そして、バトンは渡された (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.49
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本棚登録 : 1964
レビュー : 51
  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167915544

作品紹介・あらすじ

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない〝父〟と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。解説・上白石萌音

感想・レビュー・書評

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  • 本屋大賞受賞!『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ・著 私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。 | 特設サイト - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/sp/soshite-baton

    文春文庫『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167915544

  • 二人の母と三人の父を持つ優子の、幼少期から大人になるまでを綴った物語。登場する父と母は皆娘を愛しているけれど、その愛し方は個性的だったり少しズレていたり。その愛情を戸惑いながらも受け止める、優子の優しさとしなやかさと強さが、この物語全体を貫いていると思います。

    そして、最後の最後で唐突に変わる一人称の視点。これによって、「そして、バトンは渡された」というタイトルに作者が込めた想いと作品の主題が鮮明に伝わってきました。少しずつ人々が繋がり、主人公を祝福するラストもじんわりと心を温かくしてくれます。

    本当に大切なことを、劇的に表現したり、読者に押し付けるように書いたりせず、どこまでも優しい筆致で伝える瀬尾さんの文章。改めて素晴らしいなと思いました。

  • そして、バトンは渡された
    瀬尾まいこ 2020年9月の本(文庫)(単行本は2018年2月)

    2019本屋大賞受賞作、とのことで、普段はビジネス本しか主に読まない私でもちょっと気になって買ってみました。帯の裏に『幸福な読後感!』とありますが、まさにその通り。解説:上白石萌音さんも帯でコメントしているが「瀬尾さんの言葉は、おいしいごはんみたいだ。 あたたかくて、ホッと甘くて、体と心に沁み渡る。」とはほんとにそう。読んでよかった。

    先日読み終わったビジネス書の「ワイズカンパニー」にもあったが、ワイズリーダーは本質を表現する際に様々なメタファー(比喩)を用いるが、本質を伝える能力を磨くには小説をたくさん読むというのは一つの方法だ、とのこと。同書P323からの抜粋で「ロマンスや風刺、喜劇、悲劇も含め、あらゆるジャンルのものを読むのがいい。(中略) 優れた小説には、読者を登場人物に感情移入させる力がある。読者は登場人物の身になって考え、その苦境を自分の心で感じ、その判断の誤りを悔やむ。まるで、自分が判断を誤ったかのように。(中略)重要なのは、事実を知ることではなく、小説を読むことを通じて、共感の能力や習慣を身につけることである」と記載あり。

    なんだか別の本のレビュになってしまったようですが、僕がピアノを習っていたこともあり、「ひとつの朝」や「大地讃頌」といった合唱もがんばったこともあり(さらに最近では「糸」もあるよね)、さらには子どもたちと離れて暮らしている親ということもあり、いろいろ共感するところ多数。 ほんと温かい読後感でステキ。

    少しだけ抜粋
    ==========
    P315
    「まぁ、七割は当たってたけどね。梨花が言ってた。優子ちゃんの母親になってから明日が二つになったって」
    「明日が二つ?」
    「そう。自分の明日と、自分よりたくさんの可能性と未来を含んだ明日が、やってくるんだって。 親になるって、未来が二倍以上になることだよって。明日が二つにできるなんて、すごいと思わない? 未来が倍になるなら絶対にしたいだろう。それってどこでもドア以来の発明だよな。しかも、ドラえもんは漫画で優子ちゃんは現実にいる。」

    P378
     だけど、森宮さんはちっとも平気なんかじゃなかったのかもしれない。思い切った行動をする早瀬君を認められないくらいに。七年経っても誰も好きになれないくらいに。きっと、私の気持ちを乱さないように平然を装っていただけだ。どうしてそんな簡単なことがわからなかったのだろう。いや、私にわかるわけがない。梨花さんが病気だったことも、愛する人に出ていかれた森宮さんの気持ちも。私の親である人は、あまりにもたやすく子どもを優先してしまうのだから。

    P407
    「守るべきものができて強くなるとか、自分より大事なものがあるとか、歯の浮くようなセリフ、歌や小説にあふれてるだろう。そういうの、どれもおおげさだって思ってたし、いくら恋愛をしたって、全然ピンとこなかった。だけど、優子ちゃんが来てわかったよ。自分より大事なものがあるのは幸せだし、自分のためにはできないことも子どものためならできる」
     森宮さんはきっぱりと穏やかに言った。
    ==========

    上白石萌音さんの解説にもあったけど、すっかり瀬尾まいこさん好きになってしまったので、ほかの本も引き続き探そう。

  • 親が変わっていったことでどこか達観してる優子。たくさんの親たちみんなに愛情を注がれていたのだなと先生の手紙がひと文だけど的確だなと思った。
    淡々と進むようで第二章でオーケストラの盛り上がりのように色々なことが明らかになっていくので読むスピードもどんどん上がってしまった。最後まで読んでもっとゆっくり味わって読めばよかったと後悔。明日また最初からゆっくり読んで森宮さんの的外れな父親像や、親たちの愛情、そして優子が一歩踏み込んでいく姿、早瀬くんへのバトン渡しをゆっくり堪能しようと思う。

  • ずっと気になっていたけど、読むまでに至らず、文庫化を機に読むことに。

    物語を通して流れてる空気のようなものが、すごくいい。
    普通なら考えられないほどのフクザツな家庭環境。
    でも、どの親も優子をちゃんと愛していた。愛し方って人それぞれだなぁーと感じました。

    親選手権なんかないと優子が言ってたけど、森宮さんが断トツ好きです。
    森宮さんの作る料理、ズレた発言、深い愛情、笑わせてもらったし、最後は泣かせてもらいました。

    とても幸せな気分になれる本でした。

  • 心が温かくなるお母さんの手作りご飯のような作品だった。一流レストランの最高峰の食材によって作られた料理はもちろん美味しい。でも、日常のお母さんのご飯の方がやっぱり美味しくて何年経っても何十年経っても懐かしくて愛おしい。私を作ってきたもの、そんな家族の愛情を思い出しては大切にぎゅっと抱きしめたくなる、そんな作品だ。実家に帰って親孝行がしたくなる。

  • 優子は何度も親が変わり、引越しも余儀なくされている。でも、自分は不幸ではないという。どの親にも大事にしてもらったから、と。
    最初は、優子は本当は辛かったのだろうと思っていた。辛いことがありすぎて耐性がついたのだろうと。でも読んでいくうちに、優子は確かに辛いこともたくさんあったけれど、5人の親には本当に大事に愛情をかけてもらっていたのだなと感じた。優子は優しくて芯が強くて、気遣いのできる子だ。だからどの親も愛情をかけずにはいられなかったのだろうし、愛情をかけてもらったからこそ、優子もこんな魅力的な人物になったのだろう。
    とにかく話全体がほんわりと暖かくて、前向きで、読んでいて楽しかった。

    また、瀬戸まいこさんのお話にはよく美味しそうなお料理の描写がでてくる。余計なお世話だが、優子は餃子だの夜食だのデザートだの、食べすぎじゃないかと心配になってしまった。

  • 【上白石萌音さんも絶賛! 2019年、本屋大賞受賞作】大人の都合で何度も親が替わり、今は二十歳差の?父?と暮らす優子。家族皆から愛情を注がれた彼女が伴侶を持つとき。心温まる物語。

  • 父親が3人、母親が2人いる主人公。
    親が何回もかわるという不遇な環境でどうして悩みがないのだろうと思ったが、全ての親がそれぞれに主人公を思い、愛情を注いでいて実際は恵まれていたからだろうと思った。


    現実世界で考えると流石に無理があるだろうという設定もあってあまりいい評価ではない人もいましたが私はとても感動しました。

    • あまみさん
      血は水より濃いのか?
      怖くて読めずにいる。読みたいけど、きれいごとなら、読みたくない。気になる。読めない。
      血は水より濃いのか?
      怖くて読めずにいる。読みたいけど、きれいごとなら、読みたくない。気になる。読めない。
      2020/08/18
  • 読み終わった時に幸せな気持ちになる本です
    『困った。全然不幸ではないのだ。』の書き出しがとにかく良い。
    これは強がりで言ってるわけではない。と思う。

    子育てに限らず、人と繋がっていたいと思いました

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著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

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