・マグノリアの殺人』『みんなのふこう 葉崎は今夜も眠れない』などがある。コージーミステリーの第一人者として、その作品は高く評価されている。上質な作品を創出する作家だけに、いままで作品は少ないが、受賞以降、もっと執筆を増やすと宣言。若竹作品の魅力にはまった読者の期待に応えられる実力派作家。今後ブレイクを期待出来るミステリ作家のひとり。

「2014年 『製造迷夢 〈新装版〉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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