天地に燦たり (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2020年6月9日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (400ページ) / ISBN・EAN: 9784167915070

みんなの感想まとめ

歴史の深いテーマが描かれた作品で、秀吉の朝鮮出兵を背景に、三人の主人公の人生が交錯する様子が描かれています。島津の武将や朝鮮の青年、琉球の密偵の視点から、それぞれの生き様や心の共鳴を感じることができ、...

感想・レビュー・書評

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  • 清々しいエンディングだった。
    それぞれの生を必死に生きた3人の心の共鳴を感じた。
    著者はこれが初作で2作目が直木賞を取った「熱源」と知って驚き、その才能の今後を楽しみに感じた。

  • 日本・朝鮮・琉球の三つの視点から儒教を軸に秀吉の朝鮮出兵の時代を描いた歴史小説。

    『熱源』に続いて川越さんの作品。これも良かった!

    儒教では、人には生まれつき四つの心がある。他人を憐れむ惻隠、不善を憎み恥じる羞悪、他人に譲る辞譲、善悪を知る是非。惻隠は仁の端、羞悪は義の端、辞譲は礼の端、是非は智の端である。つまり、人は仁義礼智の発端を生まれながらにして持っている、と。
    儒教について、「仁義礼智」の「仁」「義」はよく聞くけれど、今回の話の中心は「礼」。
    先生は言う、「何時か生まれ、何かを喰らい、何処かで寝ね、何れ死ぬ。儂は鸚鵡や猿と、人は禽や獣と、何ら変わらぬ。ただ一つ、礼有るを除いて」。
    先生・・・最期の場面が良かった、泣けた・・・
    「お主の論の是非は、お主が窮めよ。それが是であり天理であるならば、お主は聖人となろう」

    登場人物がすごく魅力的。戦の中で悩みながらも堂々と振る舞う久高も、飄々としている真市も、理不尽にまっすぐ抗う明鐘も、みんなかっこいい。信石も、出番は少なかったけれどかっこよかったな。
    やっぱり登場人物に魅力があると読んでいて楽しい。


    「俺は、俺のために戦った。俺の来し方を護り、俺の行く末に進むために。俺にも国王殿下に敬意や愛着はあるが、俺は、俺の王を内に戴いている」

  • 秀吉の唐入りが物語の舞台となる。

    主人公は島津の武将【樺山久高】、靴作りの仕事に着く朝鮮国被差別階級の青年【明鐘】、琉球国の密偵【真市】

    この三人の話が順番に回り次第に絡まり合っていく事になる。


    秀吉の朝鮮出兵について考えさせられた。
    太閤立志伝に感心するものがあったとしても、大義無き侵略戦争について日本人はもう少し考えるべきだと思う。併せて秀吉を英傑、偉人として扱う事は控えるべきかと思う。

    琉球には良い言葉が沢山あるなぁと思った。島津に侵略されてしまったが良き風土の良き人達のいる国でした。

    島津家は中ぐらいの暴力を持ち合わせ、秀吉という暴力の頂点に屈服させられた。どちらにも正義は無い。

  • 薩摩と朝鮮と琉球。この三者を礼という儒教視点からこう描くことができるのかと感嘆した。確かに侵略される朝鮮や琉球王朝から見れば、薩摩を含めた倭(日本)の武士はただの禽獣。実力主義の戦国時代から武断の江戸時代への変遷を知っているとこの視点は非常に示唆的で興味深い。

    琉球の謝名親方の言葉、戦に敗けても国は亡びぬ。国が亡ぶのは民が国を厭うた時だという言葉は非常に印象的。高橋克彦氏の『炎立つ』での藤原泰衡の、民が忘れぬ限り蝦夷は滅びないといった言葉を思い出した。歴史が過去から紡がれるものだということを改めて思い出された。

  • 豊臣秀吉の朝鮮出兵により侵略の嵐が吹き荒れる東アジアを舞台に、儒教思想をテーマにした歴史小説。
    ↑ 『解説』より… 丸パクリです(笑)

    んーー難しかった〜。
    始めは…完読できるのか?とも思った。
    何とか完読しました。

    難しすぎて読んでる時は★3ぐらいだなーって
    思ってましたが…
    最後の章でグラグラと感動でございます。
    読んでよかった〜、読めてよかった〜。

  • 自分が、自分であるということの意味、誇りを描いた作品。
    異なる立場の3人が主人公。特に琉球の彼は応援したくなる。

    現代ミステリしか読まないライト層の方には読み終えること自体が難しい。読み応えある全ての小説に言えることではあるが。
    『熱源』に飛躍するための過程と捉えればいいのかな。描きたいことはすごく伝わってくるし、自分だったら天地に燦然と輝くための矜持は何か…と考えさせれるが、文章がまだ追いつかなかったように思う。

  • 読みやすい歴史小説(できれば世界史)にハマっている身には、かなり当たりの作品だった。
    薩摩、朝鮮、琉球、明…東アジアの中の狭い地域の話だけれど、この時代に国境を越えての物語があるということにロマンを感じる。

    最後の場面。表紙絵のシーンだと気付き、何度も絵を見返しては感じ入ってしまいました。
    短めに区切られた章立ても非常に読みやすい構成だったし、本の編集部分も含めてトータルで素晴らしい「本」でした。

  • #読書記録
    #読書好きなひとと繋がりたい
    #川越宗一

    読了 戦国時代が舞台。
    人が人たらんは礼というものをを知っているかどうか。儒教の教えらしいが戦国の世でもその思いを持ち続けて生きた者の熱いお話。昔の人の運命に争わない生き方は僕にとってある種憧れです。

  • 沖縄に行きたくなる!
    旧時代の真ん中に生きていた人たちは、時代の変わり目で頭の中の変換を求められるので、大変だよね。

  • 流石に賞を受賞した作品で内容が斬新で面白い

  • 3人の主人公の「芯」に沿った行動に心を打たれました。島津の主人公はその「芯」を探す旅だったのかなと。何であれ自分の判断の基準になる核を持っていないと、場当たり的な判断になってしまうから、個人としての魅力は薄まってしまうなと感じました。
    信念に殉じる姿はかっこいいですね。自分もこれだ!というものを見つけたいです。

  • 島津、琉球、朝鮮、そして明…、当時の東アジアのスケール感や、それぞれの人物を通してその国の生き様が感じることができた。特に朝鮮の明鍾のパートは被差別民の白丁に始まり、儒学で己を高めるところ、朝鮮出兵による戦いと苦悩まで、内外からの支配に対して抗う姿が強く印象に残った。個人的には、琉球は東アジア世界を中継貿易で股にかけていた分、もっと彼らの他国への立ち回りが描かれていても良かったと思う。

  • 「熱源」ほどの熱は感じなかったな。
    著者らしいグローバルな物語ではあるけれど、三様の人物を貫くテーマが弱い印象。その三人が絡むラストも印象が薄い。

    冒頭の岩屋城のエピソードも、物語にひっぱるほどではなく、主人公の胸中もよくわからない。残念。

  • 儒学と出会い白丁の聖人になって人を人にすることを天命とし、様々な出会いを通じて成長した明鐘が、最後に儒者として禽獣から変われないと諦めていた久高に生を説き、生きる道を示したところに彼の目的の達成の一端を見た気がして良かった

    読み終わる前からこの文庫本の表紙が好きで、「守礼乃邦」と掲げられた門とハイビスカスと真っ青な空とミスマッチな甲冑がこの物語を表していて良いなと思っていたけど、最後に3人再会したシーンだと分かり改めて素晴らしい絵だなと思ってまじまじと見返してしまった

  • 日本の歴史の中でも有数の愚行である朝鮮出兵を薩摩、朝鮮、琉球それぞれの視点から描いた作品。
    有名な武将の物語ではなく、朝鮮や琉球の身分の低い人たちが儒教の礼をもって戦を語るところに清々しさを感じる
    薩摩が武勇の国から卑怯な国に成り下がったきっかけが家久だったのか。

  • 人間になりたい薩摩武士・琉球人・朝鮮人の視点から朝鮮出兵から琉球侵攻までを儒教(礼)を軸に描く、というのはよく考えたなぁと思った。
    その分、主人公達はその属性以上の性格に乏しかったり、ストーリー上面白いことが起こらなかったんだけれども。

  • 戦を続けながらも
    なんのために戦うのか嘆く

    国のため
    大切な人のため
    自分のため

    己の生は己次第

  • 章立てがコンパクトであり、小さな話のまとまりで読み切りやすい。これは現代的な読み手への工夫か。ややあらすじの先を読みやすい印象

  • 守礼之邦。理想を掲げた国づくりがその通りにいかないのは、いつの世も同じと改めて思わされた。久高の男気、明鐘の生きる力に魅了されたが、この物語は真市たち琉球の人々が主人公だと思った。

  • 豊臣秀吉が天下を取り、朝鮮出兵を行った頃。朝鮮国の卑賤の身である明鐘、島津に属する武士である大野久高、琉球国の商人(密偵)である真市のそれぞれが、朝鮮出兵での倭と朝鮮・大明との戦争、そしてその後の倭・琉球との戦争に巻き込まれていく。それぞれの文化や思想に触れながら、人として生きるとはどういうことかを儒学思想をベースに描いていく。

    卑賤の身でありながら、幼い頃から良い師の元で儒学を学び、そして己の身分や触れる文化が目まぐるしく変わっていくが、全て自ら選び取ってきた明鐘。常に侵略する側として人の上に立ちながら、国や家の方針に従い、人を殺し続けてきた久高。この二人の心理の対比が面白い。
    また、王とは、礼とは、人とは、生きるとは何かを、侵略をする側・される側という舞台装置の中で描いたのも、登場人物たちの心情や葛藤が分かりやすく、見事。

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著者プロフィール

『熱源』で第162回直木賞受賞。

「2019年 『異人と同人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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