烏百花 蛍の章 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋
4.16
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本棚登録 : 538
レビュー : 36
  • Amazon.co.jp ・本 (286ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167915551

作品紹介・あらすじ

累計150万部の大ヒットファンタジー『八咫烏シリーズ』の外伝集。異世界「山内」の壮大な歴史の流れの中、主要人気キャラクターたちはどんな風に育ち、一方でどんな関係を結び、事件の裏側でなにを思っていたのか。美貌の姫君へのかなわぬ想い、愛を守るための切ない大嘘、亡き人が持っていた壮絶な覚悟、そして、「命をかけた恋」……本編では描かれなかった、「恋」の尊い煌めきが満ちる魅惑の短編集。2020年ついにスタートした第二部『楽園の烏』の前に必読!の書。

感想・レビュー・書評

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  • 本編で語られなかった恋模様。
    八咫烏シリーズのスピンオフです。

    「しのぶひと」5巻、6巻で気になっていた真赭の薄と澄尾の恋。嫌われても疎まれても、幸せになってほしいと願う。気持ちのすれ違いがもどかしい。

    「すみのさくら」親といきなり引き離されて男の子の墨丸として育てられた幼き日の浜木綿と、微妙な立場にある弟宮の奈月彦との友情。

    「まつばちりて」2巻で登場した松韻。彼女は谷間の女郎宿で生まれたところを、その才を見込まれ、大紫の御前に引き立てられる。落女として、男に混じって朝廷で働くことを期待されるが、蔵人の忍熊と対立するうちに心を通わすようになり…

    「ふゆきにおもう」雪哉の産みの母・冬木と、育ての母・梓の話。冬木は本編であまりよく語られることがない人物なのだけど、なるほど、こういう人だったのか…。これは一番面白かった。

    「ゆきやのせみ」6編の中では異色な、恋愛と関係ない話。雪哉が若宮に忠誠を誓って2ヶ月、若宮と澄尾が捕まって牢屋に入れられているところで始まる(笑)ある意味平和な、こんな日常が彼らにもあったのだなとほっこりする。

    「わらうひと」真赭の薄と澄尾の恋リターンズ。あの凄惨な火傷から目覚ましい回復を見せる澄尾。彼からみた真赭の薄は…。挿入される千早と結の話もよかった。

    ダ・ヴィンチニュースで、阿部さんのインタビューが載っていて、第一部を読んだ後にぜひ読んでみてほしい。
    印象に残ったのは2点。

    1巻では後宮という小さい世界から始まり、徐々に外に広がり、6巻では山内そのものの世界の位置付けが見えてくるというメタ視点、構成の妙は、完全に最初から意識して書かれたものであること。

    それから阿部さん自身、『あとから読み直すと、気づきのある物語』が大好きで、シリーズ本編にも外伝にそういう仕掛けを二重三重に入れてあるということ。

    あぁやっぱりなぁ、完全に作者の術中に嵌っていたのだわー。
    外伝読んで、もう一度頭から読み直したいなぁと思った。1巻読んだときは、買うとか考えられなかったけど(笑)、むしろ全部揃えたい。
    松韻のこととかあまり覚えていなかったし、真赭の薄と澄尾の恋は最初から考えられていたというし。全然気づかなかった。

    めちゃくちゃ面白いシリーズだなと再確認。本当にすごいよね。(語彙力ー!)

    ★4.5

  • 八咫烏シリーズのスピンオフ短編集。
    本編を読みながら、「そこもっと詳しく…!」と思っていた恋模様が語られていて、きゅんきゅんしてしまいます。

    若宮や雪哉、浜木綿や真赭の薄といったメインの登場人物だけでなく、脇役たちにスポットをあてた短編もよかったです。
    個人的には「まつばちりて」で描かれた松韻の物語に揺さぶられました。
    女としての性を捨て、男として朝廷で働く"落女"である松韻。
    本編では描かれなかった彼女の生き様の、勇ましさ、潔さ、凛々しさに、涙が滲みました。

    「ゆきやのせみ」では若宮に翻弄される雪哉を不憫に思いつつも、声を出して笑かされましたし、「わらうひと」ではきゅんきゅんが加速しすぎて読み終えてしばらく身悶えしていました。
    最後に引用されている都々逸が、余韻をさらに高めてくれました…ああ、ときめくなぁ…。

  • 八咫烏シリーズ外伝。異世界「山内」を彩る八咫烏たちの、
    想い、愛、そして恋を綴るファンタジー短編集。
    しのぶひと・・・真赭の薄と雪哉に縁談?雪哉の言動に憤慨する
         明留を諭す澄尾だが、彼には秘めた想いがあった。
    すみのさくら・・・なぜ両親は死んだのか?宮烏から山烏に堕とされ、
        もがきながら育つ墨子と、弟宮との出会い。その縁は桜。
    まつばちりて・・・“落女”になり男として朝廷で働く松韻だが、
       蔵人・忍熊との出会いが彼女を変える。嘘と真実、そして愛。
    ふゆきにおもう・・・雪哉と雪雉が行方不明に。探す梓の脳裏に
         浮かぶのは、冬木の事。二人の心と想いが交錯する。
    ゆきやのせみ・・・若宮と澄尾が食い逃げ犯で牢屋入り?解決に
         導いた雪哉だが・・・「ニンゲンやべえな・・・」に爆笑!
    わらうひと・・・「しのぶひと」のその後。結の決意を千早に伝えた
          真赭の薄は、そこで出会った澄尾に真意を尋ねる。
    用語解説、人物紹介有り。
    異世界に息づく八咫烏たちの、想いや恋を語る短編集です。
    恋しい相手を、見守る姿。
    実は身近にいた味方の存在を、隠された愛情を知る、姿。
    こういう組織を作らざるを得なかった者の心の闇と、姿。
    その組織に身を投じたが、嘘の言動に見えた真の愛を知り、
    落女から女性に戻った、姿。忘れ形見を抱いて泣く男の、姿。
    幼き頃から側に仕えていたゆえに理解出来た、真の姿。
    忠誠を誓った相手に翻弄され、素を曝け出してしまう、姿。
    兄である人の心もわかる。が、未来を見据えた覚悟の、姿。
    そして、かの事件を経て、素の言葉と心を交わす二人の、姿。
    想い、愛、そして恋の様々な姿が切なかったです。
    短編であるからこそ、語れる話なのかもしれない。
    また、雪哉は冬木の子なんだなぁとしみじみ実感しました。
    それと、真赭の薄と明留の姉弟は揃って世話好きなのね(^^♪

  • これは、シリーズをもう一回最初から読みたくさせる罠本ですな!(笑)
    というか私は、もれなく二周目突入する予定。

    「しのぶひと」から始まって「わらうひと」で終わるという、澄尾と真赭の薄コンビが好きな方には、かなりたまらない仕様になっていると思います。

    この二編が描かれるだけ、本編も進んできたといえばいいのか。二人の気持ちが、様々な出来事によって彩りを変えたんだなぁという、それはある程度の時間を共にしてきた読者にとっても、なんだかジーンとくるものがあります。

    また、本編でも印象に残っている藤宮連のお話を描いた「まつばちりて」。
    そして、雪哉の出生を辿りながら、二人の母、冬木と梓を追う「ふゆきにおもう」。
    どちらも、人の心の真と偽をうまく交えながら、でも最後には相手の真を見抜くという、そんな流れに短編ながら感動させられました。

    言葉の編み方ですかねー、ストレートにするするっと読めるんだけど、ちゃんと感情移入出来て良かったです。

  • ・しのぶひと
    雪哉が勁草院にいる時、姉思いの明留を中心に澄尾の秘めたる恋心の話。真赭の薄の雪哉への優しい思いが伝わる反面、澄尾が何というか。。。

    ・すみのさくら
    浜木綿の幼少期の話。若宮との邂逅も。育ての親である青嵐との別れのシーンも夕虹(浜木綿の母)への想いにあふれており良かった。

    ・まつばちりて
    松韻と忍熊の愛し愛される物語。そこに入ってくる順の嫉妬。そして、大紫の御前による人に愛されることがない人のがゆえの憎悪。大紫の御前には絶対に幸せになって欲しくはないと思えるようなエピソードだった。

    ・ふゆきにおもう
    雪哉の母親である梓と冬木の話。冬木と同じくらいに雪哉を思う梓が良い母親すぎて羨ましくなってしまう。

    ・ゆきやのせみ
    雪哉と若宮のほんわかエピソード。

    ・わらうひと
    千早の妹の結の話。

  • 八咫烏シリーズの番外編で短編集。『 まつばちりて』が切なくて泣いてしまいました。『ふゆきにおもう』では雪哉のお母さんのストーリーが知られて良かったです。にしても、ますほの薄が素敵すぎ…!

  • 真赭の薄と澄尾の恋、「しのぶひと」で始まり、「わらうひと」で終わる。

    「まつばちりて」落女として生きてきたまつこと松韻と忍熊の話が印象に残った。痛切。
    男装の女性の自己実現と恋で終わればよかったのに、なんとも後味が悪い。
    そういう立場の女性だからかな。

    ふゆきにおもう、は凡庸に見えた雪哉の父母がきちんと描かれていてよかった。

  • 【秘めた恋。命がけの恋。大ヒットファンタジー外伝集】身分違いゆえ秘めた想い、愛を守るための嘘、命をかけた恋。150万部「八咫烏シリーズ」本編では描かれなかった、鮮烈な6編。

  • 21/04/04読了

  • 今までの登場人物の知らなかった過去、知らなかった一面が見れてまた登場人物に対する印象が変わった。個人的にはゆきやのせみのような話を延々と読みほっこりとしたいところである。

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著者プロフィール

1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞受賞。デビュー作から続く「八咫烏シリーズ」は、松崎夏未氏による漫画化、中台翻訳など進行中。19年『発現』(NHK出版)刊行。

「2021年 『烏は主を選ばない(1)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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