妖し (文春文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914103

作品紹介・あらすじ

それは不思議な夢か? それとも妄想か? あなたが今見ている世界は本物ですか…。十人の豪華執筆陣による奇譚小説アンソロジー。

感想・レビュー・書評

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  • 奇妙でゾクッとする、妖しいアンソロジー短編集。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    10人の作家たちによる“妖しい”短編集。
    ひとくちに妖しいといっても、作家さんたちそれぞれの考える妖しさがあり、短編映画を見ているようでした。

    特に印象的だったのは恩田陸さんの「曇天の店」と米澤穂信さんの「わたしキャベンディッシュ」です。

    「曇天の店」は、ラスト前の会話には「」(かぎかっこ)がついておらず、なんで??となってしまったのですが、それすらもラストでの妻の一言に対する助走でした。
    また「」がない言葉が続くことで、現実的のような、そうでないような、ふわふわとした“現実”に自分も居るような気がしました。
    最後の、さーっと風が通り抜けたような冷気が、すごく“妖し”かったです。

    「わたしキャベンディッシュ」は、オチはすこし予測がついたものの、それを淡々と文章にされ、しかもラストの登場人物が誰も驚かないところに“妖し”さを感じました。

    ただし、歴史時代小説がニガテなため、武川佑さんの作品だけは読み切ることができず、申し訳ないです。

  • オール讀物2013年10月号阿部智里:李果を食む2018年8月号恩田陸:曇天の店、村山由佳:ANNIVERSARY、彩瀬まる:マイ,マイマイ、朱川湊人:フクライ駅から、武川佑:細川相模守清氏討死ノ事、9月号:小池真理子喪中の客、11月号乾ルカ:かぐわしきひと、2019年8月号窪美澄:真珠星スピカ、米澤穂信:わたしキャベンディッシュ、と2018,19年8月号の特集妖し競作が中心の10編のアンソロジー。村山さん、窪さんの不思議度が高く抒情的なお話が良い。米澤さんのバナナのお話は興味深く、ラストが怖いです。

  • 評価は三ツ星半と言ったところか。
    タイトルどおり「妖し」を共通テーマとした異なる作者による短編集であり、それぞれに異なる趣きの作品からなっており、飽きることなく読み終えることが出来た。

  • 現代劇ばかりかと思ったら歴史モノも収録されていて驚いた。
    すごく怖い!という感じではない、すこし鳥肌が立つ程度。幽霊の怖さ、異形の怪物の怖さ、人間の怖さ、少しの優しさ。
    色んなタイプが楽しめる本。

  • ちょっと怖い話のアンソロジー。
    どの作品も、良かったのですが、あえて1つというなら、風鈴が出てくる話かなあ。
    読んだことのない作家さんに出会えるので、アンソロジーはおすすめです。

  • 十人の人気作家が作る、妖しげな世界。

    「ANNIVERSARY」は言葉の持つ明るい世界とは異なる、なんだか奇妙な、悲しい世界だ。
    世界がループするのだ。
    ちょうど今読み返している『D.Gray-man』にも、繰り返される日々の話が出てきていた。
    この漫画について語るのはまた別の機会として、とにかく元の世界においてきた子供のことが気になってしまう。
    愛する者との離別を考えると、胸が苦しくなる。

    『李果を食む」は、私が感じ取ったおぞましさは二つあった。
    どちらだ。
    どっちなんだ。
    いや、どちらでも構わないだろう。
    もうすぐ、スモモの季節。
    あの甘酸っぱいすももを、私はこの話を思い出さずに食べられるだろうか?

    「かぐわしきひと」「喪中の客」はどちらも気味の悪さで際立つ。
    前者は自分の思い込みに騙され、そして、終わりの凄惨さに胃液が上がってくる。
    後者は、自分の見ている世界が本当に正しいのか、わからなくなる。
    それにしても、あの客人は一体なぜきたのだろう?
    そちらの方が、より、恐ろしい。

  • 特に「マイ、マイマイ」と「李果を食む」が印象に残った。

    マイ、マイマイ
    過去の体験は今の自分を作っている。その事実を物理的なものに例えて、体からぽろっと抜け落ちる表現がおもしろかった。
    自分が持っている価値観に案外無自覚だったりするよなと思った。

    李果を食む
    兄弟それぞれの事実に基づいた認識が、同じものを見ているはずなのに、捩れの位置みたいに全く違うものとして突き進んでいく感じ、徐々にどれが真実が分からなくなる奇妙さが読んでいておもしろかった。

  • あまり「妖し」じゃなかったんですが
    一番良かったのは
    窪美澄先生の 「真珠星 スピカ」
    死んだ母親が娘を こっくりさんを使って
    守る話で 愛情に不意打ちされて
    かなり泣けました さすが

  • 【怪異】をテーマに描く奇譚小説。
    アンソロジーシリーズ。
    この面子だし、と思って読み始めたのが
    間違いだった…

    想像のはるか上の上をゆく怖さだった…
    夜、部屋で一人で読んでいられないページが
    何度もあった。

    大好きな米澤穂信の
    「わたしキャベンディッシュ」も、
    あーー、これが伏線でこうなる感じかぁ
    のんきに思っていたあたし。
    伏線は伏線でも回収先が違っていて
    安定の穂信のぞわぞわ感。

    乾ルカの「かぐわしいひと」なんか
    ここから先は、もう読めない……と
    次の日に
    持ち越したくらいなのに
    その怖さに上塗りされるように
    壊れていく人間の怖さがくる。
    えーーー??そっちーーー??!みたいな…

    そんな中、
    なんとも言えない感情と思いに溺れたのが
    窪美澄の「真珠星スピカ」
    母と娘、父と娘。
    このそれぞれの【2人きりの時間】には
    切なさとやりきれなさ、
    それに希望が詰まってる。

    まだ読んだことがない作家さんも多かった。
    少しずつ読んでみたい。

  • 発売前からtwiiterでも反響!
    それは不思議な夢か?それとも妄想か?今見ている世界は本物ですかー。十人の豪華執筆陣による奇譚小説。

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著者プロフィール

1964年、宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』でデビュー。2005年『夜のピクニック』で第26回吉川英治文学新人賞および第2回本屋大賞を受賞。06年『ユージニア』で第59回日本推理作家協会賞を受賞。07年『中庭の出来事』で第20回山本周五郎賞を受賞。17年『蜜蜂と遠雷』で第156回直木三十五賞、第14回本屋大賞を受賞。近著に『スキマワラシ』『灰の劇場』『薔薇のなかの蛇』、エッセイに『土曜日は灰色の馬』『日曜日は青い蜥蜴』など作品多数。

「2022年 『月曜日は水玉の犬』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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