監禁面接 (文春文庫)

  • 文藝春秋 (2021年1月4日発売)
3.42
  • (8)
  • (34)
  • (35)
  • (9)
  • (2)
本棚登録 : 398
感想 : 46
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784167916367

作品紹介・あらすじ

『その女アレックス』の鬼才ルメートルが放つ徹夜必至、一気読み保証のノンストップ再就職サスペンス。

リストラで職を追われたアラン、失業4年目、57歳。再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今は倉庫でのバイトで糊口をしのいでいた。
だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。だが最終試験の内容は異様なものだった。

〈就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ――〉

どんづまり人生の一発逆転にかけるアラン。愛する妻と娘たちのため、知力と根性とプライドをかけた大博打に挑む!

解説:諸田玲子

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 正に予測不能、驚天動地、全力疾走。
    容易に想像できる未来の範疇を当然の様に飛び越えていくのだが、その頻度とスピードが凄まじい。何度もステージが変わり、何度も注視する部分が変わる。「その女、アレックス」のあの振り回され様を鮮明に思い出すこととなった。

    失業者、アラン・デランブル。
    彼は正規雇用を求めながらパートとして働いていた工場にて(一応)上司の尻を蹴り上げる。訴訟から目を背けながらある大手企業に全てを賭けた男の最終面接が始まる。...と要約すると、タイトルと相まって不穏な想像がムクムク膨れ上がる。「監禁面接」...むふふ、どんな凄惨な事件が待ち受けているのだろうか。(人間性)

    そして始まる「監禁面接」の内容にまず第一の自身の拙い想像力の現実を突き付けられる。更に、早々この最終面接はこじれにこじれたまま終着する事となるのだ。その時は落胆していたが、これは第二部の序章に過ぎなかった。

    これ以降はネタバレを含む気がするので割愛させていただくが、一言言えるのは「想定外」な道筋であった事。もう目的地がどこなのか、何が待ち受けているのか、気分はさながら誘拐され車に押し込められ、これから何が起こるのか想像を放棄した無力な人間になったかの様だった。

    失業者目線の嫌味なジョークが面白い。
    例えば、「マーケティング&マネジメント」についての説明。マーケティグとは欲しくもない人々にモノを売ることであり、マネジメントとは役に立たないヒトを動かし続ける事。

    更に、「ストックホルム症候群」...殺人鬼に愛情が芽生える事。それは自身を守るためとも言われている。これを後に尻を蹴り上げる事となる上司の例えに使っていた。つまり、
    ーー会社という殺人鬼と共に過ごす間に自身の保身の為それに取り込まれた男ーーだ。
    中々ブラックなジョークである。

    コロナの影響もあり、失業者の悲痛な叫びとけしからん妄想が融合した中々アクの強い作品だったが、アランを主軸に彼の家族とたった一人の友人、シャルルの愛情と友情の存在が絶妙で、これが心の均衡を保ってくれていた。

    しかし、読了までにすごく時間がかかってしまった。時間の確保に貪欲になれなかったのだ。
    恐らく同情を向ける対象であるはずのアランに感情移入が出来なかったのだろう。どちらかと言うと妻、ニコルと二人の子供達を憐れむのに必死だった。そりゃ疲れてしまう。
    そして読者は皆、ネイティブアメリカン崩れの友人シャルルを好きになると思う。最高にカッコよかったもの。故に彼の迎えた結末にほとんどの人は上がる中指を抑えられなかったと思う。悲しみより怒りが爆風に乗ってやってきた。

    細かいことを言えば一般人ハッカーの技術がプロ並なのも、そこに説明が皆無なのも首が据わらずクラクラしたまま読み進める要因となった。助言者カミンスキーの存在も謎のままだ。
    金で動く人間がこんなにいるなら、小説の登場人物はいくらでも都合の良い職種の奴を雇えてしまうぞ。プライスレスを求む。

    アレックスでの極限での命のやり取りや、凄惨でむごい描写は無いのでライトに読み進められるかと思うが、「雨降って地固まる」結末はやはり見込めない。これは個人的には好みではあるのだが、どうやら今回は癖に刺さらなかった様だ。

    他人事程度にアランに幸あれ( ´•ω•` )

  • ピエール・ルメートル『監禁面接』文春文庫。

    ノンストップ再就職サスペンスとは一体どんな物語なのだろうか。同じようなテーマの作品で、ダグラス・ケネディの『仕事くれ。』があったのを思い出す。

    これまでの作品に比べると、全く面白くない。美味しい話には裏があるという教訓を再確認出来たのが唯一の成果。4年もぷらぷらしていた57歳のおっさんが一流企業から声が掛かる訳が無いし、就職試験で拉致監禁なんて有り得ないということに気付かぬ愚かさ。

    リストラにより職を追われ、実業4年目となる57歳の主人公、アラン・デランブリは再就職のエントリーを繰返しながら、製薬会社の倉庫のバイトで糊口をしのいでいた。ある日、バイト先のいけすかない上司のメフメトに頭突きを食らわし、暗澹たる気持ちで自宅に帰ると、一流企業の最終試験に残ったという報せが入る。しかし、最終試験の内容は『就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ』という異様なものだった。

    本体価格880円
    ★★★

  • *『その女アレックス』の鬼才ルメートルが放つ徹夜必至、一気読み保証のノンストップ再就職サスペンス。

    リストラで職を追われたアラン、失業4年目、57歳。再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今は倉庫でのバイトで糊口をしのいでいた。だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。だが最終試験の内容は異様なものだった。
    〈就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ――〉
    どんづまり人生の一発逆転にかけるアラン。愛する妻と娘たちのため、知力と根性とプライドをかけた大博打に挑む!*

    前評判通り、巧みな構成と怒涛の展開に読み応えはたっぷり。お得意の残虐描写も封印されているので、純粋に物語に翻弄されたい向きにはお勧めです。

    が、個人的には…疲れました。
    まずもって、主人公のアランに全く共感出来ない。
    なのに、アランの暴走っぷりがリアル過ぎていたたまれない。人はこうして追い詰められて行くんだな、と。

    愛する妻と娘たちがいるんだからもうそれでいいんじゃない?と思わせ、だからこそ無理をしたんだろうな、と言う葛藤の描写が引き立つものの、とにかく読んでいて本当に気が滅入りました。残虐描写の方がマシなくらい。
    なにより、シャルルとニコルが悲し過ぎる…

  • 3部構成のシンプルさの中に張り巡らされた、人物造形と舞台装置の複雑さ、夢中になって読了。『暴力を振るうような人間じゃなかった』はずの主人公がどんどんヤバいやつになっていく過程はヒリヒリし尽くした感。まさに的確に急所を外さず狙い突いてくるプロの尋問官の目前に引きずり出されているような気持ちになり最後まで読み終えました。仕事を失うという事がどれほど人間を追い詰めるのか、作者の怒りを感じたくらい。

  • ピエール・ルメートルにハマり片っ端から読んで来たが、一番好みではない。
    面接のシチュエーション自体は面白いと思ったが、その後は、異常者に付き合わされただけだった。

    妻のため、娘のためと言いながら、一番は自分の欲と感情を最優先に短絡的に行動している。
    誰もそんなこと望んでいなかったし、後でどんなフォローをしようと何の償いにもならない。
    これだけ恨みを買い、本人も家族もその後の生活の安全が保障される訳もない。
    全く理解出来ない。

  • あれ?なんか面接に行ったけど面接じゃなかった的な?
    ルメートルファンでハードカバーで買った。
    面白かったけどそんなアホなーって思ってたかな?
    もう1回読み返さないと思い出せない。
    グロとか胸糞はあんまりなかったはず。
    主人公がなんか切ない。

  • 読み終わった後に、「何かに似てるな...」と思っていたのですが、ドラマのブレイキング・バッドに似てます(賛否両論あると思いますが)。

    ブレイキング・バッドのほうがよりクレイジーだし、失業が始まりだったわけではないけど、これまで地道に頑張ってきた中年男性が、貧乏がきっかけでどんどん邪の道に逸れていくという所はそっくり。

    人間追い込まれると思いもよらないことをする、という点は鮮やかに描写されていますが、採用面接のために、「流石にそこまでする?!」というツッコミが最後まで消えなかったので、若干評価は低めです。

    でも失業という社会問題については共感するところが多分にあったので(私も今は仕事あるけど、40,50代になって急になくなったらどうするんだろう。。と非常に考えさせられました)、時間さえあれば読んでみて欲しい作品です!!

  • 三部構成「そのまえ」「そのとき」「そのあと」。
    主人公は57歳失業者、元人事部長。愛する家族のために求職中。ある企業の採用試験にうまく進みだしたことで、貧しいながらも平和だった一家がジェットスター並みの展開に飲み込まれる。
    読者は「そのとき」の章で、ちょっと、いったい、主人公はどうなっちゃったの!と慄くことだろう。
    元同僚のシャルル、妻のニコルの存在が良い。
    「その女アレックス」を読んだことはあるが、本作が同じ作家だってことは知らずに読んだ。なるほど、途中からページターナーっぷり発揮している。

  • 2023/06/16

  • 2023.06.03
    もし、「ワタシが今リストラされたら4年後にちょうどアランと同じ状況になる。」
    読み終えてそんなことを思わず考えてしまった。ルメートルにしては流血量が少ないため、そんな妄想を呼び起こす。
    しかし、解説で諸田さんが述べているように、カミーユのシリーズとどちらが「怖い」かというとなかなか判断に迷う。
    違うステージの怖さだからである。血を流すことだけが「怖さ」を表現するものではないとわかる良作。

  • ページをめくるたびに驚きの連続、先の展開が読めない小説。時を忘れて読み耽ってしまった。本当に最後のページまで、サスペンスが続き先読みできない展開が続き、緊張しっぱなしだった。かなりのページ数だが、チャレンジしてみてほしい。
    著者の作品は、翻訳されているものは全て読了かな?『その女アレックス』が強烈な印象を残す作品だったこともあり、それ以来文庫がでれば必ず購入している。
    次回作も楽しみだ。

  • よくストーリーが練られた小説だが、読後感が最低。

  • 映画を見ているような内容だったなぁ。
    本当にあっても、おかしくない話。
    ハッピーエンドとは思えないけれど、アランが自由になれただけ良いと思おう…

    そういえば、ハッピーエンドなんて、ルメートルに求めてはいけないんだった!

    そして、まさか涙ぐむシーンがあるとは思わなかった!(シャルル)

  • 邦題がイマイチなうえに、残酷な描写は今は見たくないな…と読むのをためらっていたけど、読み始めるとやっぱり止まらない。
    ルメートルお得意の残酷シーンはなかったものの、怒涛の展開はさすがだった。

    コロナウィルスによって人々の価値観と世界情勢が大きく変わった今だからこそ、痛烈な批判と皮肉を盛り込んだのかと思ったら、実は『その女アレックス』より前の2010年にフランスでは出版されたというのだから驚きだ。
    同時に、エンターテイメントが求められる今、Netflixでドラマ化して配信中だというから、これまたぴったりだと思った。

    ところで、フランス語の原題はなんというのでしょうか?

  • ピエール・ルメートルの長編。

    時期的には、「死のドレスを花婿に」の翌年、「その女、アレックス」の前年に刊行された作品。

    今ひとつ主人公に共感できず。
    他の作品と比べると、ストーリーもイマイチ。
    だから、翻訳されるのが、他作より遅かったのかな?

  • (⁠⌐⁠■⁠-⁠■⁠)アレックスより、ハチャメチャでオモロイわ〜ご都合主義もあるけんど。

    ⊂|⊃
    [ಠ⁠_⁠ಠ]ひさしぶりに当たり引いたな!

  • 何だこれは? という状況からスタート。
    最後まで興味深く読ませる作品だった。
    選挙に行く前に一度読むと良いんじゃないかなぁ。
    社会と労使についても考えさせられる作品でもあった。

  • 主人公は50代後半。失業して4年。今はアルバイトを掛け持ちしてしのいでいる。そのバイトさえ、主人公の感情的暴発により、失おうとしている。そんななか、再就職試験が一次二次と順調に進む。主人公は天にも昇る心地である。
    主人公のヒリヒリするような失業状態への焦りと同時に再就職への渇望が痛いほど伝わる。
    そこから始まる急展開。そこまでの流れで主人公の感情的暴発傾向を知っている読者は、いつ暴発するか、ハラハラ心配でしょうがない。主人公がどんなに追い込まれても見捨てない妻や娘たち、特に妻の深い愛に、なんと果報者かと思う。
    やがて大団円。
    就職試験については、こんなのあるか?とツッコミたくなるあり得なさだが、波瀾万丈、奇想天外なストーリー展開に目が離せない。分厚い文庫本ながら一気読みした。

  • 57歳にして失業四年目のアランは、一流企業の最終選考に臨むことになる。そこでは採用候補者が重役会議を襲撃し重役を監禁・尋問することによって、採用候補者の選別と重役の能力判断の両方を一度に判断するということだった。あまりに異常なその手段に難色を示す妻を説き伏せ、ありとあらゆる手段を用いて最終選考の準備をするアランに、とんでもないことが知らされる。絶体絶命、背水の陣に追い込まれた失業者の戦いを描いたサスペンスです。
    最終選考の方法はともかくとして、そこに挑もうとするアランの執念がまず恐ろしく思えました。そりゃあこの年齢で後がなく、そこに降ってわいた奇跡的なチャンスともなれば致し方ないのかもしれませんが。それにしても本末転倒というか……そこまですることに意味はあるの!? と思ってしまいます。そして妻の二コルがただアランを大切に思い、多くを望まない人であるだけに余計悲しいし、不安になりました。
    そしてその先どうなるのかは、読んでのお楽しみ。たしかにアランは馬鹿ではないし、とんでもない策略家でもあるのだけれど。この結末は勝利といえるのでしょうか……そういうには彼が失ってしまったものはあまりに大きく、やるせない気がします。

  • 男のプライドの高さによる自己正当化の欺瞞と
    女の感情を優先した強かさを描いた作品

    シャルルがアランに対して検診的な理由をハッキリとさせて欲しかったかも。
    アランは「金さえあれば幸せが手に入る」と言いながら家族を騙し、間接的に危害を加えたのに引き下がれないところに来てシャルルに助けて貰っても貧乏に幸せを見いだせなかった。
    つまり、「家族のため」を掲げておいて「金でプライドを取り戻す」ことしか考えていなかった。けどそれはリストラのせいでもあるからニコルはラストアランに可哀想なひとって言い残したんだろうな。

全43件中 1 - 20件を表示

ピエール・ルメートルの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×