陰陽師 玉兎ノ巻 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2019年6月6日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167912918

感想・レビュー・書評

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  •  陰陽師安倍晴明と源博雅の活躍を描く陰陽師シリーズ第15弾。

     久しぶりの「陰陽師」だったので、晴明、博雅の二人と酒を飲みながら、不思議な話を聞かせてもらったような、懐かしい感触を思い出しました。

     未だに続いているのこのシリーズ、どのエピソードから読んでも楽しめるところはさすがだと毎回感じます。

     今回も準レギュラーの道満や蝉丸も登場し、彼らの言動によって、愚かな人の業がより深まるように感じました。。

     また、人を思う気持ちや憎む気持ちなどは、いつの時代も変わらないのでしょう。

     ただ、平安の頃はその思いが鬼という闇に飲み込まれたのに対し、今の時代は、鬼とは違う恐ろしい闇に支配されているように思いました。

     晴明と博雅の会話を聞きながら、私の心の闇が少しでも浄化できたらいいのにと思う今日この頃です。

    • 土瓶さん
      道満が魅力的です。
      道満が魅力的です。
      2025/07/19
    • 風太郎さん
      コメントありがとうございます。
      今回もいい味出してましたよね。
      コメントありがとうございます。
      今回もいい味出してましたよね。
      2025/07/19
  • 安定した面白さの『陰陽師』シリーズ第15弾❗️

    今回は全体を通して、「月」に纏わる話しが多かったです。好きな話しは、『嫦娥の瓶』、『道満月下に独酌す』、『月盗人』、『木犀月』の四編です。

    男女の色恋の話しは、悲哀な結末が多くてちょっぴりセンチメンタルになったりもしますが、『嫦娥の瓶』のように古の異国(中国)の話しが絡むエピソードは、一笑に付する箇所も見られて、個人的には結構気に入っています❗️

  • 今回も変わらぬ晴明と博雅の掛け合いを楽しめました。
    そして、道満が出て来る話は今回も良かった。
    晴明と一緒に登場し、あの手この手で晴明を振り回す道満の話も面白いですが、今回のように道満メインで少し趣向を変えてという展開もまた良しです。
    あとは、「木犀月」他の話とはひと味違う感じで印象的でした。

  • 短編シリーズ13冊目

    「邪蛇狂い」
    藤原元網という男は、DVパワハラ気質の最低男。気に入らないことがるあると妻子に暴力をふるい、使用人たちにも同様。ついにストレスで妻が亡くなったあと、止め役がいなくなったため、気に入らないことがあると使用人を平気で殺すようになってしまった。ある日、庭に現れた蛇が噛み付いてきたことに腹を立て、その蛇を口から裂きさらに縦に斬った。その晩から、今まで殺した使用人の霊が元網にとり憑いて苦しめるようになる。息子の綱之が晴明に助けを求めるが…。

    元網が殺した蛇は齢を経てもう少しで蛟になるところだった。4つに裂かれたため殺された使用人4人の人格がそれを媒介にして元網にとり憑いた。晴明が退治に使ったのは二郎真君とその犬の式神。ただこれらはもとが紙なので、元網に斬られたら効力を失ってしまった。その隙に霊たちは元網に襲い掛かり…。晴明はちょっと凹んでたけど、博雅に慰めてもらえばいいさ(笑)元網がとても嫌な奴なので同情する気にはなれないですもんね。


    「嫦娥の瓶」
    晴明と博雅が、月蝕の月を眺めながらお酒を飲んでいると、藤原道長がやって来る。父・兼家がまたなんかやらかしたのですぐに来て欲しいという。話を聞くと、兼家の屋敷の観音堂からある晩変な音がするので見に行くと、兎が一匹捕まった。その兎は真っ黒で珍しいため竹籠に閉じ込めているうちに、どんどん白くなって真っ白な兎になった。そして日に日に狂暴化、それでも兼家が出さずにいるとついに人語を話して二本足で立ち晴明を呼べと言い出した。そこで道長が大急ぎで呼びに来たというわけ。

    この兎は玉兎。いわゆる月の兎で嫦娥のしもべ。嫦娥は夫の羿が西王母からもらった不老不死の薬を独り占めして飲んで月に逃げたが、その後月で自ら不老不死薬を開発中、最後に必要になる月蝕の日の月の雫を受けるための容器を、兎がうっかり地上に落としてしまった。兎が代わりの容器を探していたところ、兼家邸の観音堂の観音様の持っている水瓶がちょうど良いことに気づき、それを拝借しに来たところを捕まってしまったのだった。

    晴明のおかげで解放された兎は兼家の観音の水瓶を借りて無事雫を採取、嫦娥のもとへ持ち帰り、お礼に兼家と晴明に、月の餅(食べると1年間無病)をくれる。


    「道満月下に独酌す」
    道満が山奥の楓の木の下で一人で酒を飲んでいる。萱鼠や茸に音楽を演奏させたり舞を舞わせたりしていると、一人の女性が現れる。詳しい経緯は語られないが、彼女は64年前にここで亡くなった道満の大切な女性。8年に一度、この場所でしか会うことができない。道満にもそのような女性がいたのだな。切ない。


    「輪潜り観音」
    晴明と博雅がいつものようにいちゃいちゃしていると、一人の女性客が。稲生と名乗るその女性の主である綾子様は、両親を亡くしたあと、通ってきた男にも心変わりされて捨てられ、家を維持できず稲生だけを連れて小さな庵に転居したが、以来奇妙な夢を見るようになった。夢の中に観音様が現れて彼女の話を聞いて慰め、自分が頭につけている輪をあげようと言ってくれるが、小さくて頭が通らない。夜ごと、観音様はその輪を大きくして綾子に渡してくるが…。

    晴明たちが駆けつけると、綾子は隣の破れ寺で首を吊ろうとしていた。観音様のふりをしていたのは実はここでかつて男に捨てられ首を吊った女性の亡霊。綾子は助かるが、この亡霊は成仏できないことを嘆き、それは晴明もどうすることもできないと言う。博雅は亡霊を憐れんで涙をこぼす。途端、亡霊は救われ成仏していった。博雅すごい。


    「魃の雨」
    叫麻呂という猟師が、炭丸という犬を連れて猟に出て、奇妙な生き物をみつける。青い服を着た子供くらいの大きさだが、耳まで裂けた口と鼻はあるものの目がどこにもなく烏帽子を被っている。ふわふわと動いているが、矢で射ると命中、動きが鈍ったので捕まえて村に連れ帰るが、やがて都までその噂が届き、藤原為長という男がこの生き物を屋敷に連れてこさせる。烏帽子を取ろうとすると暴れるのを無理やり押さえつけて外すと、なんと頭のてっぺんに巨大な目が。驚いた拍子に刺さったままだった矢を抜いてしまい、その生き物は逃げてしまった。

    そのころ都では雨が降らずずっと旱魃が続いており、晴明のところへ雨乞いのお鉢が回ってきてしまう。同時に謎の生き物の話も持ち込まれて、晴明は博雅と共に出かけ…。

    その生き物の名前は「魃」といい、『山海経』にも記述がある。もともとは女神で黄帝の娘だったが、雨を止める能力があるため、蚩尤との戦いで能力を使い果たし天上に戻れなくなってしまった。彼女がいると旱魃が起こるため、北方に幽閉されており、もし脱走してきて遭遇した場合は「神よ、北へ帰りたまえ」と言って帰さなくてはならない。今回も博雅の笛が活躍。博雅が笛を吹くと魃はすっかり大人しくなり、晴明が烏帽子を返し件の言葉を言うと、北へ帰って行った。都には雨が降る。


    「月盗人」
    いつものように晴明と博雅が酒を飲んでいると、蘆屋道満に紹介されたという女性・玉露が来訪。彼女は家が零落し、乳母の紗庭と二人で小さな庵に暮らしていたが、ある日、体調不良で行き倒れた商人・速男を助ける。二人で介抱するうちに多少は回復したが、旅立とうとするとまた具合が悪くなる繰り返し。隣の破れ寺の観音様にお酒を備えて祈っていると、観音様ではなくお酒を飲んじゃった蘆屋道満が、お礼にある方法を教えてくれた。それは満月の晩に神泉苑で月の雫を集めて、速男に飲ませるというもの。満月のたびに三度それをおこなうよう道満に指示され、一度目、二度目と実践したところ速男は順調に回復。だが三度目の今夜、どうしても神泉苑の中でだけ月が隠れてしまい…。

    困ったときは晴明に頼れと道満が言い残したので玉露はやってきたのだった。早速晴明と博雅は神泉苑に行き、晴明が神泉苑の雲の原因を払うも…。成就を邪魔していたのは、ほかならぬこの玉露自身と紗庭だった。二人ともそれぞれ介抱するうちに速男を好きになり、帰したくないと思うあまり無意識に成就を邪魔していたのだった。


    「木犀月」
    晴明の庭の木犀の良い匂いの中で、博雅の笛と蝉丸の琵琶で合奏しつつ、いつものようにお酒を飲んでいた三人。そこへ突然、斧が降ってくる。やがて斧の持ち主・呉剛がそれを取りにくる。呉剛はかつて妻を放置して旅に出ているあいだに妻が別の男と結婚してしまったことを責め、相手の男を殺してしまった。その男が炎帝の子孫だったため罰を受けることになり、伐られてもすぐ元に戻ってしまう月の桂の樹を永遠に斧で伐り続けている。(プロメテウス的な罰)今日も月で桂(木犀)の木に斧をふるっていたが、美しい楽の音が聞こえてきたので手元が狂って斧を落としてしまった。斧を受け取り、再び博雅の笛と蝉丸の琵琶の音色に乗って呉剛は月に帰っていった。ファンタスティック。


    「水化粧」
    明子という女性が、ある晩目が覚めると枕もとに恐ろしい顔の女がいて恨み言を言われた。数日おきに不規則に何度も同じことが起こり、どうやら彼女のもとへ通っている在原清重という男が帰った翌日に女が現れることが判明。清重が明子のもとに泊まった翌日、几帳の陰に隠れ寝ずの番をすると、なんと明子を呪詛しに現れた女はかつて清重が捨てた香夜という女だった。清重はかつて香夜と出会ったときにめっちゃタイプで一目惚れ、通うようになるも、「もっと唇がふっくらしてたらなあ」「もっとおっぱい大きいほうがいいなあ」等と何気なく言った言葉の通りに、次に会うと香夜の顔や体型が変わっていることがだんだん恐ろしくなり通わなくなったのだった。鬼となった香夜が逃げる際に落としていった筆を晴明に見せると…。

    筆には百済川成の署名があった。川成は100年ほど前の伝説の天才画家。この筆を友人の巨勢金岡に与えたものをその子孫である巨勢広高が持っていたが、広高が出家しようとした際に鴨河原で泣いていた女に与えてしまった。実はこの筆、水面に映った顔などをその筆で好きなように書き換えると実物のほうもその顔になるというシロモノ。香夜は本当の名を葛女といい、かつて在原清重が通っていたが、アラサーになり捨てられてしまって鴨河原で泣いていたところこの筆を広高からもらい、自分を若く、男の好みの顔に書き換え、名も香夜と変えて再び清重に通わせるようにしむけたのだった。だが顔が変わることを怖がられ結局捨てられ…。広高が鬼と化した女の顔を元の葛女の顔に描きなおしてやったが、その後清重をめぐる三角関係がどうなったかは晴明たちは知らない…。

    ちなみに百済川成と巨勢広高はどちらも平安時代の実在の画家。


    「鬼瓢箪」
    都で近ごろ奇妙な病になる者が続いている。ある朝急に髪も体毛もすべて真っ白になり、目に泥が入っていたり、足の裏が固くなったり、あげくお腹がゴロゴロして桶いっぱいの虫が出たりする。だいたい症状が出て10日くらいで困っていると、とんぺいという謎の老人が現れて奇妙な人形を使い、病を治してくれるので、老人は褒美をもらって帰る。それが三人ほど繰り返されたあと、今度はなんと、藤原兼家にその症状が。ところが兼家は、とんぺい老人の登場を待たず晴明を頼ってくる。そこで晴明が博雅と出向くと、見たことのない異国の鬼が憑いている。一応祓って、その鬼の跡をつけていくと…。

    オチは想像通り、唐から来たとんぺい老人自身が、この鬼を操って貴族に憑かせ、それを治すことで報酬を得ていたパターン。晴明は、異国の鬼は勝手が違うので勉強になったとのこと(謙虚)

  • 継続して読んでいるシリーズです。清明と博雅のやりとりが好きです。

  • いつものを、いつものように。道摩法師はすっかりソロでスピンオフをやれる感

  • 月のウサギの登場する巻。

  • 今年は大好物にありつけた。
    次はいつだろう・・・

    前回くらいまでは、初期のギラギラは鳴りを潜め、年取ったな~といった枯れた内容に変わってきていた。
    今回は、成熟しているというか、心理描写がこまやかになった。
    とにかく安定の面白さ。ネタが尽きないのが凄い。

  • 過去に読んでいた。読後に同じ文庫本が見つかった。
    しかし、既読とは全く気づかなかった。内容をあまりに完全に忘れていたからだ。
    こんなに新鮮な気持ちで読めるなんて、驚愕の体験だ。

  • ライフワーク

  • 面白さはあった

  • 祟られた渡辺元綱/月蝕の夜、兼家はんが捕まえた兎が人語を発した/道満の月下の酒宴/寂しい女の感応/魃を射た/体調崩した男を治すには月の光を飲ませること/月から仙人がやって来た/水に映る顔を描き変える筆/晴明にとっても対処が難しい異国の鬼/パターン化されてるけどそれでも読みたくなるのはこの世界にひたるのが心地よいからでしょう。

  • シリーズどこまで読んだかわからなくなったためとりあえず玉兎から再読。『陰陽師0』を観てきた影響もある。
    相変わらずゆっくりしみじみと読みたい話たち。
    永遠に続いてほしい

  • 『道満月下に独酌す』の過去の恋人を呼び、道満の寂しさと晴明と関わることで現世での愉しみを見付けた心情を話す場面が印象深いです。
    彼も寂しい人なのだと改めて思いました。
    そして萱鼠が可愛い。


  • 個人的には「道満月下に独酌す」と「月盗人」の話が好みだった
    道満の過去に触れたり、悲しい恋物語に一気に読み進めてしまった
    「邪蛇狂ひ」は、救いようのない人間の結末に、殺された使用人達が救われたのなら良かったのでは?と思ってしまう

  • 久々に陰陽師シリーズ。初っ端から二郎真君に哮天犬が出てきてわくわくしてしまう。凄いの呼び出すな晴明…。依頼者の父が亡くなってるので後味はいまいちだが、いやでも祟られて当然だったよあれは。道満の話も良かった。本題前の萱鼠たちが健気で可愛いしそれを愛でてる道満も面白い。
    月にまつわる話が多かったな。博雅の笛もよく役立つ。人も人でないものも、博雅の笛で心を解される様子。蟬丸がいるとセッションしたくてそわそわしてる博雅かわいい。

  • 2022年12月26日購入。

  • 陰陽師の十五巻『玉兎ノ巻』。

    「輪潜り観音」と「月盗人」がよかった。
    愛情、恋慕のゆえにおきてしまった怪しの事なのだけど、この二つは繋がっているよに思う。「水化粧」もか。
    事の初めは、純粋な想いだったはずが、いつの間にか雑多な感情が入り混じって、自分自身ではどうにもならなくなってしまった末の出来事。
    なるようになってしまったことは、なるようにしかならない。ただ、知ってしまったからには、自分にできることはして差し上げよう、という姿勢の晴明。そして道満。
    酒をもらう、酒のためならば、というのは道満の偽悪であるのです。

  • 相変わらずの清明と博雅である。
    短編9編なわけですが、魃の回では天然博雅の能力が発揮!
    魃をとらえるつもりが、葉二の音色にうっとりして弓を引くまでもないという素敵所業。

    いつまでそのままでいて欲しい所です。

    ゆっくり読むにはちょうど良い一冊。

  • ずっと読んでるシリーズ。
    いつも新しいようでいつも懐かしいような、晴明と博雅のやりとりがよかったです。季節の風景の描写がいつも綺麗なんだよなぁ。
    道満がただ酒を飲んでいる姿も緩やかでよかった。

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著者プロフィール

1951年、神奈川県出身。第10回日本SF大賞、第21回星雲賞(日本長編部門)、第11回柴田錬三郎賞、第46回吉川英治賞など格調高い文芸賞を多数受賞。主な著作として『陰陽師』『闇狩り師』『餓狼伝』などのシリーズがあり、圧倒的人気を博す。

「2016年 『陰陽師―瀧夜叉姫― ⑧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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