- 文藝春秋 (2020年11月10日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (512ページ) / ISBN・EAN: 9784167916008
作品紹介・あらすじ
日本初の全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ第5巻
アン25歳、グリーン・ゲイブルズの果樹園で、ギルバートと結婚。
フォー・ウィンズ(Four Winds)の海辺で、夢の家に暮らす。
運命に翻弄される美女レスリー、昔の恋人を想い続けるジム船長、男嫌いのミス・コーネリアと心を通わせ、迷える人々を照らす灯台となる。そして母になるアンの喜びと哀しみ、永遠の別れ……。人を愛する心の尊さを描く大人の傑作小説。
・特徴1)日本初の全文訳
英国詩人ブルックの詩「旅人の歌」に始まる初の全文訳。
従来訳で省略、改変された文章を、モンゴメリの原書通りに翻訳。
・特徴2)訳註
小説に描かれる397項目について訳者が解説する注釈付。作中に引用される英米文学と聖書、登場人物の民族、宗教、地理、歴史、政治、衣服、手芸、料理、園芸、諺、当時の風習、方言。
・特徴3)写真と地図
小説の舞台フォー・ウィンズの内海、ジム船長の灯台のモデル、モンゴメリが本作を書いた部屋など、訳者がカナダで撮影した作品ゆかりの写真12点を収載。
フォー・ウィンズ周辺とカナダ東部の地図2点も掲載。
・特徴4)あとがき……小説をより深く、楽しく読むために
一、モンゴメリの初期から中期の作品
二、小説の舞台フォー・ウィンズFour Winds
三、海辺の物語
四、登場人物は大人……ジム船長、ミス・コーネリア、レスリー・ムーア、スーザン
五、構成、シェイクスピア劇の影響、五つの物語の同時進行、詩的な散文
六、モンゴメリの怪奇趣味
七、本作のキリスト教~長老派とメソジスト、天地創造と進化論、信仰復興運動
八、スコットランド系・アイルランド系・ウェールズ系のケルト、野蛮なゲルマン人
九、カナダ二大政党(保守党と自由党)の対立、総選挙で十八年ぶりに自由党が勝利
十、執筆時のモンゴメリの日記、四十代の牧師夫人、出産と死産、第一次大戦の後方支援
十一、夢の家は「災いある世界」を照らし、人々を導く灯台
・アンとギルバートの結婚式
「陽のあたる古い果樹園で、アンとギルバートは、昔なじみの友の愛のこもった優しい顔にかこまれて結婚した。アラン牧師が式をとりおこなった。ジョー牧師は、のちにリンド夫人が力説した言葉によると、今まで聴いたなかで「もっとも美しい婚礼の祈り」を捧げた。九月に鳥はあまり鳴かないものだが、ギルバートとアンが永遠の誓いをくりかえす間、一羽の小鳥がどこかの見えない枝から美しく歌った。アンはそれを聞いて、胸がときめいた。」
『アンの夢の家』第4章「グリーン・ゲイブルズ初の花嫁」
みんなの感想まとめ
人を愛する心の尊さが描かれたこの作品は、アンがギルバートと結婚し、夢の家での新生活を始めるところから物語が展開します。美しい海辺の生活の中で、登場人物たちが抱える悲しみや喜びが繊細に描かれ、特にジム船...
感想・レビュー・書評
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今までの読んでいたアンのシリーズの中で一番好き。
ジム船長が凄く良い。
他のキャラも魅力的であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アンがギルバートと結婚してアンの理想通りの夢の家に住む。正に絵に書いたような進展ではあるが、悲劇もまたもたらされる。
これは作者モンゴメリの体験した事実に基づいている。こんなことが起きるとは。この悲劇により「アン」がより現実味を帯びた存在に感じられます。
アンと美女レスリーの交流も複雑で興味深い。 -
赤毛のアンシリーズ
ギルと結婚式から始まり、新婚生活がアボンリーから遠く離れた街で始まる。
思い描いていた小さな家、夢の家に、花に囲まれた花壇、楽しい隣人、プリンスエドワード島の海辺での生活。
アン夫妻が住む前の家にまつわる話をジム船長から聞き、さらに家が好きになるアン、隣人の美しいレスリーの悲しい身の上、幸せいっぱいのアンに起こる悲しい出来事、
レスリーとの友情、アンの物語は特別な出来事ではなく、どの時代でもどこの国でもありそうで、共感するところが多い。 -
3巻まではおもしろくはあったけれど、どこか少女マンガちっくな小説って感じでしたが、スピンオフ的な4巻で読み手を修行させ、この5巻で読者も作者も最高のテンションで臨むことができました。
10年に1度あるかどうかの極上体験をすることができました。あたし的には谷崎『細雪』、デュマ『モンテ・クリスト伯』1巻以来の感動。
作者自身もこの巻が最高と思っているみたいですね。熱すぎる松本さんの解説を読んでいると先走りすぎてネタバレしそうなのでぜんぶ読めんのだが!
レスリーでした。この本で描写されているレスリーとはまったく違う自分なりのレスリーが立ち上がってきてほんと夢心地でした。
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アンとギルバートの新婚時代が描かれる
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松本侑子訳アンシリーズ第5巻。
原題『Anne’s House of Dreams』。1917年の作品。
アンとギルバートの新婚時代。
※
訳者の松本侑子さんがアニメ『アン・シャーリー』に「アンはピンクの服は着ない。私に監修させて」とコメントしてちょっと話題になりましたね。
気持ちはわからなくもないですが、新しいものを作ろうとしている人たちをあまり困らせなくてもと思います。ちなみに私は絶賛されている高畑勲版も「私のイメージしているアンじゃない」と思ってます。みんなそれぞれ心にアンがいるのよ。
今回も100ページを超える注釈と解説がついていて圧巻です。
最大の功績は、今回の舞台フォー・ウィンズが現在のニュー・ロンドン湾がモデルだと解明していることでしょう。
モンゴメリは自分の両親が新婚時代を過ごした土地を、アンとギルバートの新婚の地にしているわけですね。これは胸熱。
巻頭に地図とケイプ・トライオン灯台、セント・ローレンス湾、砂州などの写真が掲載。
これによって初めて「フォー・ウィンズに長く伸びる砂州」の風景が具体的にイメージできました。
「内海」という訳には最後まで慣れませんでしたが、夢の家が町の中心からは馬車でぐるっと回るか、小船で渡るしかない人里離れた場所にあることがわかります。
レスリー・ムーアはアンシリーズのなかでも屈指の悲劇的美女でドラマチックな展開も大好きだったんですが、今回あらためて松本侑子訳で読んでみると、全体的にはすごく寂しさが漂います。
それは夢の家が人里離れた場所にあり、遠くまで出歩くことのできないアンと交流するのが、ジム船長、ミス・コーネリア、レスリーと限られた隣人だけであること、灯台と海が見える景色は美しいけれど孤独であること、全体を通して生と死が描かれていることがあるかと思います。
この物語で「フォー・ウィンズ湾に長く伸びる砂州」はあの世とこの世の境で、新しい生命は砂州を越えてやってきて、魂は砂州を越えて海の向こうへ帰っていくんですね。
フォー・ウィンズの風景描写は特に詩的で、子供の頃の私がこれを適当に読み飛ばした可能性はありますが、村岡花子訳で読んでいたときとはだいぶ夢の家のイメージが変わりました。
(82ページ)
荘厳にして穏やかな静けさが、あたりの陸と海と空に広がっていた。頭上には、銀色にきらりと光る鴎が高く飛んでいた。水平線には、レースにも似た儚い桃色の雲が浮かんでいた。静まりかえった大気には、風と波という吟遊詩人の囁きのくり返し(リフレーン)が糸のように織りこまれていた。内海の手前には秋模様のまき場にもやがかかり、薄紫のアスターの花々が風に揺れていた。
甘さよりも人生の辛さが感じられるアンとギルバートの新婚時代ですが、ギルバートが「アンお嬢さん」と呼んでいるのが新婚っぽいです。
英語でなんて言っているのか確認したら「Anne-girl」なんですね。
全文を確認したわけではないですが、村岡花子訳『アンの夢の家』ではこの呼び方は訳されていません。
『炉辺荘のアン』で母となり、もう若くないアンがジェラシーを抱いた時、ギルバートが再び「アンお嬢さん」と呼ぶんですが、これはギルバートにとってアンは新婚時代からずっと変わらないよという意味だったんですね!
「きみは、ぼくと一緒に、ちゃんとここにいてもらうよ、アンお嬢さん」
以下、引用。
21
「アンには、木綿糸で編んだベットカバーを贈りますよ」夫人はふたたび話し始めた。「煙草縞のと林檎の葉模様のと。アンが言うには、あれがまたたいそう流行ってるそうな。まあ、流行だろうがなかろうが、きれいな林檎の葉模様のベットカバーをかけた客用寝室ほど立派なものはありませんからね、まったくのところ。あれをさらして、白くしとかなくちゃね。トーマスが死んでから、木綿の袋に入れて口を縫っといたもんだから、きっとひどい色になっているよ。だけどまだひと月もあるから、夜露にあてると見違えるほどきれいになるよ」
36
「あたしがうちの人に、『トム、ミス・シャーリーのお式に行ってもいいですか? どのみち行くつもりだけども、あんたに承諾してもらいたいんで』って言いましたら、うちの人が言うことには、『おまえの気にいるようにおし、シャーロッタ、そうすりゃ、おれも気に入るからな』と、こうですよ。こうした亭主こそ、持って気持ちのいいものですね、シャーリーお嬢様」
38
「マリアもわたくしも結婚したことはございませんが、ほかの方々がなさることに異論はございません。」
82
「きみは、ぼくと一緒に、ちゃんとここにいてもらうよ、アンお嬢さん」
94
「あの牧師の奥さんは、服が派手だと考える者もおりますが、あたしに言わせりゃ、あんな墓石みたいな顔と暮らすんですから、気の晴れるものが要りますよ。」
131
「あたしは女同士は助けあうべしという考えです。男どもに耐えなきゃなりませんからね。」
155
「暗闇は、わしらの近くにあるときは友だちですわい。ところが遠ざけると……ランタンの火をつけて、暗闇と縁を切ると……敵になるんですわい。」
163
「だがな、コーネリア、おまえさんも知っての通り、男心をつかむには胃袋からと言いますぞ」ジム船長が説いた。
「そうですよ……男に心があればの話ですけど」ミス・コーネリアはやり返した。
165
「あれの兄さんのエレファレットは、悪魔がいつも自分のそばにいるって妄想してたんです……でも悪魔があんな男のためにわざわざ時間を無駄にするとは、あたしはとても思えませんよ」
169
「そのうち男たちは、自分たちじゃどうしようもないほど世界を滅茶苦茶にしてしまったと気づいて、女にも喜んで投票権を与えて、厄介事を押しつけますよ。」
181
一同は暖炉をかこみ、旧い年の最後の一時間を静かにすごした。十二時まであと数分となると、ジム船長は立ちあがり、扉を開けた。
「新年を、なかに招き入れねばなりません」
195
「小さな皺の寄った茶色の種を見て、このなかに虹みたいに色んな色が入っていると思うと、いつも不思議を感じるですて」ジム船長が言った。「種についてよく考えてみると、わしらにはあの世でも生きていく魂があると信じるのも、難しくはないです。種の奇跡を見たことがなければ、こんなにちっぽけな、埃の粒ほどのなかに、色や匂いはもとより、命まで入ってるとは信じられぬことでしょう」
222
「ほかの女の人が幸せだというだけで憎らしく思うなんて……他人が幸せだからといって、自分が何かを奪われるわけでもないのに!」
283
「気がふさぐ時は死亡記事をお読みなさい、アンや……とくに知ってる人のをね。ユーモアのセンスが少しでもあれば気が晴れますから、ほんとですよ。」
336
「マリラ、若い紳士が到着しました。あなたにお報せするよう、アンに頼まれたんです。大した荷物は持っていませんが、どうやら長居をするようです」
377
「花嫁は亡くなってもう三十年になりますが、今でも夏が来るたびに、その花たちが咲くのです。」
423
心霊研究 psychical research は、現在はオカルト的な領域とされるが、十九世紀半ばから二十世紀前半にかけては学問として研究され、トランス状態の霊媒によって、死者の魂と交流して死後の世界を明らかにしようと試みられた。
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お針の会 thimble party 「指貫の集まり」。女性が集まり縫い物をしながら語らう。
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これは、第一巻の赤毛のアンに次いでよかった!
表紙もとても綺麗で、海のそばに暮らしたくなった。 -
アンの新婚時代のお話。色々魅力的な登場人物がいて面白い。ミス・コーネリアの驚きの発表がとっても好き。続きが楽しみです。
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ギルバートと結婚したアンは海辺の家に暮らす。夢に描いていた憧れの家に。ちょっと離れているけれど、ご近所の方々とも仲良くお付き合いしていく。新しい、大切な心の友を得るが、失うものもある。
ジム船長を知ることができてとても嬉しい。
ジョイもマーガレットも船長と一緒にいますよね、今は
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著者プロフィール
松本侑子の作品
