アンソロジー 妖し (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914103

感想・レビュー・書評

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  • 読書疲れしていたため久々の短編。朱川先生の短編が一番好き。上品な怖さの作品が多くて良かった。どの作品も長編で読んでみたくなる魅力があった

  • 奇妙でゾクッとする、妖しいアンソロジー短編集。

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    10人の作家たちによる“妖しい”短編集。
    ひとくちに妖しいといっても、作家さんたちそれぞれの考える妖しさがあり、短編映画を見ているようでした。

    特に印象的だったのは恩田陸さんの「曇天の店」と米澤穂信さんの「わたしキャベンディッシュ」です。

    「曇天の店」は、ラスト前の会話には「」(かぎかっこ)がついておらず、なんで??となってしまったのですが、それすらもラストでの妻の一言に対する助走でした。
    また「」がない言葉が続くことで、現実的のような、そうでないような、ふわふわとした“現実”に自分も居るような気がしました。
    最後の、さーっと風が通り抜けたような冷気が、すごく“妖し”かったです。

    「わたしキャベンディッシュ」は、オチはすこし予測がついたものの、それを淡々と文章にされ、しかもラストの登場人物が誰も驚かないところに“妖し”さを感じました。

    ただし、歴史時代小説がニガテなため、武川佑さんの作品だけは読み切ることができず、申し訳ないです。

  • オール讀物2013年10月号阿部智里:李果を食む2018年8月号恩田陸:曇天の店、村山由佳:ANNIVERSARY、彩瀬まる:マイ,マイマイ、朱川湊人:フクライ駅から、武川佑:細川相模守清氏討死ノ事、9月号:小池真理子喪中の客、11月号乾ルカ:かぐわしきひと、2019年8月号窪美澄:真珠星スピカ、米澤穂信:わたしキャベンディッシュ、と2018,19年8月号の特集妖し競作が中心の10編のアンソロジー。村山さん、窪さんの不思議度が高く抒情的なお話が良い。米澤さんのバナナのお話は興味深く、ラストが怖いです。

  • 評価は三ツ星半と言ったところか。
    タイトルどおり「妖し」を共通テーマとした異なる作者による短編集であり、それぞれに異なる趣きの作品からなっており、飽きることなく読み終えることが出来た。

  • 面白かった。
    なんとも言えない不思議な妖しい話ばかり。
    特に恩田陸さんの金沢の話が好きだ。恩田陸さんのユージニアも金沢が舞台だったな。なんとも印象に残る話だった。恩田さんの、金沢に対する特別な思い入れを感じる。
    ちょっと乙一さんのような妖しいオムニバスだった。

  • 現代劇ばかりかと思ったら歴史モノも収録されていて驚いた。
    すごく怖い!という感じではない、すこし鳥肌が立つ程度。幽霊の怖さ、異形の怪物の怖さ、人間の怖さ、少しの優しさ。
    色んなタイプが楽しめる本。

  • ちょっと怖い話のアンソロジー。
    どの作品も、良かったのですが、あえて1つというなら、風鈴が出てくる話かなあ。
    読んだことのない作家さんに出会えるので、アンソロジーはおすすめです。

  • 全編シンプルに怖い。どろどろしているわけじゃなくて、上品な怖さだけど、それ故に怖い…!作家さんたちがみんな巧みなんだな…

  • 十人の人気作家が作る、妖しげな世界。

    「ANNIVERSARY」は言葉の持つ明るい世界とは異なる、なんだか奇妙な、悲しい世界だ。
    世界がループするのだ。
    ちょうど今読み返している『D.Gray-man』にも、繰り返される日々の話が出てきていた。
    この漫画について語るのはまた別の機会として、とにかく元の世界においてきた子供のことが気になってしまう。
    愛する者との離別を考えると、胸が苦しくなる。

    『李果を食む」は、私が感じ取ったおぞましさは二つあった。
    どちらだ。
    どっちなんだ。
    いや、どちらでも構わないだろう。
    もうすぐ、スモモの季節。
    あの甘酸っぱいすももを、私はこの話を思い出さずに食べられるだろうか?

    「かぐわしきひと」「喪中の客」はどちらも気味の悪さで際立つ。
    前者は自分の思い込みに騙され、そして、終わりの凄惨さに胃液が上がってくる。
    後者は、自分の見ている世界が本当に正しいのか、わからなくなる。
    それにしても、あの客人は一体なぜきたのだろう?
    そちらの方が、より、恐ろしい。

  • 特に「マイ、マイマイ」と「李果を食む」が印象に残った。

    マイ、マイマイ
    過去の体験は今の自分を作っている。その事実を物理的なものに例えて、体からぽろっと抜け落ちる表現がおもしろかった。
    自分が持っている価値観に案外無自覚だったりするよなと思った。

    李果を食む
    兄弟それぞれの事実に基づいた認識が、同じものを見ているはずなのに、捩れの位置みたいに全く違うものとして突き進んでいく感じ、徐々にどれが真実が分からなくなる奇妙さが読んでいておもしろかった。

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