出世商人(一) (文春文庫 ち 10-1)

著者 :
  • 文藝春秋
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感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784167915742

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読む作家さん。タイトルから安心して読める。
    とはいえシリーズ第一作ということで成功とは言えない段階で終了。

    薬種問屋〈遠州屋〉の小僧として奉公していた文吉は養父の突然の死により〈遠州屋〉を辞め養父が営んでいた艾屋〈三川屋〉を継ぐことにした。
    だが〈三川屋〉の扱う艾は安物で利益は殆どなし。最近は商いが上手く行ってなかったようであちこちから合計十三両もの借金をしていた。
    そんな折、〈遠州屋〉時代に知り合った蘭方医・手塚良庵から自分が作った滋養強壮薬を売って稼がないかと誘われる。

    テンポが良い。
    小僧上がりで店の経営は全くの素人、多額の借金を背負っている文吉が、様々な人と出会い助けられていく様が楽しい。ちょっと出来すぎだが、それも良い。
    元は文吉の正直さや誠実さ優しさが成せること。良庵との出会いのきっかけも道で苦しんでいる老女を助けたことだった。
    文吉は火事で両親を亡くした孤児であり〈三川屋〉夫婦は育ての親というだけで血の繋がりはない。しかし体調が優れない養母おぶんを見捨てることも〈三川屋〉が背負った借金から逃げることもしない。

    艾を仕入れる金すらない文吉に二百文を渡し、もっと良い質の艾を仕入れて売れとアドバイスする〈遠州屋〉の女中・お邑。
    文吉が新たに商うことにした良庵製作の薬『元気丸』の売り出しに一役買う幼馴染のお藤。
    大手の薬種問屋からの嫌がらせや横やりの真相を調べてくれる下っ引きの宗助。
    誠実な商売と『元気丸』の確かな効き目に新たな客を紹介してくれる人々。
    たくさんの人たちが文吉を後押ししてくれる。

    一方で借金相手の〈相馬屋〉儀兵衛は厳しいのだか優しいのだか。ホームレスの老人・熊もただ者ではない感じ。
    〈越前屋〉〈福江屋〉など大手の薬種問屋の横やりや嫌がらせは続きそう。
    〈遠州屋〉の若旦那・茂松の動きも怪しい。

    商売はまだ始まったばかり。これからどう商いを軌道に乗せ『出世』していくのか、楽しみだ。

    ところで読み終えて知ったがこの手塚良庵先生、あの手塚治虫先生の曾祖父だそうだ。手塚治虫先生も医学博士だったが血筋なのか、納得。

  • 父親が急逝したことにより、借金を抱えた家業の艾屋を継ぐことになった文吉が主人公。
    ひょんなことで知り合った蘭方医・手塚先生の新薬を売り、その売上を借金返済に充てようとする奮闘記、かな。
    色んな人物が登場したけど、みんな謎が多い人ばかり。
    今後の展開が気になる終わりなので、早く続きを読まなくては。
    1巻目は耐え忍ぶことが多かったので、2巻ではスカッとした気分になれるといいな。

  • 2020年10月文春文庫刊。書き下ろし。シリーズ1作目。急遽、育ての親のもぐさ屋を継ぐことになった文吉の成長ストーリー。文吉が置かれた境遇と周りの登場人物たちが、興味深く、話の展開に引込まれてしまいます。文吉の母を思う気持ちや、人を思う気持ちに共感。楽しみなシリーズです。

  • 千野さんらしい、貧しい主人公が這い上がって行くお話(だと思う)。ただ、時代小説って続いていくとしても、それぞれ一冊ずつもう少し完結感があると思うのだけど、完全に途中で終わっていて、えっ?、どうなるの?(むしろ上下巻の上巻)という感じ。2巻に進みます。

  • 千野さん新シリーズ。文春文庫でも本を出すようになったんですね。売れっ子みたい。
    以前に出していた『出世侍』の商人版でしょう。一巻は借金まみれからなんとか一息付けそうなところまで。さてどんなスピードで出世していくのか?
    ところで重要な役どころで出てくるのが手塚良庵。手塚治虫の曽祖父です。手塚良庵と言えば『陽だまりの樹』。ついつい読み返してしまいました。既読なんだけど覚えていない部分多し(年のせい)、ということもありやはり面白い。そちらと突き合わせるとこちらは安政年間の話のようですね。これから安政の大獄、コロリの流行、さらに牛痘問題等々大変動の時代。時代小説に歴史を考えるのは野暮だとは知りつつ、これからどう描かれるのか気になるところ。

  • 大火で5歳で両親を亡くし、遠縁を転々とした後、養父母に引き取られ、11歳で奉公に出て5年、養父が借金を抱えたまま亡くなる波乱万丈さ

    家業のもぐさ売りを始めるけれど、なかなか上手くいかず妨害もあってと冷ややかな1巻

    千野先生にしては物語も主人公も淡々と進んで手応えがなく、最初は違和感が凄い

    諦めと理詰め志向が極まって喜怒哀楽がほぼ無い文吉
    残された養母と生きて行く事に全神経が注がれているので、それが必然なのかな、と感じます

    今後、彼の感情と態度に熱が篭るのか楽しみです

  • 202206/シリーズ1~4巻まとめて。商人モノで、危機→解決→危機…というわかりやすい展開で面白く読めた。ただ、主人公文吉は頑張っていないわけじゃないしいいやつではあるんだけどちょっと必死感が薄いというか、すぐ人に頼り過ぎじゃない?すごいのはアドバイスくれる周囲の人達で。基本的に、飛び込みの聞き込みでみんなすぐペラペラ話してくれるので、それで色々わかり物事が進むという展開の仕方も物足りない。

  • 文吉がどう成り上がっていくのか?楽しみ。

  • 初めは何だっていいんだよ。一度掴んだ客を、どう抱え込んでゆくか、それが商人の腕じゃあないか。しっかりおしよ。

  •  千野隆司 著「出世商人(しゅっせ あきんど)(一)」、2020.10発行。薬種問屋・薬作り・薬売りが舞台の話。薬種問屋、遠州屋に奉公の文吉16歳は、父が急逝し家業のもぐさ屋、三川屋を継ぐことに。病気の母親おぶんを看病しながら、残された借財を返すため、懸命に働く文吉。そんな文吉を励まし支える人たちと陥れようとする者たち。新しいシリーズの始まりです。

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著者プロフィール

1951年、東京生まれ。國學院大学文学部卒業。90年、『夜の道行』で第12回小説推理新人賞を受賞し、選考委員から“第二の藤沢周平”と賞賛される。以後、時代小説を中心に活躍中。「入り婿侍」シリーズは、評論家の縄田一男氏から「著者の新たな頂点」と絶賛を受けた近年の代表作。他の主なシリーズに「おれは一万石」「出世侍」など。

「2022年 『新・入り婿侍商い帖 お波津の婿(二)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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