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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784167914851
感想・レビュー・書評
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今年とある書店さんの周年フェアでご縁があり手にした作品、その②。
詳しくは書けないのですが、作家さんたちがあるテーマに沿って選書された作品です。
1984年、台湾で4人の少年たちは友情を育んでいた。三十年後、人生の歯車は彼らを大きく変える。
本書を読んで分かったことなのですが、私はカタカナの名前より、中国・台湾系の名前の方が苦手みたいです。
作家さんたちには申し訳ないけれど、日本人の難しくて読めない名前は、自分で適当に呼び名をつけて読んでいることもあるのですが(笑)
中国・台湾系の名前の漢字って難しくて、適当に呼び名もつけれないし、本書に出てくる人物たちはあだ名がカタカナなので、一体誰が誰を指すのか、把握するのにめちゃくちゃ苦戦した(。•́•̀。)
いつの時代も、子どもたちが辛い思いをするのは大人の都合。
都合の積み重ねの結果として、子どもたちが背負わなくていいはずの痛みを背負わされる様は、読んでいて胸が痛かった。
厳しい環境に置かれながらも、時には悪さをしながら、日々を懸命に生きていく少年たちの姿が健気で、眩しく感じられた。
ミステリ部分の真相が分かった時は驚いた。
しっかりミスリードされていて、全然気付かなかった…!
ミステリだけど、謎が解けてスッキリ!という作品ではなかった。
誰かが完全に悪いわけでも、完全に正しいわけでもなく、結局いちばん弱い立場の子どもたちが、取り返しのつかないものを背負わされてしまったのかな。
重たい物語だったけれど、終盤には救いがあったことがよかった。
1章ラストと最後の文章も印象的だった。
✎︎____________
悪有悪報なんざ嘘だぞ、ユン。憶えておけ、この世はそんな綺麗事がまかりとおるほど美しくも清らかでもないんじゃからな(p.25)
この身は菩提樹、心は明るい鏡台、汚れちまわないようにしょっちゅう磨いてやらなきゃならない(pp.53~54)
物事は長い時間をかけてゆっくり変わっていく。でも、それはすべてがすっかり変わってしまったあとで、ようやく気づくことだ。変化の最中はなかなか気づかない。まるで日時計のように、なにも変わらないように思える。で、いよいよ目をそらせなくなったとき、人はやっと事の重大さに打ちのめされる。いったいなにが起こったんだと首をかしげる。そうやって、ひとつずつ取り返しがつかなくなっていく。(p.118)
生きていくということは後悔の連続だ。(p.156)
人はどんなことがあろうと楽しく生きていけるものだし、逆にどんなことがあろうと不幸せに生きていくこともできる。(p.166)
人間はいつだってそのだれかの想いによってつくられる(p.268)
「人間、年を取るといろんなことが勝手に抜け落ちていく」(中略)「頭の毛みてえなもんさ。恨みつらみだっておんなじだ。で、勝手に抜け落ちていくもんにしがみついてたって、いいことなんかなにもありゃしねえ。」(pp.319~320) -
2015年、アメリカを震撼させた連続殺人鬼〈サックマン〉が逮捕された。彼の弁護を担当することになった国際弁護士の〈わたし〉は、30年前、当時13歳で台湾で少年時代を送っていたとき、後に〈サックマン〉となった少年のことを知っていた。
1984年から1985年、当時中学生だった台湾の三人の少年の物語が回想される。
彼らの住んでいたのは台湾の廣州街と言う町で、線路によって〈大陸人側〉と〈台湾人側〉に分断されていた。語り手の元少年は、〈大陸人側〉に住んでおり、線路を越えた向こう側へ行くことは大人から禁じられていた。
兄の死、親の不仲、義父からの虐待など家庭に問題を抱えている三人の少年は、つるんで万引をしたり、ブレイクダンスの練習に明け暮れたり、タバコを吸ったりそんな青春時代を過ごし、絆を固くしていた。
線路の向こう側へも行った。中一から中二の多感な時代、大人から禁じられている〈線路の向こう側〉へ行くことは、彼らたちにとって、怖いものを見ることであり、大人への橋を渡ることであった。そして同時に自分たちの精神や性の〈向こう側〉を知ることでもあった。
自分達を取囲む大人のどうしようも無さを知り、また分かりあっていると思っていた自分たち親友同士の理解しあえない部分を知り、彼らは大人になっていく。彼らだけでいるときは楽しかった日々が少しずつ狂い始めていく。
ある日、三人のうちの一人をどうしようもない家庭環境から救うため、彼らはある計画を立てるが、その時から彼らの時間は止まってしまう。
この小説は、初めから連続殺人鬼〈サックマン〉が語り手の元少年と30年前、台湾で共に過ごした元少年だといっているので、「犯人は誰?」という謎はなく、「サックマンがどうしてサックマンになったか?」という疑問を持って読み進めるわけであるが、それでも犯人を明かされた時には、背筋を冷たいものが走った。
〈サックマン〉がアメリカで逮捕された、2015年には三人の元少年たちは、台湾、アメリカで生活していたが1984年に台湾で過ごした時の記憶が再び三人を結びつける。
大人になり、「あの時彼らにとって本当は一番大事だったもの」を知った元少年。大人になれないまま時間が止まった元少年。サックマンの行為は人々を震撼させるが、元少年たちだけが共有てきる青春の思い出には心温まるものがある。
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第34回織田作之助賞
第3回渡辺淳一賞
第69回読売文学賞
三冠達成と、小川洋子さんの「いたましいほどに美しい少年小説の誕生を喜びたい」という帯に魅かれて読みました。
「1984年の夏休み前後の三カ月がぼくとジェイを結びつけた。アメリカへ渡った両親においてけぼりを食ったぼくは、ジェイのおじいさんのかわりに布袋劇をやり、バスケットシューズを万引きし、ブレイクダンスの練習に夢中になり、ジェイにキスをされ、そのせいで殴り合い、また仲直りをした」
そして30年後の2015年冬、アメリカを震撼させた連続殺人鬼<サックマン>が逮捕されます。
彼の弁護を担当することになった国際弁護士の、2015年の「わたし」と1984年の「ぼく」の視点で、物語は交互に語られます。
「わたし」は30年前に台湾で過ごした少年時代を思い出し、なんとか子供時代の親友を助けようとしますが…。
この、なんともやんちゃ過ぎるとしかいえない4人の少年たち、ユン、アガン、ジェイ、ダーダーの物語(ミステリー)で最後に泣かされるとは、まさか思いもしない展開でした。 -
一万円選書サービスで選んでもらった本の中の一冊。
自分では決して選ばないであろう本。
正直言って好みのジャンルではない。
にも関わらず面白かったのだから、作者の力量の素晴らしさに感嘆します。
本の世界から流れてくるアジア特有の湿気含みの暑さに息が詰まるようで、決して楽しくて気分の良い読書体験ではないです。
にも関わらず
やはり、面白かったです。
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何か途中で、予想した人物が違ってた。
名前が、少し分かりにくいのか、勘違い。作者のミスリードが効いてるのか、最有力は、物覚えが悪いか…で、登場人物のページと読んでるページ行ったり来たり…^^;
連続殺人鬼とそれを弁護する弁護士、共に過ごした少年時代を絡めながら、進む。3人の少年時代と現在を交互に語りながら…
原因は少年時代にあるんやな。確かに、家庭環境は厳しそうな…結構悪さしながらも青春って感じ。
でも、何か決める時に神頼みみたいなんやめよ!自分らで考えて!関羽さん困ってるよ!
それもこんな殺人鬼になる原因は関羽さんになるんか?(まぁ、違うけど(^^;;)
最後は、何か切ないような感じやけど。
でも犯人あんまり後悔してなさそうで… -
チャプターズ書店のYouTubeで知った一冊。
2015年冬、アメリカを震撼させた連続殺人鬼”サックマン”が逮捕される。
彼の担当弁護士は、30年前の台湾でともに少年時代を過ごしていた。
私はカタカナを覚えるのが苦手で、
登場人物がを覚えきれない時があるので、
本書も不安でしたが、今回は大丈夫でした!
舞台は1984~1985年で、
ちょうど私が生まれた年だったので、
そこも含めて、こんな世界だったのかと読み進めました。
本書のほとんどは、
台湾で過ごした少年時代が描かれるのですが、
暑くて湿度が高く、
緑やアスファルトなど
不衛生なものも含めて、
独特なにおいが立ち上って来る。
今の季節にぴったりでした。
途中で差し込まれる現在(2015年)は、
冬の寂れた街で、色もなく、
吹きすさぶ風と、時折舞い散る雪が対照的で。
少年時代のユンとアガンとジェイ。
彼らはそれぞれに家庭に問題を抱えている。
13歳の彼らだけでは、どうしようもない現実。
個人的に驚いたのは、
何かあると解決策として仲間同士で喧嘩して
殴り合いして、そのあと友達に戻れること。
すごいなあと。
喧嘩、窃盗、煙草、
夜の植物園でブレイクダンスを踊る。
時代という言葉で片づけたくないけど、
何もかもが混沌としていて、
自身のコミュニティでは限られた情報しかなく、
世界はそこにしかない。
抜け出す術もないなら、消すしかない。
終盤に向かい、どこに着地するのか、救いはあるのか、
何故そんな犯行を犯してしまったのか、
明らかになっていきます。
読後は…何度か戻ってページをめくり、読み返しました。
必至に生き抜いた少年時代から、再会するまで。
思い返せば思い返すほど言葉もなくただ切なかったです。
この夏に読めて良かったと思える一冊でした。 -
冒頭や途中で挟まれる連続殺人鬼の話により、輝かしい子供時代の友達とのエピソードも常に背景が暗雲たちこめるような不穏な予感に包まれながら読むことになる。それが、ユン、アガン、ジェイそれぞれの子供の力ではどうにもならない不幸な家庭環境等によるものだけではない。そして、このうちの誰かが殺人鬼になるの?と疑心暗鬼な気持ちとそうだとしたらやるせない気持ちになり、とにかく淡々と読んでいるのにドキドキしているような感じだった。
スタンドバイミー を思い出した。ただ、それ以上の不穏さが終始つきまとっていた。なんだかずっと心に残りそうな話だった。 -
初めての東山彰良さん、読みごたえがあった。
翻訳小説を読んでいるようだなと思ったら、東山さんは台湾出身の作家さんなんだね!なるほど、台湾の描写が詳細でまるで体験しているようだった。
少し昔の台湾が熱気と生暖かい風と、どこか退廃的な南国の匂いとともにやってくる。
4人の子供たちが大人の事情というのか身勝手さに否応なく巻き込まれ、心身ともに傷つき、危うい方向に進むことでお互いを支え合う姿が痛ましい。
少年時代特有の生き生きした感じ、そこに暴力と血と汗が絡み合うので一層残酷だった。
サックマンが誰かというところは想像と違っていて驚いた! -
久しぶりにこの手の本読んだけど、少年小説として傑作の1つとおもう。 著者の直木賞作「流」も良かったけど。1984年の台湾と30年後のデトロイト。ミステリー要素もあって映画にありそうな話。
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一万円選書で選んでいただいた本作、この機会がなければ読むことがなかったと思うと貴重な機会をいただいたことを感謝せずにはいられません。1985年頃の台湾の雑多な雰囲気がリアルに映し出され、匂いすら感じられるほど。特に蛇の匂い、かつて香港で嗅いだ時のことがまざまざと思い出されました。作品通してとても少年とは思えないほどの言動が繰り広げられ、実に濃密。サックマンが誰なのか分かった時の衝撃は忘れられません。回想がオープニングに戻る構成にも唸らされます。忘れられない作品になりました。
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以下ネタバレ含みます、注意。
こういう、暴力や猥雑なものに塗れて少年期を過ごしました、という筋書きは、本当は苦手なのだけど。
親兄弟と離れ、一人いろんな感情を噛み締めながら生きるユンと、彼が描き、愛した虚構のヒーロー・冷星の物語は、とても魅力的だった。
少年たちの冒険は、いつか終わりを告げるものなんだろうか。
そして、大人になることは、本当にヒーローを放棄することなんだろうか。
アガンとジェイという三人組で、破茶滅茶をやってのけたユンの本心は、いつも、どこにあったのだろう。
連続殺人鬼サックマンの正体が繋がったとき、ふと思ったことだった。
クライマックス、状況を打開することを半ば諦め、自暴自棄になったジェイを迎えたのは、世界の「優しさ」という一面だった。
それは、一面でしかない。もっと多くの、どうしようもない面を、私たちは日々見せられている。
けれど、その一面に、どうしようもなく、仕方なく、笑いたくなるように、救われるものなんだろう。 -
ユン・アガン・ジェイの3人(+ダーダー)の中学時代の話がメインで、所々に現在の話が出てきながら話が進んでいく。
読み始めは、中国語の漢字の名前の読みが不明やしちょっと読みにくく、なかなか進まず挫折しかけた。
中盤くらいから面白くなり一気読み。
サックマンが誰かは予想の通り。
3人の青春時代、その時に起ったたくさんの出来事。3人の特別な絆を感じた。
失ったものや後悔や、取り返しのつかない事もたくさんあり、3人の関係に憧れは抱かないが、でもなんとなくその絆が羨ましく思う部分もある。
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色々な方の感想で台湾版スタンド・バイ・ミーだ、とあったけれどそれだ!という感じ。
もしかすると中高生〜大学生辺りで読んでしまっていたら、結末に納得がいかなかったかもしれない。
大人になって読んだら、結末が染み渡るようですごく良かった。
ままならないとか、どうしようもないとか、制服姿の子どもたちを見かけたときに込み上げる感情と眩しさとか、そういうものを閉じ込めた話でした。 -
読めない漢字も多々あり、意味も分かりにくい。物語も私には全く楽しめなかった。
途中脱落 -
私には合わなかった。
淡々と読んでしまった。驚き・哀しみもなければ、登場人物に思いを馳せることもなく。 -
読んでいる最中、映像が見えていた。2015年冬・米国で起きた事件から1984年夏・台湾の少年たちの物語へ
孤独から始まり、苦しさが加速し弾けるので辛かった。それでも読み終わると清々しく、もう一度最初のページを開きました。解説は小川洋子さん -
面白かった。ストーリーも良かったけど、1984年あたりの台湾の雰囲気が知れる。毒蛇や龍山寺が出てくるあたりが特に。日本の長屋みたいな感じだったのかな。近所の家に上がり込んで勝手に冷蔵庫のもの食べるとか、信じられない距離感。
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流が面白かったので。流の脇役たちもところどころ登場。「おまえがおれたちを思い出さないかぎり、おれたちはおまえといっしょにいられない」で涙が出そうになった。これは誰なのか、想像しながら読むのも楽しかった。
著者プロフィール
東山彰良の作品
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感想 :

こちらこそありがとうございます(*ˊ ˋ*)
登場人物を把握するまでがめちゃくちゃ苦戦しました!
ultra...
こちらこそありがとうございます(*ˊ ˋ*)
登場人物を把握するまでがめちゃくちゃ苦戦しました!
ultraman719さんも難しかったような…というのがなんか「私だけじゃなかったんやなー」と嬉しくなりました♪
もちろんカタカナも!笑
私の記憶は抜け落ちまくってツルツル頭のようだと思いました(・∀・)
もちろんカタカナも!笑
私の記憶は抜け落ちまくってツルツル頭のようだと思いました(・∀・)
一緒ですね( ´꒳`*)人(*´꒳` )ナカーマ
私はこちらを読むまでは分からなかったので、新たな発見でした!
私も日々い...
一緒ですね( ´꒳`*)人(*´꒳` )ナカーマ
私はこちらを読むまでは分からなかったので、新たな発見でした!
私も日々いろいろと抜け落ちまくってます…!(•ω•⸝⸝。