- 文藝春秋 (2021年8月3日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (416ページ) / ISBN・EAN: 9784167917302
作品紹介・あらすじ
江戸時代の大坂・道頓堀。穂積成章は父から近松門左衛門の硯をもらい、浄瑠璃作者・近松半二として歩みだす。だが弟弟子には先を越され、人形遣いからは何度も書き直させられ、それでも書かずにはいられない。物語が生まれる様を圧倒的熱量と義太夫のごとき流麗な語りで描く、直木賞&高校生直木賞受賞作。
みんなの感想まとめ
人形浄瑠璃への情熱とその魅力が、主人公近松半二の成長を通じて生き生きと描かれています。半二が直面する試練や仲間との交流を通じて、浄瑠璃の世界に没入し、観客としてもその熱に巻き込まれるような体験が伝わっ...
感想・レビュー・書評
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人形浄瑠璃への情熱がひしひしと伝わって、半二たちのその熱が巻き起こした渦に巻き込まれるように、私も浄瑠璃を観たくなった。
時代が変わった今も、渦はずっと渦巻いているのだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
うりんけんから始まり、もしかしていかんなのかもしれないが対話して考えを整理して自己表現する、そして成長していく物語なのだろうか。丁々発止のやり取りがほとんどだけど、その時その時に出会うことに恵まれていたから、正三とはしょっちゅう出ていたが亡くなって出来なくなって相当な落ち込みだった。奥さんとも話混んで一生添い遂げる仲になる。娘さんとも作品を書くうちにやり取りが増えてなくてはならない存在になったと、自分の跡を残すとか考えないでも嬉しい筈だ。貧乏長屋の生活も浄瑠璃に全て捧げる行き方だから、全部浄瑠璃って感動
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根拠なく前向きになれる作品でした。面白かったです。どうやら半二が言うところの『渦』は現在もぐるぐると回り続けて新しいものを生み出しているようです。
江戸時代の浄瑠璃作者、近松半二を主人公をとした作品。完全に作者のフィクションと思って読みはじめたのだが、近松半二は実在の人物。『妹背山婦女庭訓』は現在でも人気の浄瑠璃および歌舞伎の演目だそうだ。
移籍や分裂、宗旨替えや旗揚げなどの話は現代の小劇団が舞台だと生々しくなってしまうのだが、250年前の人形浄瑠璃一座が舞台だと素直に拝読することが出来た。
また、半二の代表作『妹背山』のストーリーは本作中の記述を読む限りではまるで劇団新感線のなかじまかずきの作品のよう。歌舞伎や文楽も選り好みせずに観とかなきゃダメですね。
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■市立図書館バックステージ通信 第84回 大島真寿美さんに聞きました!
大阪市立図書館メールマガジン第96号 - 大阪市立図書館
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大阪市立図書館メールマガジン第96号 - 大阪市立図書館
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浄瑠璃に生きた近松半二。
器用に生きたという印象はなく、愚直に浄瑠璃に向き合っている一生懸命さが伝わる物語。
個人的には、半二を支えたお佐久の存在がとても魅力的。
メインで登場する人物ではなかったのにもっと知りたいと思わせる人物。女性としても人間としても見習いたい憧れに近い感情が生まれました。 -
夢中になれることはありますか。
操浄瑠璃、人形に魅せられたある男の物語。移りゆく時代の中、浄瑠璃に生き、浄瑠璃に死んでく。・・・
死ぬまで夢中になれる物を私たちは見つけることができるだろうか。
日の目を見ない葛藤、好きなものをとことんまで追求してゆく心意気。
気づき、別れ、老い、人、山、男、女
この世の全てのものが渦となって巻き込み、巻き込まれ、今に繋がっている。そんな哲学的な気づきまで与えてくれる。そんな作品。
おすすめです。
「わしらの拵えるもんは、みんなこっから出てくるのや。このごっつい道頓堀いう渦の中から」 -
人形浄瑠璃は観たことがない。歌舞伎も現代風にアレンジされたもの以外、観たことがない。言葉が分からないと思ってるからかな。昔の話が分からないのではなくて、何を言ってるか言葉が分からないだろうから、、という先入観もあって観たことがない。
時は江戸時代、近松半二という人形浄瑠璃の作者の生涯を、関西に居ない人は意味が分かるかなぁと思ったくらい思いっきりの大阪弁で語られるスタイルで話は進んでいく。最初はなかなか話に入っていけなかったけど、後半からはものすごい熱量が押し寄せてきて、ぐるぐるぐるぐる、渦の中に飲まれていました。物語はどこから生まれてくるのか。ぐるぐるぐるぐる渦の中に全部全部ある。
これだけ人を熱狂させる人形浄瑠璃、分からないかもしれないけど、観てみたい。 -
操浄瑠璃の作者・近松半二の一生。全く知らなかった人だが、人形浄瑠璃のことなど近松門左衛門の名前くらいしか知らないものな。その半二の『あちらこちらの芝居やら人形浄瑠璃やらを見にいったり、作者部屋でああでもないこうでもないと話しあったり、浄瑠璃の丸本やらなにやら読みふけったり、学びたいものがあればそれらを学びにいったり、食べたり飲んだり遊んだり、気が向けば少し遠出をしたり』といった生き様が、立て板に水の如くの独り語りや丁々発止の掛け合いの形で道頓堀の賑わいとともに創作の呻吟も暗くならずに軽やかにスルスルとテンポ良く語られる。ただ、頁に白いところがないくらいにぎっしり詰まった語り口に、これが延々と続くのには、如何に話が面白かろうと、ちと参った。主人公よりも、お末やお佐久やお三輪にお熊に絹も女たちが皆逞しいことのほうが印象に残った。こういうのを読むと、ほな一度、文楽とやらを見にいこかと、いつもはなるのだが、今回はあまりそんな気にならなかった。食わず嫌いなんだけどな、難儀なこっちゃ。
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123今まで全く興味のない世界だったけれど、軽妙な上方言葉と風俗習慣が伺えるような描写で、登場人物が生き生きと楽しそうで、ついつい一気に読んでしまいました。続編も出てるようなので買ってみます。
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物語が進んでいかない。
人形浄瑠璃の面白さがイマイチ伝わってこない。それが歌舞伎に負けていく所以なんだろうか。 -
浄瑠璃…近松門左衛門??という教科書で見た単語の羅列くらいの認識しかなく正直読み始めるまでは物語に入り込めるか疑問だったが案外するする読み進めることができた。
近松門左衛門の直系ではないが、硯を引き継ぎ小さい頃から道頓堀で浄瑠璃の渦に巻かれまくってついには大作を書き上げていく話。妹背山婦女庭訓って歌舞伎の演目として見たことがあるようなと記憶を辿りながら読んだが記憶が薄く。。改めて浄瑠璃としてじっくり見てみたいと思える作品だった。そして意識せずとも今までの人生経験や環境が溶け混ざって花開いていくのだなと感じた。 -
近松半二が実在する人物だと思わずに読んでいました。それほど会話が自然で他の登場人物との関係も面白かった。章ごとに父、幼なじみ、師匠、妻とどんどん関わっていく人が変わり、飽きません。
本題の浄瑠璃との関係も純粋で良い。今まで全く知らなかった文楽について触れることができて良かったです。 -
人形浄瑠璃作者、近松半二の一代記。
浄瑠璃が下火になっていく時期に、大ヒット作「妹背山婦女庭訓」を書いた人だ。
うん、むか~し、文学史の教科書でちらっと見たような。
その半二を、エンパシーの人として(そんな言葉は使っていないが)描く。
これが、この作品の肝なのではないか。
なんでも取り込んでいく人。
一見、人柄としては天才的な感じには見えないのが面白い。
勃興していく歌舞伎も、衰退していく浄瑠璃も、作り手たちは混然一体となって、何か面白いものを作ってやろうという熱気を持っている。
それが、この時期の道頓堀というところ。
半二も、物語や、キャラたちに呼びかけられたように作品を作り出す。
読んでいるこちらも、わくわくする。
一方、虚実皮膜の世界で、虚無の淵を覗いてしまう作者たちの存在も描かれる。
半二の幼馴染、並木正三が代表だ。
また、よい浄瑠璃のためならどんなことでもするという、人形遣いの初代吉田吉三郎。
その思いの強さのために身を滅ぼしていく、ある種悲劇の天才タイプ。
こんな人たちが周囲に点綴され、半二の作者としての強靭な在り方が際立ってくる。
読み終わっても、もうしばらく、作品の世界に浸っていたい気分がした。 -
浄瑠璃の前知識があれば尚よしだったなぁ‥‥面白かっただけにちょっと悔しい。
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仕事に打ち込む人間の生涯を追う作品は、良い。
主人公の年が若くなくても、舞台が江戸時代でも、青春を感じる。人形浄瑠璃に明るくなくても、主人公の熱量に引っ張られてしまう。
主人公近松半二が言い表す「渦」。浄瑠璃・歌舞伎の過去から今までの作品、人々が混じりあって、そこからまた新しく何かが生まれてくる。死ぬまで「もっと良くなる、もっと良くしなくては」と挑む姿に、著者もまたこういう気持ちで作品を書いているのだろうか、と思いながら読んだ。
割と人物の描かれ方がさっぱりしている印象だった。半二という浄瑠璃を書く以外の欲が薄い人物を中心に世界を見ているからなのか。現実にいたらやりづらい人物もいるが、「顔も見たくない」と思わせるほどの人物はおらず、何なら半二も情熱的だと思う反面、あっさりした所もあって、不思議な印象を受けた。
半二が正三の死を受けて、頭ではもうどこにもいないと分かっていても街中で不意に会えそうで歩き回るシーンに、誰でもそういう気持ちになるのか、と思った。 -
操浄瑠璃を見たことがないのだけど、「面白さ」があまり伝わらなかったかな。
物語の進みも遅いし、途中で飽きてしまった・・・・。
書き上げた話がどんな物語なのだろうと興味は覚えるんだけど、
調べてみたようとか、見てみたいとはならない程度の本だったなー。 -
それまでなかった、
新しいコンテンツを作ろうと
奮闘するクリエーターの物語。
現代にも通じる普遍性をもつ。
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人形浄瑠璃作家の近松半二の半生。人形浄瑠璃なんて、今までちんぷんかんで興味もそれほどなかった世界だったけど、作家の苦悩だったり、歌舞伎と拮抗していた時代背景だったり、何より、関西弁がテンポよくてとても楽しめた。
妹背山婦女庭訓、どんなお話しなんだろう?三輪ちゃんに会ってみたいな。 -
副題「妹背山婦女庭訓 魂結び」。
もう一人の近松、操浄瑠璃(あやつりじょうるり。現在の文楽)の作家・近松半二の一代記です。
ちょっと変わった構成です。主役の半二の一代記なのですが、一つの章では一つの事件に絞って扱い、脇役も章ごとに代わって行きます。事件は時系列で並んでいるのですが、章の書き出しは前の章の結末より少し前という事も有ります。ただシンプルに一章一事件(テーマ)なので頭の中に入って来やすい。
人形浄瑠璃そのものはしっかりと描かれておらず文楽ファンの方には物足りなく感じる人も多いようです。しかし、(文楽に留まらず)物書きとしての半二の熱気や悩み、当時の世相を全編大阪弁で描いた、直木賞受賞作にふさわしい読み応えのある力強い物語でした。
著者プロフィール
大島真寿美の作品
