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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784167911898
作品紹介・あらすじ
絢爛豪華たる安土桃山文化の主座をしめていた茶の湯。その文化を創出した男・千利休と現世の支配者となった豊臣秀吉との相克は、利休が秀吉に切腹を命じられたことによって終わりを告げた。果たしてこの争いの裏には何が隠されていたのか――。
6章からなる物語の大半は、利休の高弟だった、牧村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川三斎(忠興)らが、視点人物として置かれている。
大陸への進出に失敗し、自らの功績を能の謡曲にして、それを演じることにのめり込んでいく秀吉の姿にはじまり、弟子たち個々の人生と利休とのかかわりを描くことで、徐々に利休の死の真相に迫っていく。
著者は、秀吉を「野心と自己顕示欲が極めて旺盛な人物。そのやろうとしたことは信長の模倣にすぎない」と分析する。一方、黄金の茶室を自ら作った芸術センスを「秀吉は独自の侘びを発見した」と評す。そこから利休との対立が発生し、さらに関係が悪化していく過程にも、新たな解釈で斬り込んでいく。
第155回直木賞候補作。
解説は永青文庫副館長の橋本麻里氏。
感想・レビュー・書評
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読む順番が逆になってしまったが、今年の新刊『茶聖』より5年前に、伊東潤さんが千利休を描いたのがこの『天下人の茶』である。
『茶聖』が利休の内面をおもに描いているのとは対照的に、本作は高弟らから見た利休像が、短編連作の形で描かれていく。
各短編では利休の死の謎が異なる角度から描かれ、最後まで読むと謎解きがなされるという構成。
『茶聖』と『天下人の茶』を併読すると、利休をめぐる同じ出来事が描かれていながら、異なる角度から光が当てられていることに感心する。
そして、重複している描写・文章は皆無なのに、両作品をつらぬく思想やテーマは共通なのである。
各編とも面白いが、個人的には古田織部が主人公の「ひつみて候」がいちばん気に入った。
橋本麻里の解説も秀逸。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「茶聖」を読む前に、同じ著者の利休ものということで読んでみた。利休は政治にどう関わったのか、利休の思惑とは一体何だったのか。利休高弟の竹村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川三斎(忠興)に、茶の湯を通した利休との関わりを語らせた連作短編。
利休は「茶の湯によって、戦国の世を終わらせようとし」、そのため秀吉や弟子たちを上手く操った、というのが本作の筋書きだったが…。「茶聖」ではどう描かれているのだろう? -
利休の切腹というのは、諸説語られるこの時代の謎の一つと思うが、本作は利休の弟子を横串にして描かれている。本作のストーリーとは全く関係ないが、こういった構図でみたら、土地に代わり茶と茶器が出世手柄の世となり、有力武将も弟子に持つ利休の下剋上を秀吉が恐れた、なんてこともあるかなと勝手に思いを巡らせた。
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茶道というと心を無にし、落ち着いた品のいい和室でゆるりとお茶を嗜む、みたいな上品で洗練されたイメージがありました。
なので、千利休が出てくるこの小説と、伊東潤さんの豪気な筆勢や作風とのイメージが読む前は結び付きませんでした。
しかし、いざ読んでみると戦国時代の茶道とは、いかに熾烈なものだったのかを、ひしひしと感じます。
利休七哲と称される利休の弟子であった武将たちを通して語られる、利休の人と生き方。そしてそれぞれの武将の生涯。
織田信長や豊臣秀吉が茶道に熱心だったということは、知識として知っていたものの、それでも戦国武将と茶道のイメージはこれまであまり強くありませんでした。
それでもこの『天下人の茶』を読むと、武将たちがなぜ茶道に憑りつかれたのかが伝わってくる。
茶の器に人生を垣間見たもの。茶の湯を通して独裁者となった秀吉を葬ろうとしたもの。芸術、そして政治の道具となった茶道に対しての決意。それぞれの苛烈な生き方や感情が、茶道を通して立ち現れてくる。
それと並行して語られていくのが、豊臣秀吉と千利休の対立。なぜ秀吉は重用していた千利休に対し、最後には切腹を迫るまでの不和に至ったのか。
千利休が真に追い求めたものと、恐れたもの。秀吉とのいびつな関係性の正体。そして小説内で語られる千利休の真の姿。
大胆な歴史解釈は、それぞれの短編の迫力と面白さを収斂させ、史実に全く違う光を映し出します。
それぞれの短編で語られる武将たち生き様、そして大胆な秀吉と千利休の関係性の謎に対する答え。歴史小説として、そしてある意味歴史ミステリとしても面白く読めた一冊でした。 -
歴史小説はある種、推理小説でもある。利休が秀吉に切腹を命じられるに至る経緯がミステリーのように描かれている。
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どうして、戦国時代に茶の湯が盛んになったのか?
天下人と茶聖の対立とその結果。
歴史小説って、推理小説でもあるのね。
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「茶聖」千利休と「関白」秀吉との話しが、短編を紡いで描かれて、最後に利休の死の真相がなんと!!ビックリ!引き込まれるかのように一気読みしました(^^)
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利休の高弟を主人公にした連作短篇集。
それぞれが独立した物語となっているものの、
最終話で見事に収斂してゆく構成となっている。
そして、そこで明かされる利休の謀略というのが、
なかなか大胆なもので、史実解釈として、
こういう考え方もありうるのか、と思った。
それにリアリティがあるかどうかは別として、
なぜ利休は死ななければならなかったのか、
という問いに対するひとつの答えではないか。 -
利休の編み出した「侘数寄」の精神は、美の世界を支配した。
牧村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川忠興という利休七哲に数えられる高弟たちによって語られる、利休と秀吉との相剋。
弟子たちの生涯から、利休の求めた理想の茶の湯と、その死の真相に迫っていく。 -
從利休的好幾個徒弟的角度來寫利休和他的茶,以及和秀及之間的關係。是一本還算蠻有趣的小品。
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絢爛豪華な安土桃山文化の主座をしめていた茶の湯。そんな文化を創出した千利休と現世の支配者となった豊臣秀吉。二人の相剋を描く。
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フィクションなんでしょうけど、なるほどなあそんなこともあるかもなあすごいなあ、と作家というのはいろいろなことを考えつくものだと感心いたしました。おもしろかったです。利休ものはたくさんあるけれど、利休本人にはあまり語らせずにその考えをあぶりだしていくという手法が面白いです。最後のほうではどうにもがまんできなくなって利休が話してしまいましたけどね。
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【第一五五回直木賞候補作!】絢爛豪華な安土桃山文化の主座をしめていた茶の湯。その文化を創出した千利休と現世の支配者となった豊臣秀吉との相克の裏を描く。
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利休とは戦国大名、取り分け、秀吉にとってはどの様な存在であったのだろうか。
改めて、考えさせられた連作でした。
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