ままならないから私とあなた (文春文庫 あ 68-3)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 586
レビュー : 37
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167912543

作品紹介・あらすじ

先輩の結婚式で見かけた新婦友人の女性のことが気になっていた雄太。しかしその後、偶然再会した彼女は、まったく別のプロフィールを名乗っていた。不可解に思い、問い詰める雄太に彼女は、結婚式には「レンタル友達」として出席していたことを明かす。 「レンタル世界」成長するに従って、無駄なことを次々と切り捨ててく薫。無駄なものにこそ、人のあたたかみが宿ると考える雪子。幼いときから仲良しだった二人の価値観は、徐々に離れていき、そして決定的に対立する瞬間が訪れる。単行本に、さらに一章分を加筆。少女たちの友情と人生はどうなるのか。「ままならないから私とあなた」正しいと思われていることは、本当に正しいのか。読者の価値観を心地よく揺さぶる二篇。解説は、Base Ball Bearの小出祐介氏。

感想・レビュー・書評

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  • 39

    朝井リョウ初めて読んだけど、リトルトゥースで桐島の作者ってことしか知らなかったけど、こんな心に刺すような文章を書くんですね

    特にわたしはレンタル世界が響いたよ
    読み終わった後二、三日考えちゃったもん
    元の世界に戻らなきゃって言葉が痛い
    恥ずかしい話や辛いことを一緒に耐えたりしたから、自分に全てをさらけ出してるって考えは、その人のことを本当に見ていないよね

    ままならないから~は、利便性を追求する女と人間味あふれるものを求める女 どちらの言い分もわかる
    けどわたしはユッコが一番大人だと思ったよ

    20190523

  • 朝井さんてほんとに男子だよね?って言いたくなる。
    同じ世代の作家さんが活躍するのは嬉しい。

  • 2つの話が収載されているが、2つとも人間関係がテーマとなっている。
    表題作は考え方が全く異なる女性2人の交流を描いた物語だったが、少し考えさせられた。人間的なものを大事する考え方と、あくまで合理性を追求する考え方。2人のやり取りは、人間的なものの価値や今後を示唆している気がする。今後、AIやデータ活用が進化する世界で生きることの怖さを感じてしまった。
    文庫版で追加されたというエピソードも、合理性と人間性(人間的なもの)が対立するものではないと言いたかったのかもしれない。それは私にとっても明るい希望となった。

  • 「レンタル世界」

    「全てをさらけ出してこその信頼関係」も相当ながら、
    「自分たちは、パートナーがいても平気で風俗に行ける側の人間」
    っていう仲間意識・連帯感にげんなり。
    そういう空気から離れるには、どうしたらいいんだろう。
    違う価値観で生きる選択肢はあるはずだけど、
    誰もがそれを選び取れるわけではない。
    疲弊しながらギリギリで取り繕ってる人のためのレンタルサービス。

    そんなものおかしい!って主張する人達の存在で需要が強まるという皮肉。


    「ままならないから私とあなた」

    興味がある分野も、大事にしてるものも違って、
    真逆のような考え方なのに関係を続けてこれた雪子と薫。
    相手が嬉しそうにしてると嬉しい。これは共通してた。
    クライマックスの場面、どちらの意見も切実で、そこに優劣とかはなくて、だからこそ残酷だった。

    「相手が大切にしているものを自分の中の正しさで排除しないだけの想像力」
    マーカー引いてさらに付箋も貼りたい言葉。

  • 表題作では音楽家を目指す雪子と合理主義者の薫の、小学生時代から十数年に渡る交流が描かれます。
    かなり早い段階で二人の考え方に違いがあることは雪子の視点によって提示されるのですが、物語が進むにつれて不穏さを纏いながら徐々に溝は広がりをみせていき、読者はいずれ迎えるであろう決定的な対立を予感し、先の展開にハラハラしながら見守ることになります。
    このあたりの揺さぶり方はさすがというか、とてもうまいですね。これだから朝井リョウ作品はやめられない。

    そしてラスト付近、何だか『何者』を彷彿させるような展開が待っていました。普通の作者だったらくどいってなりそうなところですが、若い朝井さんが描くからこそ説得力を感じる面もあるのでしょう。どんでん返しのサプライズがあった『何者』と比べるとややインパクトには欠けますが、その後にある文庫版で加筆されたという最後の章で、上手にまとめたなあと思いました。
    というか単行本版、最後の章が無かったっていうことはあのシーンでラストってことですよね?それはちょっと微妙だなあ。個人的に文庫時に改稿されるのはあまり好きではないのですが、本作に関しては加筆して大正解だったと思います。単行本を読まれた方も、文庫版の最終章だけは読んでおいたほうがいいですよ。

    「レンタル世界」のほうは『世にも奇妙な君物語』に収録されてもおかしくないような雰囲気を持った作品です。そのテーマは表題作に通じるものがあり、十分楽しめたのですが、レンタル業者の女性が出席した結婚式には主人公の先輩も出席していたのだから、女性が語った説明が正しいのであれば、主人公からの依頼は断るはずなのでは?という点に引っ掛かりを覚えました。

  • やっぱり何より勢いよく読める。これを読む前に少し難しい本を読んでいたこともあり、気持ちいいほど読みやすかった。小説の中に西暦で日記のように記されていることで、今の自分と登場人物の年齢差が分かって、本当にどこかにいそうな気がした。

  • 人気作家さんだが、実は小説は初読み。
    本屋で見つけ、人間関係の表と裏を描いた作品のようだったので、読んでみた。
    表題作の他、「レンタル世界」と言う短編が含まれる。
    別の作品だが、どちらも似たような作品で、読後の何とも言えない不快感が独特。
    両方の作品に「自分の考え方は正しい」と思い込んでいる主人公と、主人公の親友が出て来るのが一番の特徴。
    自分勝手の極めつけのような二人だが、実際にこういう性格の人もたくさんいると思うと、身近な内容で少し怖くなる。
    その正しさが、周囲の人を追い詰めていると考えていないところがまた怖い。
    ただ、自分も自分の意見を正当化している部分もあるので、自分が他の人へそんな思いをさせてないだろうか、考えさせられる部分もある。
    展開自体は、想像されるもので、特に目新しさも感じないが、こういう作風の作家さんなのか、今後他の作品を読むかどうかには微妙な内容だった。

  • 人と人との価値観の違いをどう受けとるかを丁寧に描いた作品だと思った。朝井リョウの作品は豊かな表現力を駆使して読者の考えを揺さぶることに定評があると思われるが、この作品も例外ではない。この本には二編の話があるが、私はレンタル彼女の方が驚きや興奮が大きく娯楽として楽しめた。一方、ままならないから私とあなたの方も主人公と薫両方に共感できる面があり考えさせられ、興味深く読み進めることができたので満足度は高い。

  • 『何者』を思い出させる。
    最後の最後に心がえぐられる感覚。

    表題作と「レンタル世界」、どちらとも話が終盤に差しかかるにつれ、読むスピードが加速していった。

    “ままならない”という言葉は、普段使うことがほとんどない。
    でも、この作品を読み終えてから凄く切ない響きに聞こえてくる…。
    余韻がなかなか抜けないなぁ。
    久しぶりに良い作品読んだって感じ。
    朝井リョウやっぱり凄いわ!

  • 「レンタル世界」
    結婚式で見かけた美人と偶然再会し、声をかけたらその人は新婦のレンタル友達として出席してたことが分かる。

    第三者に対して体裁を整えるためにレンタル業者を利用してもいいのかな、と思ったので雄太の「人間関係をレンタルするなんて間違ってる」という考えを高松芽衣に押し付けるのは違和感がありました。
    「過去に何かあったからそういう仕事をしてる」っていうのも偏見だし、どうなんだろうと思っていたら最後で高松さんにぎゃふんと言わされてちょっとすっきりしました。

    雄太の濃密な学生生活を共にしたから産まれる絆を大事にする気持ちも分かるけど、何年も経てば関係性もそれぞれの立場や環境で変わってくるんだからいつまでも同じだと思っていた雄太の考え方は硬いなぁと思います。

    色んな考えがあって良くて、相手がそれを受け入れるならともかく、「変えたい」と思うのはおこがましい事だなと思いました。

    「ままならないから私とあなた」
    小学生から親友の薫と雪子。薫は理系で天才肌の合理主義者だけど、雪子は無駄として排除されたものに人間らしさがあると考える。

    何を無駄だと考えるかも人によるし、無駄だと思ったことも別の人には無駄じゃないかもしれないし、便利になるのはいいけどやり過ぎもどうかとは思います。

    最後の2人の主張にそれぞれ頷ける部分もあったけど、どうかなと思う部分もあり、簡単に白黒付けられない問題だと思います。
    雪子のように、別の考え方の存在も認めて欲しいと思うことがベターなのかなと思いました。

    この2人は途中から噛み合ってなかったというか、薫が独走してるというか、雪子の事を全然理解してなかったのに薫も雪子を親友だと思ってたのかな?
    自分のソフトを完成させるためのデータをくれる人として大事にしてただけなのでは。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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