十二人の死にたい子どもたち (文春文庫 う 36-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (495ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167911508

感想・レビュー・書評

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  • 映画化で話題の本なので読みました。12人の子どもたちの最後の選択はどうなるのか、13人目の子どもは誰なのか、かなり気になるところだと思います。ミステリー要素が多く、楽しめました。

  • そういえば冲方丁の作品読んだことなかったなぁと思い、ちょうど映画やってるし装丁好きだし原作当たるかと読んでみた。
    章の終わり毎に次へのヒキがあって、早く続きをとサクサク読んでしまった。ミステリ要素強いのかと思ってたけどそれが主眼ではなさげ。でも面白かった。

  • 続きが気になってスイスイ読めた。
    登場人物が多くて少し大変だったけどそこが面白いところ。

  • ストーリーの面白さというより、子供たち1人1人の際立った個性が面白かった。みんな死にたがってるどけあって世の中や自分に絶望を感じてて、その主張がどれも正しいのだけど間違っている感じが痛々しく、現実味があって心に刺さった。

  • 面白かった。
    12人もいると、登場人物を把握しきれないのではと思ったけれど、キャラクターがたっているので、難なく読了。
    それぞれの思惑と、それぞれの推理? 推測? が入り交じり、最後はどう決着するのかと思ったが、納得感があった。

  •  2019年1月25日に公開が迫った堤幸彦監督作品、『十二人の死にたい子どもたち』。本書はその原作小説である。
     作者冲方丁の小説が実写映画化されるのは岡田准一主演の『天地明察』に続き2度目。前作は時代物だったが、本作は一応現代ミステリーに分類されるだろうか。

     冲方丁ほど多ジャンルで才能を発揮する作家もなかなかいないだろう。デビュー作『黒い季節』は現代が舞台の異能バトルものであったが、『マルドゥック・スクランブル』『シュピーゲル』シリーズなどのSF作品、『麒麟児』『花とゆめ』などの時代小説、さらには異世界ファンタジーから官能小説まで(!)、ジャンルにとらわれず多彩な作品を発表している。
     また小説の執筆だけでなく、アニメ脚本、漫画原作、ゲームのシナリオライターとしても活動している。アニメ脚本の例を挙げるとしたら、ロボットものの『蒼穹のファフナー』やSFサスペンス『PSYCHO-PASS』などだろうか。
     こうして冲方作品を列挙してみると、現代が舞台でしかも異能や武器銃器が登場しない作品というのはとても珍しいと感じる。

     閑話休題。本作の内容に目を戻すと、ジャンルはミステリーとされているように思う。確かに正体不明の「十三人目」の死体の謎は、この作品の軸となる大事な要素だが、本書の主題は決して謎解きではないように思う。実際作中でも十三人目が発見された当初は、不自然な状況にも関わらず、集団自殺を決行しようとしたほどだ。(2番君の活躍で謎を放置したまま自殺、完!の展開は回避された。実際に彼が同級生だったら「ウザい」と感じてしまうだろうが、この点はナイスプレーである。)
     解説で吉田伸子氏はこの作品を『十二人の怒れる男』や『12人の優しい日本人』に連なる「十二人もの」の作品だと述べている。廃病院に集った子どもたちは裁判を開くわけではないが、集団自殺の実行には参加者全員の賛成が必要になるため、十三人目の謎を放置したまま自殺を決行するか、謎を解き明かしてから自殺するかで議論が始まる。この議論というのが作品の本筋であり、それによる子どもたちの心情の変遷が最大の見所ではないだろうか。
     章が進むに連れて語り手となるキャラクターも次々と入れ替わる。語り手となるキャラクターの心情だけでなく、そのキャラクターが別のキャラクターをどう評価しているかも細かく書かれていて面白い。
     個人的なお気に入りキャラクターは11番のマイである。いわゆるおバカキャラの少女で、議論の展開に理解が追いつかず、ずれたような発言を繰り返すが、中盤から終盤にかけてとても重要な役割を果たす。彼女の不用意な発言による盛大なちゃぶ台返しは必見です!

  • 起承転結を考えると3.7ぐらいですが、自殺志願者を集めて、集団自殺という単純なものではなく、途中からピアカウンセリングのようになっていったのが面白かったです。主催者もピアの一員であること、しいていえば余命幾ばくかの子がカウンセラーみたいではあるけれど、そういう視点で読ませてもらったので面白いなと思いました。

  • 冲方氏の作品は実は初めて。

    映画化されている模様で、ローティーンからヤングアダルト向け小説の印象でした。途中までやや単調な印象も、最後のツイストはなかなか良かった。そのツイスト含め、ティーンに向けたメッセージ色の濃ゆい作品か。

    ・・・
    済みません。結構批判じみた物言いになりそうです・・・。

    実は個人的にあまり読み口が良いとは感じませんでした。というのも、やはり12人をそれぞれ特定するのがなかなか簡単ではありませんでした。

    解説によると12という数字が過去の映画作品へのオマージュになっているようではありますが、文章でありありと12人個々の性格を理解するのは私には少し難しかったです。結構イけた(理解した)と思いますが、最後2人くらい、印象が今一つ(混合して)でありました。

    その点では、映画化してヴィジュアルで印象付けを行うという戦略は、よりよく作品を理解してもらう上では良かったのではと思います。

    ・・・
    そしてもう一つ。リアリティが個人的に感じられず、ちょっと没入しづらい感じでした(自殺話にリアリティがあったらそれこそ怖い、というのもありますが)。

    12人の自殺したい子たちがローティーン(一番若い子が14歳)というのは、可能性としてはあるかもしれませんね。ただし、彼らが廃病院に一堂に会し、これから自殺するべく準備し、そのさなかで起きる議論、というのはこれまた現実感が少し感じられなかったです。

    私のようなくたびれたおじさんが、仮にも消えたいとき。それは「もうやだなあ、疲れたなあ」と思い、自分で苦境を改善する余地がないとき、そのような状況が永遠に続く(かのように思える)とき、とか、そういうときです。

    若者ならば、その時辛いのは分かるのですが、「あと数年たち、親元を離れれば、自由に生きられる」と思ってしまうのです(不治の病の場合は除きますよ)。だって、ほら、君たち、議論する気マンマンじゃないですか。そのエネルギーがあれば、世界は変わるかも、とかおじさんは少し感じます。

    もちろん、中学生・高校生の時は、ちょっとしたことで傷つき、恥ずかしさのあまり死んで消えたくなることもあるとは思います。そうしたことも十分斟酌しなくてはいけません。その点ではおっさんがとやかく言う話ではなく、ターゲットと思われる中高生あたりの若者が読むべき本なのだと思います。

    ・・・
    ただ、最後の終わり方は、(多少陳腐?な風合いもありつつも)良かったと思います。

    細々と内容は述べませんが、そこに私はコニュニケーションの偉大さを見ました。個人の考えは意外に偏狭で、喋ってみると実は(他人からして)全く問題でないことも多いですね。言った本人も他人に話してみたら「あれ?ほんとだわ。全然大したことないね」と当の本人がすっきりしてしまうこともあるわけです。

    そのような解決法を提示するかのような結末・コニュニケーションの力を、大人も子どもも再認識してもらえると、将来はちょっと明るくなるかもしれません。

    ・・・
    ということで初めての冲方作品でした。

    結末のツイストが良かったので、本嫌いな新大学生の息子にまずは押し付けて反応を見てみたいと思います。その後高校生の娘にも押し付けてみたく。ああ、でもちょっと厚めなんですよね。本嫌いには微妙な厚さ。やっぱ映画を先に見せた方がいいかな??

  • 12人の子供たちが集団自殺しようと廃病院に集まるところから始まるんだけど、なんせ人数が多いのでそれぞれが目撃した違和感の関連性が最初は全然見えなくて行く末がわからなかった。そして数字というどうしても目が行きやすい要素もまた混乱に陥れるポイントになっていてすごいなと思った。
    順に話し合いで謎が解き明かされていく中でそれぞれが抱えているものが顕になっていくのは辛い部分もあった。
    ただ、この話し合いで思いとどまることになったのは良かったと思いつつ、それぞれの闇はそのままなのはなんとも言えない気持ちになった

  • 「もったいぶってないでさっさと結論言えよ」って何度も思ったし「話が進まんだろちょっと黙れ」ってイライラして、自分が十四人目になったみたいだった笑 登場人物覚えられるかなって心配したけどみんなしっかり個性があって問題なかったし最後はハッピーエンド?で面白かった。

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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