よみがえる変態 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 272
レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167913557

作品紹介・あらすじ

2014年に発売された星野源の著書『よみがえる変態』文庫版が2019年9月3日(火)に発売決定!文庫化にあたり、新たに書き下ろしたあとがきも収録!

資生堂アネッサCMソング「夢の外へ」、「知らない」と立て続けにヒット。アルバムもオリコンチャートを賑わせ、主演舞台に主演映画とうなぎのぼりの人気のさなか、2012年末にくも膜下出血で入院。手術後数ヶ月で復帰したものの、再発。長期の休養を強いられた。「面白いものが作りたい」と、音楽・俳優・文筆とむさぼるように仕事をしてきた著者。
アルバム制作や撮影現場などの“ものづくり地獄”の舞台裏から、エロ妄想で乗り越えようとした闘病生活、完全復活まで。怒濤の3年間を綴った、くだらなさと緊張感とエロと哲学、ミックスにもほどがある垣根なしのエッセイ。雑誌『GINZA』好評連載「銀座鉄道の夜」の書籍化+書き下ろし。

感想・レビュー・書評

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  • 星野源という人を、NHKのLIFEやお源さんといっしょ、恋ダンスくらいでしか知らなかった者として、とても興味深く読んだ。
    多才な方だとは知っていたが、読みやすい文章に自らをさらけ出しエンターテイナーの底力が溢れていた。
    生きることの厳しさと正面から対峙した経験をもつ人の言葉だから、響く。
    「変態」=「普通の人間」としているところは、わかるけどわからない、と素直に思う。
    表に出せる鋼メンタルが「変態」なのではないだろうか。
    そこもエンターテイナーの成せる業なのだろうと思うことにする。
    面白いエッセイだった。

  • おげんさまの生命力よ、
    ストレートで面白い。

  • とある人間が死の淵から帰ってきたーーーただいま
    これから飛び上がるほど嬉しい事が起こるはずなんだ。死の淵から甦った3年をエロ哲学も垣根なくたどる。ーーー死にたくない

  • なんでですかね、こんなにも変態なのに不快感がないのは。それが星野源の魅力なのでしょうか。

  • 単行本も持ってるので再読。

    星野源の著作は、毎回装丁がばらばらで、それがとても本人っぽくてよいので、文庫になっても一応買うけど単行本をばらばらに並べたい。

  • 闘病中の話が一番面白いとか、星野源さんはやっぱりすごい!
    そして変態!

  • 文章が頭の中で、星野源の声に変換されて、いい感じで進んでいった。私が知っている星野源とは違う一面が読める。

  • 『よみがえる変態』 星野源

    Apple Musicで星野源が解禁された。恐ろしいもので、Apple Musicにない音楽は、自然と聞く機会がなくなる。大学2年生くらいに一時期気が狂ったように聞いていた星野源ともご無沙汰していたが、解禁した瞬間から通勤通学歩行全てのBGMを星野源に切り替えた。この本も大学生当時読んでいた『そして、生活はつづく』を思い出し、ちょうど文庫化されていたのでアマゾンで購入し、すぐに読んでしまった。
    星野源のエッセーのタイトルは面白い。『そして、生活はつづく』というタイトルは『く そして、生活はつづく』そう、クソして生活は続くというある種の生活への讃美歌であった。働きづめになると、生活はおろそかになり、仕事の大義とか、夢とかばかりが見えてしまうが、結局人間はクソをして生活をしているだけだという話だ。
     『よみがえる変態』はどうだろう。どこからよみがえるのかというのが問題だが、やはり闘病記がメインなので、地獄からかと思うのだが、読み進めるとそうでもない。「地獄でなぜ悪い」という歌があるが、今回のエッセーで星野源が訴えたのは、この世は既に地獄であるという発想の転換である。地獄は死んだ後に訪れるものではない。読めばわかるが、闘病生活は地獄そのものだったようだが、その中で、ポジティブに、クソみたいなことを考えながら生きる星野源がいる。看護師が可愛いとか、その看護師に座薬をいれられたら気持ちよくならなくてはいけないとか、がんじがらめの生活の中で、エロいことを考えたりしながら、地獄を進んでいる。「地獄でなぜ悪い」の歌詞にもあるが、「ただ地獄を進むものが、悲しい記憶に勝つ」のである。どちらかというと、地獄の様な外的環境からよみがえるのではなく、この後記す「変態」の遺伝子が、表出化(有徴化)することを「よみがえる」と言っているように思える。
     そして、もう一つ、はっとさせられた発想の転換が、「変態」についてである。これはあとがきに書いているのだが「人間より長い歴史を持つ動物を『普通』としたら、服を着て着飾ったり、向かい合ってセックスすることを正常位とする人間はもうフェティッシュの固まりだし、みな『変態』です。つまり、『変態であること、それすなわち普通の人間である証明』なのだと思います。」というのである。変態こそが、人間の姿そのものであるという人間観は面白い。昔読んだ人類学の本に書いてあった「いま我々がいる世界はWEID(=変な)ものである」という一節を思い出す。驚くなかれ、人類学において「WEIRD(=変な)」ものは「Western ,Educated, and from Industrialized, Rich, and Democratic(頭文字をとってWEIRD)」な社会であるというのである。日本は東洋であることを除けば、私たちの社会そのものである。長い射程でみれば、人間は皆「変態」であり、私たちの社会は「変な」のである。
     本エッセーでは、後半が闘病記となっているが、前半は様々なエッセーの集合体である。
    ひときわ心に残ったのが、「川勝さん」である。「川勝さん」はあり余る才能を持ちながら自宅火災でなくなった川勝正幸さんへのレクイエムであり、アルバム名にもなった「POP VIRUS」について繋がる一節がある。「様々な作品に触れたウイルスに感染した川勝さんが、さらにそのウイルスに自分の遺伝子情報を加えてパンデミックさせる。そしてその輪は広がり、様々な表現や人物に影響を与えていったので。もちろん、自分もその一人。ポップウイルスに感染した川勝さんは今、ポップウイルスそのものになった」と、生前の川勝さんについてウイルスという言葉を用いて語る。自分が面白いと思ったものに真っすぐに、面白さを人に伝えていく川勝さんの姿勢を称賛した上で、自分自身に留めるというこの節には、グッとくるものがある。
     大学生になってから本を読むようになり、記録している限りだと5年で400冊くらいになる。今まで読んで、というか最近読んでグッとくるのは、なんだかレクイエムばかりである。著者・星野源の「川勝さん」、オードリー若林の『ナナメの夕暮れ』での「前田健さん」と『表参道のセレブ犬~』の「父」への回想、そして内田樹が同世代最大の知性と賛辞をおくる「竹信悦夫」への回想録などなど。平野啓一郎の分人という概念を用いれば、亡くなった人の為に自分の中にある分人を丁寧に文章化する作業そのものに、何か特別な力が宿るのかもしれない。往々にして、自伝を残す人は限られている。仏陀やイエスキリストでさえ、自伝は残しておらず、彼らの伝承者を自認するもの達の文章が今に残るだけである。文章を書く意味が、歴史を語る意味があるとすれば、死者と、それに相対する自己の分人への鎮魂こそが、それなのかもしれない。
    湿っぽくなってしまったが、この文章を書いている間に、一度トイレに行った。死の淵をさまよったわけではないが、私も2か月前までは急性大腸炎で入院していた。退院してからというもの、自分の大便をトイレでまじまじと観察してしまう。長い時は3分くらいみていることもある。急性大腸炎で自宅療養している時、飼っている犬の糞を処理していて、「犬でさえ便を固められるのに…」とショックを受けたことがある。今、自分の便をまじまじとみてしまうのは、便を固めることができた自分の大腸に感銘すると共に、その成果物を見て恍惚とするからである。固い便がでることは、奇蹟である。決して水に流していい些末な日常ではない。(さすがに次の人に申し訳ないので、流すボタンの「大」を押して、トイレを後にする)。自分の中でよみがえる変態を感じつつ(これが、ユングの集合的無意識なのか?)、クソして生活はつづく。

  • 星野さんは正直あまり興味がなかったのですが、雑誌「ダビンチ」で本作のインタビューを見て興味を持ちました。
    単行本化で加筆された、脳梗塞で入院にまつわるエピソード部分は、グッとくるものがありました。ものすごい「生きる」に対するエネルギーというか。私も長期入院で「地獄」をみた経験がありますから、そういう意味で共感した部分は多かったのかも。
    一方それ以外のエピソードは並以下というところでしょうか。下ネタはむしろ好きな方ですけど、これを女性誌で連載していたというのは、少し驚きです。

  • 2014年刊行の改題・文庫化のエッセイ。エロもポップも同等に吸収し吐き出す。ミュージシャン・俳優としてポピュラリティを確立する、ほんの少し前の星野源の日常の思いの様々。特に脳動脈瘤破裂、くも膜下出血という大病を患った際のものには引き込まれる。‬

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著者プロフィール

星野源(ほしの げん)
1981年、埼玉県生まれ。音楽家・俳優・文筆家。アルバム『YELLOW DANCER』(2015年)、シングル「SUN」(2015年)、「恋」(2016年)が大ヒットを記録。第66回・67回『NHK紅白歌合戦』にも連続出場。俳優としても第37回日本アカデミー賞新人俳優賞などを多数受賞。2016年ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で大人気を決定付ける。著書に『蘇える変態』、『働く男』、『そして生活はつづく』、『星野源雑談集1』。『いのちの車窓から』 で第5回ブクログ大賞エッセイ・ノンフィクション部門大賞を受賞。2019年9月3日、『よみがえる変態』文庫を刊行。

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