- Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167912680
作品紹介・あらすじ
著者、初めての語録!「相手のとどめを刺さず、もてあそびなさい」「人は、自分の器に応じた理解力しかない」「立ちはだかる壁は、迂回せよ」「だれとでもいいから結婚すべきでない」「『かわいいおばあちゃん』にならなくてもよい」「女はすでに、がんばっている」悪戦苦闘の人生から生まれた、140の金言を収録。「いまを生きる女たちに、生き延びてもらいたい。そして、女であることを愛してもらいたい。人生の終わりに、生きていてよかったな、と思ってもらいたい。そのために、もしかしたら役に立つかもしれないことばを厳選しました」(上野千鶴子)
感想・レビュー・書評
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わたしの言葉なんかより、上野先生のお言葉を。
P75
現代のヒモには、家事貢献が求められる
昔のヒモは、女に貢がせた金で遊んで歩いてたわけですよ。家事なんかしない。今はね、ヒモだけをやっているわけにはいかず、ちゃんと家事をやってサポートしないといけない。
P77
友だちとカップルの違い
若い子に質問されたんですよ、「男女がいて、別居していて、たまに会って、ご飯食べて、セックスする。その関係を何て呼ぶんですか」って。で、わたしは、「それは仲のよいお友だちと呼ぶんです」と答えました。会ってないときにまで、相手の身体の性的使用に関して権利が発生すると思ったときに、カップルをか、恋人とか、夫婦などという観念が生じる。
P96
愛よりも理解がほしかった
母親は娘に「おまえを愛している」と言うが、それは娘には「不条理」と聞こえる―お母さん、わたしはあなたから愛よりも理解がほしかったのよ。
P97
母娘対決のタイミングを逃すな
私は、18歳で家を出て、できるだけ親元に寄りつかなかったの。私が43歳のときに母は乳がんで亡くなった。介護もしたけど、すでに母は弱者になっていたから追い詰められない。対決の機会を逃しました。だから若い娘たちに言いたいのは、親とちゃんとした大人の関係を作るためには、母が強者のうちに対決しなさいということね。
P102
子育てと介護は、非暴力を実践する場
「いっそベランダから投げ落とそうか」という気持ちを一度も持たずに子どもを育てる母親なんていないはずなんです。~そういう関係の中で嗜虐性や暴力性を抑え、自分の力を使わないでいる経験を積むことについて、「ケアは非暴力を学ぶ実践」と、私は言っています。自分の嗜虐性と暴力性をどう抑制するのかは経験と学習です。その経験の場を男から奪うなと思います。
P106
時間を一緒につぶしてくれるのが家族
時間を一緒につぶしてくれるのに、いちばん安直な相手は家族である。子どもたちは、自分の人生の時間を、20年間ばかりわくわくどきどきさせてつぶしてくれた相手だと思って、それ以上の期待をせずに感謝して送りだそう。
P116
相手にすべてを求めない
一緒にいて気分のいい相手。しょっちゅう会いたい相手、ときどき会いたい相手、たまに会いたい相手、困った時に助けてもらいたい相手、助けてあげたい相手、気になる相手、気にかけてくれる相手…が、多様に自分の身のまわりをとりかこんでいればよいのだ。それをセーフティネットともいう。
P145
娼婦性も、母性も、売るのは一緒
女が自分の女らしさを売り物にするしか、この社会のなかで自分の労働というものを認めさせていくことができないとするなら、娼婦性を売るのが悪くて、母性を売るのがいいなんていえない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
99
人生は壮大なヒマつぶしである
人生とは、死ぬまでの壮大なヒマつぶし。どうせ同じヒマつぶしなら、豊かにつぶしたい。
これわたしにとってだいぶパワーワードだった。
その通りだと思った。豊かにヒマつぶそう。 -
思わず吹き出してしまった文言多し。
既婚者でも子持ちでもない上野氏ではあるが、当事者への寄り添いが感じられた。かつ、当たり前のことを分かりやすく表現されていることからも、上野氏の優しさがうかがえた。 -
"孤独を癒すのは「あなたはひとりじゃない」というメッセージではない。もっと正確にいえば、「あなたが孤独であることを、同じように孤独であるわたしが、理解はできないが、知っている」というメッセージである。"(p.113)
"親業のゴールは、子どもからある日、「もうあなたは要らない」と言ってもらうこと。"(p.107) -
巷に流布されている言説に染まってしまった(染まりそうな)時に、正気をとりもどす気付け薬として。
ただし、ときに劇薬注意。 -
サクッと読めて、読んだ人が一つは面白い!と思う語録に出会える、そんな本です。
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140の言葉をサラッと読んで、面白いと思ったらそれぞれの本を購入すればいい。
上野千鶴子入門というか、大きな目次みたいな本。
けど、上野千鶴子先生の著作は是非読んでいただきたい。 -
まだまだ今みたいな時代になる前、男性優位社会でフェミニストとして戦ってきた上野先生。さすが、彼女自身の生き方を切り抜いたような、たくましさを感じる語録ばかり。上野先生のようなお方がいたからこそ少しずつ日本の社会も変わったように思う。しかし時代背景も変わった今、男性優位すぎない職場に身を置く私としては、ここまで強いフェミニスト思考は逆に、男性に対する攻撃性や危険性を孕んでいるのではないかと感じつつある。バランスって難しい。
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弱りかけた時に読み直したい、手元にずっと残しておきたい本。まわりに目指したい女性の先輩がいなくて、困っていた時に出会えた方。生き抜いたからこそ出てくる、実直な言葉に惹かれてしまう。