ファインダーズ・キーパーズ 上 (文春文庫 キ 2-57)

  • 文藝春秋
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914486

作品紹介・あらすじ

巨匠キングが小説への愛をこめた渾身のミステリー!少年ピートが川岸で掘り出したのは札束と大量のノートの入ったトランクだった。父が暴走車によって障害を負ったピートの家では、毎晩のように両親がお金をめぐって喧嘩をしていた。このお金があれば家族は幸せになれるに違いない……。だが、そのカネは冷酷な犯罪者モリスが、隠遁の大作家ロススティーンの家を襲って奪ったものだった。モリスはロススティーンの小説に執着を抱いていた。だから大事なのはノートの方――そこには巨匠の未発表の文章が大量に記されていたのだ。しかし別件で逮捕されたモリスは獄中に。ついに出所したモリスは、隠しておいた「宝」を取り戻しに川へ向かったが……。少年に迫る犯罪者の魔手。そこに助けの手をのばしたのは、探偵事務所をたちあげた退職刑事ホッジズと仲間たちだった。キング初のミステリー『ミスター・メルセデス』の続編登場。

感想・レビュー・書評

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  • 2024/2/18読了
    〈ビル・ホッジズ〉シリーズ第2作。
    第一部は、長い長いプロローグのようなもの。過去パートと現在パートを織り交ぜて舞台が整い、第二部で本格的にドラマが動き出す(ここで文章は現在形になって、リアルタイム感が増しているのがニクい)、といった所か。

  • ビルホッジスシリーズの2作目。スティーブン・キングのシリーズの中では大人しめの作品。ただ、テンポが良い。

  • キングの上巻といえばやや冗長で退屈すれすれなことも多いですが、本作は文句なしの面白さ。
    続編ものというだけでも珍しいのに、比較的短期間で出版したのはよほど書きたかった本なのでしょうか。
    前作の主人公がまったく出てこなくてやきもきする読者にニヤリとするキングの顔が浮かぶようです。
    そしてそんなことはあっという間に気にならなくなるほど魅力的な今回の主人公。
    なぜキングは毎回10代の少年をこんなにもいきいきとえがけるのでしょうね。
    下巻への期待が高まります。

  • とにかく面白かった。前作、ミスターメルセデスは
    中だるみがあって、中々読み進められなかったが
    今作はどう展開していくのかが知りたくてドンドン
    読み進められた。ホリーやジェロームも大活躍。
    そこも嬉しい。前作の殺人犯もちょっと登場。それもかなり意味深な感じ。これが次回作へと繋がっていく。最後「その後」はゾクゾクさせられた。
    これは次回作も読まずにはいられない。ドラマ化もされてるそうで是非とも3作まとめて見てみたい。

  • 続編だとは知らず読んでて、2章で面くらった。

  • 下巻へ続く。

  • もちろん、一気読み。

    〈上〉を読んだら、続きが気になる〜

  •  「ミスターメルセデス」の続編。

     とはいえ、まず、有名作家が強盗に襲われて、それから30年後犯人が埋めたものを見つけた少年がいて…。
     犯人が出所してきて、少年に迫っていくのだけど、まぁ、こいつが完全にいかれている。だもんで、少年には残酷が運命しか思えなくて、読むのが全く進まなかったよ。
     って、それほどいかれている人物を描けるキングはやっぱりすごい。
     いかれてるのだけど、へんに知的で、妙な純粋さもある。
     が、めちゃくちゃいかれている。

     生い立ちも語られているのだけど…。
     両親が哀れだよ。

     少年も色々大変で…。
     って、通奏低音のように「ミスターメルセデス」の事件があるのが地味に怖い。

     で、こう解決しますかって感じなのだけど、最後の最後で怖かった。
     ホラーの帝王はぱない。

  • ▼2020年4月、コロナ禍&緊急事態宣言で、何かと気塞ぎな日々。気分転換、「気散じ」、には、報道なんて見たくもなくなるくらい、ヤめられない止まらない系の読書がありがたい。没頭していて、ふっと現実に戻ると、「あ、そうか浮世はコロナで難儀なんだった」と我に返るのに数秒必要なくらい。色々な立場と心境のヒトがいらっしゃいますから、自分がミステリー本で現実を忘れられる程度のお気楽な立場だ、ということでしかありませんが。でもなんにせよ、我が身がストレス少なく日々を過ごすのが、世界平和の第1歩。「いつかそのうち、必ず読もう」と思っていたスティーブン・キングの長編ミステリー。
    (キングさんはすごい。と、思っているのですが、ホラーと呼ばれるような小説が苦手で(怖いのが、あまり好きでは無くて。どうしてかというと、怖いから)、キングさんの山脈のような作品群の中で、割とホラーでは無いものを読むようにしています。基準が我ながら曖昧で、この小説も内臓が逆流するくらい怖いのですが)

    ▼「ファインダーズ・キーパーズ」スティーブン・キング。文藝春秋社、白石朗訳。アメリカでの初出は2015年。2020年4月読了。「ミスター・メルセデス」(2014)、「ファインダーズ・キーパーズ」、「任務の終わり」(2016)の三作が、退職刑事ビル・ホッジズさんが活躍する一つ続きの話。ホッジズ三部作と呼ばれるそうです。

    ▼前作「ミスター・メルセデス」は、異常殺人者のブレディと、ホッジズ元刑事の息詰まる攻防戦。超絶にオモシロかった。「ファインダーズ・キーパーズ」は、直訳すれば「見つけたヒトのものだもんね」みたいなことです。これは言ってみれば「ブレディvs.ホッジズ物語」の、スピンオフ。ただ、やっぱり鼻血が出るくらいオモシロかった。

    ▼モリス、という可哀想な青年が悪役/犯人。数十年前。モリスくんは文学好きのオタク青年だったが身を持ち崩す。とある老作家を強盗殺人、多額の現金と、未発表原稿を奪取。モリスの本音は、この未発表原稿が読みたい。欲しい。段取りで、それをちゃんと読む前に、とある場所に埋めて隠したのだけど、そのあと捕まってしまう。そして、ウン十年という服役。ウン十年後、モリスは釈放されます。さあ、あの原稿(&現金)を掘り起こそう。自分が人生を賭けたものを手に入れよう。ところが埋めた場所に行ったら、誰かに盗られていた・・・!

    ▼盗んだのは、経済的に破綻寸前の可哀想な一家の少年、ピートくん。健全なサラリーマン所帯だったけれど、リーマンショックで失業、さらに親が不幸な事故で大怪我...などがあり(この一家の苦境の原因が、前作「ミスター・メルセデス」の事件)。 一家揃って路頭に転落しそうな中で、たまたまピートがその「原稿&現金」を見つけてしまう。現金を、少年ながら巧みなやり口で、両親にも隠して家計に還元。一家は苦境を免れる。しかし、まだ足りない。どうする。謎の原稿が、どうやら著名な老作家の未発表原稿のようだ。それを現金に換えよう…。

    ▼ここで、悪役モリスが、そのピートくんの動きを察知する。ふたつの糸がとうとう交わる。殺人鬼と化したモリスが、ピートくんと家族に襲いかかる・・・! そのとき、ピート一家とご縁があった、我らが名探偵ホッジズ老人が物語に乱入。読者は知っている真相に向かって、ゆっくりと動き出す。相棒は変わらず、対人恐怖症の中年女性ホリーさん。間に合うか?ホッジズ&ホリー・・・。
    (当然間に合うに決まっているのですが、そうは言ってもハラハラドキドキ。豪腕なエンタメ感は、どこかでグリフィスの遺伝子が流れているとしか思えません。さすが、アメリカ)

    ▼同じミステリーでも、フランスのメグレ警視とかイギリスのフロスト警部に比べると、世界観がもう、ギラギラと、「無知と貧困に、病んでいる」。もうどうしようもない貧富の差。田舎の荒廃。希望格差の中の、セックス、ドラッグ。そしてヘイト感情。ネットとテレビとに引き裂かれて肥大化する自我・・・。もう息苦しくなるくらい殺伐と荒廃した大陸です。主人公(ヒーロー)が最後には一応勝つ、と担保されているからかろうじてエンタメになっています。この潤いのない「病んでいる感」って、20世紀末~21世紀のアメリカ独特の味わいですね・・・。たとえて言うなれば、イーストウッドの「ダーティ・ハリー」シリーズと同じ香りがします。

    ▼それにしてもこの三部作を三年連続で発表するスティーブン・キングの創作体力ったら、脱帽です。そして三作目、「任務の終わり」は再び「ブレディvs.ホッジズ物語」の悪夢が訪れるようです。ヤめられない、止まらない。読書の快楽。

  • 一気読み。とってもおもしろかった。

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著者プロフィール

1947年メイン州生まれ。高校教師、ボイラーマンといった仕事のかたわら、執筆を続ける。74年に「キャリー」でデビューし、好評を博した。その後、『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを叩き出し、「モダン・ホラーの帝王」と呼ばれる。代表作に『シャイニング』『IT』『グリーン・マイル』など。「ダーク・タワー」シリーズは、これまでのキング作品の登場人物が縦断して出てきたりと、著者の集大成といえる大作である。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞、ブラム・ストーカー賞など受賞多数。

「2017年 『ダークタワー VII 暗黒の塔 下 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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