- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167911751
作品紹介・あらすじ
私は、よく娼婦の顔をしていると言われる。今までに、ホステスを含めた何種類かの職業を経験したという話をすると、「もしかしてあれも?」と売春をほのめかした聞き方をよくされるのだ。十六歳で家出して、野宿から始めた生活ではあったが、ぜったいに売春だけはしなかったのに。ところが、私は思い出した。十五歳のとき、私は娼婦だったのだ。売春宿のおかみは私の実母で、ただ一人の客は私の育ての父だった……。養父との関係に苦しむ多感で早熟な少女の怒りと哀しみと性を淡々と綴り、読む者の心を揺さぶった自伝的小説。衝撃の出版から25年、著者が凄絶な過去を公表し、生身をさらして生きることで、性的虐待の後遺症に苦しむ女性たちに「me,too」と精神科医を受診する勇気を与えたという。解説は、当時「被害当事者側から書かれた貴重な作品」と評価した精神科医の斎藤学氏。25年後のあとがきがついた、完全版で登場!
感想・レビュー・書評
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内容が、ハードなのに、サラッと書き上げている印象。
それじゃないと、とても、最後まで、読めないかも。
それくらい、壮絶な人生…。
自叙伝。
続編が、あるらしく、是非読みたいと思っています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
つい最近、実の娘に性的暴行をしていた父親が無罪になり物議をかもす、といった事件がありましたが、その先駆けとして『ファザーファッカー』という小説があったなと読んでみました。
1995年公開の映画版を見ているのでわりと軽い気持ちで読み始めたら、これがとても重かった。(思えば映画はだいぶコミカルに作られていた。ゲスト出演していた内田春菊本人が本当に「娼婦のような顔」をしていたことが印象に残っている。)
養父に性的虐待を受ける以前に彼女は暴力や脅し、日常生活での監視などの虐待を散々受けており、それを母親は守ってくれないどころか、見逃すでもなく、父親の言いなりだった。これが16歳まで続くのである。
1993年の刊行当時は血のつながらない養父とはいえ、父親が娘を手にかけるという事実すら衝撃的だった。(内田春菊のインタビューには「本当にあったことなんですか」と何度も聞かれたという)。もちろん隠蔽されてしまっているだけで当時も今も事実として被害にあっている人たちはいるのだが。
これを衝撃的告白でなく、文学の域にまでもっていっているところが内田春菊のすごいところ。父親以上に母親が怖いので、『ダンシング・マザー』も余力のありそうなときに読んでみたい。
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自伝的小説。養父に性的虐待を受けて育った女の話。
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とても文章が巧くハードな内容なのにスルスルと読めてしまう。これだけの壮絶な体験をしながらよく生き抜いてこられたと思う。表に出にくい性虐待の真相を白日のもとにさらしたという点でも大変価値のある作品だと思う。
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こんな家庭に生まれていたら私は五十人格くらいになっていたか、生きていられなかったかも知れない。今を知らなければまた違うのだろうか?
でも似た状況に置かれている子供は少なくないだろうし、それを知ることが出来る、と言う面では読んでよかったと思えた。
まあ、読んでいて終始気が狂いそうだったけど、幸せな事に自分とは無縁の出来事ばかりだからだった。
最近『嫌われる勇気』を読んだが、あの本によると、
・辛い過去があるから今の自分がある
ではなく、
・今の自分であることを正当化するために過去の自分を自身が必要としている
と言う考え方になる
やっぱり嫌われる勇気と言う本はキツい本だったな
ファザーファッカー、もう言葉にならないな
胸糞悪く希望を求めて3時間ほどで一気に読み終えたが、最後まで静子の前に進む力のみであった。絶望の中で自ら光を作り出すと言う感じだった。切なすぎる。 -
後味の悪い感じ。深いのかもしれないがわからなかった。自叙伝?怖い。
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暗くて重い内容なのに、内田春菊さんの凛としてあてどこか冷静な書きぶりがかっこいいと思う。性的虐待とDVの凄惨な実態が書かれているがラストシーンが特に最高。お金を握り締めて家を出ていく少女の姿を頭に思い浮かべて、自由になった爽快感が駆け巡りました。母にこういう風に当てつけを言われたというクドイ描写もありますが、親にちゃんと愛されたかったと言う気持ちはあって当然と思うので、仕方がないと思った。傑作
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胸糞・・・orz
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自叙伝的な小説。
読んでて、とにかく辛かった。
暴力をふるう養父、それを黙認している母。
信じられない。
長年読みたいと思ってきた小説だけど、読後はどんよりした気持ちに。
でも続編も読みたい。