祐介・字慰 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2019年5月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784167912741

作品紹介・あらすじ

クリープハイプ尾崎世界観、慟哭の初小説!

「尾崎祐介」が「尾崎世界観」になるまで。

書下ろしのスピンオフ短篇「字慰(じい)」を文庫版で初収録。



「俺は俺を殴ってやろうと思ったけれど、どう殴っていいのかがわからない。」



スーパーでアルバイトをしながらいつかのスポットライトを夢見る売れないバンドマン。恋をした相手はピンサロ嬢。どうでもいいセックスや些細な暴力。逆走の果てに見つけたものは――。

人気ロックバンド「クリープハイプ」のフロントマン尾崎世界観、渾身の初小説。

「祐介」の世界からスピンオフした「字慰」は、著者最新の書き下ろし作品です。

解説は『コンビニ人間』が世界的高評価の芥川賞作家、村田沙耶香さん。



たったひとりのあなたを救う物語。

みんなの感想まとめ

生々しい描写と緻密なストーリーが印象的なこの作品は、売れないバンドマンの苦悩と成長を描いています。主人公はアルバイトをしながら夢を追い、恋愛や暴力と向き合う中で、リアルな感情がダイレクトに伝わってきま...

感想・レビュー・書評

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  • 生々しい…。わりとすぐそんな言葉をもらしてしまった。しかも、かなりグロめな生々しさ。でもなぜかやめられずに一気読み。
    彼の歌詞も生々しいなと思っていたけれど、無音の言葉の生々しさはよりダイレクトだった。
    どこまでまでがリアルでどこからがフィクションなのか分からないけど、顔や姿まで浮かんでしまってより具体的に映像がチラつくのも更に生々しくて、ちょっと困った。
    それでもなぜか気になって文字を追ってしまうのは、私はきっとこの人の言葉に惹かれていて、知りたいんだと思う。

    スピンオフも、「そこ!?」って思ったけれど、読み終わってよく考えてみたら、確かに!そこ知りたかったかも。

  • クリープハイプ・尾崎世界観さんの、まさにエピソード・ゼロ。
    何をやってもうまくいかなかった頃の物語を、五感フルマックスで、緻密に綴っている。
    エッセイではないので全て事実というわけでないけれど、退廃的で強烈な出来事ばかり。

    ———あらすじ(公式より)———

    「俺は、俺を殴ってやろうと思ったけれど、どう殴っていいのかがわからない。」

    スーパーでアルバイトをしながら、いつの日かスポットライトを浴びる夢を見る売れないバンドマン。ライブをしても客は数名、メンバーの結束もバラバラ。恋をした相手はピンサロ嬢。
    どうでもいいセックスや些細な暴力。逆走の果てにみつけた物は……。
    人気ロックバンド・クリープハイプの尾崎世界観による、「祐介」が「世界観」になるまでを描いた渾身の初小説。
    たったひとりのあなたを救う物語。

    ———感想———
    面白いというより、ヤバいという言葉の方がしっくりくる。
    めちゃくちゃヤバい。強烈。
    祐介のセリフ、行動には全く理解できないものもあるし、筋が通っているわけではないけれど、なぜかしっくりくる。どこか哀愁もある。
    共感より、そんな感情もあるのか、そんな行動をとるのか、と気づきの方が遥かに多かった。

    僕は共感より発見を求めているし、未だ味わったことのないものに出会いたいタイプなので、かなり刺さった。
    アルバイトの日々、バンドメンバーとの確執、認めてもらえないことへの怒り、夜行バスと京都でのクライマックス、どれも強烈で印象的で、頭の中に一度描いた映像がずっと消えずに鮮やかに思い出せる。静かな怒りをずっと感じながら読んだ。

    文庫版にだけ収められている『字慰』もヤバい。
    タイトルからは物語が想像できず、読んですぐ意味がわかった。
    ラストシーンはかなり笑ってしまった。

  •  先日読んだ『火花』の又吉さんがアメトークの読書芸人で薦めていて、『コンビニ人間』の村田沙耶香さんが解説を務めている。『火花』は売れないお笑い芸人の話だったが、本作は売れないバンドマンの話なので、又吉さんには共感するところが多かったのかもしれない。
     実際に共通点は多く、特に売れないことによる貧困の苦悩は頻繁に描かれていた。お笑い芸人は収入がないだけで済むが、バンドマンはライブハウスを借りる費用もあるので活動するほどマイナスになるとも。
     しかし、『火花』では貧困の苦悩と同じくらい芸の追求についても触れられていたが、『祐介』では金銭的余裕がないことから活動の幅が狭まり、音楽に対しても思うように向き合えない苦しさがあった。熱量は失われつつあるが、音楽に対しては一応まじめな思いがある。ただ、一応音楽で売れたい夢はあるが、今となっては売れるしかないというような夢に囚われる形になってしまっている。なんとか進もうともがいて活動の幅を広げてみてもうまくいかない。
     その苦しさは怒りに変わり、周囲の人間に当たり散らしてしまう。つらいのはわかるが、正直この素行の悪さを見ていると、売れないのは日ごろの行いが悪いからだと思ってしまいそうになる。祐介の周りに彼を救う人間がいないように、多くの読者も彼を見放すことだと思う。
     それでも、と自らを奮い立たせようとするラストシーンでは高潔さが見えた。著者の尾崎世界観はクリープハイプというバンドで活躍していて、本作は彼の半自伝的な内容らしい。多くの競争相手がいて、その中で生きることさえ苦しい世界からどう這い上がったか。読者にはバンドのファンが多いので評価がやや高めな傾向にはあるが、単なる芸能人本とは切り捨てられない小説だった。

     文庫版で書き下ろされた「字慰」は、同級生の女子が書く文字に恋をした小学生の男の子の話。とてもきれいな文字に惚れて、同じ文字を書きたくて練習し続け、ついに彼女と同じ文字が書けるようになる。しかしある時その女の子が別の男の子に手紙で告白したことを知ってしまう。彼は受け取った男の子に手紙を見せてもらい、その文面を覚え、宛名を自分の名前に変えて全く同じ内容の手紙を書き投函する。
     うーん、怖い!彼が恋したのは彼女の文字なのか、文字を通した彼女なのか、それとも文字に注目するあまり別のものを見てしまったのか。
     本当はいいところを持った相手自身を好きなはずなのに、その特徴に注目しすぎて、そこが少し変わっただけで相手への気持ちが変わってしまうことってあるなあ。

  • その男には金がない。家賃もまともに支払えない。スーパーでバイトをしているが態度は悪い。
    男はバンドのギターボーカル。ライブをやってもぜんぜん客は入らない。ベースとドラムの二人から見放される。人望もない。

    男はひとりで出演できるイベントに誘われて京都まで行き、嫌な思いをさせられた。挙句の果てに打ち上げで出会った女と寝たら、ボコボコされて裸のまま外に放り出される。

    女子小学生から体操服を奪い、それを着てみたが、彼は明らかに変態。その体操服を買い取ろうとする男子小学生も現れた。
    彼らが間違っているのか。世界が間違っているのか。それは誰にもわからない。

    ---------------------------------------

    世界を憎んでいるような、舐め腐った態度の男が、世界から愛されるわけがない。誰からも認めてもらえない苛立ちを日常にぶつけている。
    けれども、まだ、どこかに自分を評価してくれる人がいるのでは、と男は期待している。惨めで、浅はかで、とても人間臭かった。

    破滅的に生きるバンドマンと、なかなかの変態っぷりを見せつける小学五年生が出会うラストは異様だけど、そこだけが真実であるようにすら見えた。

  • 月額定額制の僕の恋人
    もう時間ないから口でよろしくね

  • 尾崎世界観さんが好きだから買ったけど読みやすかったし短い時間で読めた。ドロドロしてて生々しい

  • ライジングで大トリだった時に予習で読んだ

  • クリープハイプのボーカル、尾崎世界観が好きなので読んだ。

    物語が纏っている雰囲気は、鬱屈として暗くて、どこか不気味で気持ち悪い。ずっと気持ち悪い。
    けどそれが心地良いタイミングが、生きている中できっとあると思う。

    また、人間が持つ暴力性について考えさせられた一冊だった。

  • 文章がとにかく生々しくて目の前で生きているような感覚になった。売れないバンドマンは夢を追いかけようにも夢のせいで自分自身が崩壊していく。後半で小学生が放った「僕達、間違ってませんよね?」という台詞は間違っていると自認しているもの同士が放つ言葉であると思った。でも彼らにとっては"正しい"行動であるので、世間との正しさの境界線を無くすための発言だと思った。ラストはあのまま全ての終わりと捉えることもできるし、全ての始まりだと捉えることもできた。尾崎世界観さんの比喩表現、そして村田さんの解説もすごく良かった。

  • 不確かなものでも、大きな音にしてなんとか誤魔化せたような気がした。

    ライブハウスでスタジオでも、どうしたって得られなかった達成感が、アルバイト先のスーパーではタイムカードを差し込むだけで簡単に得られた。ジッ、というあの小さな音に、まるで自分が認められているような気がした。

  • 売れないバンドマンが抱える鬱屈や怒りといった感情が込められた作品だった。ラストでは、現実と空想の境界が曖昧になっていって、感情に輪郭が出てきていた。尾崎世界観のロックを感じることができた気がする。

  • バンドは関係ありそうで、あまりなさそうで、やっぱり少しは関係あるという感じです。
    こんなに気持ち悪い描写が客観的に描けていることがすごいなと感心しました。
    マイクの描写はかなり胃に来ました。
    字慰も中々の破壊力です。

  • おおきな提灯を目印にして 畜肉の欠片が物悲しそうに泳いでいる 選民意識で沸かした珈琲淹れて啜っているような奴等にな 不細工な激励の言葉 その状態に陥ったまま停滞してしまったというような 厭らしさは秀逸 生々しい人間から飛び出したあたたかい吐瀉物 緑色の痰を吐き出した主人公 物語は発酵し

  • クリープハイプの尾崎世界観の小説。

    デビュー作のようだ。
    芥川賞作品好きが好みそうな作品。
    私は芥川賞作品が苦手なのだ。
    ブンガクは苦手なのだ。

    とりあえず、最後まで読んだが、面白いという作品ではない。
    刺さるような作品でもない。
    ただ、尾崎世界観にしか書けない作品ではあった。

    星はギリギリ3つ。3.0としたい。

  • サクサク読める。きらいな人はきらい。表現が絶妙に良い。

  • 今下積みのバンドマンて昔より減ったかな?SNSもそこまで盛んじゃなかっただろう時代に大変だったんだろうなと。世間を恨んで諦めて。

    エロい表現が気持ち悪いというか、伝わりすぎるというか。
    全裸でビニール靴とか、体操服奪うとかどうしてこんな事考えれるんだろう、気持ち悪い!!
    途中でやめようとはならなくて一気読み。
    怖いもの見たさなのかもしれないけど。

    歌だとここまでは感じないけど文字だとガツッとくる。


  • 読んでいて、内容に引っ張られてめくるページがベタベタと指にまとわりつく感覚に襲われました。

  • マイヘアの椎木さんがこの「祐介」を演じてる、「ゆーことぴあ」のDVDからこの作品を知った。椎木さんがヒョロヒョロでパンイチで走る映画なんだけど、原作があるって知っていつか読みたいって思ってて。
    原作を読んで、尾崎世界観の文章表現のうまさと、イカれた世界観に面食らった。こんな作品描いちゃうのか。想定の100倍、「理解できない純文学」だった。これどこからどこまでが尾崎世界観の実体験なのかとても気になる。こんな退廃的な日々を送ってたのかな?特に最後の方の小学生の体操服を奪って着るところとかまじで犯罪やんって思った、普通にこわい!!純文学の主人公の思考や言動って、基本本当に理解できないしたくもないのが多いけど、今回の祐介もまさにそれだった。自分を殴りたくて殴れなくて、でも殴って、足掻いて足掻いて。そういう気持ちの、そういう日々の中にいた尾崎世界観が、そういう日々を生き抜いて今のクリープハイプ をやり続けて成功したのなら、本当にすごいことだと思う。作品について、「誰が書いた」はいらない、みたいなことを解説で村田沙耶香が書いてたけど、これは尾崎世界観が書くからこそ意味がある作品なんじゃないかと思った。

    字慰、に関しては、なんで自慰じゃないんだろうって思ってたけど、作品を読んで理解した。字、が主人公にとってはマスタベーションに欠かせない要素なんだね。すごくちゃんとキモかった〜

  • 読みづらさと受け入れづらさ。
    モヤモヤ感が残った。

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著者プロフィール

1984年、東京都生まれ。ロックバンド「クリープハイプ」のヴォーカル、ギターを担当。作家としても活動し、これまでに小説『祐介』、日記エッセイ『苦汁100%』『苦汁200%』(いずれも文藝春秋)、『犬も食わない』千早茜との共著(新潮社)を上梓。

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