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Amazon.co.jp ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784167911812
作品紹介・あらすじ
『狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ』著者が見た、激しすぎる作家たち。
恋の時間、結婚の時間、そして死までを深堀りし、作品に新たな光をあてる。(解説 永田和宏)
目次
1 小林多喜二――恋と闘争
一度も関係をもたぬまま、借金を抱えた酌婦から身請けし、「闇があるから光がある」と恋文を送るほど愛したタキ。だが彼女は、自分は多喜二にふさわしくないと求婚を拒み、表に出なかった。若くして非業の死を遂げた作家と「永遠の恋人」。
2 近松秋江――「情痴」の人
愛欲の愚かさを描き尽くし、「情痴作家」と呼ばれた最後の文士。「あたしなどは人間の屑だ」。現代ならストーカーと呼ばれかねない女性への恋着を描き、正宗白鳥とは私娼を奪いあう。晩年に失明した秋江の棺に入れられた女性の写真とは。
3 三浦綾子――「氷点」と夫婦のきずな
敗戦の価値観の転換で、虚無に捉えられた綾子。二人の男性と婚約破棄。結核、そして自死の企て――絶望の果てで見出した光は、幼馴染みのクリスチャンの男性だった。彼もまた結核に倒れるが、その不思議な縁で作家人生を支える夫と巡り合う。
4 中島敦――ぬくもりを求めて
「男一匹頭をさげてのお願ひでございます」。「山月記」の硬質な文体とはほど遠い必死さで、恋した女を譲ってくれと、その許婚に手紙を書いた。母の愛を知らずに育った男が求めたタカは、無償の愛を注いでくれる存在だった。三十三歳の死のその日まで。
5 原民喜――「死と愛と孤独」の自画像
終戦の前年に妻に先立たれ、広島で被爆。この世にひとり残されて、「夏の花」の作家の心は半ば死の側にあった。中央線で自死するまでの、荒涼とした晩年を癒したのは、無垢な少女との出会いだった。「キセキダ、キセキダネー。アノヒトニアッタノハ」。
6 鈴木しづ子――性と生のうたびと
「夏みかん酸つぱしいまさら純潔など」――美貌で知られ、性愛を大胆に歌い、「情痴俳人」と呼ばれて戦後を駆け抜けたしづ子。戦時下に待ち続けた恋人は帰らず、黒人兵の恋人もまた命を落とす。三三歳で消息を絶つまでの句に込めた真情。
7 梶井基次郎――夭折作家の恋
妻帯せず、恋人も持たず、女性との交情を小説に描くこともなく、「檸檬」など独特の作品世界を作り上げて早世した梶井は、宇野千代に烈しい情熱を抱き、当時の夫・尾崎士郎と〝決闘〟した。千代が二人の内実を永遠に明かさなかった理由は。
8 中城ふみ子――恋と死のうた
川端康成が序文を寄せ、中井英夫が編んだ歌集『乳房喪失』はセンセーションを巻き起こした。恋多き女として知られ、乳癌の死の床にあっても年下の男性を虜にしたふみ子。中井英夫との往復書簡には、短歌の美を追求する魂の共鳴があった。
9 寺田寅彦――三人の妻
ひとりで逝った最初の妻、夏子。十八と十四で結婚し、結核のため隔離されたまま娘を産んで亡くなった。
みんなの感想まとめ
恋と死、そして文学の交錯を描いたこの作品は、著名な作家たちの知られざる側面を掘り下げ、彼らの人間味あふれる愛情や苦悩を浮き彫りにします。各作家の短いエピソードを通じて、恋愛に費やされるエネルギーやその...
感想・レビュー・書評
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原民喜が可愛い。キュンとした。
全体的に、底知れぬ夫婦愛を感じてほっこりする。
文豪達の知られざる一面を知り、また違った小説の読み方ができそう。 -
作品を読んだことのある人、作品を読んではいないが名前や代表作は知っている人の中、唯一知らなかったのが近松秋江。ちょっと前の日本の私小説作家というと葛西善蔵とか貧困を赤裸々に描く人が多い印象だったが、この人は妻や恋人に対し、ストーカー行為を繰り返し、それを小説として書いたというんだからたまげた。
現代だったらちょっとあり得ない。女性のプライバシーや人権に全く配慮してないし。(この時代の男は大抵そうだっただろうけど。)愛というより、妄執。田山花袋なんかもそうだけど、気持ち悪い。しかし、男子たるもの、という考えが当たり前だった時代に、妻に逃げられて追いかけ回して愛想つかされてというのを書いて、「滑稽だが、ただ嘲笑して済ませることのできない切実さがある」(p42)というのだから読んでみたくなる。
全体的には、男たちは本当に勝手で、八木重吉なんか、(昔はそのピュアな詩が好きだったが)あきれた。家庭教師した少女に夢中になって、相手が困惑するほどの熱烈なラブレターを送り続け、学校もやめさせて結婚したのに、今度はキリスト教に夢中になって(夢中になると他のものは何も見えなくなる人であったようで)「つまよ、ひとりの児よ、このようにくれ、またあしたをむかへる これだけが いのちの あぢわひなのか」なんて、勝手極まりない。無理やり結婚したくせに!
吉野せいの夫、三野混沌もそう。猛烈にアタックして結婚したくせに、結婚したら自分は文学をするからって農作業も子育ても丸投げ。しかも、彼女には文才があったのに、そのことは歯牙にもかけない。封印。俺の文学は大事だが妻の才能はどうでもいい。混沌を亡くしてすでに70歳を過ぎてから、やっと書くことができたのが名作『洟をたらした神』。しかし、それで彼女の命も尽きた。もし彼女がもっと若いときから書いていたら。
ま、自分の作品は忘れられてるのに、妻の作品は今も読まれていることを知って、混沌は泉下で地団駄踏んでるだろうよ。
性愛を詠んで「情痴俳人」「娼婦俳人」と呼ばれた鈴木しづ子、恋も知らぬまま19で結婚させられ三人の子を産み、不貞の夫と別れて恋の歌った歌人中城ふみ子も「やすやすと堕ちる」女と言われる。
才能があり、当時の状況からしたらすごい度胸もあった彼女たちに対する(男)社会の扱いはひどいもので、胸が痛む。
作家や詩人、歌人、俳人たちの恋愛をテーマにした本書は、一昔前の才能ある女性の生きづらさが胸に刺さる。
寺田寅彦の妻たち、特に三人目の志んなんか(当時は悪妻と言われていた)、現代に生きていたら、のびのびとその能力を活かせたのではないかと思う。
いろいろ考えさせられる、興味の尽きない本だった。 -
三浦綾子をもう一度色々読み直したい。
原民喜と寺田寅彦も -
人が恋愛に費やすエネルギーは、やはり大きい。しかもそこに人間としての美しさも醜さも、ひっくるめて現れてくるから、ひとりの作家につき、20頁ほどの少ない分量で描かれていながら、その中で彼ら作家の魅力が最大限に引き出されているのだと思う。なぜなら未読の作家の作品を悉く読みたくなったもの。女性の強かさ。
-
書かれたものにも、書かれなかったものにも、言葉にしなかったことにも、想いは詰まっているのだなあ、と思う。
中井英夫と八木重吉と、吉野せいに俄然興味が湧いた。 -
超有名どころから、知る人ぞ知るという人まで、
様々だが、どの文学者も強烈な生き様で
圧倒される。
それぞれの作品への興味もかき立てられた。
吉野せい、宮柊二など、ぜひ読もうと
思った。 -
【『狂うひと――「死の棘」の妻・島尾ミホ』に続く文学史】秘められた恋、ストーカー的熱情、夫婦の愛憎――小林多喜二、三浦綾子、中島敦、原民喜、中城ふみ子、寺田寅彦ら十二の作家の物語。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
梯久美子の作品
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感想 :

しみじみとした良作のようですね。
私だったら寺田寅彦さんは何としても読みたいです。
あとは吉野せいさん...
しみじみとした良作のようですね。
私だったら寺田寅彦さんは何としても読みたいです。
あとは吉野せいさん。お二人がとても好きです。
寺田さんは青空文庫で読めますが、吉野せいさんは入っていません。うーむ・・
この本を読みなさいってことかしら・笑
読みたい本が続々と登場して、忙しいことですね。
今年もどうぞよろしくお願いします。
コメントありがとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。(__)
この本では、私...
コメントありがとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いします。(__)
この本では、私は知らなかった、作家、詩人、歌人を知ることができました。
良作でした。
吉野せいさんは、本のタイトルは聞いたことがあったのですが、お名前は知らず、読めるかどうかは別として、予約しました。
他は原民喜さん、あとこの本の著者の梯久美子さんの別の作品も読んでみたいとは思っています。寺田寅彦さんはお名前と経歴は少し知っていましたが、理系の方の作品は難しそうな気がしています。