- 文藝春秋 (2021年2月9日発売)
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感想 : 21件
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Amazon.co.jp ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784167916503
作品紹介・あらすじ
勝負の世界に青春を賭け、燃え尽きていった者たちのロマンを描く、
スポーツノンフィクションの名作が、待望の新装版に!
登場するのは、クレイになれなかった男・カシアス内藤、栄光の背番号3によって消えた三塁手、自殺したマラソンの星・円谷幸吉、など。
沢木耕太郎が、徒弟修業中の自分にひとつの可能な道筋が見えてきた、と語る、自身の出発点ともいえる記念碑的作品。
解説・北野新太(報知新聞記者・著書に将棋棋士を題材にした『透明の棋士』(ミシマ社、2015年)がある)
感想・レビュー・書評
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『深夜特急』が面白いので(まだ読みかけ)、他のジャンルも読んでみたくなって寄り道してみた。
スポーツ・ノンフィクションの草分け的な作品。
1. ボクシング カシアス内藤
2. プロ野球 (長島にポジションを取られた)難波、土屋
3. マラソン 円谷幸吉
4. 競馬 競走馬イシノヒカルの馬手、調教師、騎手
5. プロ野球 榎本喜八
6. ボクシング 輪島功一
表題通りの内容なのだけど、本当に敗れることなく勝ち切った、という意味では、ラストの輪島功一のリターンマッチ最終ラウンドKO勝ちが、唯一カタルシスを得られる作品。
他の主人公は、『まだ、負けてないぞ』と足掻き続ける、ある意味、『見苦しさ』の美学を体現していて、殆どのひとの人生はこっち側だろうと思った。沢木耕太郎さんは、こっち側の目線で描くひとなんだなあ、と更にファンになった。
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マラソン選手の円谷さんの遺書がとても印象的でした。
大切な人たちへ書き綴った最後の言葉。文学知識のない私ですが川端康成さんの感想 悲しい響きという表現 にしんみりしてしまいました。
過去の動画や人物を検索しながら読み進める。円谷さん、内藤さん、難波さん、土屋さん、榎本さん、イシノヒカル 色々なスポーツ界の方々の活躍を知ることができました。プロ意識や、ハングリー精神、人知れぬ努力。
ラストの「ドランカー」では、ボクシング輪島対「クレイになれなかった男」に登場した柳さんとの試合、もしかしてカシアス内藤さんも登場するのでは!と…
誰もが勝つとは信じていなかった試合に勝利を収めた輪島さん。
P242 「引退ということも考えられなくもなかった。でも、それはよくないと思ったんです。自分はまだ挑戦できる、そしてみなさんも挑戦させてあげようというんです。ということは、まだ金が稼げるということだ。まだ金が稼げるのに、その機会を放棄するっていうのは、プロのやることじゃない。五万だって、十万だって、稼がしてくれるというなら稼ぐべきじゃありませんか。それがプロということだ。〜」
与えられた機会に躊躇なく挑戦していく根性
勝っても負けても讃められるとおもう。何でも一生懸命やると周りの人にもその熱意が伝わると思います。 -
スポーツ界にあって優秀な成績を残しながらあと一歩突出できず満開の花を咲かす事ができなかった人々がいる。何故なのか?
著者は彼等を「敗れざる者たち」と呼びその対岸に大輪の花を咲かせたヒーロー、長嶋茂雄さんをおいて両者違いを見ているのだと思う。
ボクサーのカシアス内藤をはじめとして6人の敗れざる者たちの苦闘が著者によって語られる。
その中でマラソンランナー円谷幸吉を描いた「長距離ランナーの遺書」は胸に沁みる。
実際に彼が走る姿を見、自死の知らせをオンタイムで知った身だからという事もある。
しかし彼が生きた当時の生真面目にあらねばならないという考え、日の丸や応援者の期待に背いてはいけないという命懸けとも言えるトップランナーの辛さが著者の筆でヒシヒシと伝わったからだろう。
近年のオリンピック選手は大会に臨んで「楽しんできます」というような言葉をよく口にする。
それはそのまま本心ではなく心の中には辛さも責任感も緊張もあるに違いない。
けれどもそう口に出せることは彼等にとっては良いことに違いないと思う。
もし世の中に円谷選手がそんな言葉を出すことをためらわない雰囲気があったなら彼と彼を取り巻く人々の人生は変わっていただろうな。
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スポーツを見ることはなぜ面白いのか。
残酷なようだが、そこにアスリートの命がけを見、それをショーとして外野で楽しみ、時には自分の不可能性を彼らの可能性に託すことで現実によりもたらされるストレスを発散したいという願望があるのではないか。
この本においては、その命がけのショーにおいて、まさに自分の人生を賭けて、アスリート的な栄光は掴めずとも、その日陰の中で足掻いて足掻いて、足掻き続ける者達の姿が描かれる。
我々にとってはショーの脇役としても、演者にしては人生そのものである。
スポーツの、勝ち負けが生じる戦いの残酷さ、諦めないことへの賛美というよりは、悲哀とでも言うべきか、儚く寂しく、されど美しく感じるものを読んでいて感じたところである。
昔の試合や競走であるが、迫真さがあって、ものすごく読み応えがありました。 -
優しさは成功の邪魔なのだろうか?
それを捨てず世にいう栄光から遠ざかっても大切なものがあるならそれでいいのではないか?
カシアス内藤や難波昭二郎の話を読んでいると思う。
栄光に背を向けている本人のコアな部分を著者は見ている。 -
年末年始を海外旅行で過ごすことにし、旅行の友に選びました。私も30年前、「深夜特急」に影響を受け、アジアへ一人旅にでた若者の一人ですが、今回久しぶりに手にした筆者の作品。
私にとっても馴染みのない野球選手、ボクサー、ジョッキー、ランナーにも関わらず、45年を経ても胸に迫るものがありました。時代が変わっもの変わらないもの、もしかして失われつつある愚直さ。生き方を問いかけられるようでした。自らの旅と等価以上の興奮を与えてくれる作品でした。 -
当時まだ若いはずの著者の円熟みが凄まじい。取材対象にここまでコミットできる/させてもらえるのかと驚く。
動きの激しい場面においても、盛りを過ぎた、「いつか」を逸してしまったアスリートの機微がひしひしと伝わってくる。ルポルタージュの客観性を保ちながら小説の没入感を味わえる稀有な著作だった。 -
面白いを超えている。
素晴らしい取材力。
特に面白かったのは
長距離ランナーの遺書という円谷幸吉の話
なぜ自殺してしまったのか。
鋭い洞察力だ。引き込まれた。
それと次の文章。
燃えつきる
この言葉には恐ろしいほどの魔力がある
正義のためでもなく、国家のためでもなく、
金のためでもなく、
燃え尽きるためだけに
燃え尽きることの至難さと、それへの憧憬。
あらゆる自己犠牲から、可能な限り遠いところにある自己放棄。
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脚光を浴びたまま舞台を去ることができる人はほんのひと握り。華々しい栄光があったのは人生のある一時だけ‥というのはスポーツ選手にも多いのかもしれない。
6人のスポーツ選手(馬含む)に焦点を当てたノンフィクション。敗れた者の物語と見える話もあるけれど、「敗れざる者」。題名に考えさせられる。
ボクシング、野球、陸上、競馬、どれも全然詳しくないけど、著者を通して見ると、遠くの存在のようなスポーツ選手も、同じく悩んで戦う人間なんだな、と思えた。
有名な「深夜特急」も読んだことないけど、沢木さんの著作、もっと読んでみたくなった。 -
どの話も締めの文章が秀逸だった。
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本質は何かを突き詰めたくていろいろ考え行動し得られたものが綴られている。
本質がよくわからなくてもそこに至る過程で得られることは近いものがあるのではと思わせる。 -
筆者も訊くことをためらうことがあったというのが、当たり前だが味わい深い。
場に入っていく過程が、読者を登場人物と同じ空間に誘ってくれるのではないか。 -
野球の話についていけず、ボクシングだけ拾い読み。
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勝負の世界に生きるが故に勝者と敗者に分かれるアスリート。そして多くのスポーツの歴史や物語は勝者の視点で書かれているが故に勝つことの出来なかった者の視点で書かれた本書は、勝てなかった、陽が当たらなかった選手たちに思いを馳せられるノンフィクションであり、読み応えがあった。
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深夜急行以来の沢木さんのルポルタージュにスポーツを見る目が変わった。
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この作家がこんなに昔の人なのかと思う位の現代性ありです。対象とする題材は明らかに古いけれども読める、これは並のものではないです。
この作家の前がどうなのかが分かりませんが、例えば某スポーツ雑誌の記事、本作の類型だなと認めるところから始まるくらいの代物かと。 -
勝者と敗者。注目され、歴史に残るのはどうしても勝者になる。
とはいえ、勝つこと、栄光を掴むことだけが人生ではない。
勝っても負けても、人生を生ききる姿が胸を打つ。
円谷幸吉さんの人生が残念だ。 -
沢木さんの 最高のノンフィクション
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45年前、生まれ育った街の当時としては比較的大きな書店で手にした単行本。以来、折に触れて読み返し、またこの作者の本をすべて読んできた。この作品に出会ったことで読書好きの今の自分が居る。新装版はカバンの中に入れて持ち歩こう。
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【一度読んだら忘れられない、スポーツノンフィクションの傑作が待望の新装版に!】クレイになれなかった男・消えた三塁手・自殺したマラソンの星―勝負の世界に賭けて燃え尽きていった者たちの姿を描いた古典的名著。
著者プロフィール
沢木耕太郎の作品
