- 文藝春秋 (2020年11月10日発売)
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感想 : 33件
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167915940
みんなの感想まとめ
運動会の「人間タワー」を通じて、さまざまな登場人物の視点から現代社会の複雑さが描かれています。6年生の子供たち、教師、シングルマザー、そして周囲の人々がそれぞれの想いを抱えながら、タワーをつくる過程で...
感想・レビュー・書評
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「人間タワー」朝比奈あすか 著
1.人間タワーとは?
運動会でみる、あのタワーのことです。
人間タワーについて、下記の登場人物のひとたちが、想いを語ります。
①つくる人
6年生
②見守る人
教師
親
③楽しみにしている人
親戚、学校近隣のシニアのひと。
2.本書の読みどころ
現代社会の一面を型取りした小説です。
①シングルマザー
周囲をはばかる気苦労
②6年生
中学受験。自身の意思か?親の意思か?
立ち止まる時間もなく流れる日常。
③教師
学年主任。
学年行事を成功させたい想いと、生徒らの交錯する不安、葛藤との落とし所。
④共働きの子供
熱を出しても、親に迷惑をかけたくない一心で、親の出勤後、親に連絡しないで、学校を休まざるをえない子供心。
⑤孤独
妻に先立たれ、施設で暮らす。妻の亡きことを受けいれることができず、影を求める毎日。
読了後、社会の一面を突きつけられた、そんな印象です。
#読書好きな人と繋がりたい
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運動会での組体操見せ場の人間タワーについて、様々な視点から描かれている本作。
みんなそれぞれの想いがあってタワーに挑むのだけど、朝比奈あすかさんは子供の感情を言葉にするのがすごく上手いといつも感じる。
そういえば、今の運動会は組体操も騎馬戦もないのが主流だと思うけど、自分はがっつりどちらも経験したなーと色々思い出した。 -
運動会の「人間タワー」をめぐって、色んな登場人物の心境がかかれており、とても読み応えのある作品だった。
読み終わった後は爽快な気持ちになった。 -
読みやすく一日で読了。
組体操の人間タワー
桜丘小学校の伝統で誰もが楽しみにしていた。誇らしく思っていた。…はずだった。
しかし、児童数人からやりたくないとの意見がでる。
なぜ人間タワーをすることに反対なのか、
なぜ賛成なのか。
意見のぶつかり合いが興味深かった。
どうすれば意見はまとまるのか。
運動会まであと1週間をきった。
自分の子供時代を、思い出しつつ、
現在進行形の子育てとも重なる。
子供からの視点
保護者の視点
先生からの視点
さらには外部からの視点
どうすることが正解なのか
読みながら
一緒に考えた。
子供と親は全くの別人
自分の意志を押し付けてはいけない。
思いを馳せる、寄り添う、聞く、共感する、
できることはそういうことくらいかな。
物語の世界に入りつつも
現実世界ともつながる、参考になる、考える、
そんな小説だった。
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朝比奈さんは、学校を中心にその周囲を描くのがとても上手いと感じる。
よくある出来事、人間だからこそ大きな何かは起こらないけれど、自分の今までのことを思い出すきっかけになってくれる。 -
表紙絵が紅白帽を被った体操服の子供たち…もう懐かしい風景だなあ。
この小説は小学校の運動会でよく目にした組体操の最後のほうにある、人間タワー(僕の学校では、やぐらと言っていた)をめぐる様々な人の視点で描かれたもの。
そんな人間タワーをめぐる様々な事情…あぶないからやめるべきと言う父兄。団結力や信頼感など友情を育むという意味でやるべきと言う熱血教師。上に登るか、下の土台をやるかで悩む子供の気持ち。子供の頃は考えることも無かったが、確かに僕の時代にもいろいろ問題があったのだろうなあ。
最終話では運動会で人間タワーを子供たちがつくる描写があり、いろんな人の様々な思いが交錯しながら、損得なしに子供たちが一生懸命に取り組むさまが読み取れ、目頭を熱くしました。
素敵な小説でした。 -
組体操のタワーをモチーフに、子供、親、教師、近所の施設に住む老人、卒業生からの視点や、そのそれぞれの人の人生まで掘り下げた作品。
やはり朝比奈あすかさんは人間の深い部分の心理描写が上手くて、先に読み進めたくてどんどん読んでしまう。
いろいろな考え方があり、多様性が求められる今の世の中だから昔のようにはいかないこと、その中でどうすれば他の人間と関わりながら生きていけるのか。
人間タワーを題材にしながら、今の世の中に全てに対してそ問いかけている、素晴らしい作品だったと思う。 -
小学校運動会での人間タワーをめぐる人々のお話。中でも認知症の老人のパートが、本人の頭にモヤがかかった状態がリアルに文章に描かれていて、薄ら寒い気持ちになった。
そういえば、子どもが通っている小学校でも数年前まで6年生組体操の最後に全員で一つのピラミッドを作っていた。一番上に乗るのは運動神経が良くて小さくて軽い子。うちの子どもは6年生になったら一番上に乗りたいとずっと言っていたが、コロナ禍が始まった年から運動会中止→運動会再開したが縮小で、組体操自体がなくなってしまった。
もし6年生で本当にピラミッドやるってなったら、中学受験もあるし怪我や骨折は絶対に避けたいという気持ちはありつつも、一番上になったら本人も嬉しいし私も誇らしいと思う。ただ一番上ではなく土台だったら、しかも内側で全く見えないパーツになったらどう思っただろう。やらなくていいと思ったんじゃないかと思う。あえて反対はしないかもだけど、無事だけ願う?それとも実際に全員が呼吸を合わせて一つのものを作り上げたら、感動して胸が熱くなるのだろうか。
自分のこどもが参加していない別学年のほうが純粋に感動しそうな気がする。 -
章ごとに主人公が変わる
人々の思いが交錯するのが興味深い -
2023年中学入試で出題された作品の原作を読む。出題されたとき、「翼の翼」の作者と知り、メンタル持ってかれそうだから心が健康なときに読もうと思ってたとおり、心の闇の部分をあらわに描いてた。伝統行事を守る学校と、子どもの意見を尊重したい先生と、学友同士で意見をぶつけあっても解決できないもどかしさが、エンドで別視点から鮮やかに映してた。「人間タワー」自分も昔体験した組体操のことだけど、社会の縮図ヒエラルキーのようだなと感じた瞬間。
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二つの小学校合併の象徴として、六年生全員で造る『人間タワー』。運動会の伝統となり、保護者のみならず地域の住民にも楽しみにしている人は多い。しかし、組体操が危険視される風潮の中、昨年は失敗に終わってしまった。
今年はどうするべきか。保護者、教員、そして当の児童たち。様々な意見に分かれる中、出された結論とは・・・。
賛成するにも反対するにもそれぞれの理由があり、どちらにも納得できるし反論する気持ちにもなる。実際に参加する子どもたちだってそうだ。上に乗る子、下で支える子、それぞれの立場で言い分がある。
私は運動は全然ダメなので、団体競技など嫌を通り越して恐怖でしかないけれど、観る分には団体競技の方が熱くなる気がするのは何故なんだろうか。
こういったことに正解はないと思う。当人たちが納得していればそれでいい。外部が、特に風潮なんて分からないモノが批判するのだけは間違っていると思う。 -
朝比奈あすかさん4冊目。
小学生の母として、今回も楽しませて頂きました。
母親目線、子供目線、教師目線、(近所の老人や卒業生目線もありました)様々な人々の思いをのせて、出来上がった新たな人間タワー。素晴らしかったです。 -
運動会で行われる「人間タワー」を巡り、児童たちや教師、親、地域の老人たちがそれぞれの目線で考えを募らせていく。
伝統や団結や根性論など、時代とともに変化していく学校行事の考え方の中で行われた新しい「人間タワー」。
「やる」か「やらない」かの2択ではなく「どうすればみんなが納得できるか」を模索していく児童たちの姿が印象的だった。
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とある小学校での「人間タワー」、その演目を背景に繰り広げられる様々な人たちの"人間"らしいやりとり、「伝統を守るって?」「誰かのために耐えるって?それって美談?」という時代の変わり目を問う子どもたちと大人たちとのやり取りがさらにリアリティを増していたように思う。危険だから、意味を感じないからという理由だけ(それすらネットに広がっている誰かの意見を安く引用しただけ)で、物事をやめることには何も生まない。「じゃあ、どうするのか」を今作の中で、きっと描かれていない子どもたちと大人たちとのやりとりのように、真剣に向き合っていくことが歴史を作るということなのではないだろうか。
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小学校の組体操でトリを飾る「人間タワー」について、様々な人物の視点から描いた群像劇。
各章でメインの人物は変わるものの深い人物描写、心理描写で読み応えは抜群。それぞれみんな人間タワーについて思いを持っているし、それに正解も不正解もないのだと考えさせられる。
ラストも良くスッキリした読後感も得られる。
「全員の心をひとつに、というのはおとなたちが描く絵空事だ。心がひとつではないのだから。百人の心は百あり、きっとひとつにはなりえない。運動会を待ち焦がれる子もやり過ごしたい子もいる。楽しむ子も怯える子もいる。」 -
運動会の組体操「人間タワー」をどうするか。教師や生徒、親それぞれの思惑。自分の意見が正しい、自分の意見を通したい、と周りの反対派を批判する人たち。とても気持ち悪かった。アンバランスの危うさ。今の世の中にいっぱいいるなこういう人。耳を傾けどうすれば両方にとっていいか考える数少ない人たちの賢明さが際立つ。鈴子さんや安田さんや大津さんのお母さん。そっちになりたい。
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朝比奈 あすかさんの長編小説。
タイトルから今時のカースト制がテーマかと想像していましたが
タイトルそのままに、小学校で行われる組体操「人間タワー」を描いた連作集でした。
読み始めの地味な印象から一転、どんどん惹きつけられ途中から夢中になって読みました。
一時、その危険性が取り上げられた組体操ですが、本作では親や教師、そして組体操の上に立つ子供、下で支える子供達の本音などが丁寧な人物描写で描かれています。
「人間タワー」が実施されるのか、無くなってしまうのか、
もし実施される事になったらどんな形で行われる事になるのか、結末が気になり、そしてそこに辿り着くまでの、それぞれの子供達、大人の感情の揺れや思いに寄り添ったり共感したりしながら読み進めました。
全6話で構成されており、一見独立した短編の様でありながら、登場人物が他の章でリンクしていたり、人間タワー=登場人物の連携と上手く掛けられています。
テーマ自体も新鮮で初めての感覚を味わえ、読み応えのある作品でした。
ひとつだけ残念なのはあの形になるまでの過程を読者の想像に委ねられたのかも知れませんが最終話の一つ前で1話増やして描いて欲しい気もしました。 -
2018年に読了。賛成反対の意見を持つ事に時代の変化を感じる。私のとき反対を言える雰囲気はなかったし先生に対して物申す事もできなかった。生徒、先生、保護者だけでなく近隣のホームに住む老人の投書、ネットニュースの筆者、卒業生のいじめの記憶、ここまで様々な心中を知るとますます萎縮してしまう。そんな中『賛成も反対も違う』と澪の小学生と思えない考え方を無くさないでほしいと思う。今年の人間タワーは、の流れが急すぎて驚いた。文中の一人の先生によってイジメにあったり、自認感情を持てるようになったり、あの頃をヒリヒリ思いだした。難関校受験問題でなくぜひ作品として読んでほしいと思う、大人にも。
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これも独白連作だったか。それぞれ視点が違って面白かったけど、少しパワーは足りない気がした。
塾に通う女の子のパートが一番しっくりきたなぁ。
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著者プロフィール
朝比奈あすかの作品
