旅路 上 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2021年1月4日発売)
3.00
  • (1)
  • (4)
  • (11)
  • (4)
  • (1)
本棚登録 : 85
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167916312

作品紹介・あらすじ

彦根藩の勘定方・三浦芳之助が斬られた。殺したのは三浦の若妻・三千代に惚れていた御目付方・近藤虎次郎らしい。近藤は逃亡し、藩庁から三千代へは実家へ戻るようとの沙汰があった。おさまらぬ三千代は、仇討ちのため故郷をあとにする。家人の井上忠八が彼女に付き従った。だが、道中、三千代はならず者の浪人らに襲われそうになる。危機を救ってくれたのは、堀本伯道と名乗る謎めいた老人だった。井上ともはぐれ、堀本伯道の知人に付き添われ三千代は江戸に着いた。職人の家で奉公しながら、ようやく、いくらか平穏な日々が訪れる。仇討ちを忘れたわけではないが、夢に何度も出てくるのは、亡き夫ではなく、堀本伯道であった。美しくしなやかな武家の女の数奇な運命を描く傑作長編。

みんなの感想まとめ

夫を殺された三千代が仇討ちのために旅をする物語は、彼女の成長と周囲の人々との関係を描いています。芯の強さを持つ女性像とは異なり、三千代はどこか頼りない存在で、旅の途中で多くの人々に助けられながら江戸へ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 旅路(上) 新装版 
    2021.01発行。字の大きさは…小。

    彦根藩士である夫・三浦芳之助を斬り殺された三千代は、仇である同藩御目付方・近藤虎次郎を求めて旅に出る物語です。

    1年間の短い新婚生活であったが、芳之助によって女としてめざめた19才の三千代は、寝ていても夢に出て来る、亡き芳之助に抱かれて喘ぎ声を出すほどになっています。その芳之助の仇を討ちたいが、江戸時代、妻が夫の仇討ちは原則認められていません。

    思い余って、若党の井上忠八と示し合わせて、仇近藤の向かった江戸へ旅をして行くうちに忠八は、三千代への想いが高じて旅先で三千代を押し倒してしまいますが、そこに浪人が忠八を襲い、忠八は三千代をそのままにして逃げると、浪人が三千代を襲います。その三千代を助けた医師・堀本伯道と一緒に江戸へ向かいます。

    江戸では、旅籠の丹波屋の勧めで印判師駒井宗理の下で働きます。その三千代の近くで、仇であるが三千代を想う近藤が、三千代に想いを寄せる忠八が、旅の途中で三千代を襲った浪人が蠢きます。

    【読後】
    清々しく生きる三千代の美しさと、女として成長して行く描写が艶めかしいです。男は、夫しか知らない三千代をめぐる男たちの動きと、葛藤がなまめかしく描かれています。読んでいてゾクゾクしてきます。
    読む前に考えていた妻が仇討ちをするというストーリーが、仇討ちに女の成長の描写という変な本になっています(笑) 
    いざ下巻へ

    【連載】
    1978(昭和53)年5月13日~1979(昭和54)年5月7日までサンケイ新聞夕刊に連載。1979(昭和54)年7月に文芸春秋から単行本で刊行。本書は、1982(昭和57)年10月に同社から文庫本で刊行したものの「新装版」です。
    2021.04.12読了

    旅路(下) 2021.04.14読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4167916320

  • 上巻読了。

    彦根藩士である夫・三浦芳之助を殺されてしまった、妻・三千代が、夫の仇を討つために、彦根から江戸へ旅をする物語。
    “夫の仇討”を決意、というと芯の強い女性を思い浮かべがちですが、本書の三千代はそういうタイプではなく、どちらかというと、ちょっと頼りない感じの女性です。
    そのせいか、旅の途中で同行した若党や無頼の浪人に身体目当てで襲われる始末。その時に助けてくれた老医師・堀本伯道や彼の知人に江戸まで連れてきてもらい、江戸での奉公先も見つけてもらうなど、人に助けられまくっています。
    江戸での生活に慣れつつある三千代を、“仇”である近藤虎次郎が陰で見守るようなかたちになっていて、どうも近藤虎次郎が三千代の夫を斬ったのも、正当な理由がありそうです。
    三千代をめぐる男たちの、ニアミスにつぐニアミスな展開に焦れつつも続きが気になって仕方がないという・・さて、下巻はどのような展開になるのでしょうか。
    因みに、“軍鶏鍋屋「五鉄」”が出てくると鬼平ファンとしては、ついニヤニヤしちゃいますね。

  • 公式には許されない夫の仇討ちのため、江戸へ向かう三千代。関わる人々の事情や真実が少しずつわかってきて....

  • 下巻にまとめて記す

  • 【池波正太郎のヒロイン、仇討の旅】夫を殺した男をさがして、武家の女・三千代は彦根を出奔、江戸に向かう。道中、彼女を狙うのも男、助けるのもまた男。異色仇討小説。

全5件中 1 - 5件を表示

著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

池波正太郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×