百花 (文春文庫)

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  • 文藝春秋 (2021年7月7日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784167917166

作品紹介・あらすじ

「あなたは誰?」
徐々に息子の泉を忘れていく母と、母との思い出を蘇らせていく泉。
ふたりで生きてきた親子には、忘れることのできない“事件”があった。
泉は思い出す。かつて「母を一度、失った」ことを。
母の記憶が消えゆく中、泉は封印された過去に手を伸ばす──。

記憶という謎<ミステリー>に挑む新たな傑作の誕生。

「あなたはきっと忘れるわ。
だけどそれでいいと私は思う」

「また母が、遠くに行ってしまいそうな気がした。
あの時のように」

……あの一年間のことは、決して誰にも知られてはいけなかった。
小説『世界から猫が消えたなら』『四月になれば彼女は』などで大きな衝撃を与えてきた川村元気、待望の最新文庫。

各界からも反響が続々!

◆息子と母の切ない思いに、胸が熱くなりました。──吉永小百合

◆深い感動のうちに読了した。
 ぼく自身の母親の思い出と重なり、他人事ではなかったのだ。──山田洋次

涙が止まらない──現代に新たな光を投げかける、愛と記憶の物語。

解説は『長いお別れ』の中島京子さんです。

AIがまとめたこの本の要点

プレミアム

みんなの感想まとめ

記憶の喪失と親子の絆を描いた物語は、認知症を抱える母とその息子の切ない関係を中心に展開します。徐々に失われていく母の記憶と、思い出を呼び覚まそうとする息子の姿が、感情深く描かれています。物語の中で、母...

感想・レビュー・書評

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  • ラストに向かって、思い出の回収。タイトルの意味へと。何を見たかではなく、誰と見たか。それは、色鮮やかな思い出へと繋がる。その思い出も、本当かどうかは定かではないけれど。

    • きたごやたろうさん
      「いいね」ありがとうございます。

      川村さんのこちらの作品は通過してました。
      バックして読みたいです!
      「いいね」ありがとうございます。

      川村さんのこちらの作品は通過してました。
      バックして読みたいです!
      2025/10/29
  • 認知症を発症した母とその息子の話です。徐々に記憶を無くしていく母とその母との思い出を思い返す泉の物語です。
    母の認知症が進んでしまう描写がまあリアルで感情移入しまくりでした。最後に今までの伏線回収で心にきましたね。ぐはっと。人間って所詮記憶を頼りに生きているだけなんでしょうけど、記憶がなくても心に残るものは確かにあると感じられた本でした。

  • 認知症が進んでいく様子はとても辛かったが、希望したホームに早々と入れたり、泉がりんご飴を一人で買いに行っちゃったり、ストーリーの流れが受け入れられない場面が何度かあった。
    空白の一年の真相も、なんかちょっと嫌だった。

    お母さんのメモは泣けた。

  • 認知症の母親百合子とその息子泉の物語。
    読み初めに泉が息子とはわからず、どういう関係?って混乱してしまいました(笑)

    認知症は厳しく残酷な病気だと思います。
    徐々に失われていく記憶。本人も周りの人たちも哀しくなってしまう病気。
    その介護の大変さ。

    百合子は徐々に記憶を失っていきますが、それと合わせて、泉は思い出を取り戻していきます。
    徘徊の裏側にあるもの

    微妙な二人の親子関係は、ある事件が関係していました。
    本書の中で忘れられないのが、2つ
    ひとつは百合子のメモ
    自らの記憶が途切れていくことを恐れて残していたメモ
    息子に謝っている。
    目頭が熱くなります。

    そして、半分の花火
    諏訪湖の水上花火って思いますよね。
    しかし、百合子が見たかった半分の花火とは..
    これもぐっとくるエピソードです。

    映画も見てみたい.

  • 認知症の母が見たがっていた半円の花火とは?

    その答えに心が揺すぶられた。

    息子が母が認知症になったことにより、母のことを思い出していく、そんな切ない物語だ。
    でも、最後はちゃんと、親子に戻れた。
    これは幸せなことなのだと思う。


    人は記憶でてきている。

    同時に、失っていくということが大人になるということ、でもある。
    僕らは大人になるために取捨選択して、生きるために無用な記憶を失っていく。

    だけど認知症になって記憶をなくすのは、大人になるためじゃない。
    残った自分がどんな自分か?
    恐ろしいけど、興味はある。

  • 数年前に読了していましたが今回再読です
    映画化もされましたので
    菅田将暉さんと原田美枝子さん長澤まさみさんを思い浮かべながら…

    離れて暮らす母親が認知症だと
    認めるにはとても時間がかかると思います
    認めたくないんです

    えっ母さん何ふざけてるの?
    昨日話したでしょ?
    忘れないようにメモしたよね?
    病院から処方された薬も余分に飲んでしまう
    ご飯食べたかどうか忘れちゃう
    同じ話を何度も何度も話して聞かせてくる
    何十年も昔の話は鮮明に覚えているが目先の事からどんどん忘れていく
    その他……うちの母の現在です

    幸い徘徊はまだ無いですが…

    =お話の中の泉さんは自身のお子様の誕生が重なって、お仕事も忙しい…本当に大変な中、お母様に良く尽くしているなぁと思いました
    そして母親の空白の過去の出来事に触れたりして…
    母親が亡くなってから、半分の花火を目にした泉…私も泣きました
    次々とあがる半分の花火にかつての美しい母親の記憶が蘇ったのでしょうね=


    私もできるだけ母に優しく接していきたい、同じ話でも何度でも聞くし、できる限り無理なく寄り添っていきたいです




  • とても色々と考えさせられるお話でした

    個人的に人は自分のキャパを制御するために「物事を忘れる機能」が備わってるのかなぁ…と思ってますが
    それは、ところてん式に嫌な事や、教訓にならないことを処理出来るための機能だと思うんだけど

    世の中の人達は、日常の会話や仕事の話…家族関係まで忘れてますね(笑)
    お酒飲んで殆ど忘れる人が殆どだし(俺の職場)

    でもこの作品の
    お母さんの認知症は、どんどん忘れてしまうのに
    覚えてるのは息子への愛情や後悔でした
    読んでて胸が締め付けられました

    この作品を読むと
    「何が大事か」「読者は何を忘れるか」凄い考えさせられますよ。

  • 泉さんの優しさは紛れもなく百合子さんが愛しみ育んだ賜物。
    けれども私はいたって平凡な人間、先ず、まだ独り立ちも出来ない我が子を棄てて男と出奔した母親が理解できず深く入り込めなかった。
    実家で見つけた母親の日記帳は親子の空白の一年が記されていた。
    認知症になり記憶を無くして行く母親と、記憶を呼び起こす息子。
    様々な場面で本当なら涙が溢れるシーンなのだろうと思いながらも涙は出ない。私の稚拙な感性ではついて行けなかった。人生に後悔のない人などいないとわかってはいるのに。

  • 最近読んで良かった本ある?と聞かれたらこの本をおすすめしたいです。
    認知症になった母親と息子との時間は人生の答え合わせをする時間になります。
    人の弱さ、でもそこにある愛情や後悔に、生きていく上でどうしようもないやりきれなさ、出来てしまった心の隙間を互いに埋めていきます。
    互いの愛情に気付いてからのお別れに許しをみます。
    次は映画を観るのが楽しみです。

  • とても心にしみるお話でした。
    誰にでも親がいて、ほとんどの人は親を見送ることになる。それは自然の流れで仕方のないこと…でも、やっぱり別れは悲しくて寂しくて受け入れがたいものなのだ。特に母親との別れはまた格別に辛いものだと。

    文章が読みやすくて、母親の百合子、息子の泉それぞれの心情が丁寧に描かれているので、じんわりと心に残るお話。

    認知症で母親が自分の知っている母親ではなくなってしまう姿を見るのは、ただ悲しいだけではなくて寂しさもあり、苛立ちや焦り不安…色々な感情が溢れてくるのだろう想像する。
    主人公の泉の場合は、過去に一度母親に捨てられた経験があり、その感情はより複雑で捩れたものだっただろう。それでも認知症が進みどんどん変わっていく母親を精一杯支える姿は心に迫るものがあった。

    現実ではこんなに簡単に理想の介護施設が見つかることはないし、介護が負担となって息子夫婦の間にも諍いやすれ違いが起きたりするのだろう。認知症介護の一番大変なところ、汚くて暗くて閉ざされたところはキレイに抜け落ちて、まるで幻想的な夢の中のように百合子の様子が描かれていたけれど、そこは小説ならではというところか。
    これは、とても運の良い認知症患者とその息子のお話。



  • 毎日だんだんと
    記憶を失っていく母とそれを見守る息子
    その人生背景には
    母子家庭で、母、息子たった2人で生きてきたこと。
    空白の1年があったこと。
    その空白の1年は、なかったことにして
    再生した家族だったことがあった。
    なのに、どこまでも母思いの息子に
    胸が苦しくなる。
    散らかった部屋から出てきた
    メモ書き。
    忘れたくなくて書き留めていたメモ書きに
    「息子の名前は泉 甘い卵焼き ハヤシライスが好き」
    と書いてあった。
    親子という因縁が苦しくもあり、でも
    どこまでいっても母の愛を求め、
    最後は、こどものようになっていく母を
    母のように守る愛
    苦しくも綺麗な重い愛の話

  • 記憶を失くしていくアルツハイマー型認知症の母親とその息子の物語。

    徐々に記憶を失っていく母親をみながら、いくつかの幼少期の記憶が蘇ってくる息子。決して触れてはならない空白の1年。
    記憶に限らず、失っていくということが大人になるということ……
    とても深く考えさせられます。

  • 川村先生の物静かな文体が好きで、心地良く、さらさらと読み終わるはずが、一応私も息子を持つ母の身としては、主人公の母の性格に「!?」となった。ただ、いったん母のパーソナリティを棚に上げて、川村先生の伝えたいであろう「記憶」について考えながら読むと、美しいタイトルをつけたなと、「百花」という一冊の物語のまとまりにうっとりとした。なんだかんだ、私はこの物語にどっぷりと浸かったのだろう。

  • 母からこぼれ落ちてゆく記憶を息子が両手を広げて受け止めながら感じる戸惑い、苦悩、愛情、羞恥…様々な感情を丁寧に描いています。
    母、父、息子、娘、女、男、同僚、先輩、友達…生きて行く中でいくつもの役割を担い、時に演じている登場人物たちの心情を驚くほど繊細に書き分けていました。
    久しぶりに泣きました。

  • 少しずつ忘れてゆく母。
    過去と現在を行き来する母。
    現実と幻の狭間を彷徨う母。

    働き盛り、妻のお腹には新しい生命が芽生え…そんな時に母の認知症が発覚する。

    私は認知症やアルツハイマーに寄り添う方々の現場の厳しさ、辛さ、やるせなさを知らない。

    これは、認知症の家族と向き合う若夫婦のリアルなのかと思い手に取った1冊でしたが、物語の中心は、母と息子の空白の1年間がテーマのようでした。

    努めて忘れようとしていた記憶。
    思春期の少年と、女でありたかった母。
    最初からずっと寄り添って暮らしてきたかのように…何もなかったかのように…そんなふうに生きていけるものなのだろうか。

    いちばん多感な季節をひとりで乗り越えた少年がいた。
    父になることを躊躇ってしまうほどに傷付いた心を抱えて大人になった少年がいた。
    どうせなら知らずにいたほうがまだ幸せだったろうに知ってしまった時、母は認知症でした。って…悲劇すぎる。
    そんなことはすっかり忘れて、都合の良い記憶に還ってゆく母。
    〝忘れる〟と言うことで心を保ってきた少年は、ただの一度も言いたいことを言わず、八つ当たりもせず、自分の中で処理し、ただ受け入れて許すしかない?

    そんな母でも母は母なのだ。
    母と息子の美しい物語を模してはいるのだけど、なんとなく…答えのない物語のようで、泣けることはなかったし、読後感もみんなのとは違うみたい。

    今年の33冊目

  • 記憶を無くして行く母との最後の時間。どんなに母が自分のことを愛していてくれたか、記憶を無くしていく中てわ自分との思い出は母のほうがよく覚えていた。人間は肉体ではなく記憶の中で生きる!じゃ記憶を無くした人は生きてないのかなぁーと反発しながら、確執がありながらも素敵な親子愛に( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

  • 記憶を失っていく母 記憶を取り戻していく息子
    認知症の母を息子の視点で記憶をめぐる。

    人間は記憶でできている。そうかもしれない。さまざまな記憶を身体中に宿し、忘れたり思い出したりしてバランスをとっているのかも...記憶を失うのは怖い 失ってしまえばわからないのだからまぁいっか‼︎

  • リアルに認知症のある人の小世界とその家族の焦燥、喪失、葛藤等を描いているなぁと感心しながら読み終え、取材協力先を見て納得した。
    この業界に身を置く者として、同僚や後輩に自信を持ってオススメできる一冊。タイトルを自身の人生に重ね合わせ、トロイメライを聴きながら余韻に浸る...。

  • 母親が認知症を発症した時、多忙な一人息子はどう向き合うのか。
    病気について考えさせられました。老化は生きていれば避けられない道だから。
    ただ、母親の日記は、その身勝手さにイライラ。私なら母親を嫌ってしまいそう。冷静に介護とか、無理だ〜。

  • いつしか、
    親も落ち度があるふつうの人間で、
    そうふと思えるようになったとき、
    自分も大人になったと実感できる、かな。

    たとえば、
    ひどい仕打ちを受けたと思っても、
    同じくらい忘れることができない、
    それ以上に愛され大事にされてた、こと。

    百花とは、数え切れない日々の一輪挿し。
    記憶とは、次々と咲いては消えてく花火。
    どちらも、ひとつひとつ確かじゃないし。
    それでも、ただきれいだったことは確か。

    百合子の、犯した間違い。
    泉の、とめどない揺らぎ。
    忘れても、書き留めても、
    思い出しても、遅くても。

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著者プロフィール

かわむら・げんき
1979年、横浜生まれ。
上智大学新聞学科卒業後、『電車男』『告白』『悪人』『モテキ』『おおかみこどもの雨と雪』『寄生獣』『君の名は。』などの映画を製作。2010年、米The Hollywood Reporter誌の「Next Generation Asia」に選出され、’11年には優れた映画製作者に贈られる「藤本賞」を史上最年少で受賞。’12年に初の小説『世界から猫が消えたなら』を発表。同書は本屋大賞にノミネートされ、佐藤健主演で映画化、小野大輔主演でオーディオブック化された。2作目の小説にあたる本作品『億男』も本屋対象にノミネートされ、佐藤健、高橋一生出演で映画化、’18年10月公開予定。他の作品にアートディレクター・佐野研二郎との共著の絵本『ティニー ふうせんいぬものがたり』、イラストレーター・益子悠紀と共著の絵本『ムーム』、イラストレーター・サカモトリョウと共著の絵本『パティシエのモンスター』、対談集『仕事。』『理系に学ぶ。』『超企画会議』。最新小説は『四月になれば彼女は』。


「2018年 『億男 オーディオブック付き スペシャル・エディション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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