浮遊霊ブラジル (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2020年1月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784167914219

作品紹介・あらすじ

川端康成文学賞受賞作「給水塔と亀」収録、紫式部文学賞受賞の短編集。
筆者の卓越したユーモアと、人間観察力がいかんなく発揮された数々の短編をおさめた本作は、物語を読む楽しみを存分に味わえる充実の一冊。

楽しみにしていた初の海外旅行を前に亡くなってしまった主人公は、人に憑くスキルを手に入れ、体を乗り換えて、様々な土地を旅していくが、なぜかブラジルにたどりつき……表題作「浮遊霊ブラジル」
ドラマは毎日三本、小説は月に十冊。サッカーやツール・ド・フランスから人生相談まで、生前、虚実の物語をさんざん食い散らした「私」が落ちたのは「物語消費しすぎ地獄」。そこで課せられる世にも恐ろしい試練とは?――「地獄」
どんな土地勘のない場所でも最悪のシチュエーションでも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?――「運命」
定年を迎え、海と製麺所のある故郷に帰った男。クロスバイクを手に入れ、亀を預かり、静謐で新しい人生が始まる。――「給水塔と亀」(2013年川端康成文学賞受賞作)

【収録作】
「給水塔と亀」(「文學界」2012年3月号)
「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」(「文學界」2010年2月号)
「アイトール・ベラスコの新しい妻」(「新潮」2013年1月号)
「地獄」(「文學界」2014年2月号)
「運命」(「新潮」2014年6月号)
「個性」(「すばる」2014年9月号)
「浮遊霊ブラジル」(「文學界」2016年6月号)

みんなの感想まとめ

多様な視点から人間の生と死を描いた短編集は、ユーモアと温かみが溢れる作品です。表題作を含む各短編では、主人公たちが独特の試練や状況に直面し、時には笑いを誘いながらも、深い人間観察が展開されます。特に「...

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、〈地獄〉がどんなところか知っていますか?

    悪いことをした人は、死んだら〈地獄〉に落ちる。だから、良い行いをしましょう。幼い頃からそんな教えの元に生きてこられた方は多いと思います。改めて思えば、刑罰というものが定められて、犯罪抑止という考え方が存在する、私たちの社会の有り様の原点がここにあるようにも感じます。

    では、そんな〈地獄〉とはそもそもどんなところなのでしょうか?あなたは、見たことがあるでしょうか?まあ、そんな突飛な質問をしても、はい、見てきました。苦しんできましたという人もいないでしょう。ただ、〈地獄〉という言葉の先にある一つのイメージというものはあるように思います。私は幼い頃にお寺の軒下に掲げられている”地獄絵図”を見たことが未だに強く頭の中に焼き付いています。元々古くなってところどころ禿げたその絵は余計に恐怖感を煽ります。針の山、血の池、そして賽の河原で苦しむ人たち。音のしない絵の中から、人々のおどろおどろしい叫びが聞こえてきそうなその絵は私の中に強く焼き付き、しばらく夜中に一人でトイレに行けないという恐怖に苛まれる日々を送りました。
    
    しかし、〈地獄〉に行ってそこがどんなところか見てきたという人がいない以上、それはその絵を描いた人の勝手な思い込み、勝手な想像に過ぎないとも言えます。そもそも〈地獄〉なんてあるのかな?という考え方自体当然にあり得ますし、また例え〈地獄〉があったとしても、それがどんなものかは本来は百人いれば百通りのイメージが浮かび上がるものだとも言えます。

    さて、ここにそんな誰も経験したことのない〈地獄〉での日々をサラッと当たり前のことのように描いていく作品があります。『地獄は、かなり忙しい』、『一日に四〇〇ページのノルマを課せられる』読書の日々…と私たちが〈地獄〉に思い描く絵柄とは全く違ったイメージが描かれていくこの作品。それは、津村記久子さんが独特な筆致の中に自由のままに描いていく、奇妙奇天烈、摩訶不思議、前古未曾有な物語です。

    七つの短編から構成されたこの作品。短編間に繋がりは全くありませんが、兎にも角にも個性的、というより個性的すぎる短編揃いです。では、そんな七つの短編の中から表題作でもある〈浮遊霊ブラジル〉の冒頭をいつもの さてさて流でご紹介しましょう。

    『私はどうしてもアラン諸島に行きたかった』という七十二歳の主人公の『私』。しかし、『自宅で心不全で倒れているところを、ヘルパーの大園さんに発見され』『灰にされてしま』います。『妻のフキ江が亡くなって』五年の歳月が経ち、『特に思い残すこともなくフキ江のもとに行く予定』だったものの『この数か月の間に』『町内会で旅行に行こうという案が持ち上が』り、『アイルランドのアラン諸島に行先が決ま』りました。そして、『それから三週間後に、私は亡くなった』という展開となった一方で『思ったよりアラン諸島に行きたかった』『私』は『幽霊として現世にとどまることになってしま』います。『交通費もいらなくなったことだし、一人でもアラン諸島に行けるのではないか』と思ったものの電車も飛行機も『私をすり抜けてしま』い、『生前に徒歩で行けた範囲までしか浮遊できないということに気が付いた』『私』。一方で、『気晴らしに女湯に行ってみた』ものの、『風呂に入っている』のは、『同い年ぐらいかそれ以上の年のおばあさんなので、二、三回で行くのをやめ』てしまいます。そんな中、『町内会の』『副会長の仲井さんの耳元で』旅行に行くよう言い続けるようになった『私』に、ある時『不思議なことが起こ』ります。それは、『掃除機に吸い込まれるごみはこんな気持ちなんじゃないか』という体験でした。そして、『浮遊霊の私は、思わぬきっかけから、人に憑りつくという技術を身に付けた』のでした。『仲井さんに憑りつくことで』、『電車やバスなどの交通機関を利用できるようになった』『私』の『行ける場所は増え』ました。一方で、『二人羽織のような状態なので、仲井さんに私の言葉は届かな』いという状態。しかし、当初面白がっていたものの『だんだん仲井さんの生活にも飽きてきた』『私』は、『仲井さんからの乗り換えを考えるようになっ』ていきます。そして、『人から人へと乗り換える方法』を模索する『私』は…と続く表題作〈浮遊霊ブラジル〉。まさかの『浮遊霊』が主人公となる奇想天外な展開に当初は戸惑ったものの、あまりに絶妙に繰り広げられるその物語にすっかり夢中にさせられる傑作短編だと思いました。

    “死にたい。死んでるけど。ユーモラスで優しい世界にたゆたう人々“と内容紹介にうたわれる七つの短編からなるこの作品。〈給水塔と亀〉、〈アイトール・ベラスコの新しい妻〉といったどこか不思議な短編タイトルが気になるところです。どれも一癖二癖感じる読み味ですが、その中から気に入った三編についてその内容をご紹介したいと思います。

    ・〈うどん屋のジェンダー、またはコルネさん〉: 『人はうどんが好きだし、私もうどんが好きだ』という主人公が通う人気のうどん屋は初めての客に事細かに接客をする『店主がこってりしている』店です。そんな店にコルネさんという客が通っていますが、ある時『あんたこの店初めて?』と訊く店主に何故か『初めてです』と告げたコルネさん。さて、その理由は如何に?

    ・〈地獄〉: 『私と同級生のかよちゃんは、温泉に行った帰りのバス事故で、同じ日に死んでしまった』という衝撃の展開。そんな『私とかよちゃん』は『地獄』に来てしまいました。『地獄は、かなり忙しい』という『私』は、『起床から就寝までに、一日最低三回は殺され』るなど、『試練の日々』を送ります。そんな中『別の地獄』にいるかよちゃんと偶然に再会をはたします。

    ・〈浮遊霊ブラジル〉: 『どうしてもアラン諸島に行きたかった』という『私』ですが、心不全により死んでしまいます。そして、『アラン諸島に行きた』いという強い思いが勝ち『幽霊として現世にとどまることになっ』た『私』ですが、色々なものを『すり抜けてしま』い、移動もままなりません。そんな中、町内会の『副会長の仲井さん』に取り憑いたことをきっかけに人に取り憑くことの可能性を見出します。

    上記で取り上げた三編のうちの二編は、なんとまさかの死後の世界がさらっと当たり前のように描かれていきます。この当たり前さがなんとも強烈です。天国と地獄というのは分かりやすい死後の世界の対になるイメージです。私は幼い頃にお寺に飾られていた”地獄絵図”に強い衝撃を受けました。針の山、血の海、そして賽の河原という阿鼻叫喚の世界、それが私の中に染み込んで抜けない〈地獄〉のイメージです。〈地獄〉という短編タイトルから、私にはやはりこのイメージが頭に浮かびました。しかし、津村さんの描く〈地獄〉とはそんなある意味で通俗っぽい〈地獄〉とは全く異なる世界をそこに描き出します。それが、『「その人に合った地獄」とか「その人らしい地獄」を提供するというポリシーが、地獄運営側にはある』という考え方の先にあるものでした。『地獄運営側』という発想自体、いかにも現代社会的です。”地獄絵図”をかつて描いた人には発想さえ浮かばないと思います。ただ、現代社会に生きる私たちからすると、さもありなんという考え方でもあります。そして、そんな『地獄運営側』が『私』に課した『その人らしい地獄』が、小説を読むというものでした。いかにもこの作品を読んでいる本好きの読者を念頭にした発想です。しかし、ここは〈地獄〉です。主人公の『私』は『一日に四〇〇ページのノルマを課せられ』ます。一方で、さてさては五〇〇ページまでは一日で読み切りますので、この『ノルマ』はへっちゃらです。でも、次が強烈です。『すべての本の最後の数ページが破かれていた。それをわかった上で読まされたのだった』というこれこそ本好きに対しての一番の試練です。生前、小説家だったという『私』は、『最後がわからないのはつらい』と苦しみます。『ミステリーなどを読まされた場合は、犯人が絶対にわからないようなところから破かれていた』となると、あなただって耐えられないでしょう?このような感じで〈地獄〉が描かれていく中に、いつしか私が幼い頃に恐怖した”地獄絵図”が上書きされていくのを感じました。人によって思い描く〈地獄〉は当然に変化する、なるほどなと思いました。

    そして、表題作の〈浮遊霊ブラジル〉では、『幽霊として現世にとどまることになっ』た『私』視点の物語が描かれていきます。『幽霊』となった主人公が描かれる作品というと、私が読んできた中では加納朋子さん「ささらさや」が強く印象に残っています。”まだ新婚ホヤホヤって言ってもいいくらいの可愛い奥さんと、首もすわらない赤ん坊を残して”、”俺は気がついたら死んでいた”と、まさかの交通事故に遭遇して”俺”が死んでしまうところから始まる物語は、切なさを感じる結末を見るとても優しい物語でした。死者が『幽霊』となってこの世に残るという考え方の先には、このイメージが私には強くあります。1990年に大ヒットしたアメリカ映画「ゴースト」もこれと似た世界観でした。一方で津村さんはそんな『幽霊』のイメージをこれまた鮮やかに突き崩します。七十二歳で亡くなった『私』は、『幽霊』というものがなんでも『すり抜け』てしまうことに気付きます。そんな『私』がそれを逆手に赴いたのが『女湯』でした。しかし、『風呂に入っているのがだいたい自分と同い年ぐらいかそれ以上の年のおばあさんなので、二、三回で行くのをやめた』と残念な結果に終わった『私』は、あきらめきれず『より若い女性の集まる女湯を探』そうとしますがインターネットが使えないというオチ。そんな中で『スーパー銭湯に行けばいいんだ!』と思いつく『私』…と展開する物語は、これまた私が抱いていた『幽霊』の概念を大きく突き崩すものです。人が『幽霊』になったからといって急に神妙になったり、恨み辛みばかりの思いでいるのではなく、俗っぽさもあるんだということを描いていくこの物語。津村さんの筆にかかると『幽霊』もたじたじだなあ、と改めて感心させられました。

    『酸から身を守るために、きょうだいたちの中ほどにもぐりこんで、私はほとんど彼らに挟まれたまま好き放題に翻弄されて進んだ』、『私と同級生のかよちゃんは、温泉に行った帰りのバス事故で、同じ日に死んでしまった』、そして『葬式や何やがあった後、私は灰にされてしまった』と、当たり前のことのように書かれた文章が、よくよく考えると疑問符がつきまくるという中に展開していくこの作品。ひたすらに真面目に徹した文体の中に、いやここ笑いどころでしょう?というツッコミ感のある設定が自然に組み込まれている摩訶不思議感。シュールといった安っぽい言葉で言い表せない独特な世界観の中に展開される七つのかっ飛んだ物語からなるこの作品。あまりの掴みどころのなさに、読中不安に苛ませそうにもなるこの作品。

    それこそが面白い、それこそが楽しみどころ、そしてそれこそが津村さんの何よりもの魅力!そんな風に感じたインパクト最大級の作品でした。

  • どのお話もクスッと笑えておもしろい
    後半の話しになればなるほど
    ワクワクしてきた
    「地獄」なんかは
    こんな地獄なら楽しいかもとさえ思える
    私もたぶん
    「物語消費しすぎ地獄」に落ちるだろうから
    それはそれで楽しみすぎる
    だって話しの主人公になれるんですから!
    こんな素敵なことはない!
    あっ、でも楽しみにしていたらいけなそうなので
    黙っておく!
    内緒!

  • タイトルの『浮遊霊ブラジル』?何だこれ?
    これはいったいどんな物語何だろう?と興味を惹かれ手に取った。
    表紙の絵がタイトルに負けず劣らずでうどんの海に夜空の月のかわりにすだち?
    その下には地獄の鬼が女性の足を引っ張っている。タイトルの字のまわりも最初餃子?と思ったけど耳っぽい。
    「流行る芝居は外題から」という【ことわざ】もあるように読む前からバロメーターがぐんぐん上がっていく。

    肝心の中身はというと、また風変わりな短編が7編。
    最初はおとなしい感じの話だけど徐々にボルテージが上がり最期は天にも昇ってしまうかんじだ。
    死後の世界を面白おかしく扱っていたりとうどん屋から外国、地獄へと自由で多彩な内容。

    『給水塔と亀』
    定年を迎え帰郷した男の新生活を淡々と描く。
    特に何が起きるということもない新生活の始まり。最後のベランダでビールを飲みながら外を眺めるシーン、寂しさやくたびれた感はなく、むしろ新生活への期待や明るさを感じさせられる話。ビール、ビールとビールのことしか考えられなくなってしまう描写、津村さんは本当におっさんの気持ちが良く分かる。
    「亀」の意味は亀のように残りの人生ゆっくり
    歩もう? それとも残された者同士仲良くしよう?

     『地獄』  
    これまでの常識を覆した地獄。
    こんな地獄なら行ってもいいかも、これって地獄なの?なんて思わせる面白い地獄。
    鬼がやけに人間臭かったり、地獄のネーミングにも思わず笑ってしまう。
    最後のはあれ恩返しなの?
    あれはあれで、やっぱり地獄だよね。
     
    『運命』
    「やたらと○○を訊かれやすい」という運命の女性の話。
    何故彼女がそんな運命を追ってしまったのか、その原因となった話がまた面白い。
    でもこの運命はちょっと嫌だな。

     『浮遊霊ブラジル』
    私は一番この話に興味を惹かれた。
    初の海外旅行を目前に病死してしまった老人の話。
    いろいろな人に取り憑きながらアイルランドへ向かうのだけど何故か他の国へ行ったりと、ふわふわしながら自分も浮遊霊になったような気にさせられる。
    人に取り憑く呪文や取り憑く(吸い込まれる)描写を想像すると思わず笑ってしまう。(異世界ものみたい)
    生まれて初めての海外旅行行きたかったんだろうなぁ、そして女湯も!


    めまぐるしく変わる世界観、既知の想像を超える世界、どこへ連れていかれるか分からない、【津村ワールド】体験する価値ありです。

  • 表題作の『浮遊霊ブラジル』の他、『給水塔と亀』『運命』『地獄』『個性』などを収録した短編集。
    この中で私の一推しは何と言っても『地獄』です。

    この短編集全体で言うと、すごく好きなのとそうでもないのがあったので星4評価ですが、『地獄』は満星!面白くてずっと笑いながら読みました。

    生前、ドラマや映画、ドキュメンタリーやスポーツなど、虚実の物語を消費しすぎた罪で物語消費しすぎ地獄に堕ちた主人公。同じバス事故で死んで喋り過ぎ地獄に堕ちた友人と、担当の鬼についてLINEでやりとりしたり、どこか暢気な地獄での暮らし。

    隣の席の喋り好きの女同士の会話を、ずっと聞いているかのような面白さ。
    コロナでなかなか人と会ってお喋りできない昨今、一服の清涼剤となりました。

  • 津村さんの発想はいつも面白い。

    本作は人が生まれる前〜生きている間〜死後に渡るまでの、あらゆる世界を描いた短編集。

    今の私のお気に入りは「運命」。主人公はいつ何時でも場所を訊かれる人。「〇〇ってどこですか?」と、受験の日も、初めて訪れた場所でも、海外でも、あんな時やこんな場所でも…思わず、えぇー!!と驚いてクスッと笑わずにはいられない。

    本作には、変わった人も性格が悪い人も愛おしい人も出てくるが、皆がそのまま並列に扱われていることが心地よかった。酷い人だから特別貶めることも、良い人だから特別幸運に恵まれることもない。
    これまで読んだ津村作品もそうだった気がする。

    わりかし薄い本に七篇が詰め込まれ、それぞれの登場人物も多い。いろんな国籍のいろんな人や人ではないものたちが、出てきては通り過ぎていく。
    にも関わらず、読み手がさほど混乱せずに物語にスッと入り込めるのは津村さんのさすがの手腕。

    ストーリーを忘れた頃にまた読み返すため、手元に置いておきたい一冊。 

  • タイトルで面白そうと思い購入。津村さんの本はエッセイは読んだ事あるけど小説は初。

    7編入った短編集。世界観とか雰囲気が独特。癖が強いわけではなく、淡々としている感じ。この雰囲気が好きかどうかで好みが分かれそう。私は結構好み。楽しめました。

    特に好きだったのは、「アイトール・ベラスコの新しい妻」「地獄」かな。アイトールは読んでいて気持ちがザワザワしました。タイトルの段階では内容がこう転がるとは予想できなかった。終わり方が好き。
    地獄の方は世界観が斬新。この地獄嫌だわ〜。物語消費しすぎ地獄最悪。本の最後数ページ破かれてるの最悪。

  • 111108さんに教えていただいて早速読む。
    全編に渡ってとぼけたユーモアが漂っているけれど、ふいに人生の真理をつくような一文があったりするのが癖になる。どうやってこんないい意味で変な小説思いつくんだろう!
    特に『地獄』『浮遊霊ブラジル 』が好きだけど、『運命』のラストの「何もかもが、簡単にいくわけはないだろう。それでも幸多からんことを。」という文章も、不甲斐ない人生を勇気づけてくれるようで心に残った。
    津村さんのこのヘンテコな世界観の物語、もっといろいろ読んでみたい。

    • ロッキーさん
      コメントありがとうございます!
      『地獄』1番好きでした。脱力感、確かに近いものありましたね(笑)地獄にいるのに呑気なこと言ってる感じとかも!...
      コメントありがとうございます!
      『地獄』1番好きでした。脱力感、確かに近いものありましたね(笑)地獄にいるのに呑気なこと言ってる感じとかも!
      『運命』のセリフいいですよね!このうまくいかない人生をさりげなく励ます感じが津村さんらしさなのでしょうか。津村さん全然読んだことなかったのですが、開拓したくなりました!
      2023/12/24
    • 111108さん
      津村さんちょっと開拓するなら『サキの忘れ物』も短編集でいいかもです♪
      津村さんちょっと開拓するなら『サキの忘れ物』も短編集でいいかもです♪
      2023/12/24
    • ロッキーさん
      『サキの忘れ物』全然知りませんでした!何から開拓しようという感じだったので、教えてくれてありがとうございます〜読みます!!
      『サキの忘れ物』全然知りませんでした!何から開拓しようという感じだったので、教えてくれてありがとうございます〜読みます!!
      2023/12/25
  • おもしろい短編の詰め合わせ、どれを選んでもハズレなし!

    おじさん臭が伝わるような(そんなに、悪い意味じゃなく)おじさんが主人公の話。

    うわー、女の怖さ炸裂、という話。辛辣な部分もイヤな後残りなくサラッと。

    『世にも奇妙な物語』的な不思議感、満載の話。

    鋭い人間観察力でもって、独特の世界を作り上げられる津村記久子さん。どんな方なんだろう。お会いしてみたくなりました。

  • 不思議な読後感の短編集

    うどん屋のジェンダー、またはコルネさん
    アイトール・ベラスコの新しい妻
    個性
    浮遊霊ブラジル
    が好きでした。

    運命はちょっとよくわからなかったので再読します。

  • 面白かった〜!
    現実じゃありえないことでも、何か妙なリアリティ?があって好き。
    【地獄】が面白すぎる笑
    読んでる分には笑っちゃうような世界なのに、ちゃんと"地獄の苦しみ"が存在してて良い笑

    タイトルにもなってる【浮遊霊ブラジル】
    こちらも好き。女湯へのこだわりが好き笑
    終わり方もちょっと儚くて好き。
    私は死んだら誰に憑依して何処を目指そうかなあ…笑
    何処ってよりも、自分じゃ出来なかった体験とかもいいかも?

    いやはや面白かった…!!
    ブクトモ様におすすめしてもらった、独特な世界観の1冊!
    最高でした\( ´ω` )/
    ありがとうございました(*´ω`*)♪

    • さてさてさん
      みたらし娘さん、連投すみません。
      この作品は強烈ですよね。私も『地獄』のイメージが一変しました。一般的な『地獄』のイメージは万人向けなのだ...
      みたらし娘さん、連投すみません。
      この作品は強烈ですよね。私も『地獄』のイメージが一変しました。一般的な『地獄』のイメージは万人向けなのだと思いますが、対象者を限定すると、その人にとっては、もっと辛い『地獄』になるというところでしょうか。私は文庫本500ページまでは一日で読むようにしているので、人によってカスタマイズは必要かもしれませんけど。
      それにしても川上弘美さんはもちろんのこと、芥川賞作家の方って発想がすごいですよね。なかなか思いつかないようなことをサラッと描いていくところがすごいです。とても真似ができないなあと。
      ああ、感動!という作品は当然に読みたいですが、こういった、面白い!という読後が素直に感じられる作品も良いなあと。
      今年もあと4ヶ月、まだまだ良い本に巡りあいたいですね。
      2022/08/31
    • みたらし娘さん
      さてさてさん、こんにちは☆
      コメントありがとうございます(*´ω`*)

      強烈な作品楽しませていただきました!笑
      1日500ページまで読むさ...
      さてさてさん、こんにちは☆
      コメントありがとうございます(*´ω`*)

      強烈な作品楽しませていただきました!笑
      1日500ページまで読むさてさてさんの場合は、どんな地獄になるんですかね?笑
      でも気になるページを切り取られたりしてたらさすがに地獄ですね(´;ω;`)

      すごく素敵な本でした!
      ありがとうございました(*´ω`*)♪
      2022/09/01
  • 定年退職したおじさん、地獄界の人、人に憑いて旅する霊、会うたびに激変する友人など…7短篇。どこかへんてこで、ユーモラスであたたかい気持ちになりました。いろんな人がいるなぁ。人間って面白いなぁ。他作品も読んでみたい作家さん。

  • 津村さんの本を久しぶりに読みたくなり、さてさてさんの本棚と近所の図書館を確認してこちらを手にした。
    装画扉題字 北澤平祐 夜空と集落と浮遊物と地獄のようなところで女性が足を引っ張られている。(鬼かしら?)
    お仕事話、サラリーマンの悲哀が絡み、うどんやそば屋さん、食堂が舞台となったりする。
    地獄と運命と浮遊霊ブラジルが特によかった。場面が走馬灯のように変わり、ぼうっとしていると分からなくなるので何度か読み直す。
    山小屋断しゃべ地獄、やりなおすための方法二千個考えるってなんという地獄。
    『今起こっていることに執着せず、ただ生きてきた時間の中に溶けていくのは、なんて心地よいことなんだろう』この文章に出会うために読んだのかもしれないと、うるっときた。

  • 津村記久子さんの描く世界が好きだなと思った。
    主人公は定年退職したおじさんだったり、疲れたOLだったり、なんと幽霊だったりする。
    おじさんの悲哀ではなく、しみじみとした情感を描くところだったり、普通のOLが人気店の店主にキレる爽快さがあったり、幽霊が人に乗り移ってブラジルまで行くけれど、最後は無事に成仏する安堵さがあったり、愉快な展開をする世界がおもしろかった。

  • ユーモア溢れるタイトルが並ぶ目次。読み進めるとへんてこテーマの中にリアルが混じってて、両方をゆらゆらと行き来する感じが心地よかった。

  • これこれ!
    私が津村さんに期待する小説はまさにこの本、という感じの短編集だった。

    地獄の奇想天外なおもしろさ。
    中年のなかよし女性二人が事故に遭い、同時に死ぬ。
    小説家だった私は物語地獄に、親友のかよちゃんはおしゃべり地獄に。
    地獄では担当の鬼が一人に一人つき、それぞれの業に応じた「地獄タスク」をこなさなければならない。
    鬼の方にも配属される地獄に「栄転」「左遷」があり、家庭生活では配偶者の不倫にも悩まされる。
    奇想天外なのだか、意外と所帯じみているのかなんだかわからない可笑しさ。

    「運命」は構成のたくみさに驚く。
    主人公の「運命」とは、最悪の状況なのに、それにまったく気づかない赤の他人に道を聞かれてしまう、というもの。
    人生の中の驚くほど多様な場面なのに、いつもいつも、そういうめぐり合わせになってしまう。
    それぞれの場面は、いったいそれはどんな状況なのだ、と思わず突っ込みを入れたくなるようなもの。
    さすが作家というのか、すさまじい想像力。

    表題作「浮遊霊ブラジル」も面白い。
    妻に先立たれた高齢男性、三田が主人公なのだが、初めての海外旅行を町内会でしようと話し合う。
    アラン島に行くことになったところで、しかし彼は頓死するのだが、その思いが残り、浮遊霊となってしまう。
    三田は浮遊霊として、なんとかアラン島に渡ろうと画策する。
    人間ならぬ力を身につけたはずなのに、ちっとも思い通りにはいかなず、小市民的な振る舞いになっているのに何とも言えない可笑しさがある。

    「給水塔と亀」は、気持ちがしんどくなったとき、読み返したい作品。

  • 収録されてる短編の中では、うどん屋のジェンダー、またはコルネさんが好きだった。コルネさんというのは、茶髪の髪をパンのコルネみたいに束ねている女性を、見かけたことはあったが、うどん屋でいざ話かけられるとその意外なギャップに驚き、店内の様子が一気に伝わってくるようでおもしろい。津村作品は追いかけてきているが、おそらく津村さんも自らの堕落を認めてはいるとは思うのだが、それを俗世の愉快感として書き綴っているところに魅力を感じる。日経でまた新たに連載を始めているみたいだから、本になったら買ってみたいと思っている。

  • 短編集。悲壮な状況なのに淡々としていてクスッと笑えちゃったりなんかして、それはそれで幸せなのかなと思う日常の描写に、ものすごい現実味がある。「地獄」と「浮遊霊ブラジル」は悲惨な状況なんだけとおっかしくって、何度も笑ってしまって好きな作品だった。「給水塔と亀」で描かれる静かな風景も好き。「運命」と「個性」は私にはちょっと難しかったかな。

  • 久々に津村記久子。いや~それにしても彼女の小説はブレないなぁ。純文学系を中心に多くの賞を受賞してからも、津村節は津村節なのである。安心して読める。

    冒頭2作のような日常物はいうに及ばず、後半収録されている死後の世界とか地獄の様相とかいう非日常を描いた作品においても、津村フィルターといえばいいのか、独特の視点と切り口で世界を展開しているのが良い。俺はとても好きだが、合わない人もいるんだろうなぁ、個性的だし。

    一番好きなのは一番最初に収録されている「給水塔と亀」、定年退職したおっさんの所謂「第2の人生」の始まりを描いた短編なんだが、俺もこういう気負わない定年後を迎えたいなぁ、と痛切なあこがれを描いてしまうのだ。

    ある程度インフラが揃ってて、家賃が安い急行の止まらない私鉄沿線で、気候がおだやかな地域で、第2の人生を目立たず、でも自分的には充足して過ごすこと。これって素晴らしいリタイヤじゃないかと思うんだが。

  • おもしろかったです。最初の3作が好きか、後半の4作が好きかで分かれそう。自分は前者で、「給水塔と亀」「アイトール・ベラスコの新しい妻」が津村さんらしくて好きです。

  • 津村さんの本2冊目!
    おもしろかった〜。ほんわかめな短編集だから通勤やちょっとした時間に読むのに馴染む。
    じんわりした面白さ。
    変な状況を普通に楽しむ登場人物たち。
    じわじわ面白いんだけど、ハッとする文章がちょくちょくある。『運命』が一番すき。
    こんなに悲しいんだから死ぬだろ普通、みたいな文に共感しまくっちゃった。
    どんなに気弱だったりしても、全員、受精のときに何億もの競争相手に勝った個体なんだよなぁ。十分すごいよなぁ、などと。
    もっと読みたい〜

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著者プロフィール

1978年大阪市生まれ。2005年「マンイーター」(のちに『君は永遠にそいつらより若い』に改題)で第21回太宰治賞。
2009年「ポトスライムの舟」で第140回芥川賞、2016年『この世にたやすい仕事はない』で芸術選奨新人賞、2023年『水車小屋のネネ』で谷崎潤一郎賞受賞、2024年「本屋大賞」第2位となった。
他著作に『ミュージック・ブレス・ユー!!』『ワーカーズ・ダイジェスト』『サキの忘れ物』『つまらない住宅地のすべての家』『現代生活独習ノート』『やりなおし世界文学』『ディス・イズ・ザ・デイ』などがある。

津村記久子の作品

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