十二人の死にたい子どもたち (文春文庫 う 36-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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  • / ISBN・EAN: 9784167911508

感想・レビュー・書評

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  • みんな、自殺しにきたんでしょ。
    何みんなして何時間も話し合ってるの?という感じ。だけど不思議と引き込まれて読めてしまった。

    映画化されているのは知っていたので、読み終わってからキャストを確認したらめちゃくちゃ豪華だった。
    しかもそれぞれのイメージにぴったりだし。
    これは遅ればせながら映画も見なくては。

    12人出てくるが、それぞれのキャラクターがしっかりしているのであまり混同する事なく読むことができた。
    オチも良かった。
    今の時代、こういう集まりにネットで簡単に参加できてしまう。あり得ない話ではないなと思った。

  • 「自殺サイト」をきっかけに廃病院に集まってきた12人の少年少女達。
    その集いの場に紛れ込んだ13番目の少年。
    彼はすでに死んでいるようだった。
    予期しない13番目の存在が彼らの安楽死の計画に不安感を持たせる。
    なぜ、その少年が集いの場に存在するのか。
    自分達の全員一致の集団自殺の目的を果たすため、彼らは、各自の自死への根拠、13番目の少年への関わりの議論を始める。
    死を望む状況はそれぞれ。
    性格も十二人十二色。
    死を考える前に語り合うこと。
    人の意見を聞くこと。
    人との繋がりがはじまること。
    ミステリー部分は、彼らの繋がりを作るきっかけにすぎないけれど、十二人の子供達の将来が続くことになるという結末は、悩める同世代読者に読んでいただきたいです。

  • 十二人の子どもたちが集団自殺のため、廃病院に集まる。そこには十三人目が横たわっていた。自殺か他殺か?

    十二人がそれぞれすごく個性的で、話し合いの中で語られる考えや自殺の動機にのめり込んで読んでしまいました。どんな理由であれ、周りの環境に振り回され、安楽死を一人で決断したことが悲しい。

    議論が進む中で、自分を振り返りそれぞれに関係性ができ、一気に議論は進み、ラストはスッキリ読むことができました。
    映画でもみてみたいなぁ

    • 栞さん
      ピザまんさん、こんばんは。
      映画で観たことあるような。。と思ったら、やっぱりそうでした!
      でもラスト覚えてない(¯―¯٥)
      本を読んでみます...
      ピザまんさん、こんばんは。
      映画で観たことあるような。。と思ったら、やっぱりそうでした!
      でもラスト覚えてない(¯―¯٥)
      本を読んでみます。
      2024/01/05
  • ネット上のホームページに導かれて、廃病院に集まった十二人の少年少女。初対面の彼らの目的は全員で「安楽死」をすること。だが、決行するための地下室にはすでに一人の少年が横たわっていた。彼は、自殺か、他殺か、そもそも誰なのか。少年少女たちは不測の事態に際し、この集いの原則「全員一致」に従い話し合いを始める──!


    買ってから長く読むのが怖くて積んでいた本でした。
    やはり読んでいて苦しかった
    子供が死にたいんだからね…。
    苦しいのに、謎が全く解けずに先へ先へと読み進めて行きました。
    難しかったし、最初の方は誰が誰かわからくて大変だったし、何だかこの子はどうしていつもこんなんだろう…嫌だな
    とか、好き嫌いを思ってしまった
    またそんな自分が嫌になったり
    複雑な気持ちで読んでいました。

    これだけの謎?ストーリー凄い
    また深く深く考えさせられました
    考え続けなきゃいけないと思っています

  • 冲方丁氏の小説は『マルドゥック』シリーズは全部読んでいるのだが、他の小説を読んだのは初めてかもしれない。
    結論的に言うと、非常に楽しめた小説だった。

    あらすじ的には、安楽死を望む12人の少年少女たちが廃病院に集まり、一緒に決行しようとするのだが、そこには既に少年1人の遺体があり、12名の少年少女たちはその亡くなった少年をそのまま放置して安楽死を決行するか、他の方法を取るか、その都度採決をして決めていくという話である。

    『12人』『採決』というと、往年の名画『十二人の怒れる男』を思い出さない訳にはいかない。映画『十二人の怒れる男』はアメリカの裁判で陪審員12名が被告人を有罪とするか無罪とするか全員一致で裁決するという状況を映画化したものであるが、有罪を主張する陪審員11名と無罪を主張する1名という最初の評決から、徐々に無罪を主張するヘンリー・フォンダ演じる陪審員8番が、裁判で取り上げられた証拠の矛盾点を一つ一つ取り上げていき、他の陪審員を説得していくという法廷劇である。映画の場面のほとんどが陪審員控え室だけで撮影されているこの映画を見て、僕も子供心に『なんじゃこりゃ』と思いながらも、その面白さに引き込まれた記憶がある。

    この『12人の死にたい子供たち』は、この名画『十二人の怒れる男』へのオマージュであることは間違いないのだが、ふと、読みながら
      今から死のうとしている子供たちが、そんな細かいこと気にするかな
    ということだった。
    この疑問は本書を読みすすめるにつれ分かっていくのだが、12人それぞれの過去が明らかになっていき、そして、13人目の少年の謎が徐々に解き明かされるにつれ、この小説の言わんとしていることが明らかになっていく。

    本書は、堤幸彦監督によって映画化されたようだが、僕はまだ見ていない。
    やはり、同じ場所で同じ境遇の子供たちが12人も登場すると、
       あれ?これって誰だっけ?どんな背景持ってる子だっけ?
    ってなってしまう。(←それは僕の読み込み方が浅すぎるだけかw)
    これが映像だと、そういった部分はなくなるので良いのかもしれない。

    しかしながら、後半にいくにつれ、登場人物の色合いが分かりやすくなり、物語に引き込まれてくる。
    そして、このさわやかな読後感は、非常に良かった。

    『死にたい子供たち』の物語なので、この本に出てくる子供は、
      親からの虐待
      不治の病に冒された子供
      いじめ問題を抱えた子
    などそれぞれであるが、病気は致し方ないとしても、それ以外は周りのサポートや対処により自殺などを考えなくても良いのだということに読者は気づくことになるのだ。
    ある意味、この本はエンターテインメント小説ではありながらも、鋭く社会をえぐった社会派小説でもあるのだ。

    • やまさん
      kazzu008さん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      いますごく降っています。
      いつ止むことやら。
      やま
      kazzu008さん
      こんばんは。
      いいね!有難うございます。
      いますごく降っています。
      いつ止むことやら。
      やま
      2019/11/22
    • hs19501112さん
      「十二人の怒れる男たち」をオマージュした邦画を昔観たことを思い出しました。

      ブレイク前の三谷幸喜の作品で
      やはり「愛していると…」前...
      「十二人の怒れる男たち」をオマージュした邦画を昔観たことを思い出しました。

      ブレイク前の三谷幸喜の作品で
      やはり「愛していると…」前の豊川悦司さんが主要キャラを演じていた半コメディ映画です。

      ご存じだったりしますか?

      タイトルの詳細は失念してしまったのですが

      やはり「十二人の」というワードは使われていたかと。
      2020/12/06
    • kazzu008さん
      hs19501112さん。こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      おっしゃっている映画はたぶん『12人の優しい日本人』ですね。...
      hs19501112さん。こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      おっしゃっている映画はたぶん『12人の優しい日本人』ですね。
      すごく気になった映画で、裁判員制度がまだなかった日本では話題になったという記憶があったのですが、実はまだ見たことがありません。

      それにしても日本では裁判員制度もあまり根付かないですよね。
      たぶん日本人は、政治なり、裁判なりを「自分よりも偉い人がちゃんと決めること」であるという意識が強くて、「自分たちのような普通の庶民が物事を決める」ということに歴史的にも慣れていないからなんでしょうね。

      このあたりはやはり歴史的に王政や立法府を民衆の手で打ち壊したという経験のあるヨーロッパ諸国に一日の長があるのだと思いますね。

      2020/12/06
  • 廃病院に次々と現れる子どもたち。
    安楽死のための集いが、思わぬ出来事により、紛糾していく。

    定期的に決を採りながら、議論を進める参加者たち。
    『十二人の怒れる男』『十二人の優しい日本人』同様、12人の意見はだんだんと変わっていく。

    情報が集まり、推理と議論の活発化する後半が、おもしろかった。
    推理と議論を楽しむためのミステリ。

  • 映画化された作品で映画を見た後に読んだので、話は分かっていましたが面白かったです。
    登場人物が多いので最初は名前と番号を確認しながら読んでいましたが、その内把握出来てきたらスラスラ読めました。
    共感出来ない話も多々有りますが、死ぬ選択肢をする理由は人によって全然違うものなのかも。
    読み終わった後にもう一度冒頭の番号札を取るシーンを読み返してみました。
    死をテーマにした話ですが、読み終わった後は生まれ変わったような感覚が残る作品だと思いました。
    今年1年の読み納め本がこの本になって良かったな。

  • 死にたい気持ちはどうして生まれるのだろうか。

    死にたい。という人は多い。
    私が思うに死を根本に望む人はそんなにいないのではないか。だって怖いし。
    一般的な死にたいは病の一種としてそういう風な思考になってしまう状態の時もある。また生きている状況的に死ぬしかない、死ぬ方が楽である。という考えからでてくるかもしれない。
    死ぬことが目的で死ぬ、変な言い方になるかもだが苦痛を回避するために死を選ぶのではないか。

    本当は皆んな幸せに生きたいはずである。幸せの尺度は人それぞれだが。

    作中それぞれの登場人物が死を共通点としてお互いに同じ時間を過ごすことで改めて死について話すことで何かを感じとっていくのではないだろうか。
    死にたいって誰かに話したかった。

  • 死にたい理由に限らず、それぞれ誰もが考えてる事はなかなか他人からは理解して貰えない。伝え方も表現の仕方もそれぞれだから、考えてる事が正しく伝わらない事もある。
    だから一方的に、他人の考えを否定することなく、自分の考えを押し切らなければ、その柔軟性から新しい道が開かれる…事も ある。
    私自身の気持ちが落ちてる時に読んだから更にネガティブになったんだけど…
    最後まで読んたら、何も解決した訳じゃなくても、それでもいいか!って思えたから良かった笑

  • いやー、面白かった!平日の夜なのに読了したら午前3時。引き込まれて450ページを一気に読み切ってしまった。

    物語のあらすじは、以下の通り。
    いわゆる集団自殺のお話。ネットで知り合った12人の自殺希望者が集まるのだけど、会場には既に1人の死体があり、13人目はいったい一体誰なのか...というところから話が進んでいく。

    まず12人の書き分けが非常に上手いので、キャラクターの把握は難しくなかった。章毎に主観のキャラクターが変わっていくのも構成としてグッド。だんだんと手の内や考え方が明らかになっていくのが良かった。

    そして面白いのは、12人が全会一致のルールを守り抜くところ。13人目の死体を前にしても、このまま自殺を決行するかどうかを話し合う。
    議題は徐々に、いったい誰が殺したのか、どのような経緯があったのかと移行していく。と、同時に12人の過去や死にたい理由が明らかになっていく。
    複雑な立場や思惑が絡まりつつも、彼らは話し合って決を取っていく。それが物語に緩急をつけて飽きさせない。

    全ての真相は終盤で明かされるのだけど、自殺を決行するかどうかは最後まで論議にかけられる。
    全てのキャラクターの主観を体験した読者は、その時点で驚くほど没入しているし、物語の決着に向けて最後まで惹きつけられる。

    ネタバレ抜きで結末への感想を述べるなら、全員が満足な結末になって良かったし、それが爽やかとも言える読後感に繋がっている。

    あと、外の世界から隔絶された廃病院という設定も良い。箱の中に密閉された緊迫感が非常に良かった。

    ワケありな子ども達が非日常の世界で救いに出会う様は、辻村深月の「かがみの孤城」ぽくもあった。


    個人的には、過激思想家のアンリに完全論破された性悪メイコがわなわな泣き出すシーンが一番熱かったw

    映画化が決まっているとのことで、今から楽しみ。単なる新人俳優のお披露目会みたいにならなければ、面白い映画になるかもね

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著者プロフィール

1977年岐阜県生まれ。1996年『黒い季節』で角川スニーカー大賞金賞を受賞しデビュー。2003年『マルドゥック・スクランブル』で第24回日本SF大賞、2010年『天地明察』で第31回吉川英治文学新人賞、第7回本屋大賞、第4回舟橋聖一文学賞、第7回北東文学賞、2012年『光圀伝』で第3回山田風太郎賞を受賞。主な著書に『十二人の死にたい子どもたち』『戦の国』『剣樹抄』『麒麟児』『アクティベイター』などがある。

「2022年 『骨灰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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