王朝懶夢譚 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2019年2月8日発売)
3.14
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784167912277

作品紹介・あらすじ

田辺聖子さんの王朝シリーズ第5弾は、あやかし者の力を借りてドラマティッ

クな恋を求める姫君とやんちゃな妖怪たちの王朝ファンタジーです。



時は平安。東宮妃として入内を待つ内大臣の娘・月冴。

ところが入内が近くなった矢先に東宮は急死。新東宮となった弟宮はまだ幼く、

入内は十年先送りになってしまう。

邸に閉じこもり鬱々としている月冴の前に天狗や化狐が現れて……。



解説は、「摩利と新吾」「アンジェリク」「夢の碑」シリーズなどで少女漫画

界を牽引してきた木原敏江さん。歴史と古典に精通した木原さんの解説で、物

語の世界が深く大きく広がります。

みんなの感想まとめ

平安時代を舞台にしたこの物語は、内大臣の娘・月冴が入内を待ちながら、様々なあやかしたちと出会い、ドラマティックな恋を繰り広げる王朝ファンタジーです。月冴の心の葛藤や成長が描かれ、彼女の前に現れる天狗や...

感想・レビュー・書評

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  • 平安時代を舞台にした、田辺聖子さんオリジナルの冒険ファンタジー。内大臣の娘・月冴は、事情により入内が十年先送りに。そんな身を持て余していた矢先、彼女の前に現れた、小童姿の天狗・外道丸。恋に恋する月冴と、様々なあやかしによる、華やかな王朝絵巻。
    これは田辺さんだから紡げる物語!!テンポよく、キャラも皆生き生きしていて、胸をワクワクさせるディテールの細かい描写。どの章も魅力的な殿方が登場し、田辺作品お馴染みの「夢見」成分もバッチリ。会話の端々に「クイズ」「オムレツ」「五月病」「朝日新聞」等現代っぽい単語が散りばめられているところもお遊びっぽくて好きだ。途中までは、スラプスティックな空気感を楽しみながら読んでいたが、終章「悪来丸」では平安時代のダークな部分を容赦なくぶっ込んでくる。絶妙な甘辛バランス、古典の知識が豊富な田辺さんならではの巧みな構成。そこがしっかりしているからこそ、テンポのよい軽快な会話がうまくマッチする。
    これ、漫画で読みたい…アニメでもいいと思っていたら、木原敏江さんが解説で「当時の出版社がこの作品をなぜ漫画化しなかったのかと不思議に思ったくらいだ。」と述べられていた。ほんとそれ!!(脳内では何人かの漫画家さんを思い浮かべていた。)
    何でもあり感が楽しい本作、もう一つ気になったのは、各章の前に和歌や詩が引用されていたのだが…大手拓次、高祖保、立原道造といったチョイスに驚いた。(ここでその作品を!という。)
    いのまたむつみさんのカバーイラストも内容にピッタリの可愛らしさ華やかさ!文春文庫・いのまたむつみカバーの王朝シリーズ、若い人にジャケ買いして欲しいと思う。ライトすぎないか?と感じたときもあったが、シリーズをいくつか読んでみた今となっては、むしろ内容によく合ってると思っている。もっと平安時代に詳しければ、本作のエピソードの元ネタもわかって、更に面白がれるのかな〜。これからも様々な古典作品を読んでみたいなと思い始めている。

  • 2024年8月10日購入。

  • 田辺聖子さんの1992年(64歳)~1994年の連載作品。
    とっても可愛らしいおはなし。

    サラサラと軽いタッチなのに、鮮やかな色彩や雅やかな香りまでリアルに感じられるのは、正に田辺マジック!!

    中学生や高校生の女の子にお勧めしたいなぁ。

    文春文庫の王朝ものシリーズ。
    『おちくぼ物語』(美内すずえさん)や『とりかえばや物語』(里中満智子さん)同様、今回の解説も漫画家の木原敏江さん(インタビュー)。
    この作品には作者あとがきがなくて残念ではあるけれど、古典愛に溢れた解説も面白かった。

  • 怪奇というか妖怪というか。

    入内するはずだったのにお相手が若くしてなくなってしまったため、あと10年待って年下に嫁がされることになった主人公。
    なかなかにおてんばが過ぎる(笑)
    おてんばを通り越して、ちょっと悲しい気持ちになるようなことにもなってしまったり。
    それでも、ただ奥でかしずかれるだけではなく、自分の目で生き生きと世間を見ていけているのは、なかなかに画期的。
    最終的にまさかの東国行きとなるけれど、愛があればどこだって大丈夫!とまだ言える10代だからよかったんだろうなぁ。
    身分差があれば教養も作法もなにもかも違うはず。どんなに大事にすると言われたところで、話の土台が合わなければ心は離れるもの。
    言葉の違いとて、耳ぐさいものになりましょう。
    と、心配はしてみたものの、鮫児の珠にめあわされた仲なのだから、きっとうまく続くことでしょう。

    本の冒頭からきらびやかな漢字が舞い踊る。
    眺めるだけで漢字が色と形をもって世界を再現する。はじめてみる単語まで、様々。
    こんなにも日本語と漢字は豊かなのだなぁと思った。

  • う〜ん、まぁハッピーエンドではありますが、月冴ひどいよなぁ。最初何にも関係ない、会ったこともない晴季をいじめてやりたい、て妖を使ってちょっかい出して、結果計算外だったけど紫々を死なせて晴季を悲しませて。晴季はあくまでも紫々を好きで、月冴は紫々に似てるから、て感じだったけど、だんだんとかわるのかな。大御所の作品だけあって語彙が豊富で文章が美しいというか、味わい深い。

  • 古典と恋愛小説の巨匠、田辺聖子さんの文庫を、いのまたむつみのイラストが飾っている。買わないわけがありません。
    お二人とも、私が小学生の頃から敬愛しています。
    田辺聖子作品は祖母が気に入っていて、書棚から拝借して難解を無視して読んでいた子ども時代でした。
    いのまたさんはプラレス三四郎からかな(笑)。
    今読んでも色あせない瑞々しいお二人のお仕事です。
    古典を忠実に幻想的に描きつつも、現代語を多用してギャグ調にしているのも楽しい。
    闊達な姫君が小天狗と夢想を旅する設定も素晴らしかったです。恋多き姫の冒険譚です。

    2019.6.10 田辺聖子さんがお亡くなりになったとニュースで見ました。たくさんの素晴らしい作品をありがとうございました。

  • 主人公の姫君は月冴という名前。時代は平安時代の後期(推定)。東宮妃になる予定の姫君なので、付け文はなく(来ても周りに握りつぶされるかな)若くて一番可愛い時期に暇を持て余しているところ、別邸で出会った天狗さんと、不思議で優しい妖たちと、小さな冒険をする。
    月冴ちゃんはおてんばさんで、気の強いところもある女の子。頭が切れる、というのとはちょっと違うけど賢さが光る場面があったりして、きちんと育てられたコだなーと思う。
    天狗くんが可愛い。天狗としてはまだまだひよっこらしく、ちょっとイタズラっ子っぽい面が可愛い。
    最後のハッピーエンドの瞬間まで、天狗が可愛いお話です。

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著者プロフィール

昭和3年3月27日、大阪府に生まれる。昭和22年樟蔭女子専門学校国文科卒。小説家。直木賞選考委員。昭和39年「感傷旅行(センチメンタル・ジャーニィ)」で芥川賞を、62年「花衣ぬぐやまつわる…」で女流文学賞、平成5年「ひねくれ一茶」で吉川英治文学賞、6年菊池寛文学賞、7年紫綬褒章、10年「道頓堀の雨に別れて以来なり」で読売文学賞、14年キワニス大阪賞など、多数受賞。12年文化功労者となる。作風は巧みな大阪弁で夫婦あるいは男女の機微と生態を描くものが多い。近著に『武玉川・とくとく清水』(平14 岩波書店)『女のおっさん箴言集』(平15 PHP研究所)など。

「2004年 『久保田淳座談集 心あひの風 いま、古典を読む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

田辺聖子の作品

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