- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784167912727
作品紹介・あらすじ
累計130 万部の大ヒット和風ファンタジー第一部完結!松本清張賞史上最年少受賞のデビュー作『烏に単は似合わない』から一巻ごとに読者を魅了して成長してきたシリーズの第一部完結の第6巻。八咫烏の一族が支配する異世界・山内を舞台に繰り広げられる、お后選び・権力争い・外敵の進入。大地震に襲われた山内で、100年前に閉ざされていた禁門がついに開かれた。崩壊の予感が満ちる中、一族を統べる日嗣の御子・若宮は、失った記憶を取り戻すことができるのか。そして、人喰い猿との最終決戦に臨む参謀・雪哉のとった作戦とは――。一巻から周到に張り巡らされてきた伏線がすべて回収され、この世界の大いなる謎が驚愕とともに明かされるクライマックス。大人気キャラの受難、神秘の謎とどんでん返しに驚愕した後に、未知の感動が味わえる堂々完結の一冊。巻末には、先輩の大作家・夢枕漠さんとの熱い対談を収録!講談社コミック「烏に単は似合わない」第二巻も同時発売。
感想・レビュー・書評
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前巻『玉依姫』の裏側、山内に住む八咫烏視点でのお話。
第一部の最終巻でもあります。
全編通してずーっと不穏な雰囲気が漂っていて、読み進めるのがちょっとしんどかった〜。
各エピソードに勢いがあって面白いのはすごく面白いんですけどね。
それにしても、あのとき大怪我を負ったのはあの人で、そして、亡くなったのはあの人だったんですね…
彼が亡くなったのはすごくショックでした。
もともと好きなキャラクターだったっていうのもあるし、私はどうしても雪哉に感情移入して読んでしまうんですが、
彼は雪哉の隠れた人間らしい優しさや甘さを「わかってるよ!」って言ってくれる唯一の人物だったんですよね…
作中で、人外が人外であるためには認識してくれる人の存在と本人の自覚が必要ということが何回か書かれてましたが、
雪哉が人間らしい良心を失わないためにも、わかってるよと言ってくれる彼の存在が絶対に必要だったんですよー!
このあと、どんどん闇落ちしていく雪哉がもう心配で心配で…。
最初の頃と比べてどんどん人間くさくなっていく若宮とは対照的でした。
若宮は、
「大将はいかにうまく人を殺すかが求められる存在」であると悩んでいましたが、実際にそれを参謀として実践していたのは雪哉なんですよね。
若宮がわざとそう仕向けていたわけではなくても、もう少しそうせざるを得なかった雪哉の心に寄り添ってあげてほしかったなー、なんて。
最後の最後でようやく少しだけ人間らしい心を取り戻せたものの、今後どうか再び雪哉に寄り添ってくれる人が出てきてくれますように。
このまま第2部も読みたいけど、、この作家さんは(いい意味でも悪い意味でも)ものすごい勢いで予定調和を裏切ってくるので、ちょっと読むのが怖いよー!読みますけども。
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第1部完結の『八咫烏』シリーズ第6巻。前作の『玉依姫』の話しを忘れていましたが、難なく無事に読み終えることが出来ました❗
猿と八咫烏の最終決戦は、何とか止められなかったのか?ちょっとモヤモヤ感はありましたが、最終的には満足した作品でした♫
特に『終章 こぼれ種』で浜木 綿と奈月彦が語り合うシーンで、悲観的な奈月彦を励ます浜木 綿の台詞に、勇気づけられます❗第2部も刊行予定なので、気長に待ちたいと思います♫ -
八咫烏シリーズ第六弾、第一部完結は、猿と八咫烏の最終決戦!
『玉依姫』のアナザーストーリーと、遥か過去の真実が衝撃。
第一章 開門 第二章 断罪 第三章 治癒
第四章 迷走 第五章 完遂 終章 こぼれ種
用語解説、登場人物紹介、山内中央図有り。
・対談 阿部智里×夢枕獏・・・制作秘話の交流が楽しい(^^♪
八咫烏側からの視線での『玉依姫』のアナザーストーリー。
山内での大地震、若宮が山神に使える経緯と神域での出来事。
山神と志帆の行動が山内にも影響を与えていた。
過去の記憶の忘失に苛まれる若宮。
山内を守るためには冷酷に作戦を組み、猿たちを殲滅する、雪哉。
そして、猿たちの遥か過去からの山神や八咫烏への怨恨。
この先の山内の、八咫烏の未来はどうなっていくのか?
『空棺の烏』での勁草院時代の人物たちや、長束や路近、
浜木綿や真赭の薄等、登場人物たちの行動や心の動きが、
細やかに描かれていて、物語全体を引き締め、彩っています。
雪哉の心情・・・仲間や部下を失った悲しみ。特に友を失った慟哭。
だが山内を守るため、非情に指揮官としての行動に徹する。
様々な死に接し心の闇に囚われるが、それを救ったのは生。
生気溢れる姫宮の笑顔に接して、透明な涙を溢す彼の姿に、
安堵しました。
なによりも、女性たちの強さが際立っています。
宗家の行く末を想い、真赭の薄に側室になれと進言する、浜木綿。
自分の出来る事を模索しながら積極的に行動する、真赭の薄。
だが、今後の山神との関係から予想される、山内の行く末。
変容してきた神・・・大猿が取り戻したかった過去の在り様と
同じく、山神や金烏も戻る事は出来ない。
時の変遷に取り残されたような楽園にどんな変化が現れるのか。
第二部は楽しみでもあり、怖いです。 -
戦いに勝つ努力をする前に戦わない努力をするべきでは。って今の全世界に言いたい事だと思った。
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八咫烏の一族が支配する異世界・山内を舞台に繰り広げられる、お后選び・権力争い・外敵の進入。大地震に襲われた山内で、100年前に閉ざされていた禁門がついに開かれた。
崩壊の予感が満ちる中、一族を統べる日嗣の御子・若宮は、失った記憶を取り戻すことができるのか。そして、人喰い猿との最終決戦に臨む参謀・雪哉のとった作戦とは――。
「文藝春秋BOOKS」より
この巻は一つ前の玉依姫とセットで読むのがいいとどなたかが書かれていたけれど、納得.前の巻とセットのお話.なるほどなるほどとするすると読み進めてしまつた.
いろいろと考えるところの多いシリーズだったなと思う.
細かい感想は省くとして、漠然とこれまでの時代との決別と新しい時代が始まる予感を感じさせる内容だった.これを書いた作者が20代というのがその象徴のような感じがする.
久しぶりに4冊一気読みとかしてしまつた(;´Д`) -
玉依姫の裏側の話で、話を思い出し、照合させながら読んでいきました。
玉依姫の内容もあったので、こういうことだったのか、どうして⁈といろんな感情に翻弄されました。とても辛い内容もあったけど、読了後は良かったという思いと切ない思いでいっぱいに。
いや、烏の世界の先を考えるとやはり少し切ないかな… -
八咫烏シリーズ第1部完結。
リアルタイムで読み続けた甲斐があったなー。
以下、多大なるネタバレ。気をつけて!
個人的には前作『玉依姫』がすごく好きです。
山神と化け物の境を行き来する椿は、まるで『千と千尋の神隠し』の世界だな、と思うのでした。
引き続き、真名を喪うことの重みを八咫烏側から描いた、この『弥栄の烏』はまた、どこまでも苦しい展開でした。
思えば、第一巻からどんどんと金烏は頼りなくなってゆき(笑)
代わりに、雪哉が目覚ましい成長を遂げてゆく。
二人のパワーバランスは、金烏が自分自身を掘り下げることに執心してゆく反面、雪哉が八咫烏という種族を代弁する存在になってしまった所で、決定的に崩れたんだろうなと思う。
とまあ、男性陣の割と暗くてシリアスな展開が続く中、正妻・浜木綿と女房・真赭の薄の女性コンビが、もうめちゃくちゃ良かった。
子を成そうが成すまいが、貴女は貴女。
ただ、女性の役割を革新することは、玉依姫の悲劇にも繋がるわけで。
そう考えると、第1部完は、必然にも思える。
ただ。ここで終わって欲しくないですね。
奇しくも、金烏が象徴と化し、紫苑の君という女性後継者が誕生するところが、なんだか今の日本を彷彿ともさせる。
続き、ぜひ読みたいです。