天人唐草 自選作品集 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2018年9月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784167911492

作品紹介・あらすじ

岡村響子、30歳。キエーーーーッ!
毒親に育てられた少女や育児放棄された子供が大人になったらどうなるのか――。山岸凉子の天才ぶりをあますことなく伝える究極のトラウマ漫画5篇を厳選。
時代錯誤なまでに厳格な父に育てられた少女が、過剰なまでに他者を警戒し、複雑に成長していく「天人唐草」。
ギリシア神話上の怪物、女面鳥獣が、普通の高校生活を送る少年の目の前に美少女として現れる「ハーピー」。
妾腹の子として生まれた少年が、亡くなった父の本宅に引き取られ、”本当の母親”を探す「狐女」。
死者の言葉を聞くことのできる特殊な能力をもつ「鳥人族」の血を引く少年と民俗学者・人見との肉親の愛情を越えた物語「籠の中の鳥」。
海外旅行のために家を空ける祖父宅の生き物の世話のために、猛暑真っ盛りのH市へと向かう澄生。公園で出会った一人の女の子との不思議な体験を描いた「夏の寓話」。
あまりにも悲しく、苦しく、せつない山岸ワールド。その天才ぶりと作品世界の奥深さに打ちのめされること間違いなしです!

感想・レビュー・書評

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  • 岩井志麻子が推す「恐怖マンガ5作」ホラーは、よく当たる占い師 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌]
    https://smart-flash.jp/entame/111655

    文春文庫『天人唐草 自選作品集』山岸凉子 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167911492

    山岸凉子スペシャルセレクションⅤ 天人唐草 | 潮出版社
    https://www.usio.co.jp/comic/comics/5423
    気になる
    【特別付録シート】主な収録作品の創作秘話を、著者が本書読者だけにツイート(つぶやく)!

  • 2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの父親は、子育ての方針を訊かれて「娘の翼を折らないようにしてきた」と答えたという。ひるがえって、山岸凉子の超弩級トラウマ漫画『天人唐草』のヒロインである岡村響子は、幼いころから「翼を折られつづけてきた娘」だ。生来は快活な少女だった響子は、封建的家父長制の権化のような父親から、ことあるごとに、

    「女の子のくせに〇〇するなんて、みっともない」
    「女の子なんだから〇〇しなければ、恥ずかしい」

    と抑圧されつづけた結果、他人の顔色をオドオドと窺う主体性のない女性に育ってしまう。社会に適応できず、家事手伝いの名のもとに実家にひきこもる生活を送っていたが、経済的にも精神的にも依存していた父が急死し、はじめて父の愛人の存在を知る。その愛人は、父が響子に「こういう女になってはいけない」と戒めてきた女性像そのままの、華やかでセクシーな女性だった。妻や娘には貞淑な女であるよう命じながら、男としては奔放な女を求めたのだ。父のダブル・スタンダードに自我を見失った響子の心は崩壊し、そして……。

    「毒親育ちの生きづらさ」と今なら一言で伝わるけれども、この作品が書かれた1979年当時、そんな言葉は存在しなかった。もちろん言葉がなかっただけで、もやもやとした胸のわだかまりは多くの人が抱えていたはずだ。だからこそ、そのもやもやに形を与えてリアルに描き出してみせたこの作品は、時代を越えて読み継がれてきたのだろう。40年も前に、こんな斬新かつ普遍的な漫画を描いた作者と、この問題作を「週刊少女コミック」に掲載した編集者とに敬意を表したい。

    他の4篇も秀作ぞろいだが、やはり『天人唐草』のインパクトは一頭地を抜いている。物語として高い完成度を誇りつつも、ある意味オープンエンドとなっているところが良い。その後の響子はどうなったのか。狂気の中で生きたか、自殺したか、よき理解者に恵まれて本来の自分を取り戻したか、中途半端に治療されて自分も毒親と化したか…。2019年現在、生きていれば70歳になるはずの響子の、その後の人生を考えてみるのも味わい深い。

    • 佐藤史緒さん
      夏眠さん、いらっしゃいませー♪
      奥付みたら、この版は新しく2018年9月に出たものですね。ほかに『ハーピー』『狐女』『籠の中の鳥』『夏の寓...
      夏眠さん、いらっしゃいませー♪
      奥付みたら、この版は新しく2018年9月に出たものですね。ほかに『ハーピー』『狐女』『籠の中の鳥』『夏の寓話』が入ってます。

      仰る通り、あの母親も今の基準でいえば充分「毒親」だと思います。
      良妻とは「男に都合の良い妻」の略なんでしょうね(遠い目)。
      で、響子がもう少し要領がよくてスムーズに母親になってたら、同じような「良妻賢母」になってたんでしょう。
      ある意味、世代間連鎖をふせぐことはできたわけですが、その代償が大きすぎ…(泣)

      別のところで読んだのですが、山岸さん自身の父親は寛大な人で、むしろ母親が毒親だったそうです。
      「イグアナの娘」とか、たしか母娘の確執の物語でしたね。
      いずれにしても、トラウマを作品に昇華できるってほんと天才だと思います。

      それはそうと、あとがきによると、冒頭の金髪ゴスロリ「きえーーっ」は、なんと実話だそうです。実際に作者が羽田空港でそういう人に遭遇して、そこから膨らませてこうゆう物語ができたらしい。
      その話が一番怖いわ!と思いました・・・
      2019/06/19
    • 深川夏眠さん
      あっ、収録作品は全部一緒です。
      なるほど、絶版本の新装版なのですね。

      「男に都合の良い妻」の世代間連鎖……
      それも強烈なホラーです...
      あっ、収録作品は全部一緒です。
      なるほど、絶版本の新装版なのですね。

      「男に都合の良い妻」の世代間連鎖……
      それも強烈なホラーですね。
      読んでみたい気もします(ゾワッッ)。

      「きえーーっ」が実話(驚)!
      一番の恐怖ポイントかな……。

      ところで、以前知人と山岸短編の中で
      怖いヤツBEST3を挙げろと言い合ったら、
      1位&2位が一致したのです。
      1位「夜叉御前」で2位が「天人唐草」でした。
      3位は……相手が何と言ったか忘れましたが、
      私にとっては「鬼来迎(きらいごう)」です。
      自選作品集『夜叉御前』に収録されていると思います。
      どちらも壊れた家庭の話で、嫌~な後味です。
      2019/06/19
    • 佐藤史緒さん
      「夜叉御前」のブクログレビュー拝見しました♪
      天人唐草の上をゆく怖さ…、それこそ「きえ〜〜っ」と悲鳴あげそう(笑)
      私、少し怖いのは好...
      「夜叉御前」のブクログレビュー拝見しました♪
      天人唐草の上をゆく怖さ…、それこそ「きえ〜〜っ」と悲鳴あげそう(笑)
      私、少し怖いのは好きなんだけど、本気で怖いのは実は苦手なんですよ。
      (楳図かずおとか、ストーリー以前に絵が怖すぎて読めないタイプです(>_<) あの顔!顔が怖い‼︎‼︎)
      でも好奇心に負けて読んでしまい、夜眠れなくなって後悔するという(笑)
      でも、きっと「怖い怖い」と言いながら近いうちアマゾンでぽちって読んでそう。
      中和剤としてテルマエ・ロマエみたいなギャグ漫画も一緒に買っておこうかしら…
      2019/06/19
  • 〇追いつめられたその先の狂気はかなしい。

    「天人唐草」
    厳格な父親のもと自分を抑えつけていた岡村響子は人との関わることが出来なくなっていた。父親が亡くなりその秘密にふれて、自由になる。
    ←なんとも辛すぎる

    「ハーピー」
    その美しい転校生からは死臭がした。
    ←壊れていくお話。

    「狐女」
    名家に引き取られた子ども。
    ←1度だけ、“子ども”に戻るチャンスがあったのだけど…。母も被害者か…。

    「籠の中の鳥」
    トリと呼ばれていた鳥人の最後の飛べない少年。祖母が亡くなり、ある男性に町に連れ出される。
    →飛ばなくてもよいと言われて。ハッピーエンドが沁みる。

    「夏の寓話」
    叔父夫婦の留守を任された澄生は、ある少女とであう
    →ヒロシマへのレクイエム。

  • 2018年に出た新装版。中島らも氏の解説、山岸凉子さんのインタビューを含む門田恭子氏の解説が付く。トラウマ漫画の古典となった表題作を始め読んだことのある短編ばかりだが、やはり怖い。きえー!

  • もう40年近くにもなるのに「天人唐草」を初めて読んだ時覚えた恐ろしさは忘れられない。その「ぎえーーーーっ」をまた読みたくて、怖いもの見たさの誘惑から購入。24年前に出版されたものの新装版だけど、全く古びることのない作品の質の高さはさすが。中島らも氏による解説がまた秀逸。山岸先生が原爆を扱った作品を描いておられたことは知らなかった。他の自選作品集も新装版が出るのだろうか。ああまた大人の財布が狙われている。でも買ってしまうんだろうな。

  • 最初によんだのは19才頃かな
    もう主人公に共感しか無かった。
    自分は彼女より多少器用だから生きてこれたけど
    毒親と言う言葉もない時代ですよ。
    これ読んで本当に救われた。叱咤激励された。

    私だけじゃないんだ。
    がんばろうかな〜(弱め
    と、思いましたはい

  • いろいろな人が読後にきぇーと言ってるけど、ワタシとしても最初の一言はきぇーです。まあ業界人としては精神疾患の偏見を助長しそうとかいちおう脳波の検査はしたほうがいいだろうなとか思うけれど、こういう迫力のある少女マンガには最近出会わなかったなというのが実感です。夜寝る前に読むのはやめたほうがいいと思います。

  • 『失敗は恥ずかしいことではないとだれも教えてくれはしなかった』

    『こうして彼女は他人とコンタクトをとるわずらわしさより無関心をよそおう楽な道のほうを選んだ』
    『女としてのつつましさという大義名分のかげにかくれてなんら積極的な態度をとらなかった響子にとってそれは当然の結果だった』

    「お父さまにはもう10年近くもお世話になっています こんな形でお会いしたくなかったんですが…」
    (10年…というとお母さんが生きていた時から……)
    今目の前にいるその女性は父が響子にこうあってはいけないといい続けていた女性そのものだった。娘にはこうあってはならないといい含めながら…自分が男として望んだ女はそれと正反対のものだった。

    失敗を素直に申告するとか、他人とコンタクトをとるとか、小さいことなんだけどやらないと社会では崩れてくなと。

  • 「天人唐草」読了。短編集。「 薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―」にここから山岸凉子は変わったとあるので、興味が湧いて買ってみた。山岸凉子で読んでいるのは「日出処の天子」「アラベスク(序盤のみ)」くらいか。表題作。所謂毒親であろうが、作者の視線はそこから飛び立つ気骨を持たぬ主人公に厳しい。

  • たまに読みたくなる山岸涼子。ほんとに怖くてまいりました。

  • 大傑作。言葉を失ってしまうくらい凄い。わたしがわたしであることの足場がなくなってしまうこと/もともとそんなものはなかったことを冷酷に突き詰めて描いているためひたすらに恐ろしく、悲しいが、現実で自らの足場を見失わないために、このような物語こそ何度も読み返され、参照されるべき必然性がある。「花の24年組」というくくりの本物の重みを実感し続けるここ数年だ。

  • 標題作を含む5編からなる自選作品集は、どれもが昭和50年代に描かれたものでありながら、全く古びない。

    標題作は、厳格な父と貞淑な母に育てられ、不器用にしか生きられない娘・響子がたどる狂気への道を描く。
    今では毒親と称されるかもしれないこの昭和の父親像には、響子に我が身を重ねてしまい、ひたすら辛かった。

    どの作品も、この世界を前にして生き迷う子供たちをテーマとし、その紙一重の狂気が背筋を寒くする。最後まで主人公に安易な逃げ場所を与えないところも山岸涼子ならでは。そう、現実は厳しいのだ。

    「道しるべはない。それが正しい。とてつもなく正しいと思う。」中島らもさんの解説が秀逸。

  • 中島らもの解説曰くテーマは「迷い子」、表題作はいまでいえば強烈な毒親で自分を見失った悲劇、以下、心理的に追い詰められた果ての結末や正体のわからない不安に支配された心理がこれでもかというほど味わえる作品ばかり。

  • 山岸凉子の短編集。収録作は、週刊少女コミック「天人唐草(1976)」、プチコミック「ハーピー(1978)」、フォアレディ「狐女(1981)」、プチフラワー「籠の中の鳥(1981)」、月刊セブンティーン「夏の寓話(1976)」の5編。いずれの作品も緻密で繊細なタッチで、人の闇をじっくりねっとりと描き出します。読んでる最中は怖くもあるのですが、読後は哀しさがにじみ出てきます。代表作である「天人唐草」は冒頭の「きぇーーーーーーーーーーーー」から鳥肌が立ちっぱなしです。

  • 山岸凉子の自選作品集。中島らものエッセイ集「砂をつかんで立ち上がれ」で知り、ずっと読みたかった作品。
    帯書きの「トラウマ漫画の決定版!」の言葉通り、決して読後感は良くないのですが・・・そうと分かってて、読ませます(^_^;)
    ただ、さすがに描かれた時代を感じるかなぁ・・・少なくとも、娘達には絶対薦めない作品化かと(^^)

  • ずっと前に文庫化されたものの新装版。本屋で目が合ったので久しぶりに手に取りました。山岸涼子のインタビューが追加されたようです。収録作品はいずれも70年代後半~81年くらいまでのもの。

    表題作は、今なら毒親と呼ばれそうな男尊女卑の古臭い考えの父親の言葉に萎縮してどんどん心を歪ませてしまった女性の物語。天人唐草という美しいタイトルからは思いもよらない着地点。天人唐草は、ある花の別名なのだけれど、うまいエピソード、そしてうまいタイトルの付け方だなあ。

    私が一番怖かったのは「ハーピー」同級生の美女をハーピーだと思い込んだ男子生徒の狂気・・・なのだけど、これってホントにハーピーだったかもしれないよね?という怖さもあり。

    「狐女」は救いがない・・・この9歳の男の子の復讐が成功する話かと思ったらどん底に突き落として終わりとは。どんな大人に成長するのかと考えるとゾッとする。

    「籠の中の鳥」は民俗学的な部分がとても好きだった。唯一ハッピーエンドだけど、依存心の強い主人公はちょっと苦手。「夏の寓話」は、H市が具体的にどこかを知ってしまえばオチが見えてくるので、知らずに読むのがいいと思う。

    ※収録作品
    天人唐草/ハーピー/狐女/籠の中の鳥/夏の寓話

    • 淳水堂さん
      こんばんは。
      世代なので、収録作品全部読んだ&レビューみて思い出しました、きぇー。

      よりによってすごい作品集まってますね、なんかしば...
      こんばんは。
      世代なので、収録作品全部読んだ&レビューみて思い出しました、きぇー。

      よりによってすごい作品集まってますね、なんかしばらく立ち直れなくなれそうなのばっかり…orz
       

      2018/09/14
    • yamaitsuさん
      淳水堂さん、こんにちは(^^)/

      これもう帯からして大きな文字で「きえーーーーっ!」さらに嬉々として「トラウマ漫画の決定版! 」とか書...
      淳水堂さん、こんにちは(^^)/

      これもう帯からして大きな文字で「きえーーーーっ!」さらに嬉々として「トラウマ漫画の決定版! 」とか書いてあって、どういう煽り方だよ!と(笑)
      2018/09/17
  • 高校時代ハマりまくった日イヅルの山岸先生
    こわいけれど見たいような、この独特の世界観にゾクゾクする

  • 明日からの出張が暑くて嫌だな……。

    ってな事で、山岸凉子の『天人唐草』

    天人唐草
    ハーピー
    狐女
    籠の中の鳥
    夏の寓話

    の5つの短編漫画。

    姐さんが読んでたのが気なって即借り

    どれも物悲しいく切ないちょっと怪談っぽい内容。
    丁度この季節に読むのがええかもね

    文庫の漫画は文字が小さ過ぎて老眼の始まりを感じたのが一番の恐怖w

    2018年57冊目

  • p40
    わーやだやだ。オレ帰るよ。
    酒とプライドは大嫌いだからな。

    p52
    「誰かにそう見てもらいたい」それが見栄なんだよ。

  • 201809/

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著者プロフィール

山岸凉子(やまぎし・りょうこ)
1947年北海道生まれ。69年デビュー後に上京。作品は、東西の神話、バレエ、ホラーなど幅広く、代表作に「アラベスク」「日出処の天子」「テレプシコーラ/舞姫」など。

「2021年 『楠勝平コレクション 山岸凉子と読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

山岸凉子の作品

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