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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784167916770
作品紹介・あらすじ
文学と医業という二足の草鞋を綱渡りのように穿いて四十余年。総合病院を定年退職し、今は非常勤医師として働く著者が、近年の己を題材に編み上げた四篇。
「畔を歩く」:定年退職を機に、うつ病を発症してから負担の軽い健康診断担当になり、時に肩身が狭い思いもしながらも、しかし生き延びるためには文筆を止める訳にはいかなかった日々を回想する。おさまらぬ気持ちを、畔をしっかりと歩いて宥める。
「小屋を造る」:同年配の地元の男らと山から木を伐り出し、簡素な小屋を建て、焼酎で乾杯する。
「四股を踏む」:定年間際の診療で、超高齢の女性患者から、処女懐胎の体験談を聞く。
「小屋を燃す」:六年前に小屋を建てたのと同じメンバーで、老朽化した小屋を壊す。といっても、二人の男は先に逝ってしまっていた。解体跡で飲み食いを始めると、死んでいるはずの者たちが次々と現れる。
みんなの感想まとめ
日常の中にある静かな深みを描いた短編集で、老年期に差し掛かる男たちの友情や日々の営みが心地よく表現されています。著者は医師としての経験を生かし、群馬での生活を背景に、朴訥とした文体で自らの思いを綴りま...
感想・レビュー・書評
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医師でも著者が群馬での生活をもとに書いた私小説らしく、山で仲間と朴訥と過ごす日常を描く短編集と言ったところか。著者を知らなかったが、80年代に芥川賞をとったようで、たんたんとした文体は悪くないと思った。
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私小説なのだと意識して読んだことは実はあまり無かったが、改めてこの文庫の書きぶりにて「書くことが生きること」であり支えなのだと伝わってくる。著者の「医者と作家」「生と死」のバランスの取り方を感じた。今までで最も著者自身の存在をありありと思い浮かべた、まさに私小説。
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著者の文庫本を店頭で見つけ久々に読むと、いつのまにか定年退職されて近所の人々と酒を汲みかわす人となっていた。それでも小説の内容は変わらず、この人は最後まで自分をもてあます感情からたすかろうとされるのだろうと感じた。
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【小屋跡で、死者たちとの宴会は続く】男は仲間と小屋を建て、壊し、酒を呑む。現れるのは先に逝った懐かしい人々。生と死の境を淡々と超える傑作私小説集。
著者プロフィール
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