銀の猫 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 165
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914554

作品紹介・あらすじ

嫁ぎ先を離縁され、母親と暮らすお咲は、年寄りの介護を助けるプロの介抱人。誠心誠意、年寄りに尽くすお咲のもとにはさまざまな依頼が集まる。多くの病人に出会いながら、逝く人に教えられたことがお咲の胸に重なってゆく――長寿の町・江戸では七十,八十の年寄りはざら。憧れの隠居暮らしを満喫する者がいる一方、病や怪我をきっかけに長年寝付いたままの者も多く、介護に疲れ果てて嫁ももらえずに朽ち果てていく独り者もまた多い。誰もが楽になれる知恵を詰め込んだ「介抱指南」を作りたいと思い立った貸し本屋から協力ををもとめられたお咲。だがお咲の胸には、妾奉公を繰り返してきた母親への絶望感が居座っている。自分は、あの母親の面倒を見続けることができるのだろうか。いったい、老いて死に向う者の心にはなにが芽生えるのだろうか――?江戸に暮らす家族の悲喜こもごもを、介護という仕事を通して軽やかに深く描く、傑作長編小説。解説・秋山香乃

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代の介抱人、お咲の物語。
    人々の寿命が延び、江戸の人々も介護の問題に苦しんでいた。そこに目をつけたのが、口入屋。女中賃金に色を付け、介抱人としてあちこちに派遣していた。いま、こういうフリーの一流介護士さんとかいたら流行りそう…。

    お咲は介護のプロとして、あちこちの隠居さんから引く手あまた。一人の介護が短編として描かれ、お咲と母親との確執についての問題が全体を通して描かれる。

    お咲と自分の立場が何となく似ていて、途中つらくなって読みすすめるのに時間がかかっていまった。お咲が、介抱人としてはプロでも、人間としては、いたって普通(解説ではまだ未熟とかかれていたが)なとこが、いいんだよなあ。

    すごく今っぽい時代小説でした。

  • 江戸時代の介護士、介抱人を描いた物語。
    主人公のお咲は金持ちの家に嫁いだだが、妾奉公をしていた母親が婚家に金を借りたため、離縁。その金を返すために普通の女中奉公より金が良い介抱人をしている。

    介護はしたことがない人はわからないくらい過酷だ。身内でさえそうなのに、他人のそれは心を擦り減らすようだろう。

    借金を返すまでと、大嫌いな母親のために働くお咲の姿が、哀しい。

    読みながら、5年間、寝たきりの祖母を介護していた母の姿が目に浮かんだ。

    介護をした者は介護されることを望まない、と作中にあるが、まさにその通りに逝ってしまった。

    誰もが歳を取る。最後がどうなるかなんて、わからない。
    私にはまだ父がいるが、介護できる自信はない。

    多くを思い出させ、多くを考えさせられた一冊である。

    解説の秋山香乃氏の言葉に多く共感させられた。

  • 派遣されてお年寄りの介抱をする介抱人。
    そんなお仕事が本当にあったかどうか分かりませんが、とても心温まる一冊でした。

    介護についても考えさせられるし、
    悩みながらもプロとしてプライドを持って仕事をしているお咲は素敵。

    おぶんさん、大好きだなぁ。

  • 「恋歌」「眩」
    とても読みごたえがあった。
    そしてこれも。
    江戸時代の「介抱人」咲
    女性の仕事がない時代にお給金が少しよかった
    (今と違うねー)
    老いに関わりながら人生を深く学んでいく咲
    周りの人物も様々で うんうん

    「養生訓」ならぬ「往生訓」
    今も役立ちそう

    銀の猫が愛しい

    ≪ したたかな 老人から得る 人生訓 ≫

  • 朝井まかてさんの本を読むのは初めてだったけど、好き過ぎて、続編を探してしまった。

  • 銀の猫/隠居道楽/福来雀/春蘭/半化粧/菊と秋刀魚/狸寝入り/今朝の春

    「介抱人」として働き、そりの合わない母と二人の生活を支えるお咲。江戸の町は結構老人が多かったようなので、こんな仕事も在ったかもしれない。色々な老人の世話をする事で自分なりの仕事への思いが固まっていく彼女は、なぜこんな仕事をという問いに給金が良いからと答える。
    それが一番大きな理由とは思えないけれど、やりがいと共にそういう現実的な面もあるだろう。
    介護するほうもされるほうも、気楽に過ごせる時間が持てると良いなと思う。

  • 澪つくしシリーズのような
    芯のある恵まれない環境の女の子が
    周りを変えて幸せを願うお話。

    言葉使いが良かったように感じた。

  • 江戸時代の介護の話という現代にも通じるテーマが良い。だからこそもっとテーマが伝わるタイトルのほうがいいのでは…。
    下手にロマンスを発生させずに親子関係の微修復に話を終結させるあたりが好きだった。

  • 江戸時代に見立てた介護する側、される側、それを見守る周囲の人々の話。介抱人という職種は、きっと江戸時代に名はなかったのだと思うが、現代のホームヘルパーを想定させる。急死でない限り、次第に衰えながら死んでいくことになる日々を「こうしたら互いに楽になる」を目指して暮らしていくことを、豊かに描いている。介護にまつわる重さ、暗さを少し吹き払ってくれるおそらく作者の介護体験を基盤にした一冊だった。

  • 美容師さんおすすめ本。

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著者プロフィール

朝井 まかて(あさい まかて)
1959年生まれ。甲南女子大学文学部国文学科卒業後、コピーライターとして広告制作会社に勤務。独立。2006年から大阪文学学校で学び、2008年第3回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞してデビュー。受賞作は『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』と改題され、講談社文庫に収録されている。
2013年、幕末から明治を生きた歌人・中島歌子の半生を描いた『恋歌』で第3回本屋が選ぶ時代小説大賞、2014年第150回直木賞を受賞。ほか、2014年『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞、2016年『眩』で第22回中山義秀文学賞、2017年『福袋』で第11回舟橋聖一文学賞、2018年『雲上雲下』で中央公論文芸賞、『悪玉伝』で司馬遼太郎賞をそれぞれ受賞。
他の著書に『ちゃんちゃら』『すかたん』『先生のお庭番』『ぬけまいる』がある。『眩』は2017年に宮崎あおい主演でドラマ化された。

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