あのころ、早稲田で (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 54
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167914653

作品紹介・あらすじ

60年代というトンネルの入り口は小春日和、出口は嵐だった──早大闘争、社研、吉本隆明、『青春の墓標』、「ガロ」、GS、喫茶店、ATG、ゴダール、アングラ演劇―あの時代の空気が鮮やかによみがえる。よりにもよって、私の人生の中で最も思い出したくない日々だった──。〈エピローグより〉「ワセジョ」もお洒落で可愛い女子が増えたといわれるが、中野翠さんは1946年生まれのまさに戦後ベビーブーマー第一世代(団塊世代)。1965年に早稲田大学第一政経学部経済学科に入学するが、クラスに女子はたった2人。高校時代からマルクスを読みかじり、立派な左翼になるべく「社研」こと社会問題研究会へ入り、大学に入学したら「真摯に苦悩する学生生活」を送るはずだったのに、入学翌年に勃発した早大闘争にも今一つのめり込めないハンパな日々。とはいえ、1965年前後の早稲田のキャンパスは多士済々。キャンパスのベンチに座っていたら、いきなりオルグしてきた「粋な顔立ち」の革マル派トップは、のちの宝島社社長・蓮見清一。面識はないけれど、タモリも吉永小百合も、『突破者』の宮崎学も久米宏、田中真紀子、二学年下の村上春樹も同時期に早稲田にいた。同じ部室の文研(文学研究会)には、のちに直木賞作家となる高橋義夫や、呉智英こと新崎智も在籍し、すでに歴史的かなづかいで奇妙な小説を書いていたのだ。真摯な左翼を目指しながらも「運動」にはのめり込めず、60年代に花開いたサブカルチャー(「ガロ」、早稲田小劇場、ATG)、ポップカルチャー(グループサウンズ花ざかり)を享受した、懐かしくも恥多き青春を振り返る書下し作品。

感想・レビュー・書評

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  • 中野翠さんの、早稲田大学の学生だった頃を自ら描いたもの。
    中野さんは、大学・学部の先輩にあたる方なのだということを、本書を読んで知った。私よりも、ちょうど一回り先輩。
    中野さんの学生時代と私の学生時代では、大学の様子も随分と違う。一番の違いは、学生運動・左翼運動の勢いの違い。中野さんが在学されていた頃が、日本での学生運動が、最も盛んだった頃である。中野さんご自身も、左翼系のサークルに参加されている。
    私が在学中は、学生運動はゼロではなかったが、日常的にそれを意識することは全くなかった。それらは、大学に入学する前に、例えば、柴田翔の小説や高野悦子の日記や、少し毛色は違うが庄司薫の著作で知ってはいたが、入学後に実感することは全くなかった。
    題名に惹かれ、懐かしさから手にとってみたが、あたりまえだが、中野さんの学生時代と私の学生時代は時代背景を抜きにしても別々のもの。読み物としては面白いものだったが、懐かしさみたいなものを感じることはなかった。

  •  5歳ほど年上。早稲田大学在学中の思い出をメインに書かれているも、さすがその当時の様子がしのばれる文章力。早稲田とセクトの話題を除いても面白かった。

  • 懐かしい人には懐かしいのだろう。雰囲気は何となく伝わるが、期待した鋭さはなかった。でもそれは素直に「最も思い出したくない日々だった」ということが文章に出たからかもしれない。

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