森へ行きましょう (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2020年12月8日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784167916077

作品紹介・あらすじ

1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。
パラレルワールドに生きるふたりの女性は、いたかもしれないもうひとりの「自分」。

進学、就職、恋愛、仕事か結婚か、子どもを産むか……
無数の分岐点に、騙し絵のようにかかわってくる同じ名を持つ恋人や友人。

昏い森に迷い込み、道を見失い、惑い、選びながら進んだ先にあるものは。
川上弘美、待望の傑作長編小説、ついに文庫化。

「いつかは通る道」は若いころは二本くらいしか種類がないと思っていた。
でも、全然そうではなかった。 ──ルツ(46歳)

森は永遠に続くと思っていたのに、たぶんそんなに長くない先に、
わたしは森から出なければならないだろう。 ──留津(50歳)

「いつかは通る道」を見失った世代の女性たち。
選ぶ、突き進む。後悔する。また選ぶ。
そのとき、選んだ道のすぐそばを歩いているのは、誰なのか──

「ああ、この小説の構造も森なのだ。
ヘンゼルとグレーテルみたいにその仕掛けを一つずつ拾いながら、
さああなたも森へ行きましょう」 浜田真理子 (解説より)

装幀は山口信博さん、装画・挿絵はミナ ペルホネンの皆川明さん。

みんなの感想まとめ

異なる人生を生きる二人の女性、留津とルツの物語は、選択や分岐点がもたらす多様な人生の可能性を描いています。1966年の同じ日に生まれた彼女たちは、進学や恋愛、結婚といった人生の重要な局面で交差し、時に...

感想・レビュー・書評

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  • 1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。
    パラレルワールドに住む二人は、もしかしたらいたかもしれないもう一人の自分。
    母雪子と父清志の元に生まれた留津とルツだけれど、何かが少しずつちがっている。
    留津は私立中学を目指し、ルツは公立中学に通っている。
    進学、就職、恋愛、結婚と時系列に進んでいき、同じ名前を持つ友人や恋人がどちらの人生にも登場する。
    あれ…どこかへ連れて行かれる…迷路に迷い込んだみたいにさまよい、運命の扉が開かれてゆく。
    留津とルツ、どちらの物語を読んでいるのか混乱しつつ、油断ができない。
    どうあがいても簡単には抜け出せない自分がいる。

    ちがう世界にいたとしても、もう一人の自分はやっぱり自分でしかないのかもしれません。
    この不思議な世界に身を置くことができて、とても楽しかったです。

  • 人気作「センセイの鞄」から、移動してきて読んだ。

    1966年丙午生まれの女性、日下留津/日下ルツの(ほぼ)一生。0歳から60歳まで。後半まで、パラレルワールドの二人が主人公で、終盤は更に人生が枝分かれしていき、最終的には(きちんとは数えていないけど)6人の「るつ」が登場する。

    その他の登場人物もワールド間で重複する人が多く、頭がこんがらがりやすいが(るつが林君と付き合ってたのは高校生の時だっけ? 大学生・社会人のときだっけ? とか)、人格はそんなに大きくは違わないので、最後の方はあまり気にならなくなる。

    6人のるつのうち、5人は神原俊郎と結婚するかお付き合いするが、時期も内容もバラバラ。林君に失恋したあとすぐ結婚したり(留津)、49歳で結婚したり(ルツ)、神原俊郎と不倫したり、ミンチ殺人をしたり、八王子光夫と再婚したり。残る1人は、独身のまま研究所の教授職。

    どの人生が幸せそうか、という尺度はなく、どの人生もその人(るつ)の人生。進学、就職、恋愛、結婚、という大きな分岐点の他にも、友人関係、縁戚関係がじわじわ影響する様が自然に描かれている。

    「違っていたかもしれない自分の人生」を夢想したことがあるひとならば、読んで損はない本だと思う。

    B'zの「ねがい」の歌詞を思い出す。
    〜 いつのまにかじゃない 
      自分で選んで歩いてきた この迷路 〜

  • 「何回も過去のある時間に戻っては人生をやり直す、などということは不可能だ。もしも、という言葉は、人生にとって、気を散らす言葉でしかない。だからこそわたしは小説を読み、書く。自分の体験でははかれないような誰かの人生を、文字の中で新しく生きてみる」
     こんな文章にピリリとくる!
     自分の人生の分岐点がいくつもあるけれど、どれにも違う自分が生きているとしたら、その人生はどうだったの?と死ぬ直前に尋ねたい。
    きっとどの人生もきっと精一杯生きているはずだから、死の直前の走馬灯のように流れる最高の物語を、いくつもいくつも楽しみたい!
    そして、迷子のようになって一生を終えたい!

  • 異なるパラレルワールドを生きる留津とルツ。読み始めは二人の微妙な設定の違いが気になって混乱したが、すぐにそこは慣れてくる。交わるようで交わらないふたつの道。読み進むにつれてふたつだけではないことにも気づくし、これは読者の人生にもいえる。自分の今の年齢あたりまではどぎまぎするが、その先は気が重くなったり不安になったりした。でも結局振り返ってみて初めて、言葉にしてその時の感情を表現したり分析したりできる。現在進行形ではできない。そのことがすごく自然に表現されている。私もまだ森の中。

  • 面白いとか、うまいとか。どう、表現したらよいのかわかりません。。また、人生が様々なことで枝分かれし、様々なワールドが存在するのかな。。
    もう一回読んでみたいけど、ちょっと厚いしなぁ

  • 長かったのでちょっとずつ読み進めた。面白くてどんどん一度に読む量が増えて寝不足気味にも…。
    ふたり以外の「ルツ」が登場したときに混乱した。やられた、と思った。しかし、どの人生にも似たような同じ人たちが登場するが、これにも本来、もっといろんなその人たちがいるわけだから、うまいこと設定を制限しているなぁと。
    ある程度幅を狭めたその人たちと関わるのを見てて、特に夫の選択に納得がいかなかった…辛すぎる…でもいちばん読んでいてしんどかった「留津」が、最終的にもっともいい感じなのを読むと、人生って何だかなぁと自分の結婚生活や義実家との関係、この先なんかに思いを馳せた。

  • 恋愛経験の少ない私がアラサーやアラフォーの時、
    自分がこのヒロインのように、結婚すべきかだとか色々な恋愛のヴィジョンを抱いてたが、なんとなく違和感を抱いたりしてた所に凄く共感が出来、このヒロインはまさに私のようだと親しみを持ち読み進めるようになった。思考の海で悩み様を森に迷い込むと言う例え方をする所もなんとも面白い。この一冊で、濃い恋愛擬似体験のようなものも出来た。

  • 主人公の立場や生き方が全然違うのに、関わっている人達が少しずつリンクしていて、主人公との関係や関わっている人たちの状況も全く違うことが面白かった。少しの選択の違いで、生き方や考え方、人生そのものが全く変わっていくのをみて、ひとつひとつの選択の重みを実感した。

  • 留津とルツ。二人の女性の約半世紀の人生が交互に描かれるパラレルワールドのお話。一見小さな違いに思えることなのに二人の人生は次第に大きく変わっていきます。けれども微妙に重なり合う部分もあったりして非常に面白いお話です。

  • プレゼントでもらった本。

    それなりに分厚くて、読みにくいかと思ったけど、ずんずん引き込まれていった。


    ふたりの、「るつ」という女性が1966年に生まれてから、2017年に至るまでをたどったお話。

    生まれてからわたし自身の年齢にいたるまでは、「こんなこともあったな」という懐かしさとか、「まさに、この感情をいまかかえている!」という共感を感じられた。

    そして、それより面白いのは、自分の年齢を超えた「るつ」だった。

    ああ、こういうライフステージによるイベントで、こんな感情を抱くかもしれないのかというのは、自分の人生を予習しているようですごく面白かった。(もちろん年代が違うので、違う点も多いと思うけれど)

    久しぶりに小説読んだけど、やっぱり小説読むのっていいなと改めて感じた。

    本の中でもこんな一節があった。

    「実際の人生を取り替えることは、たしかにできない。(中略)わたしは小説を読み、小説を書く。自分の体験でははかれないような誰かの人生を、文字の中で新しく生きてみる。自分には理解のできないことが、たくさんあるだろう。理解できないまま、違和感の残ったまま、読み終わり、書き終えることも多いだろう。その違和感をずっと記憶しておこう。ある日、突然自分にもわかるかもしれない。よその誰かの人生のかけらの意味が。」

    まさに、これが小説の真髄なんじゃないかと思う。

    ビジネス書のようにすぐになにか具体的な知識を得られるわけではないけど、小説を読むことはきっと長い目で見ると不可欠なんだろう。

    小説のようなすぐに得られないものにこそ、重要なことがあると、何かの本で村上春樹も言ってた気がする。

  • 面白かったー!
    ありえたかもしれない人生。

  • 2017年のルツがとても素敵だっただけにラストが私はしんどい。私自身が今現在、幸福で無かったり未熟だからこう感じてしまうのか?と思ってしまう。何年後かにまた読んだら違った感情になるのだろうか?という考えにやっと落ち着きつつあるのは良い作品だからこそなんだと思った。
    それぞれの主人公を読み進めるにつれて気になり、なんだかんだであっという間に読み終わった。

  • ルツと留津のパラレルワールドはまぁ、うん...なかんじだったけれど、るつとか流津とか瑠通の必然性が理解できない。私、野暮かしら。
    小説を愉しむセンスに欠けているんだろうな。
    パラレルワールドを描くということであれば安藤サクラさん主演の『ブラッシュアップライフ』がひじょうに面白かった。
    映像や漫画ではない、小説ならではの醍醐味を味わってみたいとは思う。

  • 留津とルツの話がこんがらがってしまってのめり込めずに途中で挫折…

  • 2025/07/22-07/30

  • 設定がアニメっぽい。あまり感情移入出来なかった。

  • ちょうど今とても辛いので、パラレルワールドに居るかもしれない別の自分の人生を想像してみた。
    もっと辛くなるような、癒されるような、不思議な心地になった。
    いまより辛い状況のわたしを考えることは、わたしが可哀想だからやめておいた。

  • 突然主人公が増えてびっくりした
    それぞれの登場人物を覚えるのが大変

  • 面白い。生まれた時におばあちゃんが存命かどうかで娘の人生が枝分かれする。
    全然違う人生を送っているようでも同じ人な感じはするし、関わる人も重なってきたりする。自分のこれからの行動で人生はどうとでも転ぶけど、意外とおさまるところは変わらないし同じ人と関わったり結婚したりするのかなと思った!

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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