静かな雨 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 323
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (171ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167912932

作品紹介・あらすじ

2020年新春映画化決定!

会社が潰れた日、パチンコ屋の裏の駐車場で、やたらと美味しいたいやき屋を見つけた行助。そこは、こよみさんという、まっすぐな目をした可愛い女の子が一人で経営するたいやき屋だった。行助は新たに大学の研究室の助手の働き口を見つけ、そのたいやき屋に通ううちにこよみさんと親しくなり、デートを繰り返すようになる。だがある朝、こよみさんは交通事故の巻き添えで、意識不明になってしまう。家族のいないこよみさんのために、行助は毎日病院に通う。三月と三日経った日、奇跡的に意識を取り戻したこよみさんだが、事故の後遺症の高次脳機能障害で、短期間しか新しい記憶を留めておけないようになっていた。二人は一緒に住むようになるが、こよみさんは、その日の出来事を覚えていられない。だが、脳に記憶が刻まれなくなっても、日々が何も残していかないわけではない。忘れても忘れても、二人の中には何かが育ち、ふたつの世界は少しずつ重なっていく。それで、ふたりは十分だったーー。第98回文學界新人賞佳作に選ばれた瑞々しいデビュー作。文庫版にはアンソロジー『コイノカオリ』(角川文庫)収録の「日をつなぐ」を併録。

感想・レビュー・書評

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  • 宮下奈都氏の作品の中でも、際立って透明感が強い話だったことを記憶している。怒涛の展開だとか衝撃の結末みたいなものはなく、それでも静かに息づいている世界観がとても美しくて切なくて、本当にこの人のことばは綺麗だと感じいった。特に最後のページの描写の仕方が好き。

  • う~ん。「デビュー作はこんな感じか?」としか言えない。
    最後まで物語に入り込めないまま読み終わってしまった。
    「羊と鋼の森」が良かったので期待しすぎたかな。

  • 初読みの作家さん。表題の通り、最初から最後までまるで静かな雨が降り続いているかのような小説。静謐という言葉がよく似合う。物語を通して大きな起伏はないけれど、決して単調というわけでもない。
    主人公の行助はたいやき屋さんを経営するこよみさんと親しくなるが、彼女がある日交通事故に巻き込まれた際に記憶を短時間しかとどめられなくなってしまう。それでも行助は彼女の店に通い続け、遂には一緒に暮らすようにもなる。
    こよみさんはさっぱりとしていて、何があってもあまり動じない。交通事故がなかったかのように、彼女は今まで通り変わらずに過ごしているようにも思える。けれど、ちょっとしたことから、彼女の記憶の欠如が垣間見えることが余計に目立つ。あとちらちらと仄めかされる彼女の素性が、余計に彼女を「高嶺の花」にしている気がした。
    行助の言うように、特別な日の特別な出来事を覚えていないことよりも、日々の暮らしの中にあるささやかな記憶が零れ落ちてしまうのはきっとつらいんだろうな。人間は、この些細な日々の記憶でできていると思うと、尚更。

  • リスが隠すとっておきのエサと彼女が彼の為に残すメモ紙が重なった時、悲しくて涙が出ました。

  • 相変わらず、優しくて独立した人間の暖かな話。
    人に依存しない、強くて優しい人たちの話を読むたびに自分のたりなさ、子供っぽさにガッカリさせられる。

    記憶の残らない女性と日々を暮らす主人公が、ときにはそのことにフラストレーションを感じながらも、すべてあるがままに、それでも2人でいられるだけで幸せだと感じるラストが良い。

    わたしはそういう風に思えるだろうか。
    「意味があるのか」とかややこしく考えそう。

    なんとなく、宮下奈都っぽくない感じの小説に感じたのはなんでだろう。記憶が消えていく女性という、ちょっと特殊なテーマだったからかな。

  • 表題作と他1編。
    なかなか弾力的。
    どこまで飛んでいくのかな。

  • 寡黙な好青年のイメージが解説を読んだ後は覆る
    違う目線で読み直すとゾッとする

  • 「静かな雨」「日をつなぐ」の二編。結末を読者に委ねる系のお話。物語がわかりやすく完結していないところで好みが分かれるかも。あれ?これで終わり?って、ちょっと肩透かし感があったかな。

    独特な比喩が可愛らしいシーンが多くあった。胸からバンビとか、「ててて、」とか、自分では思いつかないけれども言われてみれば納得できるうまい表現。言葉を捏ねくり回したような妙な言い回しはされていないから、全編を通して読みやすい。


  • 人の根元とは何かを提起する.目に見える障碍をテーマに,目に見えないところにも障碍はあり,目に見えることだけで世界が構成されている訳でもなく,人は全て何らかの障碍を持っているではないか,という救いでもある.いずれの作品も心穏やかに読むことを許さない,短編なれど重厚な一冊である.

  • さらりとした印象だけど,優しい物語。「音楽的作品」という解説のことばにとても納得した。

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著者プロフィール

宮下 奈都(みやした なつ)
1967年福井県生まれ。上智大学卒業。2004年、「静かな雨」で文學界新人賞に入選し、デビュー。日常に起こる感情の揺れを繊細で瑞々しい筆致で描きだす作品で知られる。『スコーレNO.4』が書店員から熱烈な支持を集め、注目を浴びる。代表作に、2016年本屋大賞、ブランチブックアワード2015大賞、「キノベス!2016」などを受賞した『羊と鋼の森』があり、2018年6月映画化。『静かな雨』が2020年新春映画化が決まり、2019年6月6日文庫化される。ほか、福井からトムラウシに移り住んでいた頃の日々を描いた『神さまたちの遊ぶ庭』や、福井での身辺雑記や本屋大賞受賞前後のエピソードなどを描いた『緑の庭で寝ころんで』がある。

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