だるまちゃんの思い出遊びの四季 ふるさとの伝承遊戯考 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2021年5月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (288ページ) / ISBN・EAN: 9784167916961

作品紹介・あらすじ

〈第23回日本エッセイスト・クラブ賞〉〈第15回久留島武彦文化賞〉受賞。
生誕92周年に記念復刊した名エッセイの文庫化。

1926年に福井県の小さな町で生まれ7歳まで過ごした。自然豊かな地でのびのびと自由に遊んだ経験をもとに、ごく平凡な子供の遊びを綴った本。
とはいえ、ただ昔を懐かしむものではなく、子供自身が何を考え、どう感じ、様々な思考と準備を経て、生活や人間関係の悩みや葛藤も抱えながら「遊んでいた」のか――。大人の目ではなく、子供の心になって遊びを見つめてきたエッセイ集。

本人による「あとがき」「新あとがき」付き。

文庫版には、「月刊文藝春秋・巻頭随筆エッセイ」(2014.7月号)を追加。また巻頭に〈子供の季節の遊び〉を描いた貴重なカット絵を中心とした16pのカラーページを挿入。

文庫解説・辻惟雄(美術史家)

みんなの感想まとめ

子供の遊びを通じて、彼らの思考や感情を深く掘り下げたエッセイ集は、懐かしい思い出を超えて、現在の子供たちへの理解を促します。著者は、自身の幼少期の遊びを生き生きと描写し、遊びが単なる娯楽ではなく、子供...

感想・レビュー・書評

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  •  2018年5月2日に逝去された、かこさん。生まれてから1933年までの幼い頃を過ごした、福井県越前市での子供の遊びや言葉を綴った本。
     今の私たちでも知っている文言が、少々異なる言葉で紹介されていたりもして面白い。「ちちんプイプイ おしゃかのはなくそ いたいいたいいたい とんでゆけー」など。

     でも、こうしたかこさんの思い出と共に、思わぬ言葉が出てきて粛然とさせられたりもする。
     「子ども達が約束事やとなえごとを言い交わしていたあの幼い日は、その言葉と共に遠いかなたに消えて行った。しかし約束や願いごとにせい一ぱいの誠実さと真剣さによって、その日その日を送っていた態度は、消え去ってはならないだろう。遠い所へおいやることは、人世を自ら放棄することでもあろうからである」(p.70)

     本作品全体で描かれようとしているのは、「郷愁溢れるあの頃の思い出」などではない。あくまで「今」に連なる、生き生きとした過去なのだ。そしてかこさんは優しい眼差しとともに、昔と今、双方の子供達のことを慮っている。

    「子供のとき、当人はどんなことを遊ぶ中でおもい、考え、感じとっていたのか。子どもであるからとて、決して単純な、一面的な、幼稚なものではなかったはずである」(p.19)。

     解説者・辻惟雄さんも指摘するように、かこさんは「子供の遊びを理想化し、それを美化することによって、現実から逃避する態度を戒める」。生きた子どもの遊びの具体的な記述が、美しくもありながら、厳しい自然と共に描かれてることも注意しておきたい。福井の春夏秋冬、とりわけ冬の重く暗い夜については、感じるところが多い。

     かこさんの自伝的作品、『未来のだるまちゃんへ』と一緒に読まれて欲しい本だなあ、と心から思う。思えばこの作品でも、子どもの心情や思考の独立性を語っていた。「親が『自分の子どものことは、自分がいちばんよくわかっている』なんて思ったら、大間違い」(pp.44-45)。肝に銘じたいものです。かこさんには、子どもたちを肯定していく態度を教えられる。

  • テーマ:遊び

  • 文章が実に美しく、昭和の時代に子供たちが野山を駆け回り、自然とともに遊びを作り出してきた風景が想像できます。子供にとって遊びとは何なのかという事を通して、教育とは何かと考えさせられました。

  • 名著復活!絵本作家かこさとし、子供の頃の四季を通じた遊びの記憶。大人になって振り返る甘酸っぱい思い出の数々にはしんみりします。

    「だるまちゃんとてんぐちゃん」で有名なかこさとし(自分には「からすのパン屋さん」の印象)の作品。1975 年日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。その後長く絶版だったのが2018年に復刊(ありがとう復刊ドットコム!)、その文庫版。

    越前の武生で過ごした子供の頃の遊びについてイラストを含め詳細に記録している。筆者の記憶力には驚かされる。多くの遊びは実際にやったことはないが、なぜか懐かしさを感じる。母が同じ北陸の出身なので、自分の小さな頃に教わった遊びもちらほらと。

    おそらく今では絶滅したであろう、自然を活かした遊びの数々。季節ごとに草花を使ったもの。雪国の長い冬の室内の遊びなど。

    本書を読むまで知らなかったが筆者はバリバリ理系のエンジニア。絵本作家としての技量ばかりだなく、冷徹に子供の遊びを振り返る視点が本書の中身を濃厚なものにしている。そして子供の教育、成長に関した卓越な論評が素晴らしい。特に大人社会の虚偽を子供が見抜いているという「兵隊ごっこと戦争ごっこ」は秀逸。

    中勘助の名作「銀の匙」に似た、子供時代に対する甘酸っぱい耽美な記憶を呼び覚ます作品。

    今度実家に帰った時、母にも読んでもらおうと思う。

    復刊して下さった方々に感謝したい。

  • 日本古来の遊びから,日本が古来から持っていた自然への畏敬の念を思い出させる.遊びは遊びでしかないけれど,日本人が本来持っていた情緒を育んでいた根幹だとするならば,遊びを忘れた日本人は精神的な退化の一途を辿っている.昔は良かった,というポジティブな気持ちより,近い将来の退廃的な日本が容易に想像され,恐ろしい気持ちになる.

  • 【日本エッセイスト・クラブ賞受賞の名エッセイが待望の文庫版に】花占いに陣とり、ゴムとびにかげふみ、木の枝パチンコに雪遊び…かこさんが生涯描き続けた〈子供の遊びと伝承〉。決定版エッセイ!

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著者プロフィール

かこさとし:1926年福井県武生市(現越前市)生まれ。大学卒業後、民間企業の研究所に勤務しながらセツルメント運動、児童会活動に従事。1973年退社後、作家活動、児童文化の研究、大学講師などに従事。作品は500点以上。代表作として「からすのパンやさん」「どろぼうがっこう」(偕成社)「だるまちゃん」のシリーズ(福音館書店)、「こどもの行事しぜんと生活」シリーズ(小峰書店)などがある。

「2021年 『かこさとしと紙芝居』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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