サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2019年5月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784167912895

作品紹介・あらすじ

1999年のラスベガス。ソニーは絶頂期にあるように見えた。しかし、舞台上でCEOの出井伸之がお披露目した「ウォークマン」の次世代商品は、2つの部門がそれぞれ別個に開発した、2つの互換性のない商品だった。それはソニーの後の凋落を予告するものだった。
世界の金融システムがメルトダウンし、デジタル版ウォークマンの覇権をめぐる戦いでソニーがアップルに完敗し、ニューヨーク市役所が効率的に市民サービスを提供できない背景には、共通の原因がある。それは何か――。謎かけのようなこの問いに、文化人類学者という特異な経歴を持つ、FT紙きってのジャーナリストが挑む。
企業であれ自治体であれ、高度に技術が発達している現代、あらゆる組織は「サイロ化」という罠に陥りがちである。分業化したそれぞれの部門が、それぞれの持つ情報や技術を部署の中だけでとどめてしまい、隣の部署とのあいだにも壁を作ってしまう。日本語では「タコツボ化」と呼ばれるこの現象は、どんな組織でも普遍的に存在するのだ。
経済学的な観点からすれば、身内での無駄な競争を生むような「サイロ」は、とにかく有害で無駄なものであるから、トップが「サイロ撲滅」の掛け声をかければ解決に向かう、と思いがちだ。ソニーの新しい経営者・ストリンガーも最初はそう考えた。しかし、彼は失敗した。壁は極めて強固で、一度できたサイロは容易には壊れない。
文化人類学者の視点を持つ著者は、「サイロ」が出来上がるには人間に普遍な原因があり、そのメカニズムを解き明かすところから始まる、と説く。人間に求められる技術が高度で専門的になればなるほど、サイロはむしろ必要とされるからだ。
人間は必ずサイロを作る、ならば、その利点を活用しつつ、その弊害を軽減する方法を探ろうとする画期的な論考が、本書である。

みんなの感想まとめ

現代の組織における「サイロ化」という現象を深く掘り下げた本書は、専門性の発展がもたらす部門間の断絶とその影響を考察しています。著者は、企業や自治体が直面するこの問題を文化人類学の視点から分析し、専門化...

感想・レビュー・書評

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  • 『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』Why? Japanese People! - HONZ
    https://honz.jp/articles/-/42465

    『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』ジリアン・テット 土方奈美 | 単行本 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163903897

    文春文庫『サイロ・エフェクト 高度専門化社会の罠』ジリアン・テット 土方奈美 | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167912895

  • ちょっと仕事で使えそうだったので、さーっとつまみ読み。
    評判通りの知的好奇心のくすぐられる良書だった。

    サイロとは、会社で言えば、専門性が発達し過ぎて、
    部署・部門間の連携・交流がなくなり、
    結果、会社や組織が衰退してしまうという事象。
    まさしく多くの企業が多かれ少なかれ、サイロに陥っていると思います。
    この問題を文化人類学者である著者が分析した本。
    興味深かったのは、企業がサイロ化(専門化)することを著者は否定していなかったこと。
    すなわち、今のビジネスや事業を進めていく上で、
    専門化は必要なことだが、交流や情報共有がなくならない
    仕掛け作り・仕組みづくりが重要というスタンスに妙に納得してしまった。

    最近、至る所で言われている「多様性」とも本質的には同じことかなという印象。

    事例が豊富な反面、ちょっと冗長なので、
    読み物として楽しむ分には良いが、
    サクッと結論を知りたいせっかちさんは、
    サイロ化に陥ったソニーの章と、
    サイロ化を防ぐべく奮闘したFacebookno章、
    そして最後の著者のまとめだけでも読むだけで、
    著者の主張の大枠は理解できると思われます。

  • 業務をシンプルにして効率的に運用するためや、専門性を高めるためには、サイロ化は必要だけれど、それだけだと上手く機能しなくなる。“細分化されたスペシャリスト的行動パターンが支配する世界では、往々にしてリスクやチャンスが見逃される“。

    サイロを打破するための教訓。
    1. 部門の境界を柔軟で流動的にしておく
    2. 組織は報酬制度やインセンティブについて熟慮する
    3. 情報を共有するとともに、自分なりに情報を解釈する余地を与え、その解釈に組織が耳を傾けるようにする
    4. 組織が世界を整理するのに使っている分類法を定期的に見直す
    5. ハイテクを利用する:“プログラムを変更すればそれまでと違った方法で情報を整理したり、新しい分類法をテストすることもできる“
    6. 何より重要なのは、人間の想像力:“自分が日々、無意識のうちに身のまわりの世界をどのように区切っているのか、思いをめぐらせてみる“。“それから想像力を働かせ、別の方法はないか考えて“みる

  • 自分の会社の事を考えながら読んでみました。

    ぴったりサイロに当てはまりますよねぇ。全体最適では無くて、自部門のみを利する部分最適になってしまっています。

    サイロを作らずに、或いは、サイロを利用して利益を上げている会社の例は興味深いです。

    そこに行ければ良いんですけどねぇ

  • 以前読んだ「Anthro Vision」「多様性の科学」が組み合わさったような内容で、新たな気づきという観点では学びが少なかった。

  • ブルデュー
    レヴィストロース
    アウトサイダーからの視点

    人類学はインサイダー兼アウトサイダーの視点を身につけるもの
    身の回りの文化的パターンに疑問を持つことができる
    自分たちの文化というサイロのパターンや分類システムを自覚する必要がある

    ソニーのサイロ化
    同時に音楽プレーヤーを3つ発表する

    ダンバー数150
    社会的グルーミング

    自ら破壊しなければ他の誰かに破壊されてしまう

    世の中の分類システムを変える
    分類は人為的なものなのに、一度されると盲目的になってしまう
    分類(サイロ、バケツ)を壊す

  • 組織においてコミュニケーションは不可欠であり、組織内の競争はそれを破壊する。これが本書の背後にあるメッセージである。

    キーワードは「サイロ」。(日本人にはいまいち馴染みがないので「たこつぼ」と言い換えた通訳さんが凄い)
    組織が大きくなれば必然的にその組織はサイロ化し、構造が縦割りになってゆく。そして部門間同士での交流が減り、果ては同じ企業内で競争をし始めることすらある。
    これは特に、ソニーやシカゴ市警の事例が示唆に富んでいて興味深かった。
    しかし、2008年の金融危機を、サイロ化した規制当局や投資銀行が原因だったと決めつけてもいる。これは妥当な考察なのだろうか。そんな単純なこと?サイロ化していなかったら、あのような世界的な崩壊は防げたのだろうか?

    サイロ化の悪影響を紹介したあとは、サイロ化を防いで成果を挙げた事例が続く。
    まずは、フェイスブック。ま、この会社を取り上げても褒めるところしかないので、例としてふさわしいのかどうか。
    "ソニーになるな"の合言葉とともに、フェイスブックが企業内のサイロ化を防ぐことにどれほど注力しているか、たしかに様々なアイデアが試みられているのは理解できた。が、一方でこの会社は対外的に、つまり社会的、政治的、経済的、人種的にSNSのプラットフォーム内にサイロを構築して、利益を最大化するようなビジネスモデルを採用しているのはどう考えたら良いのか。
    また、部門間のより良い連携によって、サイロ化している企業を出し抜き利益を挙げている事例として、ヘッジファンドのブルーマウンテン・キャピタルが挙げられているが、この会社は、その後パッとした成果を挙げられずに他のヘッジファンドに買収されている。

    本書が特徴的なのは、組織が失敗する原因を人類学の視点から読み解こうとしているところだろう。
    だから、人類学という学問の説明にも多くのページが費やされいる。しかし、サルトルやレヴィ=ストロースならまだしも、ブルデューに興味のあるビジネスパーソンてどのくらいいるのだろうか。
    また、サイロ・バスターに成功したと捉えられている事例でも、あくまでその時点での事であり、その成果に明確な根拠はほとんどないように思われる。少なくとも検証はされていない。

    ちょっと変わった経歴のある人物が独自のアイデアを持ち込んで環境を変えた、といった、マルコム・グラッドウェルが得意とするエッセイのような読後感は得られた。

  • この本のここがオススメ

    「いかなる社会においてもエリート層には、社会の現状あるいは分類法を問い直すインセンティブがない」

  • サイロが形成される原因と、サイロをコントロールする方法について述べている。専門化したサイロで活動する方が短期的には効率的だが、効率化を追求しすぎるとかえってうまく機能しなくなるということ。サイロ化によるソニーの失敗事例は読み物として面白く、ソニーやMicrosoftになりたくなかったフェイスブックの事例は具体的で参考になる。インサイダー兼アウトサイダーになるために自分が属するサイロの外にいる人との出会いを大切にしたい。人類学の話が長くてウザい。

  • とてもおもしろい。

  • 企業だけでなくあらゆる組織が大きくなるにつれて、組織間の交流が減り、日本語でいうところの「タコつぼ」(英語ではサイロ)が構築されていきます。これは高度に分業・専門職化が進んだ現代社会では避けられない事象ですが、サイロがあまりに強固すぎるとチャンスやリスクを見逃し、場合によっては組織の存亡を揺るがすような事態に陥ることがあるわけです。本書では、サイロが弊害をもたらした事例として、ソニー、UBS、世界金融危機時の経済学者を第1部で紹介し、第2部では、サイロの弊害をいかに克服するかという「サイロバスターズ」の事例として、シカゴ警察、フェイスブック、クリーブランド・クリニックをとりあげ、さらに他社のサイロから儲けを得ているブルーマウンテン・キャピタルが紹介されています。日本人読者からすれば、ソニーがデジタル音楽プレイヤーでアップルに惨敗した例はとてもわかりやすいのではないでしょうか。本書ではソニーでCEOを勤めたストリンガー氏のコメントも掲載されているなど、この章だけでも興味深く読めました。

    著者は人類学というバックグラウンドを持ちながらフィナンシャルタイムズの編集長をつとめている人ですが、翻訳の質の高さもあって、非常に読みやすい文章でした。また事例もそれぞれ興味深く、シカゴ警察の「殺人予報マップ」作成の話や、クリーブランド・クリニックが外科と内科の壁を取り払ったことなどは、サイロに関係なく衝撃的な読み物でした。サイロは近代社会では絶対生まれるが、サイロの弊害に気をつけよ、そのためには本書でも紹介されている稀代の人類学者兼社会学者であるピエール・プルデューのような「インサイダー兼アウトサイダー的視点」を持った人が各組織に存在している必要がある(全員がそうなる必要はないが)、という終章の主張も大いに共感できました。非常に面白い本でした。

  • 高度に専門化が進む現代社会において、サイロが進むにつれて情報が遮断される。

    時には信じがたい不合理な行動に突き進む仕組みを文化人類学的な視点から解明し問題点を炙り出した、唯一無二の書籍。

  • 文化人類学を学んだFTの編集長が描くサイロのもたらす弊害と、サイロを崩すことの重要性を説いた物語

  • 【高度に専門化が進む現代、あらゆる組織が陥る「罠」とは?】閉鎖的な部署が専門的な知識と情報を抱え込み、そのため組織全体が閉塞してしまう。現代のあらゆる組織が陥る罠に解決策を提示する。

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著者プロフィール

ジリアン・テット(Gillian Tett)
FT米国版編集委員会委員長、米国版エディター・アット・ラージ。
ケンブリッジ大学にて博士号(社会人類学)取得。フィナンシャル・タイムズ紙(FT)入社後、ソ連崩壊時の中央アジア諸国を取材。その後、東京支局長もつとめる。イギリスに戻り「Lexコラム」担当。金融ジャーナリストの最高の栄誉ウィンコット賞を受賞したほか、ブリティッシュ・ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー賞、コラムニスト・オブ・ザ・イヤー賞、ビジネス・ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー賞などを受賞。米国版編集長を経て現職。著書に『セイビング・ザ・サン』、『愚者の黄金』(フィナンシャル・ブック・オブ・ザ・イヤー賞受賞作)、『サイロ・エフェクト』がある。

「2022年 『Anthro Vision(アンソロ・ビジョン) 人類学的思考で視るビジネスと世界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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