六月の雪 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2021年5月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (576ページ) / ISBN・EAN: 9784167916893

作品紹介・あらすじ

夢破れた30代の将来への不安、認知症がはじまった本人と周囲の驚愕。
いまの日本の現代的なテーマと、台湾と日本との現代史がからみ合う、乃南アサ台湾ものの決定版!

30代前半、独身の杉山未來は、声優になるという夢に破れ、父母、妹、弟と離れ、祖母・朋子と東京でおだやかな二人暮らし。
ある日、祖母の骨折・入院を機に、未來は祖母が台湾うまれであることを知る。
彼女を元気づけるため、未來は祖母ゆかりの地を訪ねようと台湾へと旅立つ。

ところが戦前の祖母の記憶はあいまいで手掛かりが見つからない。
そこで出合ったのはひと癖もふた癖もある台湾の人たち。
台湾が日本の植民地であったこともぼんやりとしか知らない未來は、中国国民党に蹂躙された台湾の人々の涙を初めて知る。
いっぽう、朋子は認知症を発病し、みずからの衰えに言いようのない恐怖を覚えていた。
それに追い打ちをかける、朋子の遺産目当ての実の娘、真純(ますみ)の突然の出現……。

未來は祖母のふるさとに辿りつくことができるのか。
朋子の衰えに、未來は間に合うのか。そして長い旅路の果てに、未來が下した重大な決断とは……。
『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』と続く著者の台湾ものの、決定版とも言うべき感動巨篇。

みんなの感想まとめ

夢破れた30代の独身女性が、認知症を患う祖母のために台湾を訪れる物語は、現代の日本と台湾の歴史が交錯する深いテーマを描いています。主人公は、祖母の故郷を探しながら、台湾の人々との出会いを通じてその複雑...

感想・レビュー・書評

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  • 文庫本であるが、比較的厚く最初は少しためらわれたが作者乃南アサの文の読みやすさに助けられ、スラスラ読めました。

    近くて遠い国、台湾。私などはその実体や歴史的事実を殆ど分かっていないが、これを読んだら前よりはそれなりに分かってきました。

    台湾の複雑さ、そこに住む人たちの心情描写は、流石に上手。

    私も台湾を旅行する機会があればなあ、と思いました。

  • 懐かしい台湾、台湾の人々。
    老いた入院中の祖母と家族、祖母の生まれ故郷を訪ねる孫の未来ちゃんの2つの場面で、お話が進む。
    最後の最後で台湾で友達になった洪春霞ちゃんのバイクの事故死が伝えられショックを受けてしまった。

  • 祖母の生地台南への旅、吹雪の時代を生きた人と、雪解後に育った若者との出会いの中で知る日本統治と国民党時代の日々。台湾の歴史と人々の思いに触れられる一冊
    六月の雪は汽水に咲く欖李花(ランリーファ)

  • 台湾に興味があり手に取った本です
    かなり読み応えがありましたし、旅をしている感覚になりました
    日本と台湾の歴史などもわかって、もっと詳しく知りたいとも思いました

  • 「六月の雪』という題名
    南の国「台湾」で、降るはずのない「六月」に、目にすることのできない「雪」
    それだけで、ドラマが鳴り響く。

    主人公の成長物語に、あまり教育の場に出てこない「昭和における日本とアジア」のこと。

    太平洋戦争が終わるまで「日本」であった地域「台湾」
    最近話題になった、同時期の朝鮮半島を描いた『パチンコ』とこの本を比べてしまうと、日本人作者のせいか、どことなく日本人の身勝手な“甘さ”が、目についてしまう。

    ひとつ、間違えてはいけないこと。
    中国にも、韓国にも、ロシアにも、マレーシア、インドネシアにも、親日家がいて、嫌日家がいる。
    そしてどちらでもない「無関心」が、本当は大多数であること。

    物語はとても面白い。
    甘っちょろい成長物語ではなく、同時期の女性たちの生き様が強烈にぶつかってきて、旅先の味わいだけでなく、後味にピリッと何か残る物語でした。

  • 台湾は日本の植民地だった。
    戦前に台湾で生まれ育った祖母のルーツを探しに、元声優の32才の主人公が台湾を旅するというのが、大まかなストーリー。
    その旅は、台湾の苦難の歴史を知る旅となる。
    話の展開がゆっくりなので、そこが好き嫌いが分かれるところかもしれないが、主人公と一緒に旅をしている気分になれた。
    旅をして主人公が得たものだけが語られれば、綺麗な終わり方になったかも知れない。
    だが、本作は、やっかいな現実や取り戻せない時間や人生も描かれていて、人生の意味を問いかける作品になっていて、純粋なエンタメ作品とは一線を画した作品になっている。
    そのため、少々苦くて重たい後味だった。

  • たまたま薦められて読んだ本でしたが、ちょうど台湾に旅行に行ってみたいと思っていたところだったので、台湾についていろいろ知ることができました。
    この本を読んで、私自身、主人公の未来と同じで台湾の歴史について何も知らなかったことを思い知りました。台湾は新日家が多いとは聞いたことがありましたが、その理由についてもこの本を通して知ることができました。
    終章のラスト、祖母と未来のシーンで感動して泣きました。この余韻のまま終わりたかったのに…。エピローグのラスト9ページが、私的にはいらなかったなーと思ってしまいました。

  • 台湾の風を感じることができました。
    でも、ちと長い。
    そして主人公が幼い。
    20くらいかと思ったら32歳!

  • 欖李花(ランリーファ) 
    マングローブ樹種の一種である欖李は、海水と淡水が混じる場所にしか育たない。
    台湾の北部の海岸近くにたくさん植わっている。
    雪を見たことのない台湾の人たちからまるで雪が降り積もっているかのように小さな白い小花がたくさん咲く。

    ストーリーは、けがで入院した主人公の祖母が、幼少期にすごした台湾の思い出の場所を写真に撮って見せようとひとりで旅立つ。
    50年も日本人が住んでいて、たくさんの建造物やサトウキビ工場を建て、豊かになった時代があり、日本が戦争に負け蒋介石率いる中華民国がやってきて、日本語・台湾語を禁止され、たくさんの虐殺もあった。

    今まで知らなかった台湾の歴史に触れることが出来た。

  • 祖母の骨折をきっかけに台湾を訪れることになった孫娘を通して、台湾と日本との歴史的関係を紐解いていく。
    台湾は親日派の人が多い、それは戦前戦中の日本の統治のため、と言われるが、終戦後の台湾の複雑な政治背景が多分に影響しているということがわかる。
    すでに第二次大戦が終わり、今年で77年もの歳月が経ち、戦争が歴史上の一つの出来事になってしまっているが、生き続ける体験者、文化的影響は残っていると感じた。
    小説としてはやや散漫な部分もあるが、台湾の知られざる一面を認識する一冊となった。

  • こんなに近いのに
    台湾のことを全然知らなかった

    観光地としてではなく、
    台湾の歴史をもっと知りたい

    洪春霞ちゃん
    言葉は乱暴だけど涙もろくて
    一生懸命未來に協力してくれて
    登場人物の中で1番好きでした
    なのに・・・

  • 祖母の故郷、台湾を訪れることによって、異なる文化や生活習慣、さらには根深く現地の人々に残された歴史の爪痕を知ることになる主人公。入院している祖母のモノローグと、主人公の進行形の旅の様子が交錯して描かれ、時に双方の誰かの性格や人生が近似する様が面白く描写されていた。 

    蒋介石統治時代の悲しい歴史は、初めて知ることとなった。日本統治時代は日本語を強要され、日本軍が引き上げてからの時代は中国語を母国語とすることになる。母国語を自由に話せないなんて、現代の日本人には考えられないことである。

    祖母の容態は楽観できないが、主人公が現況から一歩踏み出していこうとする矢先、悲しい事故が起きる。六月の雪をバックに写真を撮った4人の姿は、永遠には続かないのだ。目の前の現実を飲み込み、さらに一歩進んでいこうとする主人公の姿が爽やかだった。

  • 台湾にはまだ行ったことがないのだが、まるで旅している気分になれた。そして、行きたくなった。
    主人公よりは、基本的な歴史を理解していたが、その時代を生きてきたからこその、人間性、苦しみ、など歴史の裏に存在するそれぞれの立場での思いや気持ちなどが、この小説を通して、より理解でき、身近に感じられた。
    最後に衝撃的な事実を知らされるが、だからこそ、この物語の深みも余計に感じられる余韻が残ったのだと思う。

  • 台南に行った時のことを思い出す。別の場所にいるのにリンクする家族の悲しみも、言葉と記憶と国民性も、翻訳される前の言葉にはどんな機微があったのだろうと思うことも、繋がるためには1番簡単な言葉まで戻らなくてはならなくて、繋がりを深めたいときに人は学んでいくのかもなあと思った。

  • 76日本人の知らない台湾の近代史。とってもフレンドリーで温かい人たちの国で起こっていた様々な出来事に心打たれます。おばあちゃんが長生きして主人公が幸せになりますよう、祈るような作品でした。

  • 祖母が生まれたのは日本の統治下にあった台湾。入院した祖母に代わりに台湾へ行き当時の面影を探す未來。知らなかった台湾の歴史に触れながらそこで生活する人たちの思いにも触れていく。

    未來の祖母は生まれた家を懐かしみ帰りたいと言う。私の母も帰りたいのは生まれた家。年を取るとみんなが生まれたところへ帰りたくなるのだろうか

  • 30代で声優になる夢を諦めた主人公。入院した祖母が幼少期に過ごしたという台湾に、かつての光景を探し求めて向かう。祖母が過ごしたという台湾の風景を巡り、その地に生きる個性豊かな人々を巡る旅小説。
    近代台湾の歴史や背景、当時を生きた人々の情緒を知るにはすごく「ためになる」本作なんだけど、物語としてはイマイチだった。というのも主人公がいつまでも幼稚で、最後の決断も含め疑問符が拭えない。ある程度、主人公には感情移入せずに淡々と読む分には良き。また、現地の人たちの生き様や人生の話は、強く心に残った(562頁★3.0)

  • 主人公が好きになれず、最後まで嵌れなかった。
    無知で失礼な人だと思う。習わなかったで済ましているのも嫌いだ。
    台南の描写はさすがだが、ストーリーは過去を探すだけに絞って欲しかった。

    そして長女だから云々作品を読む度に長女、長女言うけど、長女のせいで縛られる下もいるのにそれは軽視されているのだが、と思う下です。

  • 目の前にある全てがいずれ過去になる訳だが、振り返った時に後悔しないように今を生きる大切さを教えられた内容でした。
    台湾には観光で台北と九份に何の知識もなく一度旅行したことがある程度だが、道を尋ねたら親切に教えてくれたり、と良い印象を受けた記憶しかありません。
    今度はもう少し台湾の歴史を勉強したうえで、今回の舞台である台南を中心にいろんな場所にも行きたくなりました。
    (言葉は片言レベルですが。)

  • 台湾の歴史を知らなかったのでとても勉強になりました。未來が台湾を旅行する1週間の話がメインでした。認知症の祖母のために行った旅行で新しく語学留学という道を見つけることが読んでいて嬉しくなります。

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著者プロフィール

1960年東京生まれ。88年『幸福な朝食』が第1回日本推理サスペンス大賞優秀作となる。96年『凍える牙』で第115回直木賞、2011年『地のはてから』で第6回中央公論文芸賞、2016年『水曜日の凱歌』で第66回芸術選奨文部科学大臣賞をそれぞれ受賞。主な著書に、『ライン』『鍵』『鎖』『不発弾』『火のみち』『風の墓碑銘(エピタフ)』『ウツボカズラの夢』『ミャンマー 失われるアジアのふるさと』『犯意』『ニサッタ、ニサッタ』『自白 刑事・土門功太朗』『すれ違う背中を』『禁猟区』『旅の闇にとける』『美麗島紀行』『ビジュアル年表 台湾統治五十年』『いちばん長い夜に』『新釈 にっぽん昔話』『それは秘密の』『六月の雪』など多数。

「2022年 『チーム・オベリベリ (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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