日本史の探偵手帳 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167912161

感想・レビュー・書評

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  • 著者は最近はマスコミに売れに売れ、毎週どこかのテレビ局に出演している影響で堕落したのか、出版される本は、新聞の連載で書き散らしたものを集めた雑文が読き、同じ歴史学者の本郷和人の方がじっくりと読ませるような感じがしていた。
    しかしこの本は、最近としてはやっとまともな姿に戻った感じがした。

    面白かったのは、「江戸から読み解く日本の構造」で、中国の科挙と日本の世襲(宗族と小家族)との比較でその弊害を見ると、どっちもどっちという感じがした。
    日本では1000年も続いた武士の時代の後に、最後の300年で世襲制が完成された。このシステムを著者は、信長・秀吉・家康が完成させた「濃尾システム」と呼んでいる。
    そういう意味で、明治政府が、身分制度(つまり世襲制)を廃止して大量の武士の失業者を出すのが、分かっていたにもかかわらず、これを実行した(暫くは藩閥政治が残ったとしても)のは、凄いことだと思うし、よく明治政府が持ちこたえたものだ。
    しかし1000年の武士の時代に対して、現代の非武士社会はまだ150年しか経っていない。「経路依存」という経済学の考え方は、日本では経済だけでなく制度としての日本史に根強く残っていると著者はいう。

    また「元禄時代のリフレ政策」も面白い。
    日銀黒田総裁のリフレ政策から説き起こし、過去の日銀の体質や、元禄時代のデフレ派の新井白石と対立して、最後には失脚させられたリフレ派の勘定奉行・荻原重秀の話も面白かった。
    荻原は「通貨は発行する国家への信頼が強力であれば、たとえ瓦礫で造っても通用させることが出来る」と、時代を超越した通貨思想を持っていた。惜しむらくは、彼はその超絶した経済思想を文字に残さず、最後には「自分には非がない」と、食を絶ち壮絶な餓死を遂げたとされている。
    経済史が語られる場合にも、新井白石や松平定信が「清廉潔白な正義者」であって、彼らと対立した荻原重秀や田沼意次はわいろにまみれた「経済通の悪者」としてのイメージが焼き付けられ、日本ではリフレ政策をやった人間が終わりをまっとうしたことが少ないという。
    ・・・等々、久々に楽しい読書が出来た。

  • 磯田節絶好調。
    最終ページまで飽きさせず、歴史のおもしろさ縦横無尽に伝えてくれます。

    そこで、要望ひとつ。
    宗久翁相場全集を現代語にして出版してほしいな。

    巻末の100冊紹介はうれしい。読んでみようとおもいます。

  • 深い、深いなあ、磯田さんの蘊蓄は。感動しました。

    100冊推薦の最後のところでいきなり出てきた奇本。
    読みたい。

  • さすが、著者!歴史の教科書では知ることのない江戸時代の経済政策や投資の金言など、現代でも通用する知識が江戸時代にもある教えてくれる。

  • 大好きな磯田先生が日本史探偵の手帳を公開するように江戸時代の隕石落下、美容整形の発祥とはなどを。歴史を暗記物から自己の判断材料に役立つよう学ぼうと。

  • 後で、内容整理のこと

  • ノーベル賞のダグラス・ノースは経済制度は前の制度の道筋にとらわれながらしか、発展できない、、、としている。日本は1000年もの長い間武士のじだいであった。非武士の時代が150年。

    一口に武士と言っても、その様相気風はだいぶ変遷があった。初めは、来いと言ってもなかなか来てくれないのが武士(家来)であった。が火縄銃が開発されてから、戦いの戦略がかわり、武士の関係性も変わっていった。

    日本の始まりから、現在に至るまで日本と日本人を知る古文書やそれから編集されて本になったものまで、順に読むべき書籍を紹介しながら時代を追う。

  • 歴史に名高い武田軍団であるとか、海道一の弓取りと言われた家康が、なぜ強かったのか。あるいは日本一の兵、真田幸村はどのようにその知性を高めたのか。古文書から読み解かれる日本の教育システムは刺激的だった。人がどう育てられたのか。どんな集団が強かったのか。まぁ、やっぱりどのように人を育てるというのは大事なんだね。

    後半、雑多な印象もあったけど、くノ一とか美容整形とか、歴史の流れ以外の場面も知ることができて面白かった。

  • 国家と言うものは古今東西、民のおこたりには厳しいが、法権力を握っている自分たちの怠りには甘い ノーベル経済学賞を受賞したD・ノースは、取引費用が大きな社会では、経済取引そのものが不活発になり経済発展が阻害されると看破した 日本社会は安定しているときには所属や世襲の原理になりやすいが、一旦、動き始め変革期に入ると、実力主義・能力主義に急に向かう 教育といっても、生活と出世のためだけにする勉強は、人を幸せにしない 墓石は永遠の象徴である

  • <目次>
    第1章  中世の武士と近世の武士の違い
    第2章  歴史を動かす英才教育
    第3章  古文書を旅する
    第4章  歴史を読む

    <内容>
    古文書を縦横無尽に読み解く磯田先生らしい本。いろいろな雑誌の投稿をまとめたもので、文春文庫オリジナル。

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著者プロフィール

磯田道史(いそだ みちふみ)
1970年、岡山県生まれの研究者。茨城大学、静岡文化芸術大学などを経て、国際日本文化研究センター准教授。専攻は日本近世・近代史・日本社会経済史。
実家は備中鴨方藩重臣の家系で、古文書が豊富にあった。高校生のとき実家と岡山県立図書館の古文書を解読している。京都府立大学文学部史学科、慶應義塾大学文学部史学科を経て、慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。「近世大名家臣団の社会構造」で史学博士号取得。
2003年刊行の『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』が第2回新潮ドキュメント賞を受賞し、2010年森田芳光監督により『武士の家計簿』のタイトルで映画化し大ヒット。2015年には『天災から日本史を読みなおす』で第63回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。その他代表作に『日本史の内幕』などがあり、多くの新書がヒット作となっている。

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