そして、バトンは渡された (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
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本棚登録 : 6782
レビュー : 464
  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167915544

作品紹介・あらすじ

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。その後も大人の都合に振り回され、高校生の今は二十歳しか離れていない〝父〟と暮らす。血の繋がらない親の間をリレーされながらも、出逢う家族皆に愛情をいっぱい注がれてきた彼女自身が伴侶を持つとき――。大絶賛の2019年本屋大賞受賞作。解説・上白石萌音

感想・レビュー・書評

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  • そして、レビューのバトンは渡された。
    一周回って、今の時期に読んで、
    「暖かな気持ちになった」「最後のシーンに涙した」「みんな愛に溢れている」
    と書いても二番煎じな気がする。

    わたしはひねくれているので
    それに、本屋大賞受賞作はたいてい映画化されるので
    プロデューサー目線で書きたいと思う。
    本来そろそろ映画化発表ニュースが流れてもいいのに
    何故未だグズグズしているのか
    それは、これが映画化がとても難しい作品だからである

    17歳の時点で母親2人、父親3人、名字は4回変わったけど
    「困った。全然不幸ではないのだ。少しでも厄介なことや困難を抱えていればいいのだけど、適当なものは見当たらない。いつものことながら、この状況に申し訳なくなってしまう」
    と呟いてしまう優子ちゃんが主人公である。
    小説ならば、彼女の心理はその度ごとに描かれるので
    問題はない
    映画ならば、本来ならば理不尽な行動をしてしまう
    親たちを許してしまう主人公に
    鑑賞者は、果たして共感できるだろうか
    いくら親たちが真から優子ちゃんを愛していて
    名優がそれらしき演技をしても
    それを信じてしまうためには、
    17歳と10歳の少女に
    かなり説得力ある演技をしてもらわなくてはならない
    そんな俳優が果たしているのか
    人選に困っていると思う。

    確かにみんな良い人たちばかりで
    みんな愛に溢れている
    から、こんな奇跡が起きたのだと思う。
    でも、リアルに映像化すれば
    (リアル感のない映像化は考えられない
    絶対ファンタジーにしたくない)
    小説の中で言葉にされていないことを
    表現しなければいけない
    人の良さや愛を支える芯の強さが必要で
    それは台詞では表現できない
    役者の演技力にかかっている
    優子視点で語られた物語は、
    梨花さん視点、水戸さん視点、泉ヶ原さん視点、森宮さん視点が必ず入る。
    すると全く違った景色になる
    それでも愛の奇跡を起こせるのか
    優子は自覚していなかったけど、
    普通の子供よりも遥かに強くなり
    そしてホントは傷ついていた

    それを描かないとホントの感動は取れないと思う

    一つの可能性は、17歳役は(既に20歳近いけど)「義母と娘のブルース」で好演した上白石萌歌。でももう一皮剥ける必要がある。
    少女役は思いつかない。
    親たち役は上手い役者が多いからなんとでもなる
    難しいのは脚本家と監督だ。

    頭が痛い。やっぱり映画化は無理かな。
    というわけで、誰かにバトンを(^_^;)。

  • こんなに幸せな気分になる本は久々に読んだ。
    何回も親が変わって、困難を乗り越えながら強くなっていくんだろうな。と思いながら読み始めた。
    でも、少し違った。
    親が変わる=血の繋がらない親=窮屈そう、可哀想
    というイメージが、偏見だがあったが、この本を読んで、血の繋がりだけが全てではない。と優子から教えてもらえた。
    何人もの親の間をリレーされても、たくさん愛情を注がれて真っ直ぐ育った優子は、本当に幸せ者だと思う。
    読後の幸福感がすごかった。
    上白石萌音ちゃんの解説も、とても共感でき改めて素晴らしい本と出会えたと感じた。
    ぜひともたくさんの人にこの本を読んで欲しい。

  • 「幸福な読後感」と帯裏にあるように、まさにその通りの読後感。
    主人公の優子は、次々と苗字が変わる。生まれた時は、水戸優子、そして田中優子に泉ヶ原優子、現在は森宮優子と。その経緯が、時間を前後しながら綴られる。
    家族の形態が変わると現実問題としては、深刻で悲惨な結果になるのが通常だが、そんな世間の常識を覆す物語。
    主人公の父親母親となる人物がみんな、優子に愛情を注ぐ人ばかりゆえ。
    担任の向井先生も「あなたみたいに親にたくさんの愛情を注がれている人はなかなかいない」と。
    なかでも、森宮さんの愛情表現はとてもユニーク。
    スタミナをつけろとばかりに連日の餃子。試験の前日には、オムライスにケチャップで長々とメッセージを。
    物語の最後は、森宮さんの「俺」の独白で締めている。
    上白石萌音の解説も、本章そのままに幸福感で綴られているのが好ましい。

  • 17歳の優子には、父親が三人、母親が二人いる。
    家族の形態は、17年間で7回も変わった。
    こんな普通ではない状況を、淡々と、しかも何だか不思議と心地よく物語の中に引き込ませてくれるのは、瀬尾さんしかいないのではないかと思った。
    優子と森宮さんとの、たくさんの食事のシーンが賑やかで微笑ましく、圧倒的な存在感を誇っていて、何度もうるっときてしまった。
    ご飯は愛情の証でもあるし、家族で一緒に食卓を囲むことは、心に刻まれる一番の思い出となる。
    笑顔の大切さを教えてくれた梨花さんや、懐の深い泉ヶ原さんや、そしてもちろん血の繋がった実のお父さん、たくさんの人たちが優子を温かい愛情で包んでくれて、優子は本当に幸せ者だ。
    それは、優子が何処にいっても順応できる力を持っていて、受け入れる優しさがあるからだなんだと思った。

  • すごく良いお話しでした。・・・・・・
    でも、この時代だからこそのヒットだよね。

    今の時代、親が離婚したとか、再婚したとか、片親だとか、そういうのって必ず
      やれ、家庭内崩壊だ、児童虐待だ、無理心中だ
    なんて話ばかり(結局、マスコミが報道するのがこういうのばかりだからなんだけど)で、今の日本の人たちはそれが当たり前、デフォルトになってしまっているんだよね。

    だからこそ、こういう、ある意味において、非常に人間らしいというか当たり前の行為を目にすると感動してしまう。
    本書にでてくる登場人物・全員善人(笑)。

    まあ、物語的には、もっとなんというか、波乱万丈というか、もう少し波風立てろというか、
      「トルストイの『アンナ・カレーニナ』みたいにしろ」
    とまでは言わないけど、それぞれの登場人物に焦点あてて、心理描写的なシーンを入れて、もう少し色々なエピソードを挿入すれば、歴史に残る傑作超大作にできたんじゃないかな~
    なんてことも考えてしまうけど、今言ったように不幸がデフォルトの社会ではこういう
      無償の愛
    というか、人間ならだれでも持っている心を見せてくれるような小説が良いんだろうね。

    せっかくだから、実写映画化しましょうね。
    結構ヒットするだろうね。

    僕の脳内で再生されていた主要な登場人物の配役は、
      主人公 森宮優子 ーーー 上白石萌歌(本書の解説はお姉ちゃんが書いていたけど、配役は妹の方でよろしく!!)
      幼少期の優子 ーーー 子役時代の芦田愛菜
      今一緒に暮らしている3番目のお父さん・森宮壮介 ーーー 高橋一生
      優子を幼少期から中学生まで育てた2番目の母・梨花 ーーー 長澤まさみ
      2番目の父・泉ケ原茂雄 ーーー 石丸幹二
      担任の向井先生 ーーー 斉藤由貴
      優子の彼氏・早瀬君 ーーー 森崎ウィン
    てな感じですね。
    結構、現実感あるのではないでしょうか?

    これは脳内再生だけど、現実の映画でも主人公・優子の上白石萌歌と3番目の父・森宮壮介の高橋一生はマストでオネガイシヤッス!!!

    冗談はさておき、この物語の肝は、主役の優子のキャラクターもさることながら、無償の愛を優子に注ぎ続ける森宮壮介と梨花の二人だろうね。
    もし本当に映画にするとしたらこの二人に一番の実力派俳優を充てれば成功すると思う。
    それ以外は僕の脳内再生バージョンで優子の幼少期を演じる子役については芦田愛菜はさすがにもう不可能だし、早瀬君の森崎ウィンはちょっと歳食ってるかな(ピアノつながりで映画『蜜蜂と遠雷』のイメージで思わずねw)とは思うけど、まあそれなりの俳優さんで良いんじゃないでしょうか(笑)。

    という訳で、全然この本のレビューじゃないけど、たまにはこういうさらっとライトな感動ものの小説もありだね。

    • kuma0504さん
      kazzu008さん、
      バトン受け取ってくださり、ありがとうございます(^^)。
      やっぱ上白石萌歌ちゃんだよね。
      高橋一生は少し歳食っている...
      kazzu008さん、
      バトン受け取ってくださり、ありがとうございます(^^)。
      やっぱ上白石萌歌ちゃんだよね。
      高橋一生は少し歳食っている気がするけど、長澤まさみはピッタリです。斉藤由貴もピッタリです。
      そうか、子役時代の芦田愛菜か、今「星の子」を観て書いているけど、芦田愛菜の子ども時代をやった子役でもいいかなという気がして来ました。子役は、説得力ある演技しなくても、それなりに脳内補完してしまうんですよね。
      映画は、大きなドラマがない分ホント難しいと思います。
      うーむ。脚本は大きくエピソード付け足さないとダメかなあ。
      2020/10/25
    • kazzu008さん
      kuma0504さん。コメントありがとうございます。
      やはり萌歌ちゃん、激押しですね。僕もぴったりだと思いました。
      ぜひ、本当に映像化し...
      kuma0504さん。コメントありがとうございます。
      やはり萌歌ちゃん、激押しですね。僕もぴったりだと思いました。
      ぜひ、本当に映像化してもらいたいですね。
      2020/11/03
  • 二人の母と三人の父を持つ優子の、幼少期から大人になるまでを綴った物語。登場する父と母は皆娘を愛しているけれど、その愛し方は個性的だったり少しズレていたり。その愛情を戸惑いながらも受け止める、優子の優しさとしなやかさと強さが、この物語全体を貫いていると思います。

    そして、最後の最後で唐突に変わる一人称の視点。これによって、「そして、バトンは渡された」というタイトルに作者が込めた想いと作品の主題が鮮明に伝わってきました。少しずつ人々が繋がり、主人公を祝福するラストもじんわりと心を温かくしてくれます。

    本当に大切なことを、劇的に表現したり、読者に押し付けるように書いたりせず、どこまでも優しい筆致で伝える瀬尾さんの文章。改めて素晴らしいなと思いました。

  • 本屋大賞受賞!『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ・著 私には五人の父と母がいる。その全員を大好きだ。 | 特設サイト - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/sp/soshite-baton

    文春文庫『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ | 文庫 - 文藝春秋BOOKS
    https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784167915544

  • 昨年の本屋大賞受賞作。
    だいぶ前から読もうと思っていたけど、何だかミーハーな気がして、ここまで取っておいた作品。
    親の再婚の繰り返しで、血のつながりのない森宮さんとの二人の生活を送る高校生の優子。
    継母、継父となると意地悪なイメージが付きがちだが、この作品では一切そのような人物が出て来ない。
    複雑な家庭環境を受け入れ、どこか冷めた感じの優子。クラスメイトと上手く行かなくても平気なのに、森宮さんと上手く行かないと成績が下がる・・・
    優子と森宮さんとのやり取りは、どこか飄々としながら、お互いを思いやっており、読んでいて、温かい気持ちになる。
    文庫化に当たり、解説を書いている女優・上白石萌音の文章も秀逸。演技や歌が上手いだけじゃなく、文章も上手いのか…しかも、性格が良さそう・・・
    本編のラストに思わず、電車の中で涙。
    その後の解説を読んで、上白石萌音の才能に「あっぱれ」と感じてしまった…

    楽しい時は思い切り、しんどい時はそれなりに笑っておこう

    確かにこの言葉は心に響く。

  • 優子と森宮さんの会話にほのぼの。
    次々と大人の都合で親が変わりながらも、どの親からも愛されて育った優子。
    親子愛に血の繋がりは関係ない。
    愛はリレーのバトンのように人から人へ。
    自分より大事なものがあるのは本当に幸せなことなんだ。

  • こんなに感動する一冊だったとは!!最後は涙なしでは読めません!完全に主人公の優子ちゃんから森宮さんの気持ちに感情移入していた。最後まで読んでタイトルの意味を深く実感した。まだ読んでない誰かに薦めたい。この本のバトンを母に回そうと思う。

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著者プロフィール

瀬尾まいこ(せお まいこ)
1974年、大阪府生まれ。大谷女子大学国文科卒。2011年の退職までは、中学校で国語教諭として勤務する傍ら執筆活動を行っていた。2001年『卵の緒』で第7回坊っちゃん文学賞大賞を受賞し、これが翌年単行本デビュー作となる。2005年『幸福な食卓』で第26回吉川英治文学新人賞、2008年『戸村飯店 青春100連発』で坪田譲治文学賞をそれぞれ受賞。これまでに映画化された作品に、代表作『幸福な食卓』、『天国はまだ遠く』『僕らのごはんは明日で待ってる』。『そして、バトンは渡された』は第31回山本周五郎賞候補、2018年「本の雑誌が選ぶ上半期ベストテン」1位、「キノベス2019」1位に選出、さらに2019年本屋大賞を受賞。2019年6月13日、『優しい音楽』(新装版)を刊行。

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