旅路 下 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2021年1月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784167916329

作品紹介・あらすじ

惨殺された夫の仇を討とうと、彦根から江戸に出てきた武家の女・三千代。職人の家でまめまめしく奉公し、それなりに平和な日々を送っていたが、ある事件で初志にたちかえり、奉公先から出奔。しかし、またしても、無頼者たちに乱暴をされそうになる。それを助けたのは剣客・加藤平十郎。三千代は彼の道場に住まわせてもらうようになり、やがて二人は惹かれ合う。一方、仇・近藤虎次郎も、かつて惚れていた女・三千代の動向を気にしていた。命を削る男たちと、転ぶたびに逞しく美しくなっていくヒロイン・三千代。彼女の有為転変の人生を描く傑作長編。

みんなの感想まとめ

命を削る男たちと、逆境を乗り越えて成長するヒロインの姿が描かれています。三千代は、夫の仇・近藤虎次郎を追い求め、無頼者たちに襲われた際、剣客・加藤平十郎に助けられ、彼との新たな生活を始めます。しかし、...

感想・レビュー・書評

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  • 悪女か、たくましい女か……

    旅路(下) 新装版 
    2021.01発行。字の大きさは…小。

    三千代に係わった男たちは死にはて、三千代は、いま幸せに満ちて夫である尾張・名古屋城下で大店舗をかまえる呉服商の伊勢屋宗助と京見物へ行くところで物語は終わる。
    三千代を、見ていくと悪女か、それとも流れに逆らわず、その場、その場で一生懸命に生きて幸せをつかんだ美しいたおやめか……。

    【物語】
    物語は、三千代の最初の夫、井伊彦根藩士・三浦芳之助が、三千代を想っている同藩御目付方・近藤虎次郎を背後から斬りかかり、逆に斬り殺される。近藤は、後にあの時、斬らなくとも取り押さえることが出来たが、三千代への想いが斬ってしまったと回想している。そして、この事で同藩から蓄電する事となる。

    次に三千代が夫と決めた浪人で剣術道場主・加藤平十郎は、長年の夢であった仕官がかない、三千代と一緒になり幸せの絶頂で。三千代と一緒になるためには、三千代の仇討ちを行ってけじめを付けてと、前夫の仇近藤を奇襲するが逆に返り討ちにあう。

    三千代の仇討ちに同行した若党・井上忠八は、三千代への想いが高じて江戸へ向かう道中、三千代を押し倒したが、思いを果たせず。その後、三千代を探し続け仇近藤の所在を突き止めたが、三千代を押し倒した時に邪魔した浪人青木市之助に斬られる。

    仇近藤は、三千代に斬られようとしたが、三浦芳之助を、加藤平十郎を斬った事情を説明しょうともみ合っている時に、助太刀に入った者に斬られる。最後には、三千代が京見物に行く道中で浪人青山が、三千代のそばで浪人同士の喧嘩騒ぎで命を落とす。

    【読後】
    三千代と関係を持った男どもは、三千代の側で、三千代を想い、三千代に係わり凶刃に倒れているが。三千代は、その場、その場で必ず助けてくれる男が現れて、幸せを掴み生きて行く。
    運の強い女か、悪女か、ただ過去を振り返らず、先々を考えず、ただただ今を、今だけを一生懸命に生きる、たくましいく美しく気品のある武家の女か、男どもが死んだあとに残るのは、美しく、たくましい女・三千代である。

    【連載】
    1978(昭和53)年5月13日~1979(昭和54)年5月7日までサンケイ新聞夕刊に連載。1979(昭和54)年7月に文芸春秋から単行本で刊行。本書は、1982(昭和57)年10月に同社から文庫本で刊行したものの「新装版」です。
    2021.04.14読了

    旅路(上)  2021.04.12読了
    https://booklog.jp/users/kw19/archives/1/4167916312

  • 下巻読了。

    ついに夫の仇・近藤虎次郎の居所がわかり、世話になっていた家を出奔する三千代。
    そしてまた、無頼者の襲われて(お約束)、剣客・加藤平十郎に助けられ、今度はその加藤さんと暮らすようになり、夫婦になる約束までしますが、三千代の“仇討“事情を知った加藤さんが、代わりに近藤虎次郎を討とうとしてしまったことが運の尽き。返り討ちにあって死んでしまいます。
    自分に関わる男性が次々と死んでいく事に混乱と、近藤に対する憎しみを募らせる三千代・・と、三千代にめっちゃ憎まれている近藤さんですが、実は全然悪い奴ではないのです。
    三千代の元夫を斬ったのも、正当な理由があり、むしろ三千代の夫・三浦芳之助の方がクズだったという事が読者には判明。
    ただ、この真相を近藤さんは三千代に説明しようとするも、三千代を襲っていると誤解した堀本伯道に、斬られてしまいます。
    その後三千代は、時の流れに身をまかせて最終的には大店の内儀に収まるという、“玉の輿エンド”で終わりますが、近藤さんが不憫すぎて、ちょっとモヤモヤです。
    そして、謎の老人・堀本伯道の正体が「!」という感じで彼の行動が腑に落ちました。

  • 文章中
    女の本性は「過去を忘れ、現実のみに生きる…」
    (女というものは、やっぱり仕方のないものでございますねえ)

    上下巻壮大な女性disりな気がする
    主人公は死神か悪魔か うーん

  • 波瀾万丈の女の一代記。井伊藩の家来である夫を同輩に殺され、そ 若い郎党と敵討ちの旅にでる。その途上で無頼漢に襲われ貞操の危機に遭うも剣の達人の如き老人に救われ、江戸での穏やかな生活を斡旋される。しかし平穏とも思えたその生活も仇の出現により、自らそれを絶つ。そしてはたまた貞操の危機に遭うも若い剣士にも救われ、敵討ちの助太刀をしてもらうことに。いつしかその剣士と恋仲になり所帯を持つことを約束するが、その剣士は仇に返り討ちにあい亡くなる。絶望の中、ふとしたことで仇を見つけ、最初に救ってくれた老人の手助けがあり、敵討ちの本懐を遂げる。最後は尾張の豪商の後添えとなり、めでたし、めでたしが表の話であるのだが、実は夫が悪で仇がいい奴で、仇は最後に事実を告げようとするが、その前に討たれてしまう。なんともやりきれない話である。上巻は、ワクワクドキドキで読んだが、下巻はだんだんやりきれなくなってきた。上巻は鬼平の池波正太郎だが、下巻は病んだ池波正太郎という感じがする。

  • 三千代に関わった男達は次第にいなくなり、色々な苦難を乗り越えた三千代は生き残っていく。弱そうに見えても、実は強い女性なんですね。

  • 【ある武家の女の恋多き、放浪の人生】江戸で新たな恋人と暮らす三千代。夫の仇討ちを忘れかけたが、下手人の所在が分かり、初志貫徹するか葛藤するも事態は思わぬ方向に。

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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